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ウィル埼玉さやまメンバーも参加・運営する「こどもぴあ」ってなに?

「こどもぴあ」ってなに?

 「こどもぴあ」は両親のどちらかまたは両方に精神疾患を抱えている”子どもの立場”で集まる家族会です。同じ子どもの立場の仲間たちとそれを支えてくれる支援者の方と共に運営されています。こどもぴあは2015年から活動が始まり、東京・大阪・札幌・福岡・沖縄に広がりを見せ、参加してくださる方は10代後半から70代までととても幅広くなっています。精神疾患・障害であれば病名に制限はなく、むしろご両親が未治療であったという方も多くいます。生涯を通じておよそ4人に1人がこころの病気にかかるといわれている昨今ですから、親が精神疾患を抱えている・いた方はとても多いはずです。みなさんの周りにはそのような方が日常的にいたでしょうか?

知られないように、話さないように、見えないようにしてきた方も多くいるでしょう。困ってきたことも多かったはずなのに隠してきたのはなぜか、大人になった子供たちが集まるのはなぜか。

 目に見えない心の病気は家族であっても本人すらも病気について理解することは難しい面があります。広く知られるようになってはいますが社会の偏見も根強いものがあります。親が悩み続けている姿を見てきたこども達は、言葉にして相談し合うことも、相談できるような大人と出会うことも難しいまま色々な気持ちを抱えます。そんな同じこどもの立場の仲間をこどもぴあでは「こどもなかま」と呼んでいます。これまでどこにも出せなかった気持ちを語り合うことや、お互いの体験を共有することが必要な場として活動が続いています。

こどもぴあHP https://kodomoftf.amebaownd.com/
こどもぴあ大阪HP https://kodomoftf-osaka.amebaownd.com/
精神疾患の親をもつ子どもの会星の家(こどもぴあ札幌) https://www.facebook.com/hoshinoiesapporo/
福岡子どもとパートナーの会(こどもぴあ福岡)https://www.facebook.com/fukuokachilds/
ハピんちゅokina輪(こどもぴあ沖縄)https://www.facebook.com/hapinchuokinawa/

どんな活動をしているの?

 各地によって頻度や内容は違いますが、”つどい”と家族学習会が中心です。東京では”つどい”を年4回行い、5~6人のグループに分かれて語り合う場を行っています(コロナ禍の現在はオンラインで実施しています)

 家族学習会は、5回1クールの少人数制プログラムです。テキストを用いて疾患の理解から始まり、幼少期、思春期、成人後、結婚や介護についてなど、過去の体験や自分たちの想い、未来に向けたことについてなどを語り合い体験を共有していきます。東京における家族学習会の参加者はこれまで50人ほど、”つどい”は対面とオンラインを合わせて300人ほどになりました。参加者の年代や親の疾患が違っても、その体験には共通することが多く、毎回「わかるぅ~」という共感の声が多く飛び交い「誰かに体験を話したことは初めてだった」「始めてあったと思えないくらい同じ気持ちで驚いた」「一人じゃないと思えて心強くなった」などの感想があります。これまで誰にも話せなかった想いや理解されないことへの葛藤を語り合うことで「来てよかった、続けて欲しい」という感想も。

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また、これまでの自分たちの体験を伝える発信活動も行っています。リカバリーフォーラムや行政・自治体などでの研修、テレビや新聞・ラジオなどの取材などにも応じています。ここに参加する多くの人が、誰にも話せずに苦労したこと、話しても理解してもらえなかった体験をもっています。発信を行うことで現在同じ体験をしている遠くの誰かにも「一人じゃないよ」と伝えることができるんじゃないか、あるいは同じ体験をしていなくても理解をしてくれる方が増えるのではないかと願っています。
もちろん、自分の体験を人前やメディアなどで話すことは、とても難しく大きな勇気のいることです。怖かったり辛くなることもありますが、これから繋がれる仲間がいると思うこと、今繋がっている仲間と一緒だからこそ頑張ろうと思えます。

なぜウィル埼玉さやまチームのメンバーが参加・運営するの?

 私(看護師:こばやし)は、こどもぴあの副代表をしています。私だけでなくウィル埼玉さやまチームの作業療法士や看護師も、こどもぴあの参加・運営メンバーとして活動しています。そして、ここまで記事を書いている私自身も「こどもなかま」なのです。私が小学校低学年の頃に母が統合失調症を発症しました。その頃は病気の症状に困惑し母を責めたり、症状の波に戸惑い一緒に落ち込んだりした日々でした。母の病気の話をすることはタブーのようになり、悲しい気持ちも見ないふりをして過ごしていました。“誰か相談できる人と出会いたい”そんな想いで看護学校に入学し、看護学校の中で「家族会」の存在を知り参加を始めました。現在多くの家族会は精神疾患をもつ人の“親の立場”で参加運営されていることがほとんどでしょう。家族会に参加していた時に同じ“子どもの立場”の方と出会いましたが、その日のことは忘れられません。親のためにと思って参加していた家族会でしたが、そこでたくさん語り合い「大変だったと思っていいんだ」と初めて自分の気持ちを吐き出せ心が軽くなったのです。そのような私にとっての大きな体験から「こどもの立場同士の場がきっと必要だ」と思いました。今も当事者であるからこそ出来ることも多いとの想いで「こどもぴあ」を運営しながら”こどもなかま”の当事者として参加を続けています。

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子どもの立場を経験してウィル埼玉さやまチームで思うこと

「こころのケア」は診断に限らずに誰にでも必要なことだと思います。もし困っている人やそのご家族がいた時に、その家庭・家族の中だけで抱えることはとても大変だと思います。支援が必要でもそこへ第三者が入り込むことの難しさをも知っています。だからこそ、ご本人や家族、家族側の当事者同士のつながりも含めた、チームとして一緒に悩みオープンに話し合える機会を持ち続ける支援は、家に訪問していく訪問看護師の仕事の発展として大切だと思っています。「こどもぴあ」という当事者の場にも参加・運営していきながら訪問看護師として活動をしていくことが、支援の幅をさらに広げていくのだと感じています。そして(ウィル埼玉さやま)チーム自体もご本人やご家族、そしてチームメンバー同士で体験や想いを共有しながらオープンにいられる場でありたいと思っています。

ウィル訪問看護ステーションでは「全ての人に家に帰る選択肢を」理念に様々な利用者に対し24時間365日の訪問看護を提供しています。
訪問看護だけに行くのではなく、多様な健康課題を抱える方に対し幅広い支援を考えていくことで「全ての人に家に帰る選択肢を」提供できるよう活動していきたいと思います。

ウィル訪問看護ステーションでは随時見学や相談等を受けつけていますので是非お気軽にご連絡ください。


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