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【猪さばいた】肉の食べ方

「動物がどうやってお肉になるんだろう」
シンプルな疑問がきっかけで、生きものを解体する作業に立ち会い、写真に収めることができた。

屠殺を見たい

私は小学生のときから可搬式茶刈機の片側を担ったり、
「やたらと採ればいいわけじゃない」みかんのことを習ったり、
モグラ除けの板を差し込むための穴を延々田んぼに掘り続けたり…
畑の人間として育ってきた。

刈った生葉が工場に運ばれて「お茶」になるところも、
祖父母が夜なべして箱詰めしたみかんが出荷されるところも、
専用の大型冷蔵庫が玄米が入った袋でいっぱいになるところも見た。

だから植物を産物・食べものとして扱うことについては、ある程度想像がつく。
(もちろん蓮根とかユリ根とかモヤシとかマンゴーとか、実際に見たい現場はたくさんあるし、これからも増えていく)

しかしふと 、

肉を食べるときの「いただきます」は
何に対する「いただきます」なんだろう

と思ったことがあった。
そういえば動物はどうやってお肉になるんだろうか。

つべこべ言わず食べて食べきって「おいしい!」と笑えれば、それも幸せなのだが、
ブタを知っていて豚肉も食べているのに、「その間」を知らない(=見たことがない)ことが、なんとなく気持ち悪くなってしまった。

動物が大好きなので余計にだ。

当然、屠殺だけが食肉の現場ではないが、牧場や市場など、家畜たちを育て取引するフィールドはまだ人の目にふれやすい。

↑大学時代の友人たちのプロジェクト。私はリターンでしゃぶしゃぶ肉と焼肉をいただいた。いつか取材したい。

私が興味を持ったのは、人が家畜を殺して、その体をさばいて食肉にする過程だ。
見学できる屠殺場はなかなかない。

情報を得られそうなところはある。

この味気ない、市場公式の案内サイトしか見当たらないのだが…例えば芝浦にある「お肉の情報館」。

実はこの記事を書くにあたってあらためて調べて知った場所なので、今度東京へ行くときに寄ることにする。
生産や畜解体作業、市場取引、衛生管理の工程、さらに食肉の歴史と人権などがテーマの展示やビデオが見られるらしい。

あと映像作品ではこのあたりが気になる。


イノシシをさばいた

とにかく、そんなことを鹿児島にいたときも話していたら、
茶農家の方のひとりが、冬にイノシシを獲ってさばくから来なさいと言ってくれた。

畜産ではなく狩猟だか、これは動物が肉になるとろをこの目で見るチャンス。
それからことあるごとに「猪は?猪は?」と聞いているうちに、ある日、本当に電話がかかってきた。

仕留めるところには立ち会えなかったが、大人4人がかりで運ぶ大きさのイノシシと、子どものイノシシの2頭をさばいて、肉を取るのを手伝った。

そのときの写真を以下に載せる。

私はもともと血を見るのは苦手だが、しっかり見てきた。
同様に苦手な人は注意して見てほしい。最後に、炭火で焼くおいしい「取れたて」の肉にたどりつく。

これは既に毛を剃られた後で、バーナーで炙られているところ。
毛はお湯をかけながら草取り鎌で剃っていた。


バーナーで炙る理由は忘れてしまった…
皮に刃物を入れやすくするためではないだろうか。
横たわっていてもなお感じる蹄や牙の力強さが、印象的だった。

首にあるのが致命傷の弾痕。
台に載せられ、解体が始まる。

取った肉はその後すぐに焼いて食べさせてもらった。

かたい皮の食感と、その脂ののりようといったら…
塩と胡椒だけ振って食べるのが、たまらなくうまかった。


これが肉を食べるということ

自分で動物をシメて肉にすることが日常だという人がいたからできたこの体験だが、
私にとっては食の豊かさを感じるいい経験となった。
これからいろいろな動物、あるいは用途(家庭的な作業か、市場向けの作業か)の屠殺や解体を見たい。

そうやって、知ることで、自分の「食べ方」をつくっていく、選んでいくことが、大事だと思う。


#肉 #屠殺 #動物大好き #イノシシ #解体

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