忍殺TRPGリプレイ小説【レイト・ブルーマー】#2
（前回のあらすじ：トロ粉末の闇取引を行うハシバミ・ヤクザクランを潰し情報を奪うため、ブラックマンバとシャープウォーカーの二忍組が派遣された。グレーターヤクザを首尾よくとらえ、スモトリヤクザ2人も難なく撃破したが、そこへ殺戮機械モーターヤブが現れる！カラダニキヲツケテネ！）
#1 終了時
◆ブラックマンバ （種別：ニンジャ） ＰＬ：つの
カラテ ６ 体力 ８
ニューロン ５ 精神力 ５→４
ワザマエ ４ 脚力 ３
ジツ ２ 万札 ５
ＤＫＫ ２ 名声 ０
◇装備や特記事項
◆カナシバリ・ジツ、ドク・スリケン、コブラ・カラテ
◆タクティカルニンジャスーツ、フルヘルムメンポ◆シャープウォーカー（種別：ニンジャ） ＰＬ：つの
カラテ ４ 体力 ４
ニューロン ３ 精神力 ３
ワザマエ ５ 脚力 ３
ジツ １ 万札 ４
ＤＫＫ ２ 名声 ０
◇装備や特記事項
◆ヘンゲヨーカイ・ジツ
◆トロ粉末
◆ヒキャクグレーターヤクザの部屋
それは二忍の方を振り返ると、告げた。『ドーモ、ハジメマシテ、モーターヤブです。侵入者を排除します。投降を受け付けます。オムラは寛大です』狂ったように同じ文言を繰り返しながら、それは威圧的にサスマタと機関銃を構えた。「モーターヤブ！？」「オムラ社の兵器か」ヤバいぜ！
◆初期型モーターヤブ （種別：戦闘兵器）
カラテ ６ 体力 １２
ニューロン ３ 精神力 ―
ワザマエ ６ 脚力 ３
ジツ - 万札 ５
◇装備やスキル
オムラ・ガトリングガン：遠隔武器、連射３、ダメージ２、範囲攻撃２x２、重火器
オムラ・マシンガン：遠隔武器、連射３、ダメージ１、小銃
ショック・サスマタ：近接武器、ダメージ２
戦闘兵器：「カナシバリ・ジツ」などの精神攻撃は作用しない
SWはごくりと唾液を飲んだ。巨大な兵器。タタミ二枚分はあるだろう。スモトリ崩れたちと同じく、秘密兵器として隣の部屋に配置してあったのだ。どうする。ニンジャなら真正面からカラテしてぶち壊せる、のか？モーターヤブ（MY）はすぐには攻撃せず、周囲をスキャンし、投降を勧告する。
「投降などせんぞ。シャープウォーカー＝サン、クマシデ＝サンを担いで、壁の穴から廊下へ逃げろ。急げ」「ハイ！」ブラックマンバ（BM）の指示に従い、シャープウォーカー（SW）はグレーターヤクザ・クマシデを米俵めいて担ぎ撤退！「BM＝サン！早く！」「離れてろ。試す」「そんな！」
『室内オヤブン反応ネガティブ。投降受付時間は終了しました。ありがとうございました』モーターヤブが宣告！直後！
BRATATATATATATATATA！オムラ・ガトリングガンが火を噴いた！
「重火器」は射撃の基本難易度がHARDで、2ターン連続使用はできず、所持者は回避ダイス個数が常に-2され、連続側転すらできません（ヤブはそもそも回避も側転もしませんが）。それを補うだけの火力はあり、命中すればニンジャもネギトロです。ビーハイブはこんなもんを背負っていたわけです。
目標が一人なので範囲射撃はなし。ワザマエ6で連射3、すなわち2D6を3つ振ります。ヤブは移動せず射撃に専念するため、射撃難易度はNORMALに下がり、出目4以上で成功です。[6,6][6,5][5,2]＝全て射撃成功！近接カラテと違い遠隔攻撃は全弾まとめて回避が可能ですが、もしも失敗すればダメージ2の銃弾を3発浴びてBMは体力2になります。6D6で[2,2,6,6,1,4]＝回避成功。
「シューッ！」BMはニンジャアドレナリンを漲らせ大ジャンプ回避！バリバリバリバリ！背後の窓が破砕！「ひえっ！」「よし。行くぞ」「ハイ！」BMは壁の穴を潜り、ドージョー経由でSWと合流！「なんであいつの真正面に！？」「危険が味わいたかっただけだ。ただの趣味だ」「アッハイ」
廊下から応接室へ
「ど、どうします！？」「デカブツすぎて狭い通路は通れん。射線上に立たねばいい」「ハイ」「機械にはカナシバリもドクも通じん。カラテでぶっ壊してもいいが面倒だ。あいつは有線式だった。UNIXで動かしているはずだ」クマシデの部屋はまだ調べ尽くしていない。止める必要がある。
BMは状況判断する。クローンヤクザやスモトリヤクザを殺してからやつがPOPしたのは、なぜか。フレンドリーファイアを避けるため、誰かが後から投入したのだ。クマシデを部屋の外に出したら攻撃を開始した。すなわち、別の部屋で監視・制御しているはずだ。それは電算室に相違なし！
BMとSWは無人の応接室へ入り、電算室を探す！「IRCで送られて来た見取り図によれば、ここだ」「このドアは電子ロックが」「壁を壊す」「わかりました」「よし」SWは応接室のソファにクマシデを寝かせ、BMと並んでカラテを構えた。BMはカラテ・パンチ、SWはキックの構えだ。しかし……。
「ええと、あの。おれも『シューッ』って言いましょうか。シャウトの呼吸をあわせたほうが」「やりやすいようにやれ。カラテはエゴだ。それぞれのやり方がある」「ハイ！」BMの適切なインストラクションに、SWの迷いが消えた！両者が精神を集中！「シューッ！」「イヤーッ！」KRAAASH！
精神集中により難易度NORMAL、目標値4。6D6と4D6で[3,5,6,5,2,1][6,5,3,3]＝両者成功。
電算室
「アイエエエ！？」壁を破砕して2人のニンジャが出現！UNIXデッキの前に座っていたハッカーはNRSを起こし失禁！「お前がハッカーか。あのデカブツを止めろ。今すぐだ。さもないと拷問する」「アイエエエ！すぐに止めます！」ハッカーは「すぐに止める」ボタンを押下！「止めました！」
「SW＝サン、確認しろ」「ハイ」SWは恐る恐る先程の部屋へ向かい、耳をすませ、ゆっくりとドアを開ける。……モーターヤブは動きを止めていた。「止まっています！動きません！」SWの声に、BMは頷き、ハッカーは安堵の息をつく。「よし。褒美に生かしておいてやる。情報源だからな」
BMは毒液を滴らせるチョップを向け、ハッカーを脅す。「そこでここのオヤブンも寝ている。あとで事情を詳しく聞くが、お前にも聞こう。ハシバミ・ヤクザクランはトロ粉末の闇取引を行っている。そうだな？」「ハイ」SWは応接室へ戻り、手持ち無沙汰にしている。仕事はほぼ終わった。
あとは……略奪だ。「SW＝サン」「は、ハイ！」「今のうちにトレジャーを漁っておけ。後で山分けにしよう」「ハイ！」「トラップに気をつけろよ」「ハイ」「ん、ああそうだ。ハッカー＝サン、この事務所のトラップはどこにどれだけある？さっきのモーターヤブみたいなのも含めてだ」
ネオサイタマに掃いて捨てるほどある雑居ビルのヤクザ事務所は、だいたい似通った構造だ（入っていきなり風呂場があるようなアヴァンギャルドな事務所もあるが）。その分トラップには趣向を凝らしている。これとクローンヤクザが数体いれば、モータルのカチコミには充分対応可能だろう。
「ええと、ここと、ここに」「全部止めろ」「ハイ」ヤクザの事務所のひとつやふたつは、ニンジャ戦力であっさりと無力化できる。ニンジャの傭兵でもいなければ。「これでよし。SW＝サン、あとは自由にやれ。ヤクザの残りがいれば殺せ。なにかあれば俺を呼べ」「ハイ！」BMが微笑む。
獲得 万札20（BMとSWで10ずつ山分け）
◆
応接室
「……ハイ、ハイヨロコンデー」BMはソニックブームからのIRC通話を受け、身ぐるみ剥いで後ろ手に縛ったクマシデとハッカーの方に向き直る。背後にはSWが、万札や金目のものを詰め込んだフロシキを背負って待機する。さばくのが難しい物品や情報素子などはBMが預かっておいた。報酬だ。
「よし、クマシデ＝サン。『ウタカワ』というウキヨエ・ディーラーを知っているな」「ハイ」「そいつがトロ粉末を流している。そういうわけだな」「ハイ」「証拠品はあるか」「ウタカワの名刺が私の名刺入れにあります」「よし」BMは奪い取っておいた名刺入れを取り出し、チェックしていく。
クマシデにかけたカナシバリ・ジツはとうに切れているが、NRSとジツのショック、それに自分のヤクザクランがあっさり滅亡したショックで呆然としている。クランの命運を賭けた大きなビズが、たった数人のニンジャによって。いや、相手はソウカイヤだ。これもまた運命、理不尽……。
BMが情報をソニックブームに伝える。報告・連絡・相談・改善だ。SWはそれを見て覚える。ニンジャの学習能力は高い。彼らはミームの伝達、インストラクションを大事にする。そのかわりジーンで子を残すことが出来ない。ニンジャ同士であろうともだ。ミームの伝達こそ彼らの繁殖手段なのだ。
「よし。ここはいい。後始末は俺がやっておくから、お前は今から指示する場所へ行け」「ハイ」「位置情報はここだ。この廃ビルに、別のチームが捕縛したトロ粉末のブローカーがいる。この場所に停めてある車で向かえ。そいつを載せて、トコロザワ・ピラーまで運べ。それで終わりだ」「ハイ」
運びの仕事だ。カチコミや交渉で派手に動くニンジャたちとは別に、こういう地味で地道な仕事も必要だ。クローンヤクザでも命令されればできるが、ニュービーニンジャに下積みをさせるのも研修の一部。ただ……「ニンジャスレイヤーってやつに気をつけろ。出遭ったら全力で逃げろ」「ハイ」
SWも噂には聞いていたし、D6も言及していた。ニンジャスレイヤー。昨年末からソウカイ・ネットで取り沙汰される、謎のニンジャだ。どこからともなく突然現れ、ニンジャを殺していく死神。少なくともシックスゲイツ級のカラテを持つという。ソウカイヤの敵として、ザイバツと関連があるとも。
ザイバツ。SWが初めてのミッションで関わった敵組織。あそこには何か凄まじい存在が潜んでいたのを感じた。ヘルカイト＝サンを囚えるほどの存在ならば、ひょっとしてそいつだったのか。だがヘルカイト＝サンはシックスゲイツたちに救出されたと聞く。ニンジャスレイヤーなら殺していたはず。
「……BM＝サンも、お気をつけて」「ああ。ニンジャと見れば親の仇みたいに見境なく襲ってくる狂人だってな。俺も出遭ったら逃げるさ」SWは身を震わせる。親の仇。やつの行動の動機はそうなのかも知れない。もしBM＝サンが突然そいつに殺されたら。自分は復讐に動くだろうか。
「……オタッシャデー」「おう、オツカレサマ」SWはフロシキを背負って、夜の闇へ駆け去った。無駄なことを考えるのはやめだ。前向きに行こう。
◆
トコロザワ・ピラーな
翌日の昼。「あ、ドーモ、BM＝サン！」「ドーモ、SW＝サン。首尾よくいったな」「ハイ。お世話になりました！」ソウカイヤの本拠地トコロザワ・ピラー内のスシ屋で、BMとSWは再会した。IRCで互いの無事は確認していたが、自然と笑顔が浮かぶ。「奢ろうか」「いえ、自分で払います」
屈託なく笑う二忍。このスシ屋でスシを握っているのは、レインボーフードというスシ職人のニンジャである。ニンジャとしては乏しい力量しかなく、善良すぎて裏社会のビズには不向きであるが、スシのウデマエを見込まれ、ここでニンジャにスシを提供しながら平和に暮らしているという。
「いろんなニンジャがいるもんですね」「モータルと同じさ。適材適所だ。いや、俺たちは所詮、モータルに突然ニンジャソウルが憑依しただけの存在だ。完全にイモータル（不死者）ってわけじゃない……」BMは誰に言うともなく呟く。単独行動の裏仕事に慣れすぎて、つい独り言が増えてしまう。
強大なニンジャであったコッカトリス＝サンやビホルダー＝サンも、ザイバツとの抗争でああなった。それをきっかけに自分はオナーを失った。彼らはそれぞれに復帰し、同期や後輩たちは肩で風切る勢い。自分はこれだ。まあ性に合っている気はする。若者たちにミームを託し、老兵は……。
「ヘイオマチ！」ふと我に戻る。「ああ、イタダキマス」上等なオーガニック・スシが割安で食べられるのも、ソウカイヤ様様だ。組織を離れては生きられない。レインボーフード＝サンのように置かれた場所で咲くしかない。環境に文句を言うやつはなんとかだ。「そろそろハナミの季節っスね」
SWがTVニュースをぼんやり見ながら、何気なく話題を振る。ハナミ。桜を鑑賞してベントウやサケを飲食する、日本古来の優雅な風習だ。毎年入学や入社、卒業時には桜が咲き乱れ、ニュービーを歓迎し、卒業者を送り出す。年中花が咲いている巨大バイオ桜も観光名所として知られているが……。
「ああ。俺は明日もビジネスで、ハナミしている暇もないがな」「スミマセン。でもバイオ桜ならいつでも見れますよ。時期をずらした方が混まないですし」「ああ。いつか飲みに行こう」BMの返事にSWは笑い、彼の空になったオチョコへトクリを向けた。「どうぞ」「貰おうか。オットット」
BMは思う。桜には、花には、様々な種類がある。季節より早く咲くものもあれば、遅く咲くものも。寒冷地や山間部の花は遅いし、ヤエザキという大輪の花を咲かせる種類も比較的遅い。「遅咲きの花か」「え」
「タイキ・バンセイさ。俺も、お前も。若い頃にいくら失敗しても、生きてりゃいいことがあり、花が咲く時も来る。死んだら終わりだ」「ハイ」BMはサケを飲み干した。SWは反芻する。遅咲きの花。死んだら終わり。
―――その夜、タマ・リバーに鬼瓦マグロツェッペリンが墜落した。
【レイト・ブルーマー】終わり
リザルトな
※回復済。スシ代金は払いましたが、万札数には影響しません。
◆ブラックマンバ （種別：ニンジャ） ＰＬ：つの
カラテ ６ 体力 ８
ニューロン ５ 精神力 ５
ワザマエ ４ 脚力 ３
ジツ ２ 万札 １９
ＤＫＫ ２ 名声 ０
◇装備や特記事項
◆カナシバリ・ジツ、ドク・スリケン、コブラ・カラテ
◆タクティカルニンジャスーツ、フルヘルムメンポ◆シャープウォーカー（種別：ニンジャ） ＰＬ：つの
カラテ ４ 体力 ４
ニューロン ３ 精神力 ３
ワザマエ ５ 脚力 ３
ジツ １ 万札 １４
ＤＫＫ ２ 名声 ０
◇装備や特記事項
◆ヘンゲヨーカイ・ジツ
◆トロ粉末
◆ヒキャクつのにサポートすると、あなたには非常な幸福が舞い込みます。数種類のリアクションコメントも表示されます。