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「静岡DXコンソーシアム」キックオフへ参加しました

2020年11月10日に行われた「静岡DXコンソーシアム キックオフ」へ参加しましたので、内容をシェアしようと思います。イベントレポートです。

静岡DXコンソーシアムとは?

静岡とその企業が持続可能な発展を進めるためには、デジタルの力を使ってビジネスを生み出し続ける力が必要です。社内外のリソースを使って1社1社個別に対応するのではなく、静岡県の地域全体として、「デジタルリテラシー(デジタル技術の知識を持ち、それを活用する能力のこと)」を向上させる取り組みを行うのが、静岡DXコンソーシアムです。

静岡DXコンソーシアムは、静岡鉄道、静岡銀行、静岡ガスの3社が協働し任意気団体として立ち上がりました。

MISSION(理念)・・・DX推進の駆け込み寺
・DX推進における課題を共有する場を提供する
・DX推進の先にある「あるべき姿」を提示する

VISION(ありたい姿)
・県内事業者の企業の変革、デジタル技術の活用をサポートし、企業の競争力を向上させる
・県内事業者がオープンイノベーションによる協業に取り組める環境を提供する
・デジタル技術の導入をサポートし、企業の生産性を向上させる
・静岡県から地域のDXを牽引する人材を輩出する

※キックオフ当日の説明より

今回はキックオフということで、下記3部構成で行われました。

1.[講演] 経済産業省におけるデジタルトランスフォーメーション
  経済産業省商務情報局情報プロジェクト室 吉田室長

2.[講演] 地域からDXを進める 〜静岡DXコンソーシアムの目的と概要〜
  株式会社レッドジャーニー 市谷聡啓代表

3.[対談] 静岡企業によるDXの実際

それぞれの内容を抜粋してご紹介します。

1.経済産業省におけるデジタルトランスフォーメーション

まず経済産業省が定める「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」の定義はこちらです。

これまでの、文書や手続きの単なる電子化から脱却。IT・デジタルの徹底活用で、手続きを圧倒的に簡単・便利にし国民と行政、双方の生産性を抜本的に向上します。また、データを活用し、よりニーズに最適化した政策を実現。仕事のやり方も、政策のあり方も、変革していきます。
経済産業省のデジタル・トランスフォーメーション

次に、実際に経済産業省で取り組まれているDX化における進め方が勉強になりましたので、ご紹介します。

優れたUI/UXによるデータ収集 → データ分析 → 政策立案・サービス改善

データを活用してよりニーズに最適化した政策を実現するためには、まずデータの収集が必要です。DXに取り組む企業が最初にぶつかる課題が、このデータ収集ではないかと思います。

ファーストステップとして提示されている"優れたUI/UXによる"という点がポイントではないかと考えています。

例えば、消費者の購買意欲データを収集しようと考え、入力項目が100個あってスマホ対応されていないアンケートフォームを公開したらどうなるでしょうか。面倒な上に使いづらいため誰も入力せず、データが収集されません。

そこで、"優れたUI/UX"が必要になります。

UI(User Interface/ユーザーインタフェース)とは「ユーザーがPCとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み」を意味し、UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)は「サービスなどによって得られるユーザー体験」のことを指します。
※出典:UI/UXデザインとは?UIとUXの違いやUI/UX設計のコツ

■経済産業省が取り組む事例
経済産業省が最近取り組んだシステム構築の事例を2つご紹介します。

(1)gBizID
法人・個人事業主向け、行政手続きの共通認証システムです。約23万件が取得されており、各種補助金の申請や社会保険手続き等で利用することができます。申請する補助金ごとに都度IDを作らなければならないという煩雑さがなくなります。

◯gBizIDで利用できる行政サービスの一覧
https://gbiz-id.go.jp/top/service_list/service_list.html

(2)jGrant(Jグランツ)補助金の申請・届出ができる電子申請システムです。2020年度は、8省、78補助金、28自治体で利用されています。補助金申請の都度、一から事業者データを入力する、という手間がなくなります。

◯jGrantsを利用している補助金一覧
https://jgrants.go.jp/subsidy

各システム間でデータ連携するための「gBizCONNECT」という仕組みもリリースされるなど、行政においても全体最適化の視点でシステム構築が進んでいます。「同じような機能は1つの共通システムとして提供し、システムの重複を避ける」という方針です。

2.地域からDXを進める 〜静岡DXコンソーシアムの目的と概要〜

(静岡DXコンソーシアムの目的と概要は冒頭で記述したため割愛します)

有益な情報が非常に多く、全ては紹介しきれないのですが・・・「日本の企業のDXは2週目に突入している」という話しが特に印象に残りました。

テクノロジーを活用して新たなビジネスを創出すべきだ、というDXの考え自体は以前からありました。そのため、既に青写真を描いている企業も少なくありません。

しかし「青写真(将来像)は描き終えて取り組みをスタートしたが、最初の失敗を経験した」という企業が大半であるということでした。
上手くいかない理由は2つあります。

・DXの戦略が実行に繋がらない
→青写真(将来像)とロードマップまでは作成されているが、システム構築後の実際の運用イメージがない。

・DXプロジェクトを行うこと自体が目的化する
→何とかDXプロジェクトを立ち上げたものの、プロジェクトを推進することが手一杯になり、手段が目的化してしまう。

DXへの取り組みは難しいというのが実態です。なぜなら、どこから、何を始めるべきなのか、正解がないからです。ではどうすべきか・・・というと「段階的な推進」をすべきということでした。

最初から全てを変えようとせず、「業務をデジタル化」→「サービス・商品のトランスフォーメーション(変革)」→「ビジネスのトランスフォーメーション(変革)」→「組織のトランスフォーメーション(変革)」という順番です。

もちろん、この進め方をやれば絶対上手くいくというものではありません。正解がないことが大前提なので、自ら考えて実行する力も必要になります。そこで、デジタルリテラシーを向上させる静岡DXコンソーシアムの立ち上げへと繋がります。

3.[対談] 静岡企業によるDXの実際

最後に静岡DXコンソーシアムを設立した、静岡鉄道、静岡銀行、静岡ガスの3社で今まさにDXへ取り組まれている担当の方々の対談がありました。机上の空論ではなく実際に今現場で起きている話しなので、この対談も非常に勉強になりました。こちらも抜粋して箇条書きでご紹介します。

◯ DXについて、各社ではどのように捉えているか?
・静岡銀行:非対面の取り組みを強化して顧客接点を増やすこと、既存業務の構造改革を行うこと
・静岡ガス:より質の高いサービスを顧客へ提供すること
・静岡鉄道:組織の変革とビジネスモデルの変革をもたらすこと

◯ DXに対する社内での抵抗感について
・現場業務を行っている社員は「既存業務を変えない=安全」という考えになっている。そのため、これまでとは違う領域での新しいサービスというアプローチをすると理解してもらいやすい。

(参考・・・静岡ガスがリリースした新サービス)

◯ 何から始めるべきか?
・業務改善は取り組みやすい。
・ユーザーとのコミュニケーションが必要でユーザーフレンドリーのWebサイトが重要なので、地元企業の課題を聞くようにしている。

◯ 反対派をどうやって巻き込んで進めるべきか?
・反対意見を持ちやすい既存業務を担当している社員を、DX担当にすると進めやすい。既存業務のことをよく知っているため。
・まずはDXに対してネガティブな印象を抱いている社員から話をよく聞き、その上でDXへの取り組みに巻き込む。
・将来的なビジョンを示すことも重要だが、社内を巻き込むために、既存事業部門の収益を生み出す取り組みも行う。(長期的な施策)

◯ リソースはどうしているか?どういう人材が必要か?
・内部人材を育成するためにも、まずは外部人材を入れる。
・ITリテラシー、ビジネススキル、プロジェクトマネジメントスキルを持った人材が必要。
・外部人材を持った組織とアライアンスを組んで進める。

スピード感を持って対応するために社内の人材だけでDXを推進できれば理想ですが、プロジェクトマネジメントや企画をできる人材が少ないという実態があるので、まずは外部人材に頼りつつ、内部人材も育成するというアプローチは確かに有効的だと感じました。

オープンな議論をして仲間を増やしていく

静岡鉄道、静岡銀行、静岡ガスのご担当者の方々も口を揃えてお話されていたのは「オープンに話しをしたい」「みんなで一緒に取り組みたい」「仲間を増やしたい」ということでした。

DXを推進し、ビジネスモデルの変革を行うためには、1つの企業だけでは対応できないこともあります。

例えば、EDI(電子商取引)については、1社だけが導入していても意味がなく、多くの企業が利用することでお互いに電子データによる取引が実現し、大きな業務効率へ寄与しています。

また、DXについてはまだまだ成功事例も少ないため、事例・ノウハウ・成功体験・失敗体験などをオープンにして共有しながら取り組むことが、各社にとってもメリットがあるのではないかと感じました。

今後本格的に「静岡DXコンソーシアム」や「静岡ギルド」が活動していくと思いますので、自分も積極的に関わって貢献していきたいと思っています!

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