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忍殺TRPGリプレイ【ザ・ニンジャズ・オブ・ザ・ショーグン】16

 前回のあらすじ:ドラゴン・ドージョーの忘れ形見ユカノはザイバツ・シャドーギルドに拉致され、キョート城に幽閉されている。彼女を救出しザイバツを滅ぼすため、ニンジャスレイヤーはついにキョート城へ突入!だがロード・オブ・ザイバツのキョジツテンカンホーの前に……なすすべなし!

◆罪罰◆

「……だが、貴様は余の神聖なる琥珀ニンジャの間を騒がしたゆえ、罰を与える」ロードは玉座に備わった秘密のボタンを押した。突然、ニンジャスレイヤーのドゲザしていた床がくるりと90度回転した!ナムアミダブツ!ニンジャスレイヤーはドゲザ姿勢のまま、遥か下の暗闇へと落下していく!

「ムフォーフォーフォー……クルシュナイ。クルシュナイ」ロードは満悦した。ナムサン……これがキョジツテンカンホー・ジツだ。居並ぶザイバツニンジャたちは、ロードのみわざを見て感動し、涙を流し、バンザイを繰り返す。「さて、残るはブレーサーのみ。ダークニンジャ=サンはまだか?」

 ……物陰に潜んで一部始終を見ていたディテクティヴたちは、戦慄した。「どうなってやがる」アンブッシュする暇もなかった。「ロードのジツだ。行くな。我々では勝てない。パラゴンたちもいる」ディプロマットは震えながら告げた。「地下へ向かい、ニンジャスレイヤー=サンを救出せねば」

 ディテクティヴ、タカギ・ガンドーは歯ぎしりした。ドラゴン・ユカノは無事……とは言い難いが、生きてはいるだろう。そして、パラゴン。あの姿と声、口ぶりは……シキベ・タカコを銃で撃ったニンジャは、あいつだ!彼女の仇がそこにいる。だが、今は……!「行くぞ!」「わかってる!」


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 琥珀ニンジャの間、グランドマスターの座。今やそこに座るのは2人だけとなった。スローハンドとパーガトリーだ。パラゴンは宰相じみてロードの玉座の傍らに侍っている。ケイビインは先程死亡が確認され、ヴィジランスは予備電算機室を離れることを許可されていない。ならば。「ムーホンだ」

 パラゴンは陰鬱な声で告げた。「ニーズヘグ=サンがムーホンした。三神器のうちブレーサーを預かるダークニンジャ=サンと手を組んだのだ。奴に従う武闘派ニンジャや、胡乱なるケイトーニンジャも!」「一大事ですな」「さよう。お二方は直ちに手勢を率いて鎮圧なされよ。ロードの御為に」

「「喜んで承る」」2人に否応もない。しかし。「なにやら侵入者があったとも聞き及んでおりますが」「無論、ダークニンジャ=サンたちが引き込んだに違いない。所詮あれはソウカイヤから連れ込まれた犬であった。ロードの大恩を裏切った報いを与えねばならぬ。捕らえてカマユデにすべし!」

 2人のグランドマスターは立ち上がってロードに深々とオジギし、精鋭ニンジャを率いて反乱制圧に向かった。キョート城へは勅命を受けて続々とザイバツニンジャが駆けつけている。彼らをもってすれば、ムーホンも侵入者もほどなく片付けられよう。ロードにジツを多用させるわけにはいかぬ。

 パラゴン直属の手勢も潜ませており、琥珀ニンジャの間の守りは万全だ。ダークニンジャやニンジャスレイヤーが襲って来ようとも問題ない。「なにやらごたついておるのう」ドラゴン・ニンジャがあくびした。「かような軍勢では全く足りぬぞ」「私は完璧主義者なのだ!」パラゴンは苛立った。

「ロードの御治世に不純物は不要なり。マッポーカリプスの到来。地上を浄化の炎で焼き尽くし、理想の格差社会を、ニンジャ千年王国を打ち立てるには必要な……」「そなた、キョート城の建造目的を勘違いしておらぬか?」ドラゴン・ニンジャは訝しんだ。「マッポーカリプスとは、本来……」

 どくん。ドラゴン・ニンジャが頭を抑えた。「そうじゃ……思い出した!足りぬ!神器だけではない!あれを滅ぼすには……黄金の林檎が……!」「あなたがいかなる目的でこの城を築かれたかは、どうでもよい。今は我らのもの。我らの目的のために使わせていただく」パラゴンは冷酷に告げる。

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DPとABは集中してポータル発動、19D6[6632343346251311423]19D6[6545454552162416612]成功。DTはジツ発動判定で調査判定、難易度UH。12D6[661552126242]成功。

 ディプロマットとアンバサダーはポータル・ジツの応用で床に穴を穿ち、ニンジャスレイヤーを追ってキョート城の地下へ向かった。ディテクティヴのニンジャ感覚は実際鋭敏であり、ニンジャアトモスフィアを追跡できる。「ダストシュートで堀へ落ちた、ってわけでもなさそうだがよ……!」

 キョート城の地下には、謎めいた地下空間が広がっていた。そこにCPUの金属足めいて不気味なほど規則正しく立ち並ぶのは、銀色オベリスクめいた大型の構造物だ。表面には古代の漢字やルーンカタカナが無数に刻まれ、不吉なアトモスフィアを感じさせる。その奥に、隠し玄室めいた部屋がある。

 謎めいた黒い石材壁に囲まれ、古代のタタミが十六枚敷かれた空間の中央には、チャブ型の回転台座があり、その上に琥珀ニンジャ像が立っている。それが見つめる部屋の一角には、漆黒のオブツダンめいた物体がある。これらが何を意味するのかは見当もつかないが、ろくなものではあるまい。

 そして……琥珀ニンジャ像の前には一本の銀色オベリスクが聳え、ナムアミダブツ!ニンジャスレイヤーの腹部を串刺しにしているではないか!「アバッ……ニンジャ……殺す……べし……!」彼はなお生きている!だがオベリスクはあまりにも深く突き刺さり、いくらもがいても抜けるものではない!

 そればかりか、オベリスクに刻まれた漢字やルーンカタカナは、ニンジャスレイヤーから流れ落ちる血液を吸収し、脈動するように光り始めている。「なんだ!?なんだ、これは!?ニンジャスレイヤー=サン!?」ディテクティヴは呼びかけた。「ポータルで壊せるか?」「いや、危険な気がする」

 ディプロマットとアンバサダーは脂汗をかいた。これは、オヒガンに関する秘密の機構だ。この場でポータル・ジツを使えば、機構のどこかを破壊すれば、何か破滅的な事態が起きる。彼らはそう直感した!『ニンジャ……殺すべし……全ニンジャ殺すべし……殺すべし……AAARGHHHHHHHHH!

 ニンジャスレイヤーは叫んだ!彼の心臓部に存在する謎めいたアーティファクトが、キョート城の秘密機構と接続し、共鳴し、そして!ゴゴゴゴゴゴゴ……!琥珀ニンジャ像が台座ごとせり上がっていく!『010101010101』『0101010101』『0101010101010101』銀色オベリスク群が光り輝く!

???

 琥珀ニンジャ像の間のステージに、琥珀ニンジャ像がせり上がって来た。「ムフォーフォーフォー……神器を……」「お待ちあれ!まだもう一つが!」パラゴンがロードを押し留めようとするが、ロードは何かに導かれるように顔を覆う布を外し、その下のメンポを外した。それは浮かび上がった。

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 腰のヌンチャクもひとりでに外れ、メンポとともに琥珀ニンジャ像へ吸い寄せられていく。「ムフォーフォーフォー……」ロードはパラゴンに寄りかかった。「ドラゴン・ニンジャ=サン。パワーハイクを詠むがよい。この城にはブレーサーもすでにある」「……よかろう」彼女は何事かを呟いた。

 0101010101……琥珀ニンジャ像に銀色と緑色の01が纏い付き、その両腕にブレーサーが出現した。琥珀ニンジャの間には無数の01が飛び交う。オヒガンが近づいているのだ!「メンポ、ヌンチャク、ブレーサー。これで三種の神器が揃った。……黄金の林檎が足りぬのならば、それは探させよう」

 素顔のロードは何事かを呟き、パラゴンに差し出された白金のキツネ・オメーンを装着して、よろよろと玉座へ戻った。琥珀ニンジャ像は回転しながら沈んでいく!「おお……おお」パラゴンは感極まり、涙を流す。今こそ、ロード・オブ・ザイバツを頂点とするニンジャ千年王国が到来するのだ!

 パラゴンは集まったニンジャたちへ両手を翳し、鳴り響くような荒々しい大声で演説を開始した。「諸君は何であるか?ニンジャである!脆弱なモータルを支配するために選ばれた新人類である!……今、ギルドは約束されし神聖手段を手にした……ニューワールドオダー!時は来た!」ズズゥン!

 空気が震動した。否、大地が揺れたのだ。パラゴンは歓喜に震える!

「予言の通りだ!マッポーカリプスの時だ!キョート城は天高く飛翔し、地を這う愚者を睥睨する。ここは新たなるキンカク・テンプルだ!諸君はこのヴァルハラに集いし神の戦士!諸君は今、ノアの方舟の中にいる!そしてロードこそは、我らニンジャを統べるニンジャ、ヌンジャであらせられる!」

 パラゴンは熱弁を振るう!「江戸時代の支配者であるショーグン・オーヴァーロードの末裔にして、平安時代の支配者であるソガ・ニンジャのソウル憑依者!すなわちキョートと日本の正統なる支配者である!そして今!彼はまさに三種のニンジャ神器を継承され、即位されたのだ!現人神に!」

「「「ワオオーッ!」」」「地上の全てを浄化せよ!モータルを、暗黒メガコーポを、そして国家を!神の裁きを!イカヅチを!ヌンジャの鉄槌を!醜悪なる汚穢の都ガイオンに!邪悪なる貪婪の都ネオサイタマに!諸君は神の尖兵となって戦うのだ!ガンバルゾー!」パラゴンはバンザイした!

 ニンジャ達は一斉にバンザイし、唱和した!「ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!」

 ナムアミダブツ……おお、ナムアミダブツ!その時、平和なガイオン・シティ地表の住人たちは、突然の不気味な鳴動に驚き、家々の窓を開け放って顔を出した。「地震か!?」「震源は!?」「おい、見ろよ!」誰かが叫び声をあげ、指さした。夜空を舞う鳥たちの彼方に聳え立つキョート城を。

 それは揺れ動き、巨大なシルエットをゆっくりと……浮かび上がらせた。いびつな逆三角錐の巨大な土台もろともに。

【続く】

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