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【ドラゴン・ナイト】(全テキスト版)

 これは、つのの忍殺TRPGリプレイ「ドラゴン・ナイト」のうち、あらすじやステータス表、ダイスロールやコラム書き、イラストなどを除去した小説テキスト部分のみをまとめたものです。実際どれぐらい文量があるか確認するためにやりました。やや整形しましたが文量は同じです。ルビは使用していません。
 文字数カウントで見たところ、ナンバリングと最後のタイトルコールを除けば14527文字でした。01は2552字、02は4750字、03は4519字、04は2706字でした(◆含む)。ニンジャスレイヤー原作小説ではだいたい5000-6000字ほどを1セクションとしていますから、4記事書いてもせいぜい3セクションでしかないわけですね。ステータス表を省略することで、本編の文字数を前より増やすことには成功しています。「ハコネ・エイトマイル」「ラン・スルー・ザ・メイズ」を足せば6-7セクションぶんぐらいでしょうか。

01

 赤い防弾ビークルはパワフルにフジサンを登り、中腹にあるホウエイ・クレーターまでやってきた。江戸時代に大規模な噴火を起こし、多くの犠牲者が出たという。ズズズ……地鳴りが不気味に響き、巨大な火口からは有毒のガスが激しく噴き出している。近づけば危険だ。……だが、その時!

 ズズズ……ズズズ……!ズシン!ズシン!KRACK!おお、ナムアミダブツ!火口から巨大な熔岩が……否!熔岩じみた巨大な何かが身をもたげようとしている!それは顔らしき部分から不気味な声を発した!「アバー……!」「あれは!」フェイスフルには見覚えがある。マグマ・ゴーレムだ!

 ゴーレムは大きく身を乗り出し、僅かに残った道を飲み込み、押しつぶそうとする!「スリケンは効きません!カラテで倒しましょう!」フェイスフルは手短に説明する。「「了解!」」ユカノとバンブーエルフも飛び出す!「アタシも!」「いえ。あなたは、ナンシー=サンを守っていてください」

 ユカノに制され、イグナイトは座る。「チッ、了解。まあカトンは効きそうにねェか」「気をつけて」ナンシーは車を停止させ、三人の背を見守る。一触即発アトモスフィア!

 三人は岩を蹴って飛翔!「「「キエーッ!」」」KRAASH!トリプル・トビゲリがマグマ・ゴーレムの頭部に命中!「AARGHH!」ゴーレムはぐらりと揺らぐが、体勢を立て直し、煮えたぎる両腕を伸ばす!「AAARGHHH!」

「キエーッ!」ユカノはゴーレムのマグマチョップを躱し、腕を駆け上って迎撃のトビゲリ!ドラゴン!「AARGHHH!」

「「キエーッ!」」KRAASH!ダブル・トビゲリ!「アバーッ!」ゴーレムは断末魔の叫びをあげ膨張!「アブナイ!爆発します!」フェイスフルがとっさに叫ぶ!「了解!」KABOOOM!マグマ・ゴーレムは爆発四散!「「イヤーッ!」」」飛び散る榴弾めいた破片を三人はバック転回避!ワザマエ!

「「「フーッ……」」」三人はザンシンする。だが火口からは次々とマグマ・ゴーレムが現れ、登ってくる!「逃げましょう!」「「ハイ!」」三人は急いで車へ戻る。「行くわよ!」ギャルルルル……!車はタイヤからスパイクを伸ばし、熔岩や砂礫、火山灰をものともせずに登っていく。

 次第に周囲は闇に包まれ、逆巻く暗雲からは吹雪と01が舞い散る。一行は凄まじいニンジャアトモスフィアの高まりを感じ取る。「なんか……上から見られてる感じが、する」「ああ……」バンブーエルフとイグナイトが頭を押さえ、苦悶した。ユカノもだ。「何か……思い出しそうな、気がします」

 フェイスフルは憑依したニンジャソウルが低級なのか、苦痛は感じはしないものの、何か恐ろしいものに見られている感覚はある。ナンシーも頭痛を感じているようだ。「ニューロンがチリチリするわ……磁気嵐の中にいるせいもあるけど」やがて、車は山頂の南側に到達する。そこにいたのは。

『ン?なんだ?』「おやおや、これは珍しいお客人だ」ローブを纏った、顔と輪郭の不明瞭な人影と、背の高い老人めいた人影。どちらも強烈なカラテと存在格を放っており、ただ者ではない。年老いた人影が先んじてアイサツを繰り出した。「クキキキキ……ドーモ、ケイトー・ニンジャです」​

 続いて、ローブを纏った存在がアイサツした。『ドーモ、サツガイです』

 さらに、岩の陰から新たなニンジャが姿を現した。銀色の頭髪、軍服めいた装束。背が高くてバストの豊満な美女だが、瞳がぐるぐると動き回っている。自我が不安定なようだ。カラテは、他の二人より遥かに劣る。「アイエエエ……ど、ドーモ……俺は、スペルバウンドです。助けてくれ……」

 三人は、こちらに敵対する気はないようだ。もしイクサになったとしても勝てる相手では断じてない。ユカノは慎重に代表アイサツした。「ドーモ、私はドラゴン・ユカノです。フジサンに異変が起きていることを察知し、ドージョーの仲間を率いてやってきました。何をしているのですか」

「クキキキキ……!」ケイトー・ニンジャは不快な笑い声をあげた。「なんとまあ、あの彼女が、こんなとは!始末するのはベイビー・サブミッションだが、それもカワイソウ。ま、せっかくだから見ていくがいい!」彼は右手で天を指差す。「あれなるはキンカク・テンプル。ヌンジャの御座所」

 ずきん。ユカノの頭痛が激しくなる。「ヌンジャこそ、ニンジャの始祖。神代のイクサをお忘れかな。あなたもそこにおられたはず」「くうッ……」「そこのニンジャソウルどもはどうか知らぬが、あなたは確実におられたはずだ。ユカノ=サン。否……クキキキキ!」『おい、いいか。始めるぞ』

 サツガイが手招きする。彼は、ケイトー・ニンジャよりも強大なニンジャのようだ。「わかりました。少々人数が足りませぬが、あなたの御力があれば充分でしょう。彼女もいますし、なんなら彼女らも」手出しができる状況ではない。だが、このまま彼らの計画を見過ごすのは、絶対にまずい!

 ケイトー・ニンジャはスペルバウンドの首根っこを引きずり、サツガイとともに、半壊状態の巨大なトリイに近づく。少なくとも数千年前、平安時代初期に築かれたという、謎めいたトリイに。「さあ、オヒガンの門が開け、あの御方がお戻りになられるぞ。人の世は終わり、ニンジャの世が来る!」

「アバ、アバババ……!」スペルバウンドが悶絶する。彼女……彼のジツは、まさにオヒガンの門を開けるための鍵と言ってよい。それがオモイ・ニンジャの手に入るとは、運命というほかない。「しかしヒデリ・ニンジャ=サンやゴグウ・ニンジャ=サンとは連絡がつかぬが、磁気嵐のせいかな?」

 ケイトー・ニンジャは西のほうを見やる。そこに、人影があった。燃える炎のように輪郭は不確かで、赤黒い。「ふむ?」西側で儀式の補助をしていた彼らに少し似ているが、どうも違う。あれは……?人影が、消えた!ケイトー・ニンジャはスペルバウンドから手を離す!

『Wasshoi!』

『イーヤヤヤヤヤ!』「イーヤヤヤヤヤ!」アンブッシュからの猛烈な連続攻撃を、ケイトー・ニンジャは全て弾き返す!タツジン!「ドーモ、ケイトー・ニンジャです。なにやつ!」アンブッシュ者は凄まじいキリングオーラを放ち、アイサツした。『ドーモ、ナラク・ニンジャです……!』

02

「ナラク・ニンジャ……聞いたことはあるな」ケイトー・ニンジャは唸る。「平安時代に突如現れ、数多のニンジャを殺戮したという」『然様。儂は、全てのニンジャを殺すニンジャ、ニンジャスレイヤーだ。当然オヌシも殺す。ソウカイヤ、ザイバツ、ドラゴン・ドージョー。全て滅ぼす』

 ナムアミダブツ!『そして無論、ヌンジャを……カツ・ワンソーを殺す!ニンジャ殺すべし!グググ……グググハハハハ!』「ンアーッ!」ユカノが頭を抑えて倒れ込む!凄まじいキリングオーラとニンジャ存在感、そして禁じられたヌンジャの名を聞いたために、記憶が混乱しているのだ!

「フン。そのようなことは、誰にもできぬ」ケイトー・ニンジャはカラテを構えた。指先に緋色の稲妻が閃く。『否。カツ・ワンソーがいかに滅んだかを知っておろう。殺せる』ナラク・ニンジャもカラテを構える。「ならば、おとなしく待っておればよかろう。我らはあの御方を再臨させんとする者」

 ケイトー・ニンジャが嘲笑う。「そして、あの方を見よ。あれなるは、サツガイ=サン。ヌンジャの影にして権化なる存在。貴様のカラテでは、あの方の足元にも及ばぬわ!」フェイスフルたちは固唾を呑んで見守り、ユカノとナンシーをかばう。この場に長居するのは危険すぎる。だが!

「ニンジャ、スレイヤー」フェイスフルがつぶやく。ユカノとナンシーも頷く。あれはニンジャスレイヤー。ナラク・ニンジャ。ドラゴン・ゲンドーソーによってフジキド・ケンジの中に封じ込められていた、太古の邪悪なるニンジャソウルだ!ユカノはあれに遭遇し、殺されかけたことさえある!

 ならば、フジキド・ケンジはどうなった。死んだのか、消えたのか、それとも。「ユカノ=サン。どうします」「……逃げるわけには……行きません。私だけでも、彼を……フジキドを……呼び戻さねば」「あのニンジャたちに立ち向かえるのは、あの状態の彼だけよ。ウカツに呼び戻せば……」

 ナンシーは必死でニューロンを回転させる。ニンジャたちのカラテでかばわれているとはいえ、相手は桁が違う。格が違う。彼らのイクサに巻き込まれれば、ユカノたちも死ぬ。「漁師がカチグミ。ナラク・ニンジャ=サンがあいつらを撃退したあとで、呼びかけましょう」「わかりました」

『ググググググ……!』「クキキキキ……!」ナラク・ニンジャとケイトー・ニンジャ、両者の間の大気が歪む!一撃必殺アトモスフィア!

「イヤーッ!」ケイトー・ニンジャが飛びかかる!緋色の稲妻を纏った拳が閃き、凄まじい連打を浴びせかける!「シューシュシュシュシュ!」『グワーッ!』ZZZT!命中!ナラク・ニンジャがうめく!『ヌウーッ、こやつの肉体が限界か……なんたる脆弱!』「クキキキキ!ほーれ見たまえ!」

 だがナラク・ニンジャは獣じみて低い姿勢を取ると、色付きの風と化してケイトー・ニンジャへ飛びかかる!『AARGHHH!』ハヤイ!「ぬうっ、うっ、グワーッ!?」ケイトー・ニンジャは捌ききれず痛烈なダメージ!黒く燃える炎が脚を焼き、パンチを食らって弾き飛ばされる!ゴウランガ!

「チィーッ!ならば!イヤーッ!」ケイトー・ニンジャは連続側転でさらに距離をとり、緋色の稲妻を纏ったスリケンを連射!『グワーッ!』ZZZT!命中!双方ともなんたる強さ!「ちょうどよいハンデよ!」

『イヤーッ!』ナラク・ニンジャは連続側転で追いかけ、スリケンを投擲!「イヤーッ!」回避!「クキキ!貴様は射撃戦に比較的弱い!」ケイトー・ニンジャは嘲笑い、サツガイから離れた位置へとナラク・ニンジャを誘う!

「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』稲妻と黒炎を放つ竜巻と化してスリケン応酬!

 そして!「イヤーッ!」ZZZT!『グワーッ!』ナムサン!ケイトー・ニンジャのスリケンがナラク・ニンジャにまたも命中!「クキキキ!手数と威力が違う!」『ヌウーッ!』ジリー・プアー!否!『イヤーッ!』「イヤーッ!」追撃のスリケンをブリッジ回避!ワン・インチ距離へ飛び込む!

『イイイヤァーーーッ!』「グワーッ!」凄まじい連打!ケイトー・ニンジャは致命的な打撃を捌くが躱しきれぬ!不浄の炎がまとわりつく!『ググググググ……追いついたぞコワッパ!カラテを見せよ!』「ヌウーッ、ナメるな!ケイトー・ニンジャの武を畏れるがよい!」カラテがみなぎる!

「……スゴイ」フェイスフルは震える。神代のニンジャたちのイクサは、あんなにも凄まじかったのか。加勢するなど不可能だ。たちまちネギトロにされてしまう!「アイエエエ……!」『おい、どこへ行く』スペルバウンドはユカノたちに助けを求めようとするが、首根っこをサツガイに掴まれた。

『俺とお前がいないと、門が開けないだろ。ガンバレ』「アッハイ」スペルバウンドは涙とヨダレと鼻水を垂らし、瞳がぐるぐると回転している。オヒガンが接近し、彼/彼女を操るオモイ・ニンジャのパワーも増大しているのだ。『始めるぞ』「ヨロコンデー」二人は巨大なトリイに両手を掲げた。

 黒雲と吹雪と雷鳴の中、地水火風は激しく変動する。大地は揺れ動き、あちこちで稲妻と竜巻が起こる。サツガイとスペルバウンドは、同時に同一の呪文を紡ぎ出す。門を開くための禁断のコトダマを。

EL ELOHIM ELOHO ELOHIM SEBAOTH
ELION EIECH ADIER EIECH ADONAI
JAH SADAI TETRAGRAMMATON SADAI
AGIOS O THEOS ISCHIROS ATHANATOS
AGLA AMEN

 呪文が完成した。トリイの中がまばゆく光り輝き、黒い闇に覆われる。それは聞いた者の魂を削り取るような轟音と共に、ゆっくりと開いた。

 その時、フジサンの上空を見上げたものは、恐るべきものを見……正気を失った。ゴーン・ゴーン・ゴーン。ゴーン・ゴーン・ゴーン。鐘めいた音が反響する空は黄色かった。空を染めるのは太陽ではない。太陽はタイ・ジイの影に過ぎない。黄金立方体が輝いている。その光だ。

 黄金立方体から横へ伸び……曲がりくねって、少しずつ、少しずつ下降する道は、大いなるものたちの為の道だった。ダイミョ行列、ヒャッキ・ヤギョ、ワイルドハント……。それはモータルが正視してはならぬ圧倒的な事象である。すなわち、リアルニンジャの行進である。

 行列の先頭をゆく矮躯の存在は片手にチョウチンを掲げ、片手に鈴を持って、「エイッ! エイッ! 火の用心!」と叫んでいる。これはセンド・ニンジャ。ヒャッキ・ヤギョの先頭をゆくのは常にこの者である。その少し後に、さらなるリアルニンジャ達が連なる。

 ニンジャ装束と頭巾を身に着けた彼らの姿は人に近い。その身体が極めて大きい者も居れば、モータルと変わらぬ者もいる。角を生やした者、長い手で奇妙な印を描く者、ケラケラと笑う者。ヤイバ・ニンジャ。アラシ・ニンジャ。クロヤギ・ニンジャ。サナダ・ニンジャ。パズズ・ニンジャ。

 徒歩の者がほとんどだが、なかには馬上の者、牛車にひかせる者もある。どれも邪悪である。正視してはならぬ。「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ……!」フェイスフルはブッダに祈る。マッポーカリプスだ。古事記に予言されし世界の終末、マッポーカリプスが到来したのだ……。

『MWAHAHA……BWAHAHAHAHAHA!』明らかに尋常ではない周波数の笑い声。その笑いには力があった。荒涼とした砂漠の色のマントを風になびかせ、サツガイはトリイに向かって両腕を広げた。砂漠色のフードの下は闇であり、そこに宇宙めいて無限の星々が瞬いている。彼は笑い続けた。

「ブッダ……オーディン……クライスト……!」山頂西側、ヴァレイ・オブ・オオサワの頂上。ハウスバーナーは息を呑んだ。直視してはならないものが、噴煙の彼方で蠢いていた。「見てはダメ」ヤモトが手を引っ張る。「何よ、アレは」ポイズンバタフライは薄目を開け、直視しないよう山頂を見た。

 ナラク・ニンジャは、彼らを無視して通り過ぎた。けれど。「起きてはならないことが起きている」ヤモトは震えていた。涙を流していた。人の世が終わる。古事記に予言されしマッポーカリプスだ。このままでは、アサリが死ぬ。守りに行かねば。「止めなければ」「どうやって」「待って」

 三人は周囲に気配を感じた。不気味な影が蠢いている。それは空から火山弾めいて降り注ぎ、あるいはひび割れた地面から湧き出し、実体化しつつある。漆黒の装束と黒漆塗りの防具。ニンジャである。だが顔はなく、声を発することもない。「……ニンジャソウルだ」ヤモトがつぶやく。

「俺たちに憑依したニンジャソウルも、こうやって降って来たのか」ハウスバーナーは覚悟を決め、ナイフを構える。一発でも食らえばオシマイだが、まだ戦える。ヤモトとポイズンバタフライもカタナを構えた。エンハンスの炎も光も、もはやなし。だが、カラテがある!

「「「イイヤアァーーッ!」」」SLASHSHSHSHSH!三人の刃が閃き、顔なきニンジャたちを切り刻む!「「アバーッ!サヨナラ」」二体が爆発四散!だが一体が残存!ハウスバーナーへ飛びかかる!「アミーゴ!」KRASH!サソリ・キックで迎撃!ZANKZANKZANK……周囲に新手が三体出現!

「「「イイヤアァーーッ!」」」SLASHSHSHSHSH!三人の刃が閃き、顔なきニンジャたちを切り刻む!「「「アバーッ!サヨナラ」」」三体が爆発四散!一体が残存!ハウスバーナーへ飛びかかる!「アミーゴ!」KRASH!サソリ・キックで迎撃!「サヨナラ!」爆発四散!「まだ来るか!?」

 ZANKZANKZANK……周囲に新手が三体出現!「きりがないわ!」「こいつらを相手にしてもしょうがねェ!……トリイの近くに、車が止まってるぞ」「車?こんな、フジサンの頂上に?」「そっちへ行こう!」ヤモトが頷き、二人も頷く。ここにとどまっていれば、囲んで殴られるばかりだ!

「「「「「ンアアアーーッ!」」」」」ユカノたち五人は、頭を抑えて狂い悶える。彼女たちの周囲には、顔なしニンジャたちは出現していない。トリイから放たれるエテルが強すぎるのだ。上空からキンカク・テンプルが近づき、ヒャッキ・ヤギョが降りてくる。目指すは、フジサン山頂の大トリイ。

 あれが地上に降り立てば、人の世は終わる。リアルニンジャが一人顕現するだけでも、ネオサイタマが滅ぶかも知れぬ。それほどの存在だ。そして、ユカノは……!「フジキド……!お祖父様……!」ケイトー・ニンジャのコトダマによりユカノの自我が乱れ、記憶が01に侵蝕される!「私……私は……!」

「スゥーッ……ハァーッ……!」ユカノは、チャドーの呼吸を行った。ヘイキンテキを保たねば。今、自分に何ができる。あのリアルニンジャの言葉は。惑わされるな。お祖父様なら、フジキドなら、どうする。ドラゴン・ドージョーの跡取り、ユカノならば。「止め、なければ」顔をあげる。

 ユカノは、車の外へ飛び出す!「キエーッ!」岩場を駆け抜け、トリイの前へ!黒くそびえ立つ熔岩柱を足場に三角飛び!サツガイめがけトビゲリを放つ!ドラゴン!『なんだ、お前』サツガイが振り向き、片手で受け止めた。『昔ならともかく、そのカラテで何ができる』ユカノへ掌を向ける。

「ユカノ=サン!」フェイスフルが叫ぶ!彼女を、止めなければ!「行きなさい」ナンシーが頭を抑えながら言う。「彼女に、加勢して!あの現象を止めなければ!」「「「了解!」」」三人のニンジャたちも車を飛び出す!

03

『死ねよ』サツガイはユカノへとハッポースリケンを多数連射!バシュシュシュシュ!「キエーッ!」バック転回避!その勢いを利用して、再びのトビゲリ!ドラゴン!『グワーッ!?』命中!「カラテが届くのなら、殺せますね」『やめろ!俺を誰だと思っている!?』「邪悪なニンジャです!」

「こっちから行くぜ!イヤーッ!」イグナイトは空中にカトンの輪を作り出すと、その中に飛び込みサツガイの懐へ瞬間移動!「くたばりやがれーッ!」KRATTOOOM!凄まじい威力のカトンが爆発した!『グワーッ!?』命中!「い、イヤーッ!」スペルバウンドは辛うじて回避!

「イヤーッ!」フェイスフルがトビゲリ!『グワーッ!?』命中!タタミ5枚ぶん蹴り飛ばされる!バンブーエルフは周囲の濃密なエテルとアクセスし大地のエネルギーを呼び覚ます!「タケノコ・ジツ!キエーッ!」バシュシュシュ!地面から鋭利な岩めいたタケノコが伸びてサツガイを襲う!

『イヤーッ!』サツガイは跳躍回避!『ええい、バチ当たりどもめ!神祖の影たるこの俺様に、なんたる仕打ち!』四人のニンジャは、決断的にカラテを構えた。「フェイスフル=サン。スペルバウンド=サンを担いで、車へ戻りなさい。彼女は利用されているだけのようです。おそらく」

『そうはさせないよ!』スペルバウンドの顔つきが、髪の色が、変化した。『アハァ、アハァ、アハァ!ドーモ、オモイ・ニンジャです!』

「ドーモ、ドラゴン・ドージョーです」代表アイサツ。『これから面白いところだってのに、邪魔なんかさせるもんか!』オモイ・ニンジャは両腕を広げた。スペルバウンドに取り憑いているリアルニンジャ、というわけか。『この自我と肉体は、パープルタコ=サン。あんたたちと縁があるねェ』

「どういうことです」『説明するのもめんどくさいね。とにかく、全員カナシバリにして……ンアーッ!?』「やめろ!やめろ!俺だ!」

 スペルバウンドの髪の色が銀色に戻る。肉体と自我の制御権を巡って争っているのだ。それはまるで……!「ユカノ=サン!サツガイを倒すのは無理だ!俺を!この肉体を!ブッ殺せ!」スペルバウンドは必死で訴える!

『ええい、めんどくさい!イヤーッ!』サツガイはユカノへとハッポースリケンを多数連射!バシュシュシュシュ!「キエーッ!」バック転回避!その勢いを利用して、スペルバウンドへとトビゲリ!ドラゴン!『グワーッ!』命中!オモイ・ニンジャは回避しようとするが間に合わぬ!『ファック!』

「いいぞ!燃えちまえーッ!」イグナイトが再びグレーター・カトン・ジツを発動!KABOOOM!『い、イヤーッ!』オモイ・ニンジャはギリギリで肉体を奪い、必死で避ける!この肉体が、端末がやられれば、現世に介入する手段が失われる!不滅ゆえ滅びはしないが、今のこの自我が失われる!

「キエーッ!」フェイスフルがトライアングル・リープからのヤリめいたサイドキック!『い、イヤーッ!』ゴウランガ!スペルバウンド、オモイ・ニンジャは間一髪で回避!だが体勢を大きく崩している!「トドメヲサセ!」『や、ヤメロ!ヤメロ!マッタ!』肉体とシルバーキーが邪魔をする!

 バンブーエルフは両掌を地面につき、大地のエテルを汲み上げる!「タケノコ・ジツ!」バシュシュシュシュ!熔岩めいた燃えるタケノコがトリイの下から伸び、スペルバウンドの、パープルタコの、オモイ・ニンジャの肉体を刺し貫く!『アバーーッ!サヨナラ!』KABOOOOOM!爆発四散!

 オモイ・ニンジャとパープルタコのニンジャソウルが、キンカク・テンプルへ昇っていき、途中で再び実体化してヒャッキ・ヤギョに加わる。あれを止めねば。しかし、どうやって。『止め……ねェと。この、ジゴクを』トリイの下で、銀色の影が揺らめいた。『時間がねえんだ。俺が、やるしか』

 スペルバウンドから分離した影は、一瞬、若い男のニンジャの姿となり、銀色の01に分解した。それは銀の鍵めいた形状に変わり、トリイの中の闇へと突き刺さる。『01101101イイヤアァーーッ!011011011』KRAAAAASH!『おお?』サツガイが驚く。『なんだ、お前』『0110011俺だ00110001』

 同時刻、フジサン山頂、キモンの方角。火口を巡りながら、二人のニンジャが高速で死闘を繰り広げていた!「イヤーッ!」『イヤーッ!』

「シューシュシュシュシュ!」『グワーッ!』ZZZT!命中!ナラク・ニンジャがうめく!「クキキキキ!やはり幾分こちらが有利!」ケイトー・ニンジャは嘲笑う!いかにナラク・ニンジャといえど分が悪いか!

『ニンジャ……殺すべし!』ナラク・ニンジャは両腕に大型ブラスナックルを生成し、不浄の黒炎をまといつかせる!コワイ!『イイイヤーッ!』強烈な連続攻撃!「シューシュシュシュ!」だがケイトー・ニンジャは華麗に回避!タツジン!「クキキキキ!当たらねばカラテもジツも意味はない!」

「シューシュシュシュシュ!」ZZZZTTT!ケイトー・ニンジャは緋色の稲妻を拳に纏わせ凄まじいラッシュ!『グワ、アバーッ!』ナムアミダブツ!ナラク・ニンジャは打ちのめされ、緋色の稲妻を体内に注ぎ込まれる!『グワーッ……!オノレ!』このままでは爆発四散してしまう!「クキキキキ!」

『全ニンジャ……殺す……べし!イイイイヤァアアアーーーーッ!』ナラク・ニンジャは死にものぐるいのカラテを振るう!ケイトー・ニンジャのワン・インチ距離へ飛び込み、ブラスナックル連打!「グワ、グワッ、アッバーッ!?」サツバツ!ケイトー・ニンジャはくの字になって吹き飛ばされる!

「ぐうッ……!」くるくると回転し着地!「相当の……ダメージだが……!貴様のほうは爆発四散寸前!私はまだまだ元気いっぱいだ!ここから再びお鉢めぐりのスリケン勝負と行こうではないか!クキキキキ!」

 ケイトー・ニンジャは距離をとりつつスリケン連射!ZZZT!ZZT!『グワ……アバーッ!』ナムサン!さしものナラク・ニンジャも躱しきれず、ついにうつ伏せに倒れる!「フーッ、手こずらせてくれたな……ン?」ケイトー・ニンジャは、周囲と上空の様子がおかしいことにようやく気づく。

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 黄金立方体から降り来るヒャッキ・ヤギョ、リアルニンジャの群れの先頭で、センド・ニンジャが訝しんだ。トリイの様子がおかしい。闇と01に覆われていたトリイの内側が、銀色の鏡のように輝いている。そこへ、ニンジャソウルが引き寄せられ、弾き返され、揺り動かされる!「なんじゃ!?」

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『ええい、なにをする!やめろ!』サツガイがトリイの中へ手を伸ばす!『楽しみの邪魔をするな!』その時。「「「イヤーッ!」」」

 山頂西側からスリケン!さらに01で編まれた桜色のフェニックスが飛来!『チッ、イヤーッ!』サツガイは手を振るい、存在格で弾き飛ばす!だが隙ができた!トリイの中から腕が伸び、サツガイを捕まえた。『ア?』腕はそのまま、サツガイを引き入れる。トコヨ、アノヨ、オヒガンの彼方へ。

『011100100101……』サツガイは、連れ去られた。

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 同時刻。磁気嵐の荒野の奥、実験都市「ゼン・ドーム」地下制御室。ニューク・ジェネレーターがフル稼働し、旧世紀のUNIXのパワーを呼び覚ます。巨大なモニタに映る浅黒い肌の男は、無感情な声で命令を下した。『目標、フジサン上空、磁気嵐の渦』「了解!発射します!」スイッチオン!

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 次の瞬間、フジサンの麓から強烈な電磁光線が発射され、磁気嵐の渦を貫いた!「なんじゃ!?」「どうした!?」ヒャッキ・ヤギョは混乱し、散り散りになり、01に分解していく!不安定なニンジャソウルは現世へ顕現する力と出口を失い、キンカク・テンプルへ引き戻されていく!「アナヤ!」

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 その時。トリイの前にはドラゴン・ドージョーのニンジャたちが残されていた。スペルバウンドは爆発四散し、サツガイと銀色のニンジャはトリイの中へ消え去った。銀色の輝きは失せ、ヒャッキ・ヤギョも消え、磁気嵐の渦が去り、キンカク・テンプルも見えなくなっていく。

 火口からの噴煙が、強い風に吹き飛ばされて晴れていく。トリイの中は通常の空間に戻った。その彼方には!ユカノは、ニンジャ視力でそれを見た。破滅的な事態は過ぎ去ったが、ニンジャスレイヤー、ナラク・ニンジャは、フジキド・ケンジは。うつ伏せに倒れ、カイシャクされる寸前だ!

「フジキド」ユカノはつぶやき、叫んだ!「フジキドーッ!

 その叫びは、ナラク・ニンジャの、ニンジャスレイヤーの、フジキド・ケンジの耳に、かすかに届いた。「……勝負は私の勝ちのようだが、ヌンジャ降臨という目的は果たせなくなったようだな。まあいい、時間はいくらでもある。やり直しは効くさ」ケイトー・ニンジャは舌打ちする。「サラバ!」

 ……その時!

 どくん。ナラク・ニンジャの、ニンジャスレイヤーの心臓が、大きく鼓動した。うつ伏せに倒れた肉体が大きく跳ね上がり、リブートする!ケイトー・ニンジャが退いた。「まだ余力を残していたか。しぶといやつ」「……ドーモ、ケイトー・ニンジャ=サン。ニンジャスレイヤーです」

 ゴウランガ……!フジキド・ケンジの自我が目覚め、ナラク・ニンジャから肉体の支配権を奪い返したのだ。しかもナラクの暗黒カラテと、フジキド自身のカラテを併せ持つ。トモエめいた共振状態だ!「ドーモ、ケイトー・ニンジャです。……マッタ。これ以上イクサをする意味はなかろう」

 ケイトー・ニンジャは状況判断し、掌を向けて後じさる。こちらがやられる気はしないが、厄介な相手だ。手負いゆえ余計に面倒。「ニンジャ、殺すべし……!」ニンジャスレイヤーはジュー・ジツを構えた。しかし飛びかかってくる様子はない。彼も満身創痍であることに変わりはないのだ。

 この状態で倒されれば、爆発四散するだろう。ナラクもフジキドも、それは望まない。「……サラバだ、ニンジャスレイヤー=サン」ケイトー・ニンジャは頷き、バックステップで崖から飛び降りた。ニンジャスレイヤーは、追わない。シャチホコ・ガーゴイルのように動かず、周囲を警戒している。

「フジキド……!」ユカノは涙を流し、駆け寄ろうとする。「待った。西側から、誰か来るわ!」ナンシーが頭を抑えて叫び、指差す。そこにはカタナを持った少女の姿のニンジャと、二人の剣呑なニンジャたち。なぜここに。「へっ、まだまだ元気一杯だぜ。焼いてやらァ!」イグナイトは笑う。

「さっき、サツガイへスリケンやカラテミサイルを放った者たちですね」ユカノは頷く。敵か味方か。「フジキド=サンも、今近づけば危険かも。こっちを先に」フェイスフルも状況判断し、カラテを構えた。だが三人の新手は武器をしまってオジギし、両掌を合わせてアイサツを繰り出した。

「戦う気はない。ドーモ、アタイはシ・ニンジャ、ヤモト・コキです!」「ハウスバーナーです」「ポイズンバタフライです」

04

 シ・ニンジャ。ユカノは眉根を寄せた。01101フジサン100101シ・ニンジャ100110……頭の中に、古代のニンジャたちの記憶が蘇る。ジグソーパズルのパーツが少しずつ組み合わさり、意味のある形をとる。そうか。自分は。「ドーモ、シ・ニンジャ=サン。私は……ドラゴン・ニンジャです」

 合掌し、オジギし、アイサツを返す。記憶は未だ断片的。それでも、自分がどういう存在であったか、おぼろげにわかってきた。「「「え」」」フェイスフル、バンブーエルフ、イグナイトは驚く。ドラゴン・ドージョーの長として、偽名を名乗ったということか。そして……あのニンジャたちは!

「後ろの二人は、ソウカイヤです。クロスカタナ紋のバッジをつけている」フェイスフルは震え上がった。自分はソウカイヤのヌケニンだ。見つかれば殺される。何より、ドラゴン・ドージョーが存続し、ニンジャスレイヤーやナンシー・リー、ザイバツニンジャと手を組んでいると報告されれば。

「ふぅん。けどあいつら、満身創痍じゃねェか。なら話は簡単、殺っちまおうぜ。死人に口なし」イグナイトが好戦的に笑う。「ハンズアップしてるんだし、話ぐらい聞いてあげましょうよ」「ケッ。あ、アタシたちはアイサツしなくていいのか?」「ユカノ=サンが代表アイサツしたから……」

 ニンジャスレイヤーは動かない。三人のニンジャたちは近づいてくる。「そこで止まりなさい。後ろの二人は、ソウカイ・シンジケートのニンジャのようですが、なぜここに?」ユカノは警戒しつつ、厳しく問いかける。「成り行きだ。ご覧の通り満身創痍、戦う気はねえ」「信じてほしいわ」

「では、シ・ニンジャ=サンは」「フジサンはアタイの領域。何が起きているのか、確かめに来ただけ。無事解決したみたいだけど」「こっちも大変だったのよ。リアルニンジャとのイクサ続きで……」リアルニンジャとイクサをして、生き残るほどのカラテ。そして、シ・ニンジャのソウル憑依者。

「……では、帰りなさい。問題は一応解決したようです。状況を説明するには、私たちの知識は足りません」「あなたが……ドラゴン・ニンジャだというのなら、アタイの、シ・ニンジャの知識を……」「下山しなさい。私たちの車は定員オーバーです」ユカノはカラテを構える。「ブッダも怒ります」

 フジキドは、ニンジャスレイヤーは、あのままにしておいたがよかろう。ウカツに近づけば危険だ。このままナンシーの車に戻り、下山し、ネオサイタマへ帰還すべし。だが……その時。

 山頂北東、キモンに立つニンジャスレイヤーは、アイサツを繰り出した。「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」相手は!

「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ダークニンジャです」「プロミネンスです。なぜ貴様がここに!」

 ニンジャスレイヤーはジュー・ジツを構えた。「説明はせぬ。ニンジャ、殺すべし……!」全身にカラテがみなぎってはいるが、実際満身創痍。もしもう一度打ち倒されれば、彼は爆発四散するだろう。「……よかろう」ダークニンジャとプロミネンスもカラテを構えた。一撃必殺アトモスフィア!

「イイイヤァアアアーーーッ!」ニンジャスレイヤーはプロミネンスへ飛びかかり、凄まじい連続攻撃を繰り出す!ドクン!「イヤーッ!」プロミネンスはアドレナリンを過剰分泌させ、紙一重ブリッジ回避!

「イイイヤァアアアーーーッ!」ダークニンジャは業物のカタナを振るい、凄まじい連続攻撃を繰り出す!急所、両脚、両腕!ドクン!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはアドレナリンを過剰分泌させ、紙一重ブリッジ回避!

「イイイヤァアアアーーーッ!」プロミネンスはニンジャスレイヤーへ飛びかかり、凄まじい連続攻撃を繰り出す!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはジュー・ジツとアドレナリン過剰分泌により回避し、迎撃のキックを繰り出す!「イヤーッ!」プロミネンスはクロス腕防御!「ナメるな!」

「ふむ、実際強いが……二人がかりなら、倒せなくはないか」ダークニンジャは冷静に戦力を見極める。「ああ!」プロミネンスは力強く頷く!いかにナラクと共振状態といえど、実際不利!「フジキド」ユカノはそれを見る!「加勢します!」「了解!」距離はかなり離れているが、スリケンならば!

「イイイヤァアアアーーーッ!」ニンジャスレイヤーはプロミネンスへ飛びかかり、凄まじい連続攻撃を繰り出す!「グワ、アバーッ!?」ニンジャスレイヤーの両拳に生成された黒炎のブラスナックルが、プロミネンスのクロス腕ガードをぶち破り、顔面にブチ込まれる!KRASH!KRAASH!

「アババババーーーッ!?」プロミネンスの両腕が切断され、メンポが砕けて顔面が破壊される!さらに黒い炎が注ぎ込まれる!「ニンジャ殺すべし」「アバーッ……サヨナラ!」KABOOOOOM!プロミネンスは火山噴火めいて一撃で爆発四散!ナムアミダブツ!ナムアミダブツ!

「ば、バカなーッ!?」ダークニンジャは驚愕!シックスゲイツの「六人」の一人が、一撃で!信じがたい威力!(何度か撃退した時のヤツではない。ヤツが、妖刀ベッピンを折った時のようなカラテ……!)「次はオヌシだ、ダークニンジャ=サン。妻子とセンセイの仇め……!」

 そして、さらに!「「イヤーッ!」」ユカノとイグナイトがスリケンを連射!「ヌウッ、グワーッ!?」ダークニンジャに命中!やや遠くから複数のニンジャの気配!「チッ、ここまでか!オタッシャデー!」ダークニンジャは不利を察し、連続側転で離脱した。ニンジャスレイヤーは……追わない。

 戦いは、終わった。ヤモトたちは状況判断して、いずこかへ逃げ去った。いずれ出会うこともあろう。ニンジャスレイヤーは……踵を返し、トリイの前へ駆け寄る。「フジキド!」「ニンジャスレイヤー=サン!」「無事か」「ハイ!」「エート、ハジメマシテ。イグナイトです」

 イグナイトがおずおずとアイサツする。「……ドーモ、ニンジャスレイヤーです」「か、彼女は味方です!我々を援護してくれました!」ユカノがかばう。「そうか。……ドーモ」ニンジャスレイヤーはオジギし、そのまま倒れ込んで気絶した。激戦死闘の連続で、彼の肉体も限界を迎えたのだ。

「フジキド!」ユカノは駆け寄り、助け起こした。息はある。「どうやら、一件落着のようね。……帰りましょう!ネオサイタマへ!」ナンシーが拳を突き上げた。「ハイ!」「「「ワオーッ!」」」世界は破滅から救われた!ドラゴン・ドージョーの、ニンジャスレイヤーの勝利だ!

 磁気嵐や重金属酸性雲は強い風に吹き払われ、東から太陽が昇ってくる。夜明けだ。フェイスフルは朝日へ合掌し、オジギして涙を流した。

【ドラゴン・ナイト】終わり

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