見出し画像

『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』を読んだ

街角でお姉さんが配ってて、F1チームを持っていて、エアレースをやっいて、音楽フェスティバルにステージを出している。そんなよくわからないレッドブルのマーケティングと経営の実態を垣間見たいと思っていたので、大変今さらながら『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』を手にとってみた。

マーケティング本のような印象をもっていたし、実際に開いてみるとキャッチーな目次が並んでいる。しかし、読んでみるとレッドブルと創業者ディートリッヒ・マテシッツの歴史が淡々と並べられているだけだった。決してスポーツ・マーケティングの指南書ではない。

それでも学ぶべきところがないわけでないし、単純にレッドブルの歴史はおもしろかった。リポビタンDに着想を得たとか、売上の三分の一をマーケティングに使うといったぼんやり知っているような話から、タイのパートナーの存在、工場や倉庫はもたない、創業者は慈善家としての一面がある、全部が全部成功しているわけではない、などなど。

“レッドブルのための市場は存在しない。我々がこれから創造するのだ”

「なぜ売れているのか」という問の答えになりそうなことは、一橋大学教授・楠木建さんが解説に書いている。実はやっていることがとても堅実なのだ。

ピーター・ドラッカーがいうように「顧客の創造こそが企業の究極の目的」である。動機からゴールの設定まで、マテシッツは経営の王道を行く人である。奇策を打ったわけでも、発送が突飛だったからでもない。経営のオーソドクシーに則っていたからこその成功だった。

エナジードリンクという商品を再定義して、飲料ではなく体験を売る。エナジードリンクは斬新なアイデアでもなかれば、ビジネスモデルが斬新なわけではなかった。

ゼロから一をつくるのではなく、一を百にも千にもしていくところにビジネスの本領がある。

会社を完全なコントロール化に置き、内部開発にこだわる。ペイするかどうかわからない長期的な投資を行うことができる。

マテシッツによるレッドブルの経営は「独立自尊」を原理原則としている。傾斜設立の経緯があって、ビジネスパートナーとなったタイの事業化が出資しているが、資本に占める割合は限定的だ。マテシッツは当初から独立自尊の経営ができる状態を重視している。
四半期ごとの利益や成長を求める投資家の圧力にさらされてしまえば、レッドブルがやったような、一見して迂遠な経路をとる内部開発志向のマーケティングはできなかっただろう。マテシッツは、「その量を計ることも金銭で買うこともできない抽象的な要素こそが、企業の成功の基礎となる」と考える。

このあたりがレッドブルが差別化できている部分であり、日本企業が見習うべき部分なんでしょうね。

***

っていうかアレよ、日本でエナジードリンクってハードワークの象徴みたいになってしまっているよね。スタートアップのパートナー、みたいな。レッドブルが思っているところと違うんでしょうね、これ。

また一歩、天国に近づくのです...💃