見出し画像

家ビールを最高においしく飲む方法

これを実践すると、レストランで生ビールを頼まなくなる。
なぜなら家ビールのほうが旨いから。
そんなはずはないと思うだろうか?
ぜひ実践して、虚心坦懐に味わってみてほしい。
毎日、家で最高に旨いビールを飲もうではないか!

缶か、瓶か

どちらが旨いかと問われれば、瓶ビールのほうが旨い。
缶ビールの微かな金属臭が瓶ビールにはないからだ。
しかし、季節限定や期間限定のビールを楽しみたいなら缶でしか売られていない。
瓶は重くて持ち運びが大変だし、缶でも正しく手順を踏めばおいしく飲むことができる。
完璧さを求める人だけ瓶を選べばいい。
ちなみに瓶ならば、缶で売られていないキリンのハートランドがお勧め。
1986年発売の歴史ある麦芽100%ビールだが、存在を知らない人も多く、瓶がオシャレなのでホームパーティで出すと盛り上がる。

何はともあれ一晩静置

これが最も重要。
買って帰ってすぐには飲まない。
仕事帰りにコンビニでビール買って、その夜に飲むとか一番ダメ。
今日買ったビールは明日のビールだ。
冷蔵庫の振動が少ない場所に置いてゆっくりと冷やすこと。
ドアポケットは揺れるからダメ。
なぜ一晩静置するのか?
それは炭酸を落ち着かせ、ビールの中に溶け込ませるため。
ビールに溶け込んだ炭酸は、グラスに注いだ時に花開く。
静置されていないビールは炭酸の抜けが早すぎて上手に注げないし、何よりも味が荒れている。
冷やすだけでなく、味を落ち着かせるために、一晩という時間が必要なのだ。

必ずグラスに注いで飲む

缶から直接飲む人もいるが、旨く飲みたいならNG。
金属の口当たりは良くないし、何よりもプルタブから金属臭がする。
ビールはゴクリと、一口である程度の量を飲むからのど越しが良くて旨い。
小さな出口から口の中にショボショボと流し込むような飲み方では旨さを楽しめないのだ。
そして何よりも、ビールはグラスに注いだ状態で旨くなることを想定して作られている。
缶からの直飲みは作り手からすると不本意で、グラスに注いで炭酸ガスが程よく抜けた状態がベストな味わいなのだ。

どんなグラスを選ぶべきか

日本料理の高級店などで出てくる一口グラスや、居酒屋で瓶ビールを頼んだら出てくるメーカーのロゴが入ったグラスは、残念ながらNG。
グラスはある程度の大きさがないと上手に注げないからだ。
僕は居酒屋で瓶ビールを頼む時「申し訳ないけれど、少し大きめのグラスに代えてもらうことはできる?」と尋ねる。
少なくとも小さなグラスよりは旨く飲めるからだ。

グラスの素材も色々ある。
ガラス、陶器、磁器、漆器、金属など全てを試したが、最後はガラスに戻った。
それぞれ長短あるが、中が見えない素材だと泡の状態を確認できない。
これは致命的だ。

ではどんなガラスが良いか。
内側にサンドブラストで小さな傷をつけて泡を出しやすくするものも長く使った。
シャンパングラスと同じ考え方だ。
(シャンパングラスの底には一筋の泡を上げるための小さな傷がある)
しかしグラスの清潔さを考えると、少しだけ汚れが落ちにくいと感じた。
また、上手に注げた時の、ぴっちりと泡が蓋をし、ビール本体からは一粒の泡も出ていない理想的な状態は、透明なグラスでないと確認できない。
そこで僕が行き着いたのが、ボダムのダブルウォールグラスだ。
サイズは450mlが理想。

ショートサイズの缶ビール一つを泡立てて注ぐとちょうどいい。
底まで手を入れて洗えるので、取っ手がついた専用スポンジは不要。
何よりビールの程よい冷たさが保たれ、結露もないためゆっくり飲める。
唯一の欠点は壊れやすさ、取り扱いには注意が必要だ。

洗い方も大切


洗う時は丁寧に、しっかり泡立てたスポンジで洗うこと。
専用スポンジを用意しろと言う人もいるが、底まで手が入るグラスを使い、スポンジに油分が付着していなければ問題ない。
レストランならともかく、家で専用スポンジは現実的でない。
僕が使っているのはパックスナチュロンのスポンジ
泡立ちが良く、骨格構造になっているので食器との共用でも油脂がスポンジに残りにくい。
長く使ってもヘタりにくく、研磨剤不使用でグラスに傷がつかないためオススメだ。
このスポンジに行き着くまで、様々な製品を試したが、これ以上の製品には出会っていない。
困るのは広島市内に売っている店がないこと。
リンクは10個入りだが、調べたらこれが一番安い。
身内や友人にプレゼントすれば、たった170円なのに喜ばれるだろう。

洗剤は何でもいい。
僕は天然由来のヤシノミ洗剤を使っているが、洗浄力だけなら合成洗剤のほうが上だろう。
ただし、お湯で洗うことが重要。
わずかな油脂はお湯で流される。
僕は普段、給湯器の温度を45度に設定している。
洗った後は伏せて放置。
布巾で拭かず、自然乾燥させる。
布巾の糸クズや油脂がグラスに付着するのを防ぐためだ。
お湯で洗って、布巾で拭かない、特にこの2つは大切だ。


グラスを冷凍庫で凍らすのは絶対にNG


そもそもダブルウォールグラスでそんなことをすると割れてしまう。
肉厚のビールジョッキなら可能だが、注いだ時にビールの水分が一部凍ってしまう。
凍ったビールを飲めばわかるが、水っぽいし炭酸ガスの抜けが悪いし、少しも旨くない。
では冷蔵庫ならどうか?
僕は必要ないと考える。
ダブルウォールグラスを使うならなおさら必要ない。
どうしても冷やしたければ、グラスに氷水を入れて冷やすと良いだろう。
チェコのピルスナーウルケルはそのようにして提供するらしいが、グラスの内側に水分が付着した状態で、缶ビールを上手く注ぐのは難しい。
(水っぽくなると思うかもしれないが、味覚として感じる有意差はない)
ビールサーバーで勢い良く注げば、グラスにビールが触れた時のストレスがなく、上手に注げるようだが、缶ビールの場合、乾いたグラスにビールが触れる、そのわずかなストレスが美しい泡作りに必要なのだ。

さあ、どう注ぐのか

実はここまでの手順が正しければ、どう注いでも旨い。
もちろん、敢えて不味くなる注ぎ方をすればNGだが、ここまでやってそんな注ぎ方をする人はいないだろう。
例えば定番の三度注ぎをやれば必ず旨くなる。

では、三度注ぎが正解なのか。
炭酸がしっかり抜けるので、麦汁の甘味が立ち上がってくる。
そのため、麦芽100%ビール(ヱビス、一番搾り、ハートランド、モルツ、プレミアムモルツなど)と相性がいい。
しかし、スーパードライを三度注ぎするのはナンセンスだ。
強い炭酸による爽快さが売りだから、炭酸を抜かないように注いだほうが個性が活きる。
オリオンも三度注ぎは向かない。
この辺りは試行錯誤するといい。
毎日ビールを飲むならば、年間300回以上のチャンスがある。
どうやったらもっと旨くなるだろう?と考えながら1年間注げば、誰だって上手になる。

ここでは日本のピルスナーについて書いたが、トラピストビールやバーレーワインも三度注ぎは必要はない。
炭酸そのものが弱いので、抜けすぎないようにゆっくり注ぐべきだし、そもそも冷やし過ぎないほうがいい。
それぞれのビールの個性を伸ばすような注ぎ方と冷やす温度を心がけることだ。
しかし、注ぐ前のプロセスはどんなビールも共通。
家ビールの旨さは、注ぐ前に決定していると考えるべし。

最後にオマケとして、僕が居酒屋で生ビールを頼まない理由と、屋外でも旨いビールを飲むための技を紹介する。

続きをみるには

残り 1,079字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

投げ銭(サポート)は超嬉しいですが、いいね!やフォローも大変喜びます。賛否は関係なく、SNSでシェアしてくださるともっと喜びます!!! ご購入後のお礼メッセージは数が多くて難しくなりましたが、またいつもの○○さんが読んでくださったんだと心の中で大いに感謝しています!!