忍殺TRPGリプレイ【マーセナリー・スクラッパー】02
前回のあらすじ:ネオサイタマ・キョート戦争の前線基地、ナゴヤ・ディストリクト。オムラ系列企業のライジン社は傭兵たちに試作兵器を使用させてデータをとっていたが、オムラの敵オナタカミに情報が漏洩した。ライジン社は早速エージェントを派遣し、スパイ被疑者の調査に乗り出すが……。
◆
ナゴヤ・シティ南部、アツタ・シュライン地区。被疑者の残る一人、中流傭兵のウカイはここにいるはずだ。彼の出身地ケオサキはオナタカミ本社要塞から目と鼻の先にあり、オナタカミの企業兵と小競り合いとはいえ接触している。今回の件では一番容疑が濃い人物だ。キアイを入れねばなるまい。
「……ふむ、それで私が疑われていると?」ウカイは意外にも紳士的に対応した。「ああ。潔白なら問題ないだろ。調査に協力してくれ。……って、ライジン社が」フクトは肩をすくめた。「確かに、私を疑う理由はあるなあ。とはいえ、私の生体LAN端子にアクセスはさせんぞ。気に食わんからな」
フクトは……何か、嫌な予感がした。アウトローとしての、傭兵としての直感だ。彼はとっさに防御姿勢をとる!「イヤーッ!」FLASH!KABOM!「「「グワーッ!」」」ナムサン!閃光手榴弾だ!ウカイはその隙に自分のアパートの窓から逃走!「クソッタレ!逃がすか!」フクトは追跡を開始!
???
「イヤーッ!」フクトは逃げるウカイを追って窓から身を躍らせる!ここは雑居ビルの6階、常人なら地面に激突して死ぬが、2人はサイバネで肉体や神経を強化した手練れだ!「「イヤーッ!」」壁を蹴り、電柱を蹴り、分厚く編まれた電線を足場として空中を駆け抜ける!なんたる機敏な動きか!
ウカイは見た目に比べ俊敏だが、脚部をサイバネで強化したフクトがわずかに勝る!「「イヤーッ!」」KRASH!2人は廃倉庫の窓を突き破り、タタミ数枚の距離を置いて対峙した!ハンザキたちは閃光手榴弾で無力化され、ここまでは追いついていない!IRCで位置情報は送っているが……!「おい」
フクトはカラテを構え、ウカイに質問した。「結局、あんたがオナタカミに情報を流したってのはマジのようだな。なんでだ?」「カネだ」ウカイは油断ならぬアトモスフィアを漂わせ、答えた。「私はもともと、オナタカミの新兵器の情報をライジンやオムラに売っていた。だが報酬が少なかった」
「シンプルだな。コウモリめ」「他に何がある。貴様とてフリーの傭兵で、オムラに忠誠心があるわけもなかろう。ここは見失ったことにして見逃せ」ウカイは交渉をもちかけた。「互いに恨みもない。誰か別の者を犯人に仕立てればよかろうが」フクトは少しためらったが……首を、横に振った。
「それが俺にならねえ保証はねェんだ。悪いが捕まえさせてもらう」「ならば、全力で抵抗させてもらうぞ!」交渉決裂!一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
敵戦力
◆ウカイ(種別:モータル)
カラテ 6 体力 6
ニューロン 6 精神力 6
ワザマエ 5 脚力 3
ジツ - 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 7/ 7/ 7/ 8
回避/精密/側転/発動 7/ 6/ -/ -
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
◆ショットガン:小銃、ダメージ2
▶サイバネアイLV1:ワザマエ+1、射撃時さらに+1
▶生体LAN端子LV1:ニューロン+2、イニシアチブ+1
▶︎テッコLV1:カラテと回避+1
◇スキル
◉知識:重工系メガコーポ、銃器、サイバネティクス
◉交渉:威圧
能力値合計:17
1ターン目
「「TAKE THIS!」」BLAMBLAMBLAMBLAM!両者はほぼ同時にショットガンを構え、撃つ!互いに生体LAN端子とサイバネアイをインプラントしており、反応速度とワザマエは互角!SMASH!「グワーッ!」だが一撃を受けたのはフクトだ!「繰り返す。私を見逃せ。命まではとらん」「まだまだ!」
2-3ターン目
「「ウオーーーッ!」」BLAMBLAMBLAMBLAM!BLAMBLAMBLAMBLAM!両者は廃倉庫を駆け抜けながら銃撃!銃撃!銃撃!銃撃!遮蔽物を利用した巧みな位置取りとサイバネ補正により、互いに命中せず!実際ゴジュッポ・ヒャッポだ!「チッ、アサルトライフルでもありゃラクだったんだが……」
カチリ。互いに弾切れ!こうなればカラテあるのみだ!フクトは脚、ウカイは腕をサイバネ化しており、カラテはほぼ互角!
4ターン目
「「ウオーーーッ!」」両者は獣めいて叫ぶと互いに飛びかかり、テクノカラテを応酬!応酬!応酬!応酬!SMASH!「「グワーッ!」」互いに命中!だがダメージはフクトの方が大きい!このままでは押し切られる!「私を!見逃せ!死にたくはなかろうが!」「クソッタレ……!」ここまでか!
……その時!
???
「撃てーッ!」BRTTTTTT!BRTTTTTT!廃倉庫の窓からライジン社の武装兵士たちが銃撃!フクトにマウントをとってのしかかっていたウカイに銃弾が突き刺さる!「グワ、アバババーッ!?」ナムアミダブツ!ウカイは銃弾の雨を浴びて痙攣し、白目を剥いてフクトの上に倒れ伏した。インガオホー!
戦闘終了
エピローグ
「……ご協力、感謝します」もがくフクトに、ハンザキが手を差し伸べた。「間に合ってくれて助かったぜ。実際死ぬところだった」「彼を追跡し、位置情報を送ってくださったおかげです。あなたが信頼できる傭兵であることは証明されましたね」ハンザキはフクトをウカイの下から引っ張り出す。
ウカイは……死んだようだ。コウモリめいてオムラとオナタカミの間で立ち回る傭兵や企業は珍しくないが、現行犯で確保されれば釈明のしようもあるまい。「イシザキ=サンの嫌疑も晴れたな」「彼は試作兵器を破損させていますので、そのぶんは働いて返済してもらいます」「インガオホーか」
フクトは立ち上がり、負傷を応急手当する。「報酬は弾んでもらうぜ。治療費は経費だ」「わかっております。今後とも弊社をご贔屓に」「考えておくよ」……こうして、オナタカミへオムラの機密情報を流していた犯人、ウカイは始末された。新天地ナゴヤも結局はネオサイタマの縮図に過ぎない。
……数日後、オムラは新兵器「タケミカヅチ」を発売し、実戦に投入することを決定した。オナタカミに流されたのは囮用の偽データだったらしい。ならば、ウカイは一体何のために……否、彼は情報を流し、カネを手にしていた。それが全てだ。そして、今日も戦争は続く。カネのために。
【マーセナリー・スクラッパー】終わり
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