2023年宝塚記念イクイノックス&スルーセブンシーズらの評価2

2023年宝塚記念の内容と結果はさまざまな評価がされていて、興味深いです。まあ主にはイクイノックスは物凄く強い勝ち方だったという評価と、危なかったという評価に大別されますが、それぞれの見解の仕方について考えてみたいと思います。

基本的な私の見解は以前の記事通りで、イクイノックスは単体を見たら豪快に強い馬の競馬をしてるものの、結果論的には展開とトラックバイアスに向いたセオリー通りの戦法となっている要素も大きく、内容自体を高評価はしにくいと思いました。
一方で、イクイノックスはキックバックで目を痛めていたという情報があり、その影響でもあのパフォーマンスとしたら、それでも気持ちを切らずに適性外のコースで勝ち切ったので、それを加味すればイクイノックス高評価派と同等の評価が可能という感想でした。


1.スルーセブンシーズは不利がなければ勝ってる説

池添騎手が進路があれば、もっと上手く乗れば手応え的に勝てていたと強く悔やんでることもあり、以前記事に書いた通り基本的には私もこの立場で、この可能性は低くないと思っています。
まあ、不利とか騎手のミスとかそれを含めてこその競馬なので、強さはともかく勝った馬、騎手が偉いのは間違いないのですが。

まあたらればを言えば仕方が無いものの、一番頑張ってる馬のためには馬に発言能力・意志決定能力がない以上、たらればを語り続けるのが競馬だとも私は思っています。

ただ、スムーズに行って勝てたとしても圧勝ではなかったと思います。
もし、スムーズに抜け出せていた場合スルーセブンシーズは2022年皐月賞のジオグリフ(2着イクイノックス)の勝ち方で内と外の関係が逆になった感じになってたと思います。
2022年皐月賞は外を通って内から抜け出したイクイノックスを狙ってマークしていたジオグリフが外から最後に伸びて差し切った形でしたが、今回はスルーセブンシーズがスムーズならば大外から抜け出したイクイノックスを内から抜けてきたスルーセブンシーズが内から突き刺すように差し切るという感じになってたのではと思います。着差は半馬身くらいの差でしょう。
その場合は逆に、イクイノックスのルメール騎手が仕掛けを遅らせていればもっと際どかったかもと議論になってたかもしれません。
実際、ルメール騎手はジャスティンパレスをマークするような形でレースするつもりだったようですが、ジャスティンの手応えが思ったより悪いので外に出したということですから、想定通りであれば直線半ばまでジャスティンと併走する形で最後に突き放す勝ち方をするつもりだったと思います。

2.スルーセブンシーズは前が壁で詰まったから脚が溜まって善戦できた説

競馬ゲームのウイニングポストとかだと脚が残ってるなら壁で詰まって損した分だけ進路があけば1ハロンも3秒くらいで走ってしまいそうな瞬間移動の異次元の脚で帳尻合わせてくることがありますが、実際の競馬はどんなに強い馬でも詰まって脚溜めた分だけ何倍もの脚を繰り出せるようになるわけではないですし、詰まって加速が止まっている時にも体力は消費していますから、詰まった分だけ脚が溜まってあの脚が使えたのであって、進路があってもスルーセブンシーズは同等以上の善戦はできなかったというのは希望的観測が強すぎると思います。可能性がないわけではないですが。
仮にスムーズで思ったほどの脚が使えてなくても途中まで同等の脚は使ってるはずで、最後に脚色がイクイノックスと同じになってももっと勝ち負けを争える僅差に持ち込んでたのではと思います。

3.イクイノックスは最後の鞭一発でスルーセブンシーズを突き放した説

イクイノックス派の人は主にこの見方をしている人が多いですが、これも正直分からないなと思います。
TV中継やJRA公式映像だと確かにそう見えなくもないのですが、実際には少し斜め前からの角度での映像なので、細かい位置関係、脚色の判別は難しく、本当にイクイノックスがそれほど鞭一発で加速して持ちこたえていたのかを判別できないと思います。

ルメール騎手のレース後の表情や感想を見ても一杯一杯で、余裕がある雰囲気ではありませんでしたから、そこまで一伸びして余裕があったのかは微妙な所だと思います。

JRAのトラッキングシステムでは、イクイノックスとスルーセブンシーズの位置関係は直線の入り口時点でも既にイクイノックスが前にいて、その上でイクイノックスは大外からスムーズに進出していく一方で、スルーセブンシーズは進路で不利を受けていて止まった時間が数秒あって、位置も悪く仕掛けも遅れるという短い直線では絶望的な差をつけられても進路を見つけた後あそこまで追い詰めているので、イクイノックスが余裕あったとしても抜け出してソラを使ったという可能性含め、勢い的にはスルーセブンシーズが万全なら間違いなくもっと危なかったと思います。

直線入り口の5番イクイノックスと6番スルーセブンシーズの位置
直線序盤の5番イクイノックスと6番スルーセブンシーズの位置:加速始まっても位置関係はほぼ変わっていない
直線半ばでスピード乗って満を持して先頭に出ようとする5番イクイノックスと詰まって止まって5秒間不利を受けた6番スルーセブンシーズの位置:
画面では1~1.5馬身くらいしか離れてないように見えるがトラッキングシステム上を見れば分かる通り2~3馬身以上遅れている
進路を見つけ抜け出して迫る6番スルーセブンシーズと先頭5番イクイノックス:画面上では既にクビ差くらいに詰め寄ったように見えるが、角度の問題で実際は1~2馬身は差がある
ゴール直前の5番6番、2秒前と画面上で差は縮まってないように見えるが、実際は縮まった結果半馬身~1馬身差くらいまできている
ゴール直前:1秒前と差が縮まってないように見えるが実際は少し縮まりクビ差まで詰め寄った
一方、最後に5番が持ちこたえ、6番の脚色が衰えたのも事実と思われる。

映像で見ていると勝てそうだったのに最後は脚が止まって、不利がなければ分からなかったかも程度のレースに感じますが、おそらく乗ってる側(池添騎手)や現地の分かりやすい位置で直線をスルーセブンシーズ単勝を信じて見てた人からしたら、途中で勝つのが無理と分かる不利が起こったが結果的に僅差まで詰め寄れてしまったレースと感じたのではという気がします。


現地観戦動画を検索したら、指定席で観戦し上から直線を見た映像を撮ってる人がいました。

ルメールがイクイノックスに鞭を入れた場面。映像では5番イクイノックスは6番スルーセブンシーズに並びかけられているかのように見えるが、実際にはこの時点でまだ1馬身以上差があった

その動画と比較すると、この上記のJRA公式映像のこの時点、鞭を入れた場面ではイクイノックスとスルーセブンシーズは既にクビ差か角度考えても半馬身くらいの僅差に見えますが、実際には1馬身以上は差があるように見えました。

そこから残り僅かな距離でクビ差まで追い詰めているので、実際は鞭入れてイクイノックスが突き放したのでなくイクイノックスに鞭が入ってからもスルーセブンシーズが追い詰めてのクビ差だったと思われます。


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