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[PSPP]マクネマー検定とコクランのQ検定

マクネマー検定

マクネマー検定(McNemar Test)は、対応のある2値変数(1/0データの変数)について、すべての変数間で比率に差があるかどうかを検定します。
χ2検定とよく似ているが、両者の検定結果は無関連です。一方で有意だったからといって、もう一方でも有意だとは限りません。χ2検定は「質問A にYESと答えると、質問B にもYESと回答しやすい」などの、2つの変数の関連性の検定であるのに対して、マクネマー検定は、「質問AにYESと回答し質問B にNOと回答したものと、質問AにNOと回答し質問BにYESと回答したもの」という変化を検定します。
ある授業の前後でテストを行い、その前後でのテストの合否を比較してみます。データは、1が合格、0が不合格で入力されています。

マクネマー検定は、メニューから実行することができます。
・[分析]→[ノンパラメトリック分析]→[2個の対応サンプルの検定]を選択。

・[対応のある変数]に「事前」と「事後」を指定。
・[McNemar]にチェック。
・[OK]をクリック。

※データによっては、SPSSの結果と有意確率が一致しない場合があるようです。その場合は、後述の二項検定を用いるか、[符号]にチェックをつけて、符号検定で代用するとよいかもしれません。マクマネー検定は、元々符号検定を正規近似した簡略的な手法として考案されたものであり、2値データを用いた符合検定ということができますから、結果は一致します。

出力の見方

まず、はじめにクロス集計表が表示されています。最初に示したデータと対照すると、一致していることが分かります。
検定の結果は、両側検定で0.289ですから有意ではなく、差はないと言えます。
このマクネマー検定が問題にしているのは、「不合格→合格」と「合格→不合格」で、この2つに差がないということになります。
ですから、この結果は「不合格→合格」の6名と「合格→不合格」の2名で検定比率を0.50として行った二項検定を行った結果と一致します。
二項検定に用いる左のデータは、「合格→不合格」を1、「不合格→合格」を0で入力しています。

二項検定は、メニューから行うことができます。
・[分析]→[ノンパラメトリック分析]→[2項]を選択。
・[検定変数リスト]に「変化」を指定。
・[検定比率]に「0.50」と入力。
・[OK]をクリック。

結果は、次の通りで、有意水準(有意確率)は、マクネマー検定の結果と一致しています。

コクランのQ検定

コクランのQ検定(Cochran’S Q Test)は、対応のある3つ以上の2値変数(1/0データの変数)について、すべての変数間で比率に差があるかどうかを検定します。検定手法としては、マクネマー検定を拡張したものなので、2変数に対しても用いることができますが、その場合は、当然ですがマクネマー検定に一致します。ただしPSPPでは、コクランのQ検定は2変数に対しては使えない設定になっているので、マクネマー検定の代わりに用いることはできません。
ここでは、ある教室で10名の生徒に教室の各位置に座ってもらって、板書に書いたある大きさの文字が読めるか読めないかを調査したという架空のデータを用いて説明します。
データは、「読めない」が0、「読める」が1で入力されています。変数は、教室での座席の位置「最前列」「中央」「最後列」の3つです。

コクランのQ検定は、メニューから実行することができます。
・[分析]→[ノンパラメトリック分析]→[K個の対応サンプルの検定]を選択。

・[検定変数]に「最前列」「中央」「最後列」を指定。
・[CochranのQ]にチェック。
・[OK]をクリック。

出力の見方

まず、「度数分布表」が表示されています。
この場合、「成功(0)」「失敗(1)」となっていてややこしいですが、「成功(0)」が「0」の値ですから「読めない」、「失敗(1)」が「1」の値ですから「読める」に対応します。
「検定結果」には、人数つまりケース数(N)、コクランのQの検定統計量であるカイ2乗(χ2)値、自由度(df)、有意水準(有意確率:p)が示されています。
この場合は、N=10、χ2=6.50、df=2、p<0.05で有意ですから、座席の位置によって、見え方には差があるという、極めて当たり前の結果が指示されました。

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