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ハロウ・イン・アキバ

ぎい。サルーンのドアを開けると、客の何人かが俺を睨んだ。凶悪な面構えがずらり。
「らっしゃい」
メイド服の店主の嗄れ声。珈琲と砂糖の香りが充満する中、俺は悠然と歩を進め、カウンター席に座る。
「なんにするね」
「日替わりパスタと、キャラメルカプチーノで」

店主はごつく毛深い指で注文を書き取り、無言で了解する。
奥の方では、棒付きキャンディをしゃぶってカードゲームをしてる連中。ミント風味の清涼菓子まで見える。

いい感じの店だ。俺に合ってる。ランチの食べ歩きリストに加えとくか。ま、味はどうかな。セルフサービスの冷水をグラスに注ぎながら、俺は店の雰囲気を味わう。

ぎい。パスタが来る前に、新しい客だ。入口を見る。

……そこにいたのは、怪物たちだった。
狼男。フランケンシュタインの怪物。ヴァンパイア。魔女。コスプレだが、雰囲気はマジだ。手に手に水鉄砲やクラッカーを構え、叫んだ。

「「「「トリック・オア・トリート!」」」」

【To Be Continued】

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