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【聖杯戦争候補作】Damaged Goods

午後の京都に、曇天から雪が舞い落ちる。
旧正月、春節は確か二月中頃。その頃には中国人観光客が溢れるだろう。年末年始の混雑も落ち着いた、ちょうどいい時期だ。

「こうしてゆったり日本国内を観光することって、そういや、あまりなかったなァ……」

京都市右京区、嵐山の渡月橋。観光客の一人として、その男はここを訪れていた。デジカメや携帯端末で、何枚もそれっぽい写真を撮り、次々とSNSにアップする。結構フォロワーも増えた。
「……ま、たまには休暇を愉しむか。戦争はもう始まってるけどね……」

京都市内を歩いただけでも、異常な殺気をそこかしこで感じる。物騒な事件も増えつつある。既に何人も脱落者や死人が出ているのだろう。警察はテロを警戒し、警備体制を強化している。マスターはともかく、英霊相手には無駄なことだ。一体どれほど死ぬのか。

「しかし、京都の冬かァ……北海道やロシアに比べりゃ、まるで南国。ビーチでのバカンスだ」
彼は愉しげに笑い、歩き出す。平和な被写体には不足しない、いい街だ。

男は……随分小柄だ。おそらく160cmもないだろう。ごつい軍用靴を履いているが、威圧感はない。顔は丸くのっぺりしていて、髭や眉毛はなく、目は丸く鼻は低い。スキンヘッドをバンダナで覆う。肌のツヤからしても中学生ぐらいの少年に見えるが、実年齢はその三倍。変哲もない外套と衣服の下には、適度に鍛えられた肉体。

この偽りの世界での彼のロールは、フリーの戦場カメラマンということになっている。最近写真集も出し、カネはそれなり。自由といえば自由だ。本来の世界では、そうではなかった。彼は凄腕の傭兵であり、立派な自衛官であった。

嵯峨野、竹林の道。歩幅を調整し、ついてきた彼女の横に並ぶ。彼女の方がだいぶ背が高い。目を合わせぬまま、小柄な男が小さく声をかける。
「懐かしいね、お嬢ちゃん」
「そうね。お久しぶり」

彼女が答える。かすかに漂う硝煙の香り、鉄の匂い。嗅ぎ慣れた臭いだ。念話に切り替える。
【フフ……戦場じゃ、よくあんたを抱いて寝たもんさ。数え切れないほどの男が、あんたで『童貞』を捨てただろう。わたしも……】
【女もね。『ノムラ』さん】

ノムラと呼ばれた男が、横目でチラリと女を見る。
スッキリしたミリタリールック。GIカットの金髪にサングラス。厳ついが整ったロシア系の顔立ち、細マッチョの長身。剣呑な雰囲気。なるほど、『彼女』が人間になれば、人間の形をとれば、こういう姿も一つの選択肢か。

先程、念話で挨拶は済ませた。彼女は弓兵(アーチャー)のサーヴァント。
真名は『アフタマート・カラシニカヴァ』。ミハイル・カラシニコフの「娘」。

嵯峨野を北西へ歩き、化野念仏寺前を通り、小倉山展望台へ向かう。道の雪が深くなってきた。ノムラは時々立ち止まって風景写真を獲る。彼女はノムラの背後を歩きながら、念話での会話を続けている。

【武器は凄い。美しく、カッコいい。用途に応じ、無駄をとことんまで排除してる。残った形状(かたち)は『必要』そのもの。『要求』そのものを形状に残したもの。機能だけが形状になっている。だからこそカッコいい】

ノムラの思念の声は、子供のようにはしゃいでいる。出来れば彼女も被写体にしたいところだが、ぐっと堪える。
【……けどねぇ、お嬢ちゃん。わたしはあんまり銃を使わないんだ、残念ながら】
銃があれば勿論いい。あれば使う。だが手元に小石や葉っぱの一つもあれば、いや素手でも、人間は充分殺せる。その境地に立った時、彼は銃にさほど頼らなくなった。捕虜となり銃殺されかけたトラウマもあったかも知れない。

アーチャーは無表情のまま、饒舌に答える。
【あなたが銃を使わずとも充分に強く、素晴らしい兵士であり、戦士であることは分かる。知ってるし、伝わる。でも、私を使ってくれなきゃ。あなたの攻撃に神秘はある? 英霊にダメージを与えることが出来る? いくらあなたでも、神や精霊、幽霊と戦ったことはないでしょう?】

ノムラは心の中で微苦笑する。己と溶け合いつつある別人格が大地の神「ガイア」を自称する彼だが、あくまで人間。数年前に、ガイアとして、あの鬼(オーガ)とは闘ったが、手も足も出なかった。もし彼女と闘えば……懐に飛び込めば、いけるだろう。しかし、何の神秘もない物理的な攻撃は、英霊を傷つけることが出来ない。どうやらそういうルールらしい。あの鬼ならいざしらず、自分では……。

【私は、近代に生まれた英霊。父は最近まで生きていた。神や半神の英雄ではなく、人類がその偉業によって英霊となったものですらない。でも何千万、何億という人々の、血と汗と涙と、怒りと哀しみと狂気とが凝って私が生まれた。両親の思いもこもっている。私を知らない者は少ない。この平和な日本でさえも。私であれば、英霊と戦える。殺せる。生き残り、聖杯を手に入れることができる!】

熱っぽく語りかけるアーチャーに、ノムラは強く同意する。それに使えるものはなんでも使うのが、戦場での常道だ。ましてや彼女を。
【分かってる、ミス・カラシニカヴァ。キミは信頼できる、素晴らしい戦友だ。戦場においてキミほど頼もしい味方はいない】

展望台に到着し、下界や周囲を見回す。戦場は京都市全域、ここは西の端に近い。市街地もいいが、京都市の面積の四分の三は森林。民間人を無用に巻き込まずに済むし、自分の戦法を最大限発揮するには、こちらの方が有利だろう。他の主従もそう考えるだろうが……。

【……けれど、私たちは増えすぎたわ。純正品ならいい。粗悪な海賊品が出回りすぎてる】
アーチャーはずっと喋りっぱなしだ。クールな外見に似合わぬ、文字通りのマシンガン・トーク。なにせ器物、言いたいことがあっても長らく言えなかったのだ。愚痴を吐き出させてあげた方が、精神的に安定するだろう。
【私は粗悪品が許せない。銃を作り、使い、整備するのは人間。私は使う人の意志に従うだけ。でも、敬意を払って欲しい。私と、私の両親に】

しかし、こちらもプロの軍人。彼女を使う側から、使わせる側から、少し反論しておきたい。
【まことに正論だ。でもコピー品でも粗悪品でも、それを現場で使ってるヤツにとっちゃ、世界で最高の、かけがえのない銃なんだよ。想い出や思い入れもある。そういう想いが今のキミを形作ったんだ。あまり全否定しないほうがいいと思うね】
アーチャーは鼻を鳴らす。一理はある。
【貴重なご意見ね、お客様。……とにかく、それが私の望み。聖杯を獲得したら、そう願うの。私の粗悪な海賊品を消してくれ、これ以上生産させないでくれって。私の父の願いでもある。それによって英霊でなくなっても構わない】

親思いのいい娘だ。そうなっても、また別の銃の海賊品が出回るだけだろうが。
【世界から戦争をなくすとは、言わないのかい】
【戦争がなくなれば、私は用済み。猟銃ぐらいにはなるかも。それでもいいけど、つまんないわ。私は道具として、銃器として、正当に使う人間の役に立ちたい。祖国を守り、自由と独立を守るために使われたい】

ノムラは笑う。銃は道具。自己主張はしないし、出来ない。けれど意志を持てば、こう言うことも出来るのだ。
【なんて誇り高く、立派なことだろう。世界中の武器や兵器が、そんな風になってくれることを願いたいよ】

紅葉シーズンの11月中を除き、平日はカフェはやっていない。駐車場奥の自販機でホットコーヒーを二つ買い、一つを彼女に渡す。この場に敵の気配はない。監視カメラの死角に座り、口で当たり障りのない会話をしながら、念話での会話を続ける。
【さて……我々は今ここで何をしてるんだ? ロシアの女(ひと)よ】
【デートじゃあないわね。聖杯戦争の準備……いや……既に、戦い】
【そう……戦いには違いない。しかし……格闘ではない。生き残り。ミス・カラシニカヴァとノムラ、ガイア。全存在を総動員した生き残りだ】
表面的には、欠伸が出るほど平和な日常。けれど、戦争はもう始まっている。ここは既に戦場。実家のような、殺し合うための舞台。

【どんな手段を使おうと、裏切ろうと、逃げようと、隠れようと、屈辱を味わおうと、大怪我をしようと、最後まで生き残れば勝ち。そういうルールよね】
聖杯戦争で勝ち残るということは、他の全てのサーヴァント、英霊を破壊するということ。マスターを殺すこと、脅して降りさせることも含まれる。

【言っておくが、わたしは、俺は……『ボク』は『弱い』。……凡人相手ならそれなりには強いが、上には上がいる。あまりに多くの勝利は、かえって兵士を弱体化させる、っていうじゃないか。若い頃から調子に乗りやすかったんでね、敗北を教えてくれた人たちには感謝してるよ。半神の英雄とやらと、たとえ攻撃が通じる前提で戦っても、勝てる自信はない。それを前提に物事を考えよう】

偉人、英雄。例えばアレクサンドロス大王、織田信長、宮本武蔵……。そういう連中の幽霊に、マンガに出て来るみたいな超常能力を上乗せしたのが英霊、サーヴァントだという。彼女のようなものは例外としても、神話や伝説上の神々や英雄も含まれるとか。あの鬼なら、喜々として戦い、そして勝つだろう。

『ボク』は、俺は、そして「ガイア」は、そういう存在じゃない。臆病なチビからスタートして、強さに憧れ、戦場では伝説的な存在になったとは言え……まだ弱いままだ。敗北を知る。知った上で生き残り、教訓とする。それはとても重要なインストラクション。「ガイア」が宿ったのも敗北の後、処刑の瞬間だった。生き残れば次がある。もっと強くなれる。まだ改善の余地がある。「ガイア」は俺に、そう囁いている。彼も弱くなったものだ。

【賢明ね。自分の実力に自信を持つことも大事だけど、弱さに自信を持つことも大事だわ。恐怖を感じない兵士は、いい兵士じゃない。必ず死ぬ】

戦場では幾多の兵士を見、戦い、育てて来た。生き残ったヤツは決まって運があり、慎重で、知恵が働き、根性のあるヤツだった。死ぬような目に遭っても、そういうヤツは必ず生き延びた。この戦場に集うマスターの中にも、きっといるだろう。手を組むなら、そういうヤツだ。

【弱肉強食……そんな世界で生き残るため、動物は擬態能力を発達させ、仲間と協力し、知恵を磨き、道具を作り出した。君のような】
【そう。私は弱者の味方。女子供でも私を手に取り、適切に使えば、屈強な男や猛獣だって殺せる。……銃弾がちゃんと当たればね】

ノムラが微笑む。あの鬼すら、不意打ちで強靭な網を被せられ、大型獣用麻酔銃で狙撃されたら、一時的にしろ拘束されたという(今は通じるか分からないが)。人類の祖先が初めて石を手に持って投げた時、人類の勝利は決まっていた。彼女の銃弾が当たれば、当たる状況を作れば、勝てる相手には勝てるだろう。

アーチャーが、ふと北の方を見る。ノムラが視界を共有し、数km先から歩いて来る主従を見る。マスターらしき方は優男。隣には胸の大きな女。どちらも大きく負傷しており、発する魔力は弱々しい。先程から山の中で戦っていた連中の、勝利者の方だ。この展望台で休息しようというのだろうが……あの怪我では、生き残れそうにない。じきに死ぬだろう。銃弾を弾く力も能力も感じ取れない。

【可哀想だが、引導を渡してやれ。可能なら魔力の足しにでもするといい】
【了解(ハラショー)】

コーヒーを飲み終わった頃、有効射程まで近づいたところで、アーチャーが無雑作に右手をあげ、指先から銃弾を発射した。油断していたマスターが頭部を貫かれる。次いでサーヴァントも。どうっと倒れ、命の灯が消える。ゲームオーバーだ。

眉根を寄せて小さくため息をつき、ノムラは空き缶をゴミ箱へ投げ入れた。立ち上がり、歩きながら、小声で歌う。

♪もしオレが戦場で死んだら 故郷の皆に伝えて欲しい
 オレはベストを尽くしたと
♪もしオレが戦場で死んだら 可愛いあの娘に伝えて欲しい
 楽しい想い出 抱いて行くと
♪もしオレが戦場で死んだら 親しい友に伝えて欲しい
 銃に向かってオレは死んだと
♪もしオレが戦場で死んだら オレの墓に名前はいらない
 ただ一人の男が 生き 闘い 死んでいったと 刻んで欲しい

【クラス】
アーチャー

【真名】
アフタマート・カラシニカヴァ@ソ連および全世界

【パラメーター】
筋力C 耐久A 敏捷B 魔力D 幸運B 宝具B

【属性】
中立・中庸

【クラス別スキル】
対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術を無効化する。魔力避けのアミュレット程度。

単独行動:C
魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。マスターを失っても1日は現界可能。

【保有スキル】
機種の魔:A
付喪神。数十年前に作成された機械の概念に過ぎないが、大量生産・複製・模倣・乱造や戦場での功績、染み着いた大量の血と怨念によって英霊の末席に連なった。「人造四肢」「大量生産(自己)」「自己改造」「殺戮技巧(道具)」「戦闘続行」などを包含する特殊スキル。ランクが高くなればなるほど正純の英雄からは遠ざかる。対人ダメージ値が上昇し、戦闘に関する行動判定、スキルの成功判定にボーナス。決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。銃の概念が人の形をとった霊子アンドロイドであり、劣悪な環境下でも行動可能な耐久性は折り紙付き。大きなダメージを受けるとメカバレする。

射撃:A
銃器による早撃ち、曲撃ちを含めた射撃全般の技術。本人が銃器そのものであり、指先や掌、口からも銃弾を発射する。銃弾はほぼ無尽蔵。

気配遮断:B
自身の気配を消すスキル。隠密行動に適している。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。

心眼(偽):B
直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。マスターの影響で習得。

千里眼:C
視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。遠方の標的捕捉に効果を発揮。暗視装置により夜目も利く。

【宝具】
『世界最多の殺人機械(アフタマート・カラシニカヴァ)』
ランク:B 種別:対人-対軍宝具 レンジ:600m前後 最大捕捉:470

Автомат Калашникова(Avtomat Kalashnikova)。「アブトマット・カラシニコバ」は英語読み。宝具であると同時に彼女そのものでもある自動小銃(アフタマーチシェスカヤ・ヴィントーフカ)、その群体。ただひたすら数が多い。全世界に1億挺以上存在すると言われる彼女たちの概念と接続し、ほぼ無制限に同類の銃とその銃弾(主に7.62mm)及び付属品を召喚・供給できる。初代のAK-47からAKM、AK-74、AK-74M、AK-12に至るAKシリーズに加え、派生型のAKMSUやAK-100シリーズ、OTs-14グロザー、軽機関銃のRPKやPK、散弾銃のヴェープル12モロトやサイガ12、狙撃銃のVSSなども召喚可能。マスターや協力者に渡して使用させられ、魔力を帯びているため英霊にも効果がある。真名解放すると彼女の周囲に無数の銃が出現し、標的に対する射撃を行う。時間差射撃により限定時空間を銃弾で埋め尽くし、限界はあるが概念攻撃をも弾く。また自らの分身を最大47体まで作成し、短時間だが作戦に参加させることも可能である。マスターの魔力が乏しいので多用は出来ない。

【Weapon】
自分自身。弾倉やグレネード、銃剣を含む付属装備一式を召喚可能。様々な軍隊格闘術も使え、掴んだ手や貫手から銃弾を発射する。

【器物背景】
1949年、ソビエト連邦国営イジェフスク造兵廠(イズマッシュ)で製作され、ソ連軍に採用された自動小銃。制式名称は「7.62mm アフタマート・カラシニカヴァ」。略称はAK。父はミハイル・チモフェエヴィチ・カラシニコフ(1919-2013)、母はエカテリーナ・ヴィクトロヴナ・モイセーエワ(1921-1977)。多種多様な気候に適応でき、また劣悪な生産施設でも生産可能なよう、部品の公差が大きく設計され、非常に高い信頼性と耐久性、生産性を誇る。極寒地でも砂漠やジャングルでも、酷使や技術不足で部品の精度が低下しても問題なく動作する。部品は極力ユニット化され、整備も楽で故障も少ない。そのため銃を扱うのが初めての新兵でも、数時間から数日間の短期講習で扱えるようになる。この抜群の性能から「世界三大小銃」の一つに数えられる。何度かのバージョンアップや派生品の開発を経て、現在の最新式はAK-12(既存の火器の備蓄が多すぎるので、ロシア軍での制式採用は足踏み状態)。

冷戦期、ソ連は東側諸国や友好国・友好組織に大量のAKを供与し、ライセンス生産を一部認めた。また冷戦終結後は東欧製AKが多数流出し、さらに海賊品も出回り、民間の武装勢力や傭兵、犯罪組織の手にも渡った。東欧、中東、アフリカ、アフガニスタン、パキスタン、ベトナム、中国、北朝鮮、アメリカ、メキシコ、コロンビア……。世界中の紛争地帯や銃社会で、AKは「最も信頼できる装備」として広まっていった。この事は紛争や内戦を激化させ、犠牲者を増やす一因となった。武力によって独立を勝ち取った国家や革命政府にとって、AKは民族自決や自主独立の象徴とされた。モザンビークの国旗と国章、ジンバブエ及び東ティモールの国章にはAKの図柄が組み込まれた。レバノンのヒズボラ、コロンビアのFARKなども組織の旗にAKの図柄を取り入れた。こうした「実績」により、彼女は英霊の座に登録されるに至ったようである。アサシン、ランサーの適性もあるかも知れない。

現在地球上には1億挺を超えるAKが存在するとされ、そのほとんどは中国などがライセンス切れのまま生産を続ける海賊品や、粗悪なコピー品である。
なおソ連崩壊後、イズマッシュは民営化されたが、ロシア国営企業ロステックの傘下に置かれた。2012年にイズマッシュ社は経営不振により破産し、翌年には国営持株会社カラシニコフ・コンツェルンとなった。

【サーヴァントとしての願い】
自らの粗悪な海賊品たちの消滅。両親の願いどおり、国を護るために役立ちたい。

【方針】
マスターの指示に従う。強力な英霊には敵わない程度の性能であるため、基本的にはマスターを狙う。

【マスター】
ノムラ/ガイア@グラップラー刃牙

【Weapon】
アーミーナイフ、暗器、煙玉などを隠し持っている。普通に銃刀法違反だが、見つかるようなヘマはしない。歯の中には硫酸入りカプセルが仕込んであり、敵の顔に噴き付けて攻撃する。また『環境利用闘法』により、周囲の全てが武器や兵器となり得る。アーチャーから銃器や銃弾・銃剣などを渡してもらえば、それを自由自在に操って戦う。

【能力・技能】
『本部流実践柔術+軍隊式戦闘術』
本部以蔵の元で修行を積み、銃弾飛び交う実際の戦場で鍛え上げた総合戦闘・生存術。卑怯卑劣は褒め言葉であり、フェアプレー精神はない。卓越した徒手格闘術に加え、銃器、ナイフ、クロスボウ、投擲、捕縄、偽装、気配遮断などの技術をマスターしている(偽装は格上相手にはよくバレる)。格闘技というより忍術に近く、『環境利用闘法』もこの一環か。話術で相手の動揺を誘うのも術の一つ。衛生兵として応急手当等の医療技術も習得済み。

『多重人格』
解離性同一性障害。平時は気弱な小男「ノムラ(野村)」が表に出ているが、「ガイア」という傲慢な超軍人の人格が裏にいる。ノムラのままでもそこそこ強いが、ガイアと化すと異常な強さになる。記憶は共有していないらしい。第二部以後はやや統合されたのか、ノムラのようなガイアになった。作者もノムラのことを忘れている気がするが、一応ここでは主人格ノムラに「ガイア」の記憶と技術が溶け込みつつある(勇次郎に敗れた影響か?)ということにする。つまり普段は(成長した)ノムラがガイアを名乗っている。「ガイア」は強い危険を感じると出て来るが、アドレナリン中毒ゆえか自分に酔う悪癖があり、あまり信頼は出来ない。

『闘気読破』
生命の危機により開花した、危険に対する卓越した感知能力。経験による勘や推察ではない。白兵戦でも戦術レベルでも、敵の未来の動きが手に取るように分かる。筋肉や目線の動きを読むだけでなく、周囲の殺気・闘志の質や数量をも瞬時に読み取り、最小限の動きで高精度の回避・反撃を可能とする。奇襲も察知できるが、殺気・闘志のない機械や無意識の動きを読み取ることは出来ないし、反応が間に合わない速度の攻撃には対処できない。

『アドレナリン操作』
アドレナリンの分泌量を自在にコントロールし、苦痛や出血を抑え、潜在能力を解放して超人的な身体能力を発揮する。心身への負担が大きいのか、常時やっているわけではない。「ガイア」へのスイッチ切り替えもこれで行う。あらゆるスポーツ競技の記録を塗り替えられると豪語。体重65-66kgの人間を片手で10mも投げ飛ばし、幅10mはある沼を助走をつけて飛び越え、パンチ一発で大木をへし折り、ビルの7階から落下する威力がある時速80kmの抱え投げを放つ。

『環境利用闘法』
周囲の環境を全て自分の味方につけ、武器や兵器とする戦闘スタイル。主な技には、掌で水や砂を掬って高速で投げつける「水弾」「砂弾」、植物の葉を刃物としての斬撃、植物の蔓で相手を拘束・絞首する「蔓技(つるぎ)」、砂埃を煙幕とし体表に砂をまぶして姿を消す土遁などがある。森林などの自然の環境が最適だが、沙漠や屋内や市街地でも、その場にあるものを自在に利用する。

『鼓膜破り』
特殊な呼吸法で常人の数倍の空気を肺に吸い込み、声帯を通して一気に放出、凄まじい大声をぶつけて鼓膜を破壊する。近くで無防備のまま受けると三半規管をやられて平衡感覚を失い、気絶する。耐えてもしばらくは聴覚や平衡感覚が働かない。最大数秒の溜めを要するが、軽くやっても相手にショックを与えることが可能。本人には効果がない。英霊でも実体化していれば多少は効きそう。

『トンネル』
中身をくり抜いたソファに身を潜め、標的が座った時に肛門をナイフで切り裂き、体内に侵入して口から抜け出る残虐な暗殺術。読切『バキ外伝GaiA』で披露。普通に刺殺すればいい気もするが、死体に潜んで奇襲を仕掛けたりするのには使えるか(無印16巻)。

【人物背景】
板垣恵介『グラップラー刃牙』シリーズの登場人物。本名は野村。アニメ版でのCVは遊佐浩二(2001年)/村瀬歩(2018年)。経歴からして少なくとも30代半ば(刃牙幼年編)か40歳近いと思われるが、異様に小柄かつ少年のような童顔で、髪が全くない頭をバンダナで覆う。身体は筋肉質ではあるが、不自然に鍛え上げることを嫌うため、戦場での必要最低限の細マッチョ程度。傷跡もない。一人称は、ノムラは「ボク」、ガイアは「わたし」であるが、時々「俺」になるなど安定しない。

実践柔術家・本部以蔵の弟子。戦闘術を習った後、1981年に20歳で傭兵としてウガンダに行き殺人の童貞を捨てる(ということは1961年生まれ?)。殺しという美酒に酔って調子に乗った末、捕虜となり処刑されかけた。この時恐怖で頭髪が全て抜け落ちるが、第二の人格「ガイア」と殺気を読み取る能力に覚醒。以後、範馬勇次郎と並んで世界各地の戦場で恐れられる超軍人となり、「ミスター戦争(ウォーズ)」の異名を持つに至った(1980年のコンゴにも「ガイア」がいたようだが…)。やがて陸上自衛隊に招かれ、第1空挺団精鋭部隊5名の隊長兼衛生兵として、北海道奥地で機甲師団相手に壮絶な「訓練」を行う。そこへやってきた中学生時代の範馬刃牙と死闘を演じ、臨死状態まで追い込むも、気合で蘇生した刃牙に敗北。和解して別れた(無印15-17巻)。19巻では勇次郎に挑むも完敗し、ボコボコにされた屈辱的な姿で刃牙の前に現れた。最大トーナメント編には姿を見せず。

第二部『バキ』最凶死刑囚編で唐突に再登場し、地下闘技場でシコルスキーと闘い圧倒、心を折って完敗させた(17-18巻)。第三部『範馬刃牙』ピクル編でもちらっと登場したが、米軍基地内のピクルのねぐらに潜入し偽装していただけであり、戦うことなく撤収した(12巻)。第四部『刃牙道』では本部の弟子という設定が飛び込むものの、道場で本部に負けるわ武蔵に完敗するわといいところなし(10-11巻)。今じゃ本部の太鼓持ち。読切の外伝『GaiA』では主役を務め、残虐な暗殺術で偽ガイアを殺し、米国の次期大統領を護衛したりとそれなりに活躍している。刃牙との対戦後は自衛隊員としてイラクに渡り、一人の犠牲者も出すことなく帰還させるという功績を挙げていた(2003-2009年の自衛隊イラク派遣)。

刃牙シリーズの常として強さが変動するのはしょうがないにせよ、本部ともども強いのか弱いのかよく分からない人物。環境次第で無双出来るが、勇次郎・刃牙・ピクル・武蔵といった規格外の怪物には遠く及ばず、師匠の本部には手も足も出ない(ノムラ時だったかも)。烈海王や郭海皇、花山、オリバにも勝てる気がしないが、渋川や独歩、克己やジャック、万全状態の死刑囚やゲバル相手なら、厳しそうだが状況次第。火器を用いずに戦車部隊を壊滅させたりはしているが、基本的に対人戦主体。超人的戦闘力を持つものの、魔術や念力は使えず、物理的常識の範囲に留まる。俊敏だが、小柄なので攻撃力・耐久力は微妙。殺人には躊躇しないが、メンタルは比較的弱い。だが……ここは戦場。ガイアが強くて何が悪い!!!

【ロール】
フリーの戦場カメラマン。観光客として市内のホテルに長期滞在中。

【マスターとしての願い】
帰還以外は特に考えていない。アーチャーの望みを叶えてあげてもいい。

【方針】
手段を問わず生き延び、帰還するか聖杯を獲得する。魔術師でも何でもないため、英霊相手に直接戦闘を挑むのは自殺行為。狙撃や奇襲、精神攻撃や交渉など搦め手を用いて立ち回り、アーチャーと協力して敵マスターを暗殺するのが最善手か。確実に殺せる相手だけを安全に殺し、無理そうなら躊躇わず逃げる。他の主従とも協力できそうなら協力する。民間人の死者はあまり出したくはない。

【把握手段・参戦時期】
第二部『バキ』でシコルスキーに勝利した後。ピクルや武蔵とはまだ会っていない。出番は多くないので、彼が出る話だけ読めば大体把握できる。刃牙世界の「西暦」は連載時の現実世界に合わせて推移するので考えるだけ無駄だが、一応1961年生まれで40歳前後、2001年頃(イラク派遣前)から来たということにする。

◆◆◆

ガイアは謎多き人物だ。おれなりに解釈してこうした。本部の弟子という設定は後付だが納得は行く。彼は敗北を知り、己の弱さを知っている。ゆえに戦場では強いのだろう。AKを持ってるシーンもあったのでカラシニカヴァとは知り合いだ。彼女にはちょっと段々剃刀さんも入っている。気に入ったのでエピロワでも出した。「ワン・オブ・ザ・コープス」はエピロワでの彼女とアノニマスを混ぜてAREA4643みたいにしたものだ。

【続く】

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