受験勉強に価値はないのか

「今を書き残す」第三弾です。

今日は「受験勉強」に関して書きたいと思います。


僕は6年前に受験し東京大学に合格し大学院まで6年間大学にいました。もしかすると昔から言われたいたのかもしれませんが、最近学歴なんかいらないとよく言われるので、学歴を生む「受験勉強」の価値は本当にないのかと考えていました。

もちろん自分が受験勉強をしたからというのもありますが、この6年間バイトでずっと教える仕事についてきたのもあり、自分の中で勉強について考えることが多かったから考え続けてきたように思います。(「教える」ということに関してはまた別に書きたいと思います)

そこで大学を出るこのタイミングでこれまで考えた自分なりの結論を書き記したいと思います。そして、このnoteを読んだ後に少しでも勉強って面白そうと思ってもらえるようにまとめたいと思います。


結論から言ってしまうと「受験勉強も横展開しなければ価値はない」と個人的には思っています。

ただ、横展開しやすい要素というのは多く含まれているのが勉強だと思います。

どの要素が横展開可能であるのかについて、二点紹介したいと思います。


①思考の基礎として利用しやすい知識

②受験勉強は最もやりやすいPDCAサイクル


①思考の基礎として利用しやすい知識

勉強するものの中にいろいろ使える考え方は紛れています。

僕は受験する時から数学は好きだったので、特に数学でそれを見出しています。何個か紹介してみたいと思います。

(1)数学的帰納法

簡単に紹介するとⅰ)n=1の時の証明、ⅱ)n=kの時の成立を仮定してn=k+1の時の成立を証明することにより、証明するという証明方法です。

最初に学んだ時から思っていたのですが、「数学的」帰納法の数学的って何だろうと思っていました。そして、この考え方は帰納法の中で「数学的」なだけであることに気づきました。

ロジカルシンキングの中で「帰納法」といわれることがあると思います。要はあれと同じです。いくつかの要素の特性を一般化する考え方ということです。数学ではそれを厳密化して用いているという感じですね。

論理的に考えることの基礎を数学でやっているわけですね。この時学んだことを活かせば理解できる考え方ということになります。

数学的帰納法学びたくなりませんか?

(2)ベクトル

二つ目はベクトルです。僕は昔ベクトルが苦手だったことがあります。計算方法が普通の四則演算と異なっており、どうしてベクトルが必要なのか最初はわかりませんでした。

しかし、単純なことに気づき理解しやすくなりました。

それは僕たちの思考は「直行軸」に支配されているということです。

つまり、僕が考えるベクトルを学ぶ価値は二次元であれば二本の違う方向を向くベクトルで表すことができ(これを一次独立といいますがそんな言葉は気にせずいきましょう)、「軸は自由に設定していい」ということがわかることです。

最終的に教えた経験も含めて思ったのは、「n次元上にあるものを表す際にn個の軸を自由に取ればいい」ということです。

分析する時の要素分解の際の基準は自分が適したものを使えばいい、ある基準にとらわれる必要はないことを教えてくれるのです。

自分たちの思考の枠組みがいかに暗黙の前提に支配されているか理解しやすい例でもあります。

(3)微分

これもただの計算方法だと思うと面白くない分野ですね。

理解しておくべきことは微分のもととなる平均変化率です。

平均変化率とは文字通りなのですが、ある区間での変化を表しているもので、その区間を0に極限まで近づけたのが微分です。

これから学べることは「変化率は区間をどう区切るかによって変化する」ということです。当たり前のような気がしますが、意識しなければいけないことですね。どの期間で見るかはよく言われることですが、それを理解することができるのではないかと思います。


ここまで数学の三つの分野に関して紹介しました。他の教科だと物理や現代文なんかは特に学びやすいと思います。(単純に僕が好きなのと教えていて気付いただけなのですが笑)

物理ですと、力学は

①運動方程式

②運動エネルギー保存

③力のモーメント

④運動量保存

⑤相対運動

⑥反発係数

⑦円運動

⑧単振動

の8個を意識することで解けたのですが、これは世界の運動をとーーってもシンプルに考えた時にこれらで理解できるということだと思います。

また現代文は東大の過去問を読んでいたら、サピエンス全史の人間の虚構を作り出す能力であったり、今話題のサイエンスとアートの文脈で解釈できるのではないかと思える文章が取り上げられていました。

一つ目から長くなりましたが、このように横展開できる知識が多く扱われているため、思考の基本を学べるのが勉強する価値です。


②受験勉強は最もやりやすいPDCAサイクル

よく言われるPDCAサイクルを回す練習に受験勉強は最適だと思うというのが、二つ目の価値です。

受験勉強におけるPDCAは

P:学習計画

D:勉強

C:結果を見る

A:復習

というサイクルです。

これをゴール(取りたい成績や合格した大学)と素材(教科書や問題集)が与えられた中で、どれだけ質・量を意識して行えるかが受験勉強だと思います。

このサイクルを回す中で、自分の思考の癖を知ることができるとより他のことにも活かせると思います。

自分はどんなミスをしやすいのかのか、どうすればミスを減らせるのかを考えることが学びをより横展開できるキーとなるのだと思います。



長くなりましたが、受験をし大学に入って教えることを続けてきて思っている「勉強することの価値」です。

当然今の時代他に学ぶべきこともあると思います。

しかし、今の勉強も横展開し役立てることはできると思うし、それで楽しさを感じることができれば、これから「学び続けること」がより必要になる中で「学ぶこと」を楽しむきっかけになると思います。

今言われている学歴に関する議論の際に、勉強の価値を考えることがあればいいなと思います。

もしこのnoteを読むことで勉強することの意味を見出すことができたり、楽しむきっかけになってくれればうれしいです!

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