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「チル」?

最近、高校生の息子から「部活の帰りに友達と温泉入ってきた」という話を聞いた時、なんとオヤジ趣味な子なのだろうかと思った。
それを友人に話すと、「それチルってると言うみたいだよ」と。

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「チル」って???

言葉を調べてみたら、4〜5年前から若い人たちの間で使われている言葉とのこと。英語の「chill out」が語源でアメリカでは俗語・隠語として、リラックスした状態を示す「chill out」や「chilling」という表現が使われているらしい。
息子はおじさん的な趣味で温泉へ行っているのではなく、「チル」っていただけのようだ。
しかし、若い人たちの間で行われている「チル」行動をもう少し調べてみると、世代の特徴みたいなことが関係しているようで結構深い内容の話。

昭和生まれの自分は、AIやIOTによって生活が劇的に便利になっていく一方、その変化について行けず、必死に追いつこうとする事に疲れ、変化を諦める事も。
そんな現実から距離を置きたくて自然の中で過ごしたり、あえて「不便」を楽しんだりする。これが「チル」ってことなのかも?

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「Z世代」と呼ばれる最近のデジタルネイティブたちは、新しい道具や技術だけではなく情報を上手に使いこなして古い道具や習慣を取り入れて効率よく過ごしている。

そんな彼らに教えられる事はとても多いと思う。

例えば、近年若い人たちにも見直されているアナログレーコード。30cmもある大きな盤を傷つけないよう慎重にジャケットから取り出しプレーヤーにセットする。埃を飛ばして静かに針を落として音が流れるのを待つ。儀式のように面倒な作業はスマートスピーカーに「***の曲かけて」と話かけて流れてくるそれとは同じ曲でも全く異なって聞こえる。そういう「不便」を楽しむような事も、Z世代は上手に受け入れ新たな流行まで作り出している。

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そんな「Z世代」より更に若い自分の子供にできる事ってなんだろうと考えた。

自分が育ってきた時代は便利なモノや技術を次から次に与えられてきた。夢中になってそれを追いかけるのは忙しかったけど楽しかった。
大人になった今、同じように便利なモノや技術を子供たちに与えられるか?と考えるとスマホ以上のそれは思い付かない。しかしスマホは依存性の高い劇薬のようなモノだと考えている。スマホ依存の先には映画「ブレードランナー」や「マトリックス」で描かれていた近未来のように人間はA Iに支配され淘汰されてしまうのでは?この先A Iが進歩していくとあり得ない話でも無いと思えてしまう。

何ができるか?

今更、スマホの是非を問うと言うわけではなく、便利なモノや技術は大いに活用するべきだと思っている。それらを使う前提で子供たちに伝えたい事。

それは、自分達が便利さと引き換えに置き去りにしてきたモノをもう一度拾い直して子供たちに伝えていく事だと思った。
自然とふれあい楽しむ事や伝統行事や文化を伝える事、もっと身近な事であればスーパーの惣菜や冷凍食品ばかりではなく少し手をかけた食事だったり、子供が喜ぶからと動画ばかりを観せるのではなく、絵本を一緒に読んで聞かせる事だったり。

検索して得られる無機質な情報ではなく、「ぬくもり」や「おもい」のこもったモノを子供たちに伝え残して行きたいと思った。

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息子が温泉に行った話からなぜこんな事を考えたんだろう。
自分が歳をとったからなのか、こんなご時世で色々と考える時間ができたからなのか。
改めて若い世代の人たちや自分の息子の事を考えて、少し頼もしく感じた。

自分ももっとしっかりしなくては。