椎平巻子

本名ではありません。昔のバイト先で「君はシーラカンスみたいだね」と言われたのがはじまり…

椎平巻子

本名ではありません。昔のバイト先で「君はシーラカンスみたいだね」と言われたのがはじまり。しいらって書くと椎平になりました。年を重ねて胸に留めておきたいことも、伝えたいこともだんだん見えてきたお年頃。noteで何かしら伝えられるといいなと思っています。ただの一般人です。

最近の記事

冬の気配

高くなった空を見ながら、 スピーカーから流れるラジオの音は 12月のはじまりを告げる ああ秋の終わり いよいよ冬だ 指をさした先には、 トンビが空をくるくると回っている 稲刈りの後を追って鷺が歩いている 柔らかな日差しに照らされた山々は 茶色くなって 灰色の世界を待っている すうっと脇を通り抜ける 冷たさを含んだ風は 一日、また一日と気温を落としていく 大丈夫、 辛く寂しい冬じゃない 手の周りにじわりと温もりを感じる 小さな手のひらを ぎゅっと握りしめて

    • 忘れたくないあの日の感動

      子育てをしていると、ある種の感動に出会うときが時折ある。 以前にも記事として書いたことがあるが、夕日を眺めた時の子どもの「なんだか涙が出そうだねぇ」という一言なんていうのは、単なる風景に対しての情緒的な感想に感動したのではなく、オギャーと泣いたり、あれ食べタイ、これ欲シイ、と目の前のものにあるものだけを欲していたような赤子から、風景を見て、色や風を感じ、四季を感じ、それを言語化するということを覚えた子どもが成長していくという姿に感動したことを良く覚えている。 他にも、親の言

      • はちみつぶんぶんケーキ

        子どもへ読み聞かせをするために借りた図書館の本に、「クマくんのはちみつぶんぶんケーキ」という本があったので、可愛かったから手にとってみたのです。 もうこれ、絵本ながらレシピ本でしょ、という雰囲気がぶんぶん、じゃなかった、ぷんぷんしてる。このクマの満足気な表情とケーキの雰囲気、絶対そういうやつや!子どもがどういおうと読む・・・!と手にとり、パラパラとめくって案の定、可愛い可愛いレシピがついていたのです。 ぐりとぐらに代表されるように、こういう可愛いストーリーと共についている

        • はじめて飛行機に乗ったときのこと

          つらつらと書いてみる1 いくつかの記事を読んでいただければ、私が昭和生まれということにお気づきになるかと思う。 そんな私が初めて飛行機に乗ったのは、中学2年生の夏だった。今から27年前である。単なる旅行ではなく、アメリカに国際交流という名目でホームステイするという予定だった。あらかじめ言っておくが、私が育った家庭は特に裕福でもない。ごくごく普通のサラリーマンの父親とパート勤めの母親、姉と育った家庭である。そんな私だったが、当時通っていた語学教室のようなもののホームスティプラ

        冬の気配

          とある夫婦のワンシーン

          「うそでしょ」 思わずメグミの口からこぼれたのはたぶんどちらともいえない自分の本当の気持ちだったと思う。 まさかと思って試した妊娠検査薬は、イイエ、万分の一も違いませんよ、とでも言いたげな強く濃い陽性の赤色を示していた。 ***** 「桐谷さん、次回のプロジェクトなんだけど」 ふいにかけられた声で現実に戻る。 ぼうっとパソコンの画面を見つめていただけで、仕事は何も手に付かなかったところを同僚の声ではっと目が覚めた。 「ああ、すいません、ちょっと意識がどこかへ」 「

          とある夫婦のワンシーン

          静かに息をしている、と思った。 周りは静寂だ。 なんの音もしない。 ただ自分の呼吸するわずかな、ほんのわずかな音と思しき何かを感じるのみだ。 一人で生きているわけではないと分かっている。 けれども、途端に孤独の装いがあっという間に身を包んできてしまう。 いったい、自分は何をしているのだろう。 目の前にある、なんでもないことばかりが圧を放ってくる。 押し寄せる、波が苦しい。 「仕方のないことよ」 いつかの彼女はこう言い放った。 「・・・いつか、解放されるときは来る

          工作の罠

          子どものね、保育園では、晴れた日は園庭で外遊びをするんですが、雨の日は教室で工作をするんですよ。 何の工作するのかなと思っていたら、今は各家庭から持ち寄った空き箱を使って、各々好きなものを作る、ってやつなんです。 最初はそんなの全く知らなくて(たぶんお知らせを読み過ごしていた)、子どもが勝手に作った空き箱で、へぇ~こんな工作して遊んでるんだなとしか思わなかったんですが、空き箱はすべて家庭からの持ち込みというので、じゃあウチからも持っていこうと思って、カレールーの空き箱やら、

          工作の罠

          死ぬまで好奇心

          90を過ぎた叔母から相談を受けた。 「持っている携帯をスマホにしたいの」 と。 今時90過ぎて携帯を持っていると言っても周りの人間は驚くことが多いというのに、スマホにしたいとは。 「電車に乗っていても若い人はみんなスマホを見ている。何がそんなに面白いんだろうといつも思っていた。でも使いこなせないんじゃないかと思って」 と言っていたので、スマホにした場合、どんなことが起こるかざっくり話をしてみた。文字は大きくなって見やすいこと。検索ができること。地図が見られること。情報

          死ぬまで好奇心

          春の交通事故を目撃したのです(雑談)

          ※悲しい話ではありますが、さほどエグイ話でも衝撃的な話でもありません(たぶん)。 今朝、交通事故を目撃したのです。 仕事に向かう車の中、対向車が不意に変な動きをしたので、あれ?と目をやった瞬間でした。 対向車の前に一羽の鳥が舞い降りてきてしまいました。 あっ と思った瞬間には、どうやらぶつかっていたようです。 不思議なもので、わたしの前には2台車が走っていたのですが、全員が目撃したような雰囲気がありました。運転中で、特にブレーキランプや動きもないんですが。 ふらふらと鳥

          春の交通事故を目撃したのです(雑談)

          さみしい春

          冷えた冬の朝、巻いたマフラーの中でゆっくりと息を吐く。 今朝はあの人に会えるかな。 バスを待っている人の中で、いつも一人で佇んでいるあの人は、 いつも目線を本に落としながらヘッドホンで何かを聞いている。 あの制服はきっとあの学校だいうことは分かる。 わたしは友達とおはようの挨拶を交わし、昨日見たテレビの話をしながら、目の端であの人の気配だけ感じ取る。 あの人が顔を上げたときの目線や、 眠そうにあくびをしたり、 何度もページをめくったり、 時折スマホを見たり、 何を

          さみしい春

          私の秘かなる楽しみ

          昔読んだ文章に、宝くじほど当たらない賭け事はないというものを見たことがある。競馬とかパチンコとかよりも当たる率が低いのが宝くじだと。 もう忘れてしまったけど、その内容が数字でも表されていて、具体的な数字は忘れてしまったけど、なんだそうだったのか、じゃあそんな無駄なことはやめよう、と当時の私は思い、宝くじを買うことをやめた。 もともとそんなに宝くじを買うほうではなかったし、たまに年末ジャンボを買って当たったら嬉しいなぁと思う程度でもあったが、それでもその出来事を境にぱったり

          私の秘かなる楽しみ

          保育士給与から見える日本

          保育士の給与を上げれば、保育士不足が解消されるのではというつぶやきを目にしました。 個人的には、以前から保育士さんはなかなかな重労働だなぁと思いつつ、賃金を上げるには難しいだろうなと思っています。保育士になるには、いくつかのルートがあるようですが、基本的には高卒程度の学歴で試験さえ通れば資格を得られるわけです。初任給30万という金額って、四大卒の初任給よりはるかに高額な金額なわけですが、それをどうみますか、ってお話。ガテン系の体力仕事の人は中卒だろうが大卒だろうが初任給30

          保育士給与から見える日本

          高齢者の運転についてのアイディア

          昨日、正月で家族と将来について話をしたという記事を投稿したのだけれど、ここ数年で友人ととてもよく話す「高齢者の運転」について書いておきたい。 私が住んでいるのは地方の田舎で、いくつかの記事にもあるとおり、バスは1時間に1本も「ない」ような場所。かつては電車も通っていたけれどとっくの昔に廃線になったし、バスもいつなくなるのかとひやひやしている。高齢化は加速しているし、前を走っている車に紅葉マークがついていたら、絶対に警戒する。ハンドルにしがみついて運転している高齢者は90%以

          高齢者の運転についてのアイディア

          令和最初のお正月(メモ)

          正月が終わった。 実際には、年末から元日まで旅行に行っていたので、いよいよお正月を迎えました感はあまり大きくないのだが、2日以降、しばらく姉家族が実家に帰省しており、家族団らんのひと時を過ごした。 2人姉妹だが普段は離れた距離に住んでいるので、こういった機会でもないと過去のことやこれからのこと、親のことを話す機会があまりない。さらに周りに子どもがいると気軽に口にすることもできないのだが、今回は子どもたちが成長し、従妹同士で寝たい!と早々に布団に行ったのではからずも親子揃って

          令和最初のお正月(メモ)

          雨のjelly

          人を待っている車内で 雨が降ってきた 雨が降るよ、と重い大気が沈んできたころ 大粒の雨 あっという間に自分を囲っていった 激しくはないけれど大粒の柔らかい雨 ガラスについた何十、何百もの雨粒 外の音を遮断して湿気を含んだ重い空気で包まれるのは どこかのjellyに飛び込んだような感覚 ゆるいゆるいjellyに沈んでいったら きっと とぷん と音がするだろう そしてソーダの味がするんだ 小さな空気の泡が時折目の前を横ぎる このままずっとこのままでも 雨がガラスを打つ音

          夕焼け

          保育園の帰りに、胸が苦しくなるほど綺麗な秋の夕焼けを見た。 だんだんと夕闇が東から迫り、夕日の朱色が濃くなって、山の黒さが際立つ頃。雲と空と夕焼けのグラデーションがとても美しかった。 あまりにも綺麗すぎて、胸がいっぱいになり切なくなってしまった。 分かりはしないだろうと思ったが、誰かに伝えたくなって、4歳の子どもに話しかけた。 「ねぇ夕焼け綺麗だねぇ。なんだか胸がきゅうっとするね」 すると子どもは 「うん、そうだねぇ」 と答える。 よくわからない、と答えるだろうと