ドーモ、三宅つのです。これはクロイモリ＝サンのシナリオ「【暗殺】」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。

　モータルのアウトローチーム向けのシナリオで、ヤクザの別荘に潜入してオヤブンを暗殺するデッドリーなミッションです。つの次元のモータルアウトローチームはこの前死にかけましたし、新たに作成してもいいのですが、ここは確実を期してニンジャを派遣することにしましょう。

◆ロングソード（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　５　　　　体力　　　　　　　　７
ニューロン　　　　　１＞２　　精神力　　　　　　　１＞２
ワザマエ　　　　　　１＞２　　脚力　　　　　　　　３/Ｎ
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　　１３＞２
ＤＫＫ　　　　　　　０　　　　名声　　　　　　　　１＞２

攻撃/射撃/機先/電脳　　５/　２/　３/　４
回避/精密/側転/発動　　５/　２/　２/　０
即応ダイス：４　緊急回避ダイス：４

◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV１：ニューロン＋２、イニシアチブ＋１
◆カタナ
◆ストリートニンジャ装束一式：緊急回避＋４、脚力ダメージ軽減１

◇ジツやスキル
◉頑強なる肉体：体力＋２
○生い立ち：サイバネ賞金稼ぎ
◉知識：ファッション、重工系メガコーポ　記憶
○背景：恐怖や諦観

能力値合計：７＞９

　彼だけでもなんとかなりそうですが、なんか不安なので相方をつけます。カラテはさておきニューロンとワザマエで彼をサポートできそうな、暇なフリーランスの駆け出し傭兵ニンジャは……いませんね。作成しましょう。

　今回は11ポイントスクラッチビルドで作成します。能力値0から始まり、カラテ・ニューロン・ワザマエ・ジツに11ポイントを割り振る作成法です。ジツ以外は1上昇させるのに1ポイント必要で最大値5、ジツは1上昇させるのに2ポイント必要で最大値3となります。カラテはロングソードに任せるとして2、残り9をニューロンとワザマエに振って4と5。初期スキルはkill-9、初期サイバネは生体LAN端子（ローンあり）、初期アイテムは1D6[4]ウイルス入りフロッピー。生い立ち表を振ると2D6[15]＝ピンハネ。ケチなハッカーのようです。生い立ちからの初期スキルは1D6[6]2で割って3、交渉：卑屈。ランダム初期知識は2D6[45]＝アマクダリ。そういうことのようです。性別は…男性だとストリークとかぶるので女性にしましょう。

◆ドントマインド（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　２　　　　体力　　　　　　　　２
ニューロン　　　　　４　　　　精神力　　　　　　　４
ワザマエ　　　　　　５　　　　脚力　　　　　　　　３/Ｎ
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　－１２
ＤＫＫ　　　　　　　０　　　　名声　　　　　　　　１

攻撃/射撃/機先/電脳　　２/　５/　５/　６
回避/精密/側転/発動　　５/　５/　５/　０
即応ダイス：４　緊急回避ダイス：０

◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV１：ニューロン＋２、イニシアチブ＋１
◆ウイルス入りフロッピー

◇ジツやスキル
◉kill-9

○生い立ち：ピンハネ
◉知識：アマクダリ
◉交渉：卑屈

能力値合計：１１

　充分な戦力ですね。では、始めます。

◆◆◆

ダンゴウ

　殺風景なアパートの一室。真っ白な壁の一面に01ノイズが走り、次第に若い女性の姿を映し出す。『ドーモ、いつもお世話になっております。私は電臣ニストソリューションシステムズCEO、コバヤシノ・ドンマイです。本日はミッションをお引き受けいただき、誠にありがとうございます』

「ドーモ、お久しぶりです。ロングソードです」若い傭兵ニンジャはアイサツを返した。前に依頼を受けたことのある相手だ。ここは彼女に呼び出されたダンゴウの場だが、本人ではなく映像でアイサツとは、少々ナメられた感じがある。ただ少なくとも、カネという面では信頼がおける相手ではある。

　そして……この部屋にはもう一人いる。黒髪ボブヘアに緑色のインナーカラーを入れ、瞳を緑色に輝かせた、セーラー服姿の女子高生。オイランではなく、ニンジャだ。彼女は卑屈そうにアイサツし、「ドントマインド」と名乗った。戦闘力は乏しいが、ハッキングなどでサポートしてくれるという。

『今回は、ええ、汚れ仕事をお願いしたくて。一張羅を着ていくのはあまりお勧めしませんよ。赤のワンポイントをつけたいなら話は別ですが』コバヤシノはドヤ顔でウインクした。「どこのどいつを始末すりゃいい」ロングソードは話を急かした。タイムイズマネーだ。『この男です』写真が映る。

　モンツキ・ハカマを着た50-60代の男。白髪交じりの頭で、顔には幾重もの皺が刻まれている。だが肉体は油断ならぬ筋肉で盛り上がっており、只者ではないアトモスフィアを感じさせる。『デッドフィッシュ・ヤクザクランのオヤブン、ヘイショウ・シハカタです。彼をこの世から消して頂きたい』

「……情報を」ロングソードは腕組みした。ヤクザ・オヤブンの暗殺。前にも受けたビズだが、今回の標的は少々手ごわそうだ。護衛や警備の規模、ニンジャの有無、本人に関する情報……聞いておくことは山程ある。『このクランはソウカイ・シンジケートと提携しており、構成員は数百人います』

「おいおい」『クローンヤクザはその2倍。力押しでは勝ち目がありませんが……唯一、私邸の警備は比較的緩く、侵入の余地があります。無論力押しも必要ですので、そちらのドントマインド＝サンと協力し、うまくやってください』「ニンジャ戦力が2人は必要なビズってわけか。……わかった」

　ここまで聞いて断る余地はない。それにマブなパートナーもいる。ロングソードはため息をつきながら了承した。『ありがとうございます。詳しい情報はドントマインド＝サンに渡してありますので、よろしくお願いします』0101010101……コバヤシノの映像は01分解してかき消えた。「さて……」

事前調査

「で、では説明させていただきます。まずは、私邸の位置からですね……」ドントマインドはペコペコとオジギし、コバヤシノから預かった機密情報データをスタンドアローンUNIXで展開する。ネオサイタマの地理データだ。

　ヘイショウ・シハカタの私邸は、ネオサイタマ南西部の郊外に広がる広大な田園地帯「タンボ平原」にある。ソード山脈からの風により、比較的重金属酸性雨汚染が穏やかな地域であるため、カチグミの別荘や療養施設などもいくつか築かれている。食糧供給を賄う穀倉地帯であるため警備も厳重だ。

　シハカタはヤクザマネーで私邸の周辺一帯も買い上げ、一種の荘園を構築している。広い森に囲まれた邸宅には見事な庭が設えられ、池には最高級のオーガニック鯉が悠然と泳ぎ、キョート貴族の別荘にも引けを取らない。ただ広大なぶん監視カメラや警備ヤクザの目は行き届いているとはいえない。

「情報によれば、シハカタの他に私邸にいるのは側近のグレーターヤクザが3人、クローンヤクザが20人。後は料理人やオイランなど、シハカタの身の回りの世話をする非ヤクザです」UNIXのモニタには、私邸の間取りや監視カメラの配置などが詳細に表示されている。入念に下調べがされているのだ。

　そしてニンジャ戦力は……情報によれば、いない。シハカタもニンジャではないようだ。だが油断は禁物。ソウカイ・シンジケートと提携関係にあるのならば、護衛ニンジャがデリバリーされていても不思議はないのだ。ともあれ、ASAPでシハカタを暗殺し、追手が来る前に脱出しなければならない。

「ええと、次は、標的について……」彼女によれば、こうだ。シハカタはすでに齢60を越える老ヤクザで、健康状態には陰りが見える。それゆえに疑心暗鬼に陥ったのか、今は私邸に半隠居状態となり、僅かな信頼できる側近のグレーターヤクザ数名とクローンヤクザのみに警護を任せているのだ。

「彼の一週間のスケジュールはパターン化されています。週末には決まって行きつけのレストランに顔を出し、夜の7時には私邸に戻ってきて、10時には就寝します」「健康的だな」「後は……彼は若い頃からナッツ類へのアレルギー持ちで、常にアレルギー対応のための薬を用意しているとのこと」

「ふむ」ロングソードは眉根を寄せる。実際暗殺に使えそうな情報だが、どうやって彼にナッツを食わせればよいのか。「ええと、最後は、デッドフィッシュ・ヤクザクランについて。歴史と伝統のある格式高いクランですが、現在のオヤブンはゲコクジョによる成り上がりで、敵を大勢抱えています」

　ドントマインドは卑屈げに嗤った。「……当然、オヤブンを恨んでいる者も大勢います。ヤクザからはソンケイを集めていますが、非ヤクザの下級構成員……料理人や運転手、オイランへの待遇は奴隷扱いだそうです。彼らと接触できれば、協力を取り付けられるかも知れませんね」「ふむ……」

作戦会議

「……情報は以上です。な、何か質問はありませんか？」ドントマインドはオドオドとオジギする。「質問……というか、作戦は幾つか立てられるな。手段は選ばずに殺せばいいんだろ」「アッハイ。まあ、なるべく一般人に被害が出ない方が。周辺は暗黒メガコーポの重点警戒地域ですし」「ああ」

　ロングソードは邸宅のマップを入念にチェックする。警備が厳重な正面玄関から突入するわけにもいかない。潜入経路としては、外から庭の池に引き込まれる川がある。しかし、何も警戒していないわけもなかろう。ロングソードのニンジャ野伏力は、それほど高くはない。「庭の北にも扉があるな」

「物資搬入用の裏口ですね。料理人とかが出入りしています」「警備が比較的手薄だな。ここから忍び込めるか」「電子ロックなどが施されてはいますが……料理人を買収すれば、おそらく」「じゃあ頼む」「アッハイ」これでややショートカットが可能だ。他に可能そうな作戦は……？

「料理人を買収して、料理に毒とか致死量のナッツを盛らせれば早いんじゃねえか？」「それですが……当然、毒見役がいます」「そりゃそうか」シハカタは常に護衛兼毒見役としてグレーターヤクザを引き連れている。クローンヤクザには直感や経験、ソンケイがなく、肝心な時には役に立たない。

「とすると……行きつけのレストランで一服盛る、ってのもダメそうか。毒見役がついてくるだろうしな。私邸とレストランの往復の途中で襲撃するってのも……車が止まらないだろうし、警備が厳重か」ロングソードはあれこれ作戦を考えるが、結局は私邸にカチコミをかけるのが一番確実そうだ。

　それに、私邸にはシハカタがかき集めた貴重な骨董品などのコレクションが多く眠っているという。暗殺ついでにこれを回収すれば、金欠にあえいでいるロングソードにとっては大きな収入となる。ドントマインドにも報酬の分け前を与えねばなるまいし。「こんなところか。行くぞ！」「ハイ！」

行動開始

【続く】

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