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シーズ起点で新規事業を組み立てる方法

技術というシーズでイノベーションを起こす

技術があるんだけど、これ何に使ったら良いのだろう。と悩むことないでしょうか。いわゆるシーズや既存アセットを活用して新規事業を始めたい!というパターンです。大企業ではありがちだと思います。

ただ、シリコンバレー的な新規事業プロセスの本や、グーグルで調べても、出てくるのは顧客のニーズを起点としたアイデアの発想と展開ばかり。

■シーズ起点プロセスのあるある
とりあえず網羅的に調査し、市場規模を調べて、大きそうな市場に狙いを定めて、シーズとアセットを無理やりこぎつける。ただ、その市場はただただ漠然と大きな市場で、既にレッドオーシャンで、SWOT分析とかしてみるも、具体化されずに終わってしまう。

■R&D部門でのあるある
テーマが会社から降りてきて研究開発を始める。技術的な課題は多くあるので、技術的探究心に邁進するも、具体的なアプリケーションが見つからないまま終了してしまう。

では、どうすればシーズ起点で確実な新規事業を組み立てて、イノベーションを起こせるのでしょうか。私自身、研究技術を社会に実装する仕事をスタートさせたばかりで手探りの状態ですが、考えていることを共有させていただきます。

私はデザイン思考の考え方を勉強し、顧客のニーズ起点での発想法や事業構築プロセスを実践してきたので、発想は基本的に人間中心です。その人間中心の考え方を如何にしてシーズ起点に充てるか、これが今回のテーマです。

本noteでは、プロセスの全体像と概念を紹介します。

シーズ起点でも目指す流れはニーズ起点と同じ

まず、シーズ起点だからといって、いきなり大きな市場を作れたり、大きな収入を生み出せるかというと、そんなことはないと思います。起業の科学リーンスタートアップなど、いわゆるスタートアップの文脈で語られるように、まずは小さくても一部のユーザーが熱狂するプロダクトやサービスを作って新たな市場を開拓し、その熱狂の伝搬からスケールして莫大な成長へ繋げるという流れが、シーズ起点においても必要だと考えています。

つまり、シーズ起点の場合は、自分たちが持っているシーズ(技術、アセット)で提供できるソリューションが顧客の課題を解決する最適/唯一無二な方法かどうか、が非常に重要であり、これを見つけるのが大きな課題です。

シーズ起点の事業開発プロセスの全体像

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シーズ起点の事業開発プロセスを上図のように定義しました。
①Technology Breakdown → ②Problem Exploring → ③Problem Solution Fit → ④Product Market Fit
の4フェーズです。①、②はシーズ起点特有のプロセスであり、③はニーズ起点でもありますが、検証方法が変わってきます。③まで行けば、次の④以降は一般的なニーズ起点プロセスと同様です。ここまで行けば、晴れてローンチです。

①Technology Breakdown

 まずは、技術の深掘り、抽象化です。特にシーズを持っている場合は、既にその技術がある程度プロダクトの状態になっていたり、アプリケーションを特定して研究されているケースが多く、そのままですと、進むべき方向が狭まってしまっています。

そのため、その技術の何がすごいのか、その技術の本質的な価値はどこにあるか、を一度ブレークダウンして、深掘り、抽象化します。

②Problem Exploring

技術の本質的な価値を定義したら、次はその技術によってどんなことができるようになるかをとにかく出していきます。これは、早稲田大学の黒須先生が提唱されているできる展開法が有効な手段かと思います。

○○ができるなら●●ができる。という形で、とにかく「できる」を展開していきます。これをやる際は、様々な用途を出したいので、ワークショップの形式でできる限り多様なメンバーで実施すると良いでしょう。

また、個人的に重要だと思うのは、このできる展開をした際に、それができるとどういった顧客のどのような課題を解決できるのか、提供価値は何か、までを明確化しておくことです。明確化するためには、面白いね!から一段用途の解像度をあげる必要が出てくるので、発散した用途アイデアも、複数に絞り込まれていくと思います。

③Problem Solution Fit

このフェーズは、最終ゴールは起業の科学などでも定義されているように顧客の課題とそのソリューションをフィットさせることです。ただし、シーズ起点の場合、
・ソリューションが限定されている
・顧客課題はまだ複数のアイデアがある
状況のため、非常に厄介で、難しいです。

進め方としては複数ある用途アイデアのUXプロトタイプをできる限り早く小さく作ること、そしてそれを多くの人に見せて、そのソリューションに熱狂する顧客(エバンジェリストカスタマー)を見つけることです。

ただ、エバンジェリストカスタマーから課題について詳しく聞いていくと、実はこの技術を使わなくても解決できちゃうよね。みたいになることもあるので、また難しいところです。

④Product Market Fit

ここからは一般的なリーンスタートアップの位置付けと同じですので、ここで説明する限りではありません。私も、実践としては未経験の地で、早くこのフェーズへ進みたいと常日頃思っています。


全体像としては、以上です。私自身、③Problem Solution Fitで非常に苦労しています。(そういった苦労話も今後、公開していけたらと思っています。)
ので、このプロセスが、正解かどうかはまだわからず、私が実践で証明していきます。

引き続き、各フェーズなどの細かいところは以下マガジンにて展開していきます。
https://note.com/xicunyou/m/mc9aa3d44bfb8

■関連記事
技術シーズを実用化する2つの方法①
https://note.com/xicunyou/n/nd51d78501371

技術シーズを実用化する2つの方法②
https://note.com/xicunyou/n/n8f2d9daf918e



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