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【聖杯戦争候補作】海底聖杯アンチョビー

「ううっ、なんでこんなことに……」

夜。冬木市の人けのない海岸で、制服を着た金髪の少年が膝を抱えて黄昏れていた。目の前には、昏い海。彼にとっては、故郷のようなものだ。

「はー、せっかくいろんなゴタゴタに片がついて、よーやく普通の生活が戻ってきたとゆーのに…すぺぺぺぺぺっ、なーにが聖杯戦争じゃっ。オレは暴力はキライなんじゃい、戦争は米軍とかに任せとけいっ」

目の幅の涙を流しながら、少年は無責任に愚痴をこぼしまくる。整った顔立ち、と言えなくもないが、美形というほど美形でもなく、ごくフツーのアホそうなミドルティーンである。哀れ、彼は望まずして、この聖杯戦争の場に招かれてしまったのだ。元の世界、日常への生還が、彼にとっては第一の目的となろう。しかし、彼はただの少年ではない。常人ならざる能力を持ち、数奇な運命と数々の苦難を乗り越えてきた男なのだ。

彼は涙を拭うと、ズボンのポケットに手をつっこみ、握りこぶし大の丸い金属塊を取り出した。楕円形のフォルム。人工的なデザインで、中心にレンズのような部分がある。

「うむ、幸い手元に武器はあるっ。こいつとサーヴァントで参加者をブチのめして、聖杯をゲットして退散じゃっ」

『……王子よ、これはどういう状況だ? 詳しく話してくれ。地磁気による位置情報の把握もうまくいかん。またぞろどこかに拉致されて、強制労働でも課されているのか?』

不思議にも、金属塊は言葉を発した。なんらかの情報デバイスのようだ。

「じゃっかましいっ、またご主人様の股間に挟まれたいかっ。だいたいアンチョビー王国は皇帝自ら滅亡宣言したし、オレはもう王子じゃないぞっ。圭様とでも呼ぶがよい、『オリハリセン』

『ではよ、頼むから詳しく話してくれ。王子でなくとも、私は古代文明の守護者として、その末裔たるキミを守らねばならん。確か今、聖杯戦争と言ったな? 殺し合いに巻き込まれているというのか?』

「むー、めんどくせえが、まあ説明しとくか。こいつにも記憶植え付けとかしてほしかったなあ……」

少年……新巻圭(あらまき・けい)は、自分に植え付けられた聖杯戦争の知識を、覚えている限りで手元の金属塊に伝えていく。これこそは、古代アトランティス文明より伝わる神秘の遺産、思考金属「オリハルコン」。今は圭の命令により、武器化する時はハリセンの姿で固定されてしまい、「オリハリセン」と呼ばれてしまっている。

とはいえ、理性も知性も知識でも、圭には及びもつかぬ存在だ。単体では無力な圭をサポートする、強力な味方なのだ。少なくとも、主人よりキャラが濃ゆすぎるあの変態家来、スモークよりは。

圭からの説明を聞き終え、オリハルコンは深刻な声で状況を整理した。

『…………だいたい把握した。とんでもないことに巻き込まれてしまったようだな。万能の願望器を巡って行われる殺し合いとは……』

「勝ち残れば、何でも願いが叶うっつってもなあ。オレにそんな大それた願いとかねーぞ。海底王国はホンダワラの連中が継いだようなもんだし、妹も母親も戻ってきて、さー普通の生活はこれからだ、って時に呼ばなくってもよぉ。なんでオレは、こういう不幸の星の下に生まれついてるの? 教えて手塚治虫先生

『今は、生き残ることを最優先に考えよう。同じように生還だけを望む強制的な参加者や、殺人をよしとしない者もいるはず。そうした人々と協力した方が、精神的にも安全だし、生き残る確率も上がるだろう。……それともまさか、殺しまくって勝ち残る気か?』

オリハルコンの問いに、圭は顎に手をあてて考え込む。いろいろあったが、良くも悪くもメンタリティは平凡な少年なのだ。当然死にたくないし、なるべく殺しはしたくない。とはいえ、実際に手を下すのは自分ではない。サーヴァントだ。言うてはなんだが、責任負担は軽い。

「それはまあ、サーヴァント次第だな。そいつがどう出るかによって、オレの方針も変わってくる、かもしれん」
『ちったあ主体性を持つがいい。……が、確かにそうだ。とにかくサーヴァントを呼んでみよう』

平和ボケしたすちゃらかアホぼんの圭は、染まりやすい白糸のように主体性に乏しい。緊張感も計画性もさほどない。善良なサーヴァントなら良い。邪悪なサーヴァントなら、オリハルコンがどうにか交渉し、圭の身の安全だけは確保する。このような戦場に放り込まれた以上、生還するには、いずれ誰かを殺さねばならない。非情な決断が必要となる。決断を下すのは圭であっても、なるべく良い方向に導くのはオリハルコンの仕事であろう。

「……っつーか、『ここに呼び出された時点』でサーヴァントが呼ばれるんじゃろ? さっきから捜しとるんだが……」
『見当たらないのか。が、いないわけはない。マスターはキミだ。呼んでみれば出てくるだろう』
「よーし、海に向かって呼んでくれるっ。おーーーい、サーヴァントやーーーーい」

圭の呼びかけに答えるように、海面がボコボコと泡立つ。水底に赤い光が現れ、見る間に大きくなり、輝きを増す。

「おお、来た来た来た来た! わーっはーっはははははーっ、いでませい我がサーヴァント!!」

海面が揺れ動き、巨大な水柱がそそり立つ! 高笑いする圭の前に現れた姿は――――

――――圭とオリハルコンを、恐怖と絶望に陥れた。

「お゛わ゛ああああああああああああああああああ!!!!??」

見上げるような巨体。だらりと伸びた両腕は地面に届くほど長く、上半身は大柄な人間のようで、腰から下は馬の胴体。陸を踏みしめるは四本の脚。前足の周りに肉厚の鰭。不釣り合いに巨大な頭は、肩の上をぐらぐらと揺れ動く。乱杭歯の並ぶ口はクジラのように大きく裂け、鼻面はブタのようで、大きな一つ目は燃えさかる石炭のように赤く輝く。

もっともおぞましい特徴は、全身の皮膚がないことだった。赤い筋肉と白い腱が、脈打つように動いている。その表面には黄色い血管が走り、どす黒い血液が流れている。完全にバケモノだ。

「■■■■■■■■■■■■」

怪物は、蒸気を吐き出しながら雷鳴のような唸り声をあげた。意思の疎通は、不可能と見てよい。最悪だ。

『圭! こいつから離れろ!』
「あっ、あかん、こら絶対あかんやつじゃ、召喚者が殺される系のアレじゃ、タイラ■トとかそうゆうの」

間近で遭遇した圭は、恐怖のあまり腰を抜かしてしまった。
涙目で顔面蒼白になりながらも、顔の前にオリハルコンを振りかざしてハリセンモードにし、威嚇する。

「や、やめっ、近寄るなバケモン!!オリハルコンビームを喰らいたいかっっこらっ」

オリハルコンのレンズ部分からは、念じるだけで結構な破壊力のビームが出る。しかし、その威力は精神力に左右されてしまう。もともと精神力が強くもない上、恐慌状態の圭では、この怪物を撃退できるかどうか……。

『……いや待て、こいつが圭のサーヴァントなら、私がビームでぶっ飛ばしたらいかんのではないか? 一か八か、交渉してみろ』
「あほーっ、こんなバケモンに話が通じるかっ!さっきから唸り声しかあげとらんじゃないかっ! さっさとビームでクーリングオフして、もーいっぺんマトモなサーヴァントをだな……」

「■■■■■■■■■■■■」

ギャーギャーと言い争う圭とオリハルコンを前に、怪物は再び唸り声をあげると――――上半身を捻って背後を振り返り、もと来た場所、海を片手で指差した。

……?』

問答無用で襲い掛かってくることはなさそうだ。オリハルコンは状況判断し、交渉の余地ありと見た。

『圭、どーやら何か言いたそうだ。海から出現し、海を指差したということは、我々と関係があるのかもしれんぞ』

圭はそれを聞き、恐慌状態からなんとか立ち直る。いきなり殺されずには済んだ。話が通じるかどうかはともかく、やってみるしかなさそうだ。圭は怪物に開いた両掌を見せる。

「そ、そーか、お前も海と関わりがあるんかっ。奇遇じゃのー、わし海底人類なんよ。ほれ、エラと水かき」

圭の首元に鰓孔が開き、手の指の間に水かきが生える。彼は古代アトランティス人の末裔、海底王国アンチョビーの王子なのだ。ついでに、手の甲に刻まれた令呪を怪物に見せる。マスターであることの証だ。

「■■■■■■■■■■■■」

それを見て、怪物はグルグルと喉を鳴らすと、圭に向かって頭を俯けた。驚くべし、挨拶をしたのだ。仲間、同類、そしてマスターと認めた、ということらしい。

「な、なんとかコミュニケーションがとれておるよーじゃのー。うん、見た目はグロいが、案外マトモなのか?」

言葉は話せずとも、人間でなくとも、意思疎通はできる。圭は安堵し、汗を拭った。意外に友好的な態度に、圭とオリハルコンの警戒は解け始める。味方として見れば頼もしい、かも知れない。圭はオリハリセンをもとの球状に戻し、目の前の怪物に話しかけてみる。

「しっかしお前、なんでそんな格好しとんじゃ。ゾンビなのか?」

圭の問いに、サーヴァントはぐりんぐりんと首を揺り動かし、低く呻いた。

「■■■■■■■■■■■■」

「わからん、とな。生まれつきそんな格好なのか。難儀じゃのう」
『なんだ、会話が出来るのか?』
「軽い念話と、ボディランゲージを交えてな。オレは一応こいつのマスターだから、それぐらいは出来るってことだろ」

オリハルコンは、再び状況を整理する。一時はどーなることかと思ったが、このサーヴァントは意外にも従順だ。しかしながら、このような姿のサーヴァントを他者が見れば、邪悪な討伐対象と見てしまうだろう。仲間を集め協力するという方向は難しそうだ。かわいそうだが、聖杯戦争に巻き込まれた無力な人々を救う余裕は、我々にはない。サーヴァントの能力次第ではあるが……。

『では圭よ、こいつが何者で、何が出来るか聞いてみてくれ。何か凄い能力があるかもしれん』
「おう。よーし、まずはクラスと真名だな。オレは新巻圭、こいつはオリハリセンだ。そっちも名乗ってくれ」
『私はオリハルコンだ! せめてこの姿の時は、オリハリセンと呼ばんでくれっ』

だが、サーヴァントの答えを待つ圭の頭に、凄まじい思念が流れ込んできた。

(イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ)

皮膚のないこの怪物は、常に全身を『痛み』に苛まれている。これが彼(?)を狂わせているのだ。こちらの感覚まで苛むほどの思念に、圭は激しい頭痛を覚え、念話を遮断する。

「うぐっ……あかん、深入りしたら精神をやられるっ。難しい会話は無理っぽいぞ」
『やはり、しょせんは怪物か。他者との共闘ルートはなさそうだな。残念だが』

圭とオリハルコンは、再びサーヴァントへの警戒を強める。見た目通り、マトモな存在ではないらしい。

「それでもなんとか、二つだけ伝わった。クラスは『バーサーカー(狂戦士)』、真名は『ナックラヴィー』だとよ。オレは知らんが、なんか知らんか、オリハリセ……オリハルコン」
『聞いたことがある。確か、イギリスの北の海に棲むという危険な妖怪だ。伝説上の存在のはずだが』
「そらまあ、パッと見でも妖怪だよな。海と縁があるとは言え、なんでそんなもんがオレのサーヴァントになったのかのう。だが、友好関係を築いておくにしくはなし。フレンドリーに『ナッちゃん』とでも呼んでやろう」

ともあれ、クラスと真名が判明したことで、圭はこいつのステータスを確認可能となった。データをオリハルコンに口頭で伝え、共有する。戦闘力はまずまず。能力は狂化、異形、魔眼、疫病の息と、物騒なものばかりだ。災害に等しいこいつが街中で戦えば、凄惨な光景が広がるだろう。

では、こいつをどう使うか。バーサーカーは魔力消費が激しく、魔術師でもない圭には長時間の実体化維持は難しいが、幸いにも海中にいれば、自前で魔力を補えるらしい。となると、この場合の最善手は……。

オリハルコンと圭は、同時に結論を下す。

『やはり、アレしかなかろう』
「だな」

圭はオリハルコンを持ちバーサーカーを連れて、ざぶざぶと海へ入っていく。

『主従ともに、海底に隠れ潜む。それが一番の安全策だ』
「そうそう。わざわざ陸上にとどまって、殺し殺されるこたあないわい。他人がどーなろうと知った事かっ」
「■■■■■■■■■■■■」

彼らにとって、海こそが故郷かつ巨大な要塞。こーして、誰にも知られぬ籠城戦が幕を開けたのであった。

【クラス】
バーサーカー

【真名】
ナックラヴィー@オークニー諸島の民話

【パラメーター】
筋力B 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運D 宝具B

【属性】
混沌・狂

【クラス別スキル】
狂化:B
理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。全パラメーターを1ランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。

【保有スキル】
異形:A
吐き気を催す醜悪な異形。初めて出会った者を恐怖させ、その後も近づくたびに威圧の精神干渉を与える。

魔眼:C
恐慌の魔眼を所有。目を合わせた対象に恐怖を吹き込み、捕捉判定にペナルティを与える。この効果は目を合わせる度に発動し、最終的に対象は発狂する。対魔力で抵抗可能。フォモールとの類縁関係が疑われるため、バロール並みとはいかぬまでも魔眼の力を持つ。異形との合わせ技で威力が高まる。

水棲:B
水中への適応能力。海の中にいる間、全てのパラメーターがワンランクアップする。ただし淡水を体に浴びるとダメージを受ける(苦しむだけで、滅びはしない)。マスターが海底人類であるため、ともに海中に潜れる。

精神汚染:A
精神が錯乱している為、他の精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトする。ただし同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しない。もともと獣並みの知性しかなく、言葉も話さないので会話はほぼ不可能。皮膚がないので常に痛みを感じており、周囲の生命を憎悪している。マスターとだけ、念話とボディランゲージを交えることにより、多少の意思疎通が可能である。その精神に深入りしてはならない。

【宝具】
『死の鎖(モータシーン)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1-99 最大捕捉:1000

Mortasheen,Mortercheyn。バーサーカーの大きな口から放射される、熱い蒸気のような有毒の吐息。超常的な疫病を周囲に撒き散らす。現代医学では「鼻疽(びそ、glanders)」と診断される人獣共通感染症に類似するが、魔力を含む呪いであるため通常の医術では治療できない。発熱、頭痛を初期症状として呼吸器系を冒し、膿胸や肺炎を引き起こす。やがて皮膚や筋肉、臓器に膿瘍が広がり、敗血症性ショックで死に至る。飛沫・経口で連鎖的に感染し、バーサーカーに近づくほど症状は悪化する。幸いにもマスターだけは標的から外すことができる。サーヴァントは対魔力でどうにかなるが、マスターが罹患すると極めて危険。人間よりも動物の方が罹患し易い。植物がこの吐息を浴びると枯れてしまう。

『海の底でうたう唄(ロッホラン・フォモール)』
ランク:C 種別:結界宝具 レンジ:1-99 最大捕捉:100

バーサーカーが海中にいる時に展開できる固有結界。様々な魚や海獣が悠々と泳ぎ回る深い海そのもの。飲み込まれた者は強い水流で暗黒の深海に引きずり込まれ、水中で呼吸でも出来ない限り溺死する。奥底にはかつてブリテン諸島から追放された異形の巨人族フォモールどもが棲み、犠牲者に襲いかかって貪り食らう。また、この宝具は海水から少しずつ魔力を吸い上げてバーサーカーのエネルギーとすることができ、魔力に乏しいマスターでも現界を維持できる。逆に言えば、陸上での現界を長時間維持することは困難。定期的に海中に入る必要があるため、海の近くから離れられない。

【Weapon】
長い腕で敵を掴んだり薙ぎ払ったりし、馬の脚で蹴りや踏みつけを放つ。噛みつきや頭突き、体当たりも強烈。口からは疫病の息を吐くため近づくのも危険。体液は黒いタールのようで、体に触れると粘りついて離さず、そのまま海中へ潜って固有結界を展開、溺死させる。

【怪物背景】
スコットランドの北に浮かぶオークニー諸島の民話に登場する怪物。「フーア」と呼ばれる水妖の一種で、海中に棲む。海から上陸して人畜を殺害し、口から毒の息を吐いて作物を枯らしてしまう。弱点は真水で、流れる川を渡ることができず、体に真水をかけられると悶え苦しむ。また海藻(ケルプ)を焼いた煙の臭いも嫌うが、これを嗅ぐと激しく怒り、恐ろしい疫病(モータシーン)をばら撒くという。(近世のオークニー諸島では、石鹸やガラス製造用の炭酸ナトリウムを抽出するため、海藻を焼くことが基幹産業だった)

ケルピーやノッグル、タンギー、アッハ・イーシュカといった、ブリテン諸島に伝わる水棲妖馬のバリエーションと思われる。またアイルランド神話に登場し、海や疫病と関係のあるフォモール族の一派ではないかともいうが定かではない。ほぼ原典通りの姿と能力であるため、知識がある者には真名看破されやすい。女体化すると皮膚を剥いだ空母ヲ級か海底要塞モリアワセっぽくなりそう。

【サーヴァントとしての願い】
不明。現状を把握しているかどうかも分からない。

【方針】
マスターとともに海底に潜み、魔力を蓄えつつ地上の参加者がほぼ全滅するまでのんびり待つ。襲撃者は迎撃する。しかし怪物としてのアイデンティティ上、時々陸にあがって人畜に被害を与えたくもある。

【カードの星座】
射手座。


【マスター】
新巻圭@海底人類アンチョビー

【Weapon】
『オリハルコン』
古代アトランティス文明の遺産である思考金属。握りこぶし大の球状金属塊で、レンズ状の部分を持つ。高い知性と理性、会話能力を有し、地磁気を感知することで地球上の位置を探ることもできる。性格はマトモなので不遇。
アンチョビー王国に代々受け継がれ、所持者の意志によって最強の武器に変わるが、武器の形状は一世一代で変更は効かない。圭は金属バットに変えようとしたが却下され、「暴力はキライだがどつき漫才は大好き」という理由でハリセンにし、「オリハリセン」と命名した。そのツッコミは校舎を半壊させ、人間を空高く吹っ飛ばすほどの威力を持つ。普段は球状に戻せ、所持者が命令するとハリセン化する。また、レンズ状の部分からは「オリハルコンビーム」を放つ。威力は精神力次第だが、近所のおっさんでも発射でき、自動車や家屋を破壊可能。作中最強のアンチョビー皇帝が所持した場合、最大で数百メートルの射程があり、乱射すれば海底帝国も壊滅する。なおレンズの向きを間違えて発射すると自滅する。ギャグ漫画の産物であるためか、ダメージは与えても人を直接殺すことはないが、気絶させて無力化することは充分に可能。サーヴァントは対魔力で防げる。

【能力・技能】
『海底人類』
遺伝子改造により海底生活に適応した古代人の末裔。指の間に水かきがあり、首にはエラがあって、肺呼吸とエラ呼吸を切り替えることが出来る。水中で自在に行動でき、水圧等の影響も受けずにすむ。ただし陸上生活が長かったため泳ぎはもともと得意でなく、特訓により習得している。水かきとエラは収納できるので、普段は地上の一般人に溶け込むことが出来る。地上人との繁殖も可能。その他の身体能力はそれなり。

『耐毒体質』
部下により毒殺対策のため食事に少しずつ毒を入れられていたので、フグ毒などの猛毒が全く効かない。

【人物背景】
安永航一郎の漫画『海底人類アンチョビー』の(一応)主人公。福岡市海仙中学3年生の15歳。ややアホそうで影が薄い金髪の少年。実はアトランティスの流れを汲み2万年の歴史を誇った海底王国アンチョビー最後の王子(624代目)であり、勝手につけられた本名はアマジオ・サーモン・ケイ。通称「バカ王子」。実際バカかつアホで無責任なお調子者だが、周囲の人々より多少は倫理観があり、少しはマトモな性格のツッコミ役。

ある朝いきなり自分が海底人類であることが判明し、父親から「お前はうちの子ではない、海底王国の王子だ」と宣告される。直後にアホな民族衣装を着せられて家を追い出され、それを見たガールフレンドには振られ、部下からは王国滅亡を告げられ、盗んだ養殖魚を貪り食う無宿生活に陥る。さらに育ての親が実の親だったり、敵国に拉致されて奴隷になったり、結婚させられそうになった敵の幹部が実の妹だったり、敵の機動要塞が上陸したりいろんな目に遭う。結局圭自身は大して活躍せぬまま、彼を囮とした周囲の活躍で事態は解決し、王国は滅亡したが平和な日常と家族を取り戻したのであった。つるかめつるかめ。

【マスターとしての願い】
生きて帰りたい。生還以外にオプションがつくなら、まあ何か考える。

【方針】
サーヴァント&オリハルコンとともに海底に潜み、地上の参加者がほぼ全滅するまでのんびり待つ。ノンポリ日和見PKO。食糧は魚介類を捕まえて食えばよい。誰かが海底まで攻め込んで来たら、サーヴァントとオリハルコンビームで無慈悲に応戦し海の藻屑にする。ルーラーになんか言われたら、海からのヒットアンドアウェイで疫病をばら撒きつつ、オリハルコンビームでの芋砂作戦に切り替える。正面切って戦うなど愚の骨頂。

◆◆◆

星座聖杯に最初に投下した候補作だ。企画名に「海底都市冬木」とあったので、あっこれやと思いついて書いた。詳しいルールはこのwikiをみろ。なんで星座聖杯と呼ばれるかというと、星座のカードのせいだ。

安永センセイの漫画は独特のノリがある。右が続いたので左に寄せたが、本来はシリアスな状況だ。籠城して傍観は合理的と言えば合理的な戦法だが、話に全然絡まなくなってしまうので、結局は無理やり引きずり出すしかなさそうだ。ナックラヴィーはエピロワ第三部にもちょろっと出演させたが、やはり扱いにくいのでさっさと退場させた。

【続く】

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