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花王の「美白」表現撤廃は消費者にとってもプラスになる(かもしれない)と思ったこと

花王、「美白」表現を撤廃 人種の多様性議論に配慮

このニュースがTwitterで話題になっています。人種の多様性から見て「美白」は不適当という話なのですが、Twitterをざっと見ると、いやまて白い肌というのは日本人の伝統的な美意識のひとつだったんじゃないかなどの反対意見も出ているようです。

人種の多様性以前に、今のコスメって、もともとの肌の色を活かしつつツヤとか質感とかキメとかで美しく見せるって方向のものが主流だと私は思っています。だから私は、こういう反対意見はちょっとナンセンスではないかと感じています。日本人自身が、肌の「色」にこだわらない時代になってきているんではないですか、と。

まあそれはさておき、この「美白」表現撤廃というのをライター的に見ると、実は消費者にとってプラスになるんじゃないかなあという気もしています。今日はそんな話をつらつらと。

化粧品の表現は規制だらけ

化粧品などについての表現は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」通称「薬機法」によって規制されています。

医薬品・医療機器・健康食品・化粧品などについてライティングするときには、この法律を守らなければいけません。あからさまに破ってしまうと、行政から指導を受けます。

では、この法律を守ったライティングとはどのようなものなのか。以前、薬機法に関するセミナーを受講したことがあったのですが、そこでこんなとこを言われました。

「医薬品でないものに対して『効果がある』『これを使うことによって何かしらの変化がもたらされる』と思わせるような表現をしてはいけない」

たとえば、「この化粧水を使うと肌トラブルが改善される」みたいな表現はNGなんですね。実際はこれに近い表現はたくさんあるし、これアウトですよね?みたいな表現もしばしば目にしますが、今はその話はしません。本題ではないですから。

「美白」化粧品は肌を白くすると謳ってはいけない

これを抑えた上で、では「美白」をどう謳えばいいのかという話です。

まず「この化粧品を使うことで肌が白くなる」と思わせたらアウト。美白化粧品は、肌を白くしないんです。少なくとも、白くすると謳ってはいけないんですよ。

じゃあいったいどう表現したらいいの?というと、ここに参考になる記述があります。

薬用化粧品(医薬部外品)における美白表現の範囲

詳しくは読んでいただくとして、要するに、美白化粧品はあくまで日焼けによるしみ・そばかすを防ぐ程度しか謳えません。たとえば肝斑やニキビ跡などの美白は謳えない。

美白と名乗っているのに、肌の色とは関係なく、日焼けによるしみ・そばかすを防ぐことしか謳えない。

なんかこれって、消費者にとってはややこしくないかな?とずっと思っていたんです。

「美白」表記はしないほうがわかりやすい

化粧品は肌の変化があると言ってはいけない。「美白」と表記しても、その内容は「肌が白くなる」のではなく「日焼けによるしみ・そばかすを防ぐ」ものでしかない。

そう考えると、私は「美白」表記をなくすことは消費者にとっても「この商品はどんな商品なのか」がわかりやすくなるのでは、と思うのです。

この変化によって、消費者にとってわかりやすい商品紹介がこれからできるのではないか、よりわかりやすい商品紹介を元に化粧品を選べることができるようになるのではないか、という期待を私は抱いています。

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