寿司

小学校2年生の時、福岡に住んでいた。
当時、私は学校の担任の先生から「コンニャクみたいにぐにゃぐにゃするな!」と言われるほど、ひ弱な感じだった。
家の近くに中国拳法の道場が出来たという噂を聞き、強くなりたいと思った私は通うことになった。
道場の前には小さな寿司屋があった。
店内では食べる機会はなかったが、私は道場に行く度に店の外側のショーケースに並んでいる中のバッテラに目が行っていた。
バッテラの値段は当時1本150円。
ある時、母に頼んでお金をもらい、道場の帰りにバッテラを1本買って帰ることが出来た。
しかし、見た目は値段相応ということもあり、鯖の厚みは恐ろしいほど薄かった。
しかし、子どもだった私にとって、非常に美味しい食べ物だった。
今では、鯖の棒寿司も食べることが多くなったが、スーパーに行った時に薄い鯖が乗ったバッテラを見かけると、あの店のバッテラを思い出して、つい買ってしまうこともあるのである。

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