邦題：夏の疑惑（Summer Suspection）

ドーモ、三宅つのです。これは、公式のニンジャスレイヤーTRPGシナリオ「ニンジャマーダーミステリー【エッヂ・オブ・サニティ】」を元にしたリプレイ小説です。本来は多人数でDiscord等を使ってワイワイやるのですが、例によってつのが一人でやりました。推奨されるプレイ方法ではありませんが、一応ネタバレにご注意下さい。

題材の都合上、つのが作成済みのニンジャをニンジャスレイヤー役として使うことは難しいでしょう（脅されているとか、殺されて入れ替わっているとかでもいいですが）。そこで新たなニンジャたちを作成します。とりあえず6人を用意し、1D6でニンジャスレイヤー役（変装か脅されている）を決め、その後はダイスで行動などを決定していきます。

ニンジャ作成

ではまず、ニンジャたちを作成します。今回は一瞬でサンシタニンジャが作れるニンジャスレイヤーTRPG公式の診断メーカーを使用しましょう。サイコロを振らずともニンジャが無から無限に発生する恐るべきシステムです。A・B・C・D・E・Fの6つのアルファベットを順番に名前欄に入れると…

A：ライトニングアックス

◆ライトニングアックス（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　２　　　　体力　　　　　　　　２
ニューロン　　　　　６　　　　精神力　　　　　　　６
ワザマエ　　　　　　４　　　　脚力　　　　　　　　２
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　？　　　　名声　　　　　　　　１

◇装備や特記事項
▶生体LAN端子：ニューロン判定＋２、イニシアチブ＋１
○下劣なパパラッチ
◆ハッキング用フロッピー

能力値合計：１２　回避ダイス：６

典型的なハッカーニンジャです。カラテは低いですがニューロン判定ダイスが多いので、謎解きの役には立つことでしょう。

B：ブラッドリーパー

◆ブラッドリーパー（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　６　　　　体力　　　　　　　　６
ニューロン　　　　　１　　　　精神力　　　　　　　１
ワザマエ　　　　　　６　　　　脚力　　　　　　　　３
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　？　　　　名声　　　　　　　　１

◇装備や特記事項
○錠前破り
◆カタナ

能力値合計：１３　回避ダイス：６

逆に完全な脳筋です。かと思えば手先が器用で錠前破りを持っていたりもしますね。カラテもワザマエも高くて悪いことはありません。

C：ホワイトアックス

◆ホワイトアックス（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　４＞５　　体力　　　　　　　　４＞５
ニューロン　　　　　４　　　　精神力　　　　　　　４
ワザマエ　　　　　　１　　　　脚力　　　　　　　　３
ジツ　　　　　　　　３　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　？　　　　名声　　　　　　　　１

◇装備や特記事項
☆カナシバリ・ジツLV３：３×３マスの敵に精神力ダメージ１（回避はNORMAL）
　効果範囲内の１体をカナシバリ状態に（抵抗難易度HARD）
○プロテインマニア：カラテ＋１、ワザマエ－１
◆ZBRアドレナリン注射器：気絶を回復

能力値合計：１５＞１６　回避ダイス：５

ワザマエは妙に低いですが、そこそこ強力なニンジャです。サイバネでヒキャクが出ましたが、LV3のジツ持ちなのでオミットしました。

D：ポイズンドラゴン

◆ポイズンドラゴン（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　１　　　　体力　　　　　　　　１
ニューロン　　　　　５＞４　　精神力　　　　　　　５＞４
ワザマエ　　　　　　６　　　　脚力　　　　　　　　３
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　？　　　　名声　　　　　　　　１

◇装備や特記事項
▶生体LAN端子：ニューロン判定＋２、イニシアチブ＋１
○異端考古学者：ニューロン－１、マキモノや神話知識判定の振り直し可
◆オーガニック・スシ：体力３回復（使い捨て）

能力値合計：１２＞１１　回避ダイス：６

ノーカラテの変人です。ニューロン判定やワザマエ判定では役に立つかも知れませんが、カラテが1では生き残るのは難しそうですね。

E：アースドッグ

◆アースドッグ（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　５　　　　体力　　　　　　　　５
ニューロン　　　　　３＞２　　精神力　　　　　　　３＞２
ワザマエ　　　　　　３＞４　　脚力　　　　　　　　３
ジツ　　　　　　　　３　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　？　　　　名声　　　　　　　　１

◇装備や特記事項
☆カラテミサイルLV３
○キラーマシーン教育：ニューロン－１、ワザマエ＋１
◆チャカ・ガン×２

能力値合計：１７　回避ダイス：５

カラテが強く強力なカラテミサイル使いですが、キラーマシーン教育のせいでニューロンが下がってしまい微妙です。奥の手として使いましょう。テッコとトロ粉末を装備していましたがオミットします。

F：スモークハンド

◆スモークハンド（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　１　　　　体力　　　　　　　　１
ニューロン　　　　　５　　　　精神力　　　　　　　５
ワザマエ　　　　　　２＞３　　脚力　　　　　　　　２
ジツ　　　　　　　　３　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　？　　　　名声　　　　　　　　１

◇装備や特記事項
☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV３：３ターンの間カラテ＋３、脚力＋２
○キング・オブ・アーケード：カラテ－１、ワザマエ＋１
◆カタナ

能力値合計：１５　回避ダイス：５

ゲーム脳のナード野郎です。キレるとヘンゲヨーカイしてカタナを振るって来ますが、体力は増えないのでだめそうです。ヒキャクを入れていましたがオミットしました。

イメジは全部ぎだ＝サンの「サンシタニンジャメーカー」からです。どいつもこいつも怪しいですね。知識/交渉系スキルを無料獲得してもいいですが、やや煩雑なのでやめます。では彼らのうち1人をニンジャスレイヤー（の変装、ないし脅迫されている裏切り者）とします（コロコロ）。

……1D6により決定されました。なおバーグラー＝サンはつの次元ではヤクザ天狗に殺されたため、最初の犠牲者となるニンジャを作ります。

◆ホワイトボム（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　２　　　　体力　　　　　　　　２
ニューロン　　　　　６　　　　精神力　　　　　　　６
ワザマエ　　　　　　３　　　　脚力　　　　　　　　２
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　？　　　　名声　　　　　　　　１

◇装備や特記事項
○ピンハネ

能力値合計：１１　回避ダイス：６

ピンハネを持っているところからバーグラー＝サンの部下だった可能性があります。診断メーカーの名前欄にGを入れて自動生成されたのですが、初期アイテムに「家族の写真」があったのでWasshoi判定を免れ得るところを、既に使用していたため失われたとしました。ブッダは二度微笑むことはありません。名前にボムが入っているのは偶然です。

ではリプレイを通して、彼らの死に様を見ていきましょう。どうせみんな殺されます。

◇🎲◇

これまでのあらすじ

君たちは、ソウカイヤが保有する山奥のオンセン旅館に宿泊することとなった邪悪なニンジャだ。お互いの面識は殆どなく、一人一人が自由気ままにゲイシャ、カラテ、スシ、温泉、殺人、酒、ドラッグなど、思い思いの休暇を楽しんでいた。

だが、2日目の朝……ともに休暇を満喫していた宿泊ニンジャの1人、ホワイトボム＝サンが、何者かの手でカラテを受け、爆発四散したのだ。一部の者が断末魔の叫びを聞いたが、ニンジャなので死体は残らず、一切の証拠がない状況だ。さらに、原因不明の奇妙な現象が起こった。オンセン旅館の無線LAN装置が爆発し、外部との連絡手段が失われたのだ。

誰もが疑心暗鬼になる中、宿泊ニンジャらの間で、ある都市伝説の名が囁かれた。それは……ニンジャスレイヤー。ソウカイニンジャを殺し回っているという、狂った殺忍鬼の名である。昨日までは、誰もがニンジャスレイヤーなど作り話だと思っていた。それが今、すぐそこにある脅威として認識され始めたのだ。ただならぬアトモスフィアが、オンセン旅館を支配する。

なぜホワイトボム＝サンは爆発四散しなければならなかったのか？　ニンジャだからだろうか？　なぜ無線LAN装置までもが時を同じくして爆発したのか？　用意周到なハッキング攻撃だろうか？　だとすれば……本当に宿泊客の中に地獄の猟犬が紛れ込んでいるのか？　それとも、殺忍者はこのオンセンの近くに隠れ、再度のアンブッシュ機会をうかがっているのか？

疑念が疑念を、謎が謎を呼ぶ閉鎖環境で、今、無慈悲なる殺忍犯探しが幕を開ける……！

ダンゴウ

このゲームでは、ニンジャスレイヤーがニンジャPC全員を爆発四散させるか、あるいはニンジャスレイヤーの正体が暴露されて最終決戦が始まるまで「ダンゴウ」→「行動宣言フェイズ」→「探索フェイズ」→「ダンゴウ」……を繰り返します。

PM 19:00

ネオサイタマの北、中国地方の山奥。黄昏時のオンセン旅館。7人の下っ端ソウカイ・ニンジャたちは、運良く当たったオンセン旅行券で豪遊すべく、ここに来ていた。今となっては、それも罠のうちだったようにも思える。「クソ、IRC端末も通じない……！インターネットが……中国地方め！」

スモークハンドが舌打ちし、イライラした声をあげる。僅かに存在した無線LANが破壊されたため、あらゆる連絡手段は断たれているのだ。「信じられない……田舎すぎる」「うるせェぞナード野郎！それどころじゃあねーだろーが！」ブラッドリーパーが粗暴な声を上げる。「ムカつくぜ」

旅館中央の宴会部屋。タタミ敷きの広い空間には、彼ら6人しかいない。丸テーブルを囲んで備蓄スシをつまみ、サケをちびちび飲みながら、彼らは不安そうな視線を周囲に、そして他のメンバーに投げかける。「ホワイトボム＝サン……ムカつく人でしたが、亡き家族を大事にしていた人でした……」

ポイズンドラゴンが沈痛な面持ちでつぶやく。「こんなことになるなんて」「しかし、やつとは限るまい。バイオパンダとかバイオグリズリーに襲われたのでは？」ホワイトアックスが腕組みして楽観的観測を述べる。「いや、そいつらの足跡や体毛、においはなかった」と、ライトニングアックス。

「ああ。残っていたのは、ニンジャアトモスフィアだ」とアースドッグ。「それも2人ぶん。一方はホワイトボム＝サン、もう一方は恐ろしいカラテを感じた。ニンジャだ」「バカバカしい」ブラッドリーパーが吐き捨てる。「俺は信じねェ！都市伝説だ。だいたい俺らみてェなサンシタをよ」

「彼は、狂った殺忍鬼です」ポイズンドラゴンが震えながら見解を述べる。「遭遇して生存した者を何人か知っています。会話が通じない、完全に狂った男だったと。ニンジャと見れば見境なく襲って来るといいます」「詳しいじゃねェか。テメエがそいつなんじゃあねーか？」「何をバカな！」

「まあまあまあ。イライラするな。タンパク質をとれ」ホワイトアックスがなだめる。「仲間割れしてもしょうがない。ニンジャが6人も固まっていれば、そう襲っては来ないだろう。ホワイトボム＝サンは1人になったから襲われたのだ」「もっともだぜ」ライトニングアックスが頷き、続ける。

「仮に、やつだとして……山奥に潜んでいるか、旅館の中か、宿泊客や従業員に紛れ込んでいるか、だな」「ひとりじゃないかも知れません。チームを組んでいるかも」「怖いこと言うなや」スモークハンドが空気を読まず発言する。「じゃあさ、僕らの中に紛れ込んでるかも。ニンジャスレイヤー」

ビクッと5人全員が震え上がる。「バカ！その名を出すな！縁起でもねえ」「『壁やショウジにニンジャが潜んでいる』とか言うだろ。既に盗聴器が仕掛けられててもおかしくないぞ」「まだ明るいうちに帰ろうぜ」「麓に着くまでには夜になる。夜道をあいつに襲われたいか？」「なんてことだ」

6人は不安を拭うようにスシを食べ、サケを飲む。味がしない。「とにかく仲間割れはよせ。少し楽観的になれ。単にホワイトボム＝サンだけを殺して帰ったのかも知れない」「ああ。『疑い出すとニンジャが出現する』とも言うぜ」「我々の中で魔女狩りをするのも良くない。それが目論見かもだ」

6人は深呼吸する。「で、どうする」

行動宣言

選択肢は「露天オンセンに行く」と「まだ爆発四散していないPCの部屋（自室も可）に行く」の2択だ。1D6を振って奇数なら前者、偶数なら後者としよう。どの部屋に行くかは1D6で決める。6D6で[311513]＝全員奇数。

「……とりあえず、オンセンだ」「俺も」「私も」全員の意見が一致した。単独行動はまずいし、せっかくのオンセン旅館なのだから入ってリラックスした方が良い。「そうだな。今夜までしか泊まれないんだし、リラックスしてエンジョイしようぜ」

1人にならないので、証拠探しや手紙を残すこと、ザゼンしての推理はできません。秘密会議を行う（ダベる）か、ニンジャスレイヤーが出現してニンジャを殺すかが選べます。ニンジャスレイヤー役が他のニンジャ2人以上と同じ場所にいる場合、そのニンジャの部屋に潜入して背景についての「調査判定」に成功していれば、正体を明かすことなく1人のニンジャだけを爆発四散させることができます。しかしまだ行っていません。すでに行ったことにしてもいいですが。

「フウーッ……」タプゥン……。6人のニンジャたちは露天オンセンに肩まで浸かり、リラックスしようとする。しかし、湯煙の彼方に死神が現れるのではないかと思ってしまい、あまりリラックスはできなかった。幸い、何事もなく入浴は終わり、一行は露天オンセンを後にした。

行動宣言

PM 20:00

夜になったが、スシもサケも風呂も終わった。後はどうするか。

誰がどの部屋へ入るか（あるいは同行するか）を6D6で決めます。ABCDEF＝[536522]。AのライトニングアックスとDのポイズンドラゴンはアースドッグの部屋、EのアースドッグとFのスモークハンドはブラッドリーパーの部屋、Bのブラッドリーパーはホワイトアックスの部屋、Cのホワイトアックスはスモークハンドの部屋へ入ります。

とりあえず自由時間とし、三々五々分かれていく。ライトニングアックスとポイズンドラゴン、アースドッグとスモークハンドは2人組となり、他の2人は単独行動とする。「時計は旅館内にいくつかある。2時間ごとに中央宴会場に集まって、無事を確認しよう」「めんどくせえなァ」

探索

ニンジャスレイヤー役は別のPCと2人になった場合、そのPCを爆発四散させることができる。AとD、EとFの誰かがニンジャスレイヤーなら片方を殺せるわけだが、生き残った側は非常に怪しまれてしまう。証拠を突きつけなければ吊し上げできないが、序盤はやめておこう。秘密の共有もできるがまだ誰も調査を行っていない。ゲームとかオイラン遊びとかしているのだろう。

自分が他のPCの部屋にいて、かつ他に誰もいなかった場合、背景調査が可能になる。ワザマエかニューロンで難易度NORMAL判定を行い、成功すればそのPCの背景情報を獲得する。もし相手がニンジャスレイヤー役だった場合、「確かな証拠」を獲得する。

……ブラッドリーパーは、ホワイトアックスの部屋へしめやかに潜入する。旅館の部屋はフスマなのでセキュリティもクソもない。錠前や電子ロックがあったにせよ、ニンジャである彼には無力だ。一方、ホワイトアックスはスモークハンドの部屋へしめやかに潜入する。目的は同じ。

ワザマエ判定、6D6で[233456]＝成功。ニューロン判定、4D6で[1145]＝成功。それぞれ相手の背景情報を獲得。「確かな証拠」が得られたかどうかについては、読者の皆さんの想像に任せよう。これ以後、誰がどこへ行ってどんな情報を得たかはネタバレになるため伏せることとする。

……そして、数時間が経過した。恐怖の夜はまだ始まったばかりだ。あなたは誰が殺忍犯、あるいはその協力者かを当てることができるだろうか？

【続く】

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