これは、ニンジャスレイヤーTRPGの古矢沢＝サン作オリジナルシナリオ「リムジン護衛任務（仮題）」を元にしたリプレイ小説です（公開許可は頂きました）。いつものようにつのが一人でやりました。長くなるので分割します。かなり自由に改変していますが、一応ネタバレにご注意下さい。

これまでのあらすじ

ソウカイ・シンジケートの末端ニュービー・ニンジャであるシャープウォーカー（SW）は、先輩ニンジャ・ブラックマンバ（BM）のもとで裏方の仕事を学び、下積み研修を行ってきた。さらにトコロザワ・ピラーのトレーニングフロアで日々カラテやワザマエを磨き、UNIXタイピングを訓練した。

「レイト・ブルーマー」からしばらく経ちましたので、アジトを持たないSW＝サンもそこそこ修行が出来たとみなし、少し成長させました。代わりに万札は失っています。

◆シャープウォーカー（種別：ニンジャ）        ＰＬ：つの
カラテ　　　　　　　４　　　　体力　　　　　　　　４
ニューロン　　　　　３→４　　 精神力　　　　　　　３→４
ワザマエ　　　　　　５　　　　脚力　　　　　　　　５（サイバネ＆スキル）
ジツ　　　　　　　　１　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　２　　　　名声　　　　　　　　０

◇装備や特記事項
◆ヘンゲヨーカイ・ジツ　精神力１を消費して【カラテ】＋３、【脚力】＋２（１ターン）
◆ヒキャク：【脚力】+１、回避ダイス+１個（ローン返済）
◆常人の三倍の脚力：【脚力】＋１、連続側転難易度EASY
◆トロ粉末：【精神力】を２回復（使い捨て）

ソウカイヤのニュービーニンジャ。脚が速い。モータル名はカケル・ヒタハシ。
常人の三倍の脚力を持ち、脚部サイバネ「ヒキャク」で脚力を増強している。
ヘンゲヨーカイ・ジツで脚をクロヤギめいたものに変え、さらに脚力がアップする。

能力値合計：１４→１５　サイバネ数１

グッドルッキング時空ではこんな姿です。Picrewの「HERO男子Maker」で作りました。あなたはお好きな姿でイメジして下さい。

彼は少し注意深くなり、常人の三倍の脚力を得た。脚部のサイバネ「ヒキャク」とこのスキルにより、彼は実際ニンジャとしても敏捷であり、奥の手の「ヘンゲヨーカイ・ジツ」で僅かの間だがさらに脚力をアップさせることも可能だ。無論、素のカラテやワザマエを鍛えた方が身にはつくが。

深夜。BMの指示を受け、彼はトコロザワ・ピラーへと向かっていた。ニュービー向けの任務があるというのだ。そこでチームが組まれ、相性が良ければそのままチームとして活動することになる。任務は大したものでもないらしいが、失敗すればケジメだ。気を引き締めて取り組まねばなるまい。

トコロザワ・ピラー、エレベーター前

SWほか2名のニュービーニンジャたちは、エレベーター前で合流した。トレーニングルームまでは通い慣れた道、知り合いも増えた。だが今回はミッションがある。談笑している余裕などない。「ドーモ、SW＝サン。パープルスプラッシャー（PS）です」「ドーモ、SWです」小声でアイサツを返す。

知り合いの一人。大柄でカラテが強くジツも使うが、蛸に執着する変人だ。あまり組みたくない相手である。「……ドーモ、SW＝サン。……眠い」続いて小柄な女ニンジャがアイサツした。ムーンライトスロース（MS）だ。SWと同様にヘンゲヨーカイ・ジツを使うが、素のカラテはかなり低い。

「ドーモ、MS＝サン。居眠りするなよ」「眠いもんは眠いもん……」憑依ソウルの影響か、元からか、彼女は過眠症がある。ソウカイヤでは女ニンジャがなぜか非常に少なく、胸も豊満なので荒くれどもに狙われやすい。SWはなんとなく彼女を守ってやっている。ミッションで組みたくはないが。

「……ダイジョブかな。まあいい、エレベーターに乗ろう」SWは早くも不安になってきた。ひょっとして自分たちは、何か懲罰を受けるのではないか。「ダイジョブですよ。蛸の可能性は無限です。ニンジャとはすなわち蛸なのです。ですから……」「……なに？」「……ブッダ……」「ブッダも蛸です。」

◆蛸◆

◆パープルスプラッシャー（種別：ニンジャ）　　　ＰＬ：つの
カラテ　　　　　　　６　　　　体力　　　　　　　　６
ニューロン　　　　　２→３　　 精神力　　　　　　　２→３
ワザマエ　　　　　　３　　　　脚力　　　　　　　　３
ジツ　　　　　　　　２　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　０　　　　名声　　　　　　　　０

◇装備や特記事項
◆インク・スリケン（ジツ、カラテミサイル扱い）　ジツ値＋１つの遠隔武器を射出
◆戦闘用バイオサイバネ：バイオ筋肉　近接攻撃時ダメージ＋１（ローン返済）
◆ZBRアドレナリン注射器：次の手番まで【脚力】＋２、行動不能者の蘇生（使い捨て）

ソウカイヤのニュービーニンジャ。カラテは強く社会性もあるが変人。
蛸に強い執着を示し、背中に蛸の入れ墨を入れ、黒紫色のインク・スリケンを射出する。
腕には蛸由来のバイオ筋肉を仕込む。将来の夢は蛸になること。蛸のスシも好き。

能力値合計：１５→１６　サイバネ数１（バイオ）

◆怠◆

◆ムーンライトスロース（種別：ニンジャ）　　　　ＰＬ：つの
カラテ　　　　　　　２　　　　体力　　　　　　　　３（サイバネ）
ニューロン　　　　　３→４　　 精神力　　　　　　　３→５（成長+サイバネ）
ワザマエ　　　　　　６　　　　脚力　　　　　　　　３
ジツ　　　　　　　　３　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　０　　　　名声　　　　　　　　０

◇装備や特記事項
◆ヘンゲヨーカイ・ジツ　精神力１を消費して【カラテ】＋３、【脚力】＋２（３ターン）
◆クロームハート（サイバネ）：【体力】＋１、【精神力】＋１（ローン返済）
◆オーガニックスシ：【体力】を３回復（使い捨て）

ソウカイヤのニュービーニンジャ。豊満な胸の女性。過眠症であり常に眠たげ。
両腕を巨大なスロース（ナマケモノ）のものにヘンゲさせ戦うが、素のカラテは低い。
胴体を金属製のサイバネで強化している。ワザマエは意外と高い。

能力値合計：１７→１８　サイバネ数１

「サンシタ出力」で無から発生したサンシタニンジャたちに、いろいろ与えて多少強化しました。PSの顔画像はぎだ＝サンの「サンシタニンジャメーカー」で、MSはPicrewの「単色ちゃん」で作りました。ぎだ＝サンのには女ニンジャの素材がないのでこうしましたが、問題があれば爆破します。

トレーニングルーム

ポーン。「13階、トレーニングルームドスエ」電子マイコ音声が響き、エレベーターの扉が開いた。遅刻ではないが、既に誰かがいるアトモスフィア。タイムイズマネーだ。5分前や10分前に来ていたのだ。MSだけならばきっと遅刻し、ペナルティを受けていただろう。PSは……何もかもわからないが。

トレーニングルームの奥には大型モニタがあり、その隣にオフホワイトのニンジャ装束を身に纏った、ただならぬアトモスフィアのニンジャがいる。彼こそはソウカイ・シックスゲイツの「六人」の一人、ヘルカイト。殉職したガーゴイルに代わって最近昇格した斥候ニンジャだ。SWはびくりとした。

しばらく前、全くのニュービーだったSWは、行方不明になったヘルカイトの行方を調査するミッションを受け取り、ザイバツに捕獲されていることを突き止めたのだ。だが調べたUNIXが爆発して警報が鳴り、その場を逃げ出したため、直接ヘルカイトを救出することは出来なかった。失態である。

ヘルカイトもそれを知っているが、口には出さない。シックスゲイツならともかくニュービーに救出されたとあってはプライドに関わるため、SWが失敗したのはむしろ良かった。それはそれとして気には食わない。あの時救出しに来たガーゴイルの口調は非常にムカついたので、後で始末した。

武装ヘリと連携してのニンジャスレイヤーとの交戦中、連携が失敗してガーゴイルがニンジャスレイヤーに殺されるよう仕向けたのだ。ナビをしていたヘルカイトは、その作戦を引き継いでニンジャスレイヤーに重傷を負わせ、その映像を撮影することにも成功。そのままガーゴイルの地位を継承した。

「……ドーモ、ヘルカイトです」「アイエッ、ドーモ！シャープウォーカーです」急に目を合わせてアイサツされ、SWはビビってアイサツを返した。目上に先にアイサツされてしまった。失態だ。「ドーモ、ヘルカイト＝サン。パープルスプラッシャーです」「……ムーンライトスロースです」

他の二忍もアイサツを返す。ヘルカイトは鼻を鳴らし、無表情にモニタを指さした。「ではニュービー諸君、これよりゲイトキーパー＝サンよりミッションが伝えられる。心して拝聴しなさい」「「「ハイヨロコンデー！」」」

ダンゴウ

ジジジ……。大型モニタにはミラーめいた光沢のあるニンジャ装束を身に纏った、尋常ならざるアトモスフィアのニンジャが映し出された。ソウカイヤ最古参の一人にして「ソウカイ・シックスゲイツ」の創設者かつ名誉顧問のゲイトキーパーだ。SWには個人的に面識があり、恩がある。全員オジギ。

『ドーモ、若きソウカイニンジャの皆さん、ゲイトキーパーです。今回君たちを呼んだのは、翌朝執り行われる、ネコソギ・ファンド社重役会議の警護をしてもらうためだ……』ネコソギ・ファンドとはラオモト・カンがトップを務める金融系暗黒メガコーポであり、ソウカイヤの表の顔だ。

『というのも、重役会議へのニンジャによる襲撃計画が確認されたからだ。ネットセキュリティ部門のダイダロス＝サンによれば、襲撃者はアーバンホエールという傭兵ニンジャ。依頼者は不明だが……おそらくはザイバツだ。もし会議の妨害が成功すれば、社会的・経済的損失は甚大となろう』

『ゆえに私は、その会議に参加する重役全員に、ニンジャの護衛をつけることに決めた。リムジン1台に重役1名、ニンジャ3名、運転手1名。合計5名が乗る。ただし……』ゲイトキーパーは一拍置き、『君たちが護衛するのは、係長だ。彼を重役ということにして情報を流し、襲撃者を誘き寄せる』

モニタ画像が切り替わり、冴えない小柄なサラリマンの全身像が現れ、ぐるぐる回転した。『護衛対象：アシタダ・ヤタウジ』『年齢：39歳』『身長：169cm』『体重：51kg』『性別：男性』『役職：係長』…彼の簡易プロフィールが周囲に出現し、ニンジャたちの脳裏に記憶されていく。

そして再びゲイトキーパーの映像。『……彼が護衛対象だ。何をしでかしたというわけでもないが、囮というわけだ。彼にも報奨は与えよう。無論、君たちが彼を死なせた場合、それなりのペナルティは受けて貰う。遅刻も厳禁だ。指定された時間までに、彼をトコロザワ・ピラーへ到着させるのだ』

『実際の重役たちは、シックスゲイツ級ニンジャたちが同乗し、護衛している。ラオモト＝サンにはダークニンジャ＝サンと私がついており問題ない。ヘルカイト＝サンは作戦リーダーとして、上空から監視しつつ指示を与えること。リムジンが襲撃されたら翔んで駆けつけ、援護する。いいね』

「ハイ」『よろしい。では、襲撃してくるであろう傭兵ニンジャの特徴も伝えておこう』画像が切り替わり、今度は中折れ帽を被ったニンジャの全身像が現れ、ぐるぐると回転した。黒い革製ニンジャ装束に身を包み、腰にはピストル。まるで西部劇のアウトローだ。『アーバンホエール』と名が表示。

『フリーランスの傭兵ニンジャ』『ピストルカラテの使い手』との表示。「ピストルカラテ？」SWが訝しむと、ヘルカイトは無表情に答えた。「拳銃の発射反動を近接戦に応用したカラテだと。詳しくはないが、注意しろ」「ハイ」SWがオジギ。「まあ戦うのは俺だがな。お前たちは無理するな」

ヘルカイトは侮蔑的にそう言った。実際シックスゲイツ級ニンジャやら、ニュービーとは言えニンジャ複数名を要する相手でもなさそうなのだが、ゲイトキーパーは慎重だ。これを陽動として、ザイバツのニンジャたちが襲ってくる可能性もある。『さて、こんなところか。……おお、言い忘れていた』

ゲイトキーパーは両腕を台形に組んで前に屈み、顎の下に指の甲を当てた。『敵が車で接近して来た場合でも、その車を道路上で破壊しないように。リムジンが通る道は暗黒メガコーポの要人専用道路だ。渋滞は経済活動の妨げになる。こちら側のリムジンも停止させないように。タイムイズマネーだ』

『君たちの任務は、ネオサイタマの秩序と経済を守る崇高なものである。それを肝に銘じておきなさい。……私からは以上だ。明日の会議が何事もなく円滑に執り行われることを期待している』「「「ハイヨロコンデー！」」」ゲイトキーパーがそう言い終えると、モニターの映像はプツリと途切れた。

「そういうわけだ。機密保持のためピラーに宿泊せよ。鍵はそこだ。出発は明朝六時。以上」ヘルカイトはモニター横の箱を顎で示す。「……三人部屋かよ」「手出したら殺すわよ」「しませんよ。私は非蛸存在に欲情などしません」「ニンジャって蛸だって言ってなかった？」「そうでしたか？」

「……ブラックマンバ＝サン、助けて下さい……」SWは頭を抱えた。

【#2 へ続く】

#1 終了時

◆シャープウォーカー（種別：ニンジャ）        ＰＬ：つの
カラテ　　　　　　　４　　　　体力　　　　　　　　４
ニューロン　　　　　４　　　　精神力　　　　　　　４
ワザマエ　　　　　　５　　　　脚力　　　　　　　　５
ジツ　　　　　　　　１　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　２　　　　名声　　　　　　　　０

◇装備や特記事項
◆ヘンゲヨーカイ・ジツ、ヒキャク、常人の三倍の脚力
◆トロ粉末

◆パープルスプラッシャー（種別：ニンジャ）　　　ＰＬ：つの
カラテ　　　　　　　６　　　　体力　　　　　　　　６
ニューロン　　　　　３　　　　精神力　　　　　　　３
ワザマエ　　　　　　３　　　　脚力　　　　　　　　３
ジツ　　　　　　　　２　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　０　　　　名声　　　　　　　　０

◇装備や特記事項
◆インク・スリケン、戦闘用バイオサイバネ
◆ZBRアドレナリン注射器

◆ムーンライトスロース（種別：ニンジャ）　　　　ＰＬ：つの
カラテ　　　　　　　２　　　　体力　　　　　　　　３
ニューロン　　　　　４　　　　精神力　　　　　　　５
ワザマエ　　　　　　６　　　　脚力　　　　　　　　３
ジツ　　　　　　　　３　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　０　　　　名声　　　　　　　　０

◇装備や特記事項
◆ヘンゲヨーカイ・ジツ、クロームハート
◆オーガニックスシ