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データインテリジェンスの時代に、AI企業と損保会社が実現していかなければならないこと

JX通信社 FASTALERT事業責任者の藤井です。もう1ヶ月前のことになりますが、2021年8月、JX通信社は約20億円の資金調達を発表しました。

この中でさらっと触れていますが、JX通信社はあいおいニッセイ同和損害保険と資本業務提携を締結しました。その目的についてはあいおいニッセイ同和さんのプレスリリースにある通りで、立場上もこれ以上のことは開示できないのですが、この提携に関わった者として、日々「こんな部署保険会社にあったんだ?」みたいなところまで、隅々の部署の方々とお話する機会を頂いており、新年度(JX通信社は8月決算です)にあたって、我々が果たすべき役割の重要性について、メモしておきます。

風水害による保険金支払額の膨大化

2019年、2020年は、連続して大きな豪雨災害が発生し、各保険会社の支払額は1兆円を超えました。今年も九州の豪雨だけで200億円を超えています。

JX通信社のFASTALERTは、あいおいニッセイ同和損害保険がこの膨大な保険金支払いの迅速化のために開発された同社の被害予測システム「cmap」に対して現地情報を補う役割をすでに果たしています。

急激に高くなる火災保険料

一方で、相次ぐ自然災害を受けて、火災保険料(※風水害は火災保険でカバーされます)は値上がりが続いています。火災保険料は、保険会社が単独に任意に決めているのではなく、損害保険料率算出機構という団体が「参考純率」、すなわち災害で被災する可能性を数値化したものを出し、そこから「純保険料」を各社が設定し、手数料や利益を「付加保険料」として加えたものを価格として設定しています。

この「参考純率」が今回、10.9%も増加するのです。それだけ、日本における災害が激甚化したということです。自宅の火災保険など、持ち家でないとあまりピンとこなかったり、5年単位で更新している方もいますぐには気づかないかもしれませんが、私はマンションの共有部の保険料(管理組合で入っている)が倍近い金額に跳ね上がったので、びっくりしました。

この「純保険料」の部分は、いかに値段が高くなったとしても、支払保険料もそれだけ大きくなりますから、保険会社にとっては特に嬉しい話ではないのです。むしろ保険に入りにくくなるので、よくないことかもしれません。

いかにリスクを低減していくか

損害保険の勉強をすると教科書の最初に書いてあることですが、リスクのコントロールをする方法は、原則として「保有」「回避」「移転」の3つで、「自分で保有したり、回避できないリスクを移転する」のが保険です。

1つ目は自身でリスクを「保有」する(損害が発生した場合、自己資産で損害をてん補する)こと、2つ目はリスクを「回避」する(リスクがあることを行わない)こと、3つ目はリスクを「移転」する(リスクを他者に移転し、損害が発生した場合には他者の資金で損害をてん補する)ことです。3つ目の「移転」するということが、「損害保険」で備えることです。
(https://www.aioinissaydowa.co.jp/personal/product/basic/role.html)

一方、損保会社はこの増大するリスクに対して、自社が持つノウハウやデータをつかって、「回避」や、回避までできずとも「低減」するための情報を被保険者に提供して、そもそものリスクを減らしていく取り組みが求められています。壊れたらまた作って頑張ろう、みたいなスタンスが、もはや社会が成熟し、サステナブルな取り組みを求めるSDGsの地球社会にフィットしなくなってきているのです。また、データの蓄積によって、これまで予測できなかったリスクが、AIによって予測可能になりつつあることも背景にあります。

この社会の変化を受けて、あいおいニッセイ同和損害保険をはじめとする、MS&ADグループでは、「レジリエントでサステナブルな社会」をあるべき社会の姿として定義して、「CSV×DX」をキーワードに、事業を展開されています。すなわち、社会との共通価値の創造を、DXで実現していく、ということです。

JX通信社は「リスクをいち早く可視化」していく

とはいえ、リスクの予測はそう簡単なことではありません。未来を知るためにまず必要なことは、「今を(リアルタイムに)明らかにすること」、そして「今、の連続である過去を正確に記録すること」です。

JX通信社は、FASTALERTとNewsDigestを通じて、「データインテリジェンス」に強みを持つ企業として、成長を続けています。ステークホルダーのみならず、全地球的な課題である「レジリエントな社会」の構築に貢献していくべく、日々研鑽を重ねていく所存です。

(告知)そんなJX通信社に関心をお持ちの方、全方面で採用活動を継続しています。おかげさまで少しずつポジションがクローズされつつありますので、「こんな職種は募集があるのかな?」などご興味お持ちになりましたら、まずはお問い合わせください。


自分の仕事(地方自治、防災、AI)について知ってほしい思いで書いているので全部無料にしているのですが、まれに投げ銭してくださる方がいて、支払い下限に達しないのが悲しいので、よかったらコーヒー代おごってください。