見出し画像

【展覧会レポ】生誕100年特撮美術監督 井上泰幸展@東京都現代美術館

こんばんは、whipです。

先日、東京都現代美術館で開催中の『生誕100年特撮美術監督井上泰幸展』に行ってきましたので、レポしたいと思います。

【図面という美】

庵野展の余韻さることながら、同じく特撮美術を扱う本展覧会。こちらの鑑賞ポイントはズバリ【図面】!庵野展が【模型】だったのに対して、こちらでは正確な図面がとにかくすごいです。まるで絵画のような図面がほんとうにたくさんあります。

東宝の特殊美術係、通称【特美】で働いていた井上泰幸さん。彼の生誕100年を記念したこの特別展では、彼がどんな人物でどんな仕事をしてきたのかを多くのスケッチやコンセプトアート、そして図面で紐解いていきます。ご親族の方が、井上さんが亡くなった後に、残された彼の成果物をより多くの方に観ていただきたいという想いから始まったというのが驚きでした。

徴兵から美大での学び、特美での仕事、円谷英二さんとの出会い、アルファ企画としての独立、という彼の人生を追体験するかたちで特別展は構成されています。


【ヘドラ】

皆さんはヘドラをご存知ですか?ゴジラに登場する怪獣ですが、非常にファンに人気のあるモンスターです。実はこのヘドラを作ったのが井上さんなんです!

◆ヘドラについてはこちらをご参照ください。

本特別展では、ヘドラがどんなコンセプトで誕生し制作されたのかを知ることができます。その他にも様々な怪獣やメカニックのアートを井上さんが描いている点にも驚きます。そしてそれらを図面として落とし込み、図面から現物を作成したということがわかります。ぜひそうしたポイントにも注目してみてください。そこにない特撮セットが見えてくるようです。

【これが、特撮美術だ。】

と言わんばかりに見事なジオラマが特別展のラストに待っています。これは、『ラドン』で使用されたセットを正確に復元したものです。当時の映像が隣で流れており、その再現性の高さに驚くとともに、まだCGの無い時代に怪獣が街を粉々にしていく様子を創作していた技術とアイデアに感服します。こちらのコーナーは撮影がてきるのでぜひ記念撮影やセットの細かい点をカメラに残してみてはいかがでしょうか。


私はこの特別展で初めて井上さんのことを知りました。円谷さんや庵野さんのようにフロントでもネームバリューの高い方はもちろんですが、よく知るコンテンツの裏に実に多くの方が関わり、活躍されていたことをこうして知ることができ嬉しく思います。決して一人が作り出した訳ではない。フロントで有名な方の周りには、たくさんの才能溢れるクリエイターがいたことを実感できる特別展でもありました。そして、特撮という技術が日本に生み出した【特撮モノ】という文化の神髄を知り感じることができる特別展でもあります。現代美術館という叡智で、まさに新しい美術のかたちを体感してみてください。

◆公式サイト

特別展は、6月19日まで東京都現代美術館で開催中です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


※公式サイト、チラシ、解説パネルを参照しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?