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【つの版】ニンジャスレイヤーTRPG簡易リプレイ【レッスン・オブ・カルマ】

邦題:業の教え(Lesson of Karma)

これは2019年2月6日から7日にかけてTwitter上のnjslyrタグで行われた、ニンジャスレイヤーTRPGの簡易版ゲームでのつののリプレイを纏めたものです。公式のソロアドベンチャーシナリオとしては第二回です。

前回はハウスバーナー=サンがUNIX相手に冷や汗をかいたりしました。

今回、成長させて持ち越ししてもいいと公式から告げられましたが、ハウスバーナー=サンは節分に一仕事してますのでお休みとし、せっかくですので新たなニンジャを創造してみることにしました。

※2/7にカイゼンで追加された目次機能を試してみます。

◆ニンジャ創造◆

サイコロを振ってもいいのですが、Twitter海に突如出現したヌンジャの如き診断メーカー「サンシタ出力」を使ったところ、結構強そうなのが出来ました。これで行きましょう。物理D6は今回も使います。

装備品やジツの種類、サイバネの有無はこちらで決める必要があります。名前的にドク・ジツを使いたいのですが、ルールブックには基本五系統のひとつ「カナシバリ・ジツ」の上位ジツとしてドク系統のジツがあり、そこまで成長させるカネも時間もありません。うちではドク・ジツが使えるんだ!としてもいいですが、めんどいので「カナシバリ・ジツ」にします。もっともこれがサイオー・ホースとなりました。将来にはドクも覚えるでしょう。

◆ポイズンバタフライ (種別:ニンジャ)        PL:つの
カラテ       4    体力        4
ニューロン     6    精神力       6
ワザマエ      6    脚力        3
ジツ        2    万札        0
DKK       0    名声        0

◇装備や特記事項
◆ジツ:カナシバリ・ジツ
◆ウイルス入りフロッピー

ではリプレイの様子から、このニンジャのアトモスフィアを感じ取っていきましょう。例によってパルプ小説仕立てでやります。

◆ソロアドベンチャーパート開始な◆

重金属酸性雨が降り注ぐネオサイタマ。ソウカイ・シンジケートのアンダーニンジャのひとり、ポイズンバタフライは、とある高層ビルの屋上へと到着していた。ここには、ホーリースマイト・オブ・ブッダ・テンプル(ブッダの聖なる打撃寺院)と呼ばれる、古く由緒正しい寺院がある。

与えられた命令は、ここに安置されているマキモノを取りに行くこと。もちろん、ただのマキモノではない。平安時代の哲人剣士ミヤモト・マサシの記した兵法書のフラグメントだ。ソウカイ・シンジケートの首領ラオモト・カンは、そうした歴史的アーティファクトの収集を趣味としている。

「ミヤモト・マサシの兵法書ねェ…アタシャブッダよりラオモト=サンが怖いわ」ポイズンバタフライは呟く。その傍らには試作品のナビゲート・ドローン、モーターロクメンタイ(通称D6)が浮遊している。奥ゆかしくない発言や言動はムラハチのもとだ。ラオモト=サンに逆らう気は毛頭ないが。

このミッションは子供の使いではない。住職は敬虔なブディストであり、テンプルに収蔵された書物を一切外部に売り渡そうとはしない。そこでニンジャが派遣された。「殺しは最低限にせよ」との命令を受けている。隠蔽が大変だからだ。しかし、場合によってはそれも必要だろう。

『―――あなたは無慈悲なソウカイニンジャなのですから』D6が現在の状況をポイズンバタフライに改めて説明する。不要な念押しだ。

◆潜入な◆

マキモノは本堂にある。まずは中に忍び込まねば。一般的な警報装置に加えて、見張りを行っているサイバーボンズの姿も見える。サイバネアイと聖職者用拳銃で武装している。見つかれば戦闘になる。「警備ボンズ……やっちまうと後々面倒ね」『殺しは最低限にせよ』。言われるまでもない。

ポイズンバタフライはニンジャ身体能力を使い、闇に乗じてふわりと忍び込んだ。闇に舞う黒い蝶のように……。サイバーボンズが気づくことはない。ニンジャの動きは、常人には色付きの風にしか見えない。またポイズンバタフライの身体能力や知覚能力は、アンダーニンジャとしては比較的高い。

たとえボンズから銃撃されても、弾道を予測してふわりふわりと回避したであろう。そして流麗なカラテやカナシバリ・ジツでボンズを眠らせていたに違いない。必要でないことはしない。ポイズンバタフライは無慈悲だが、血に飢えてはいない。無益な殺生は美学に反する。 

警備は結構厳重だ。騒ぎになれば警報装置が鳴らされ、増援が来る。ひょっとしたらNSPDも……隠蔽が面倒だ。ラオモト=サンは面倒を嫌う。「ブッダはゲイのサディストとかいうけど、アタシが哀れなボンズをいたぶってもいいことはないわ」なお彼は男性である。

これほど立派なテンプルのボンズなら、カネは相当貯め込んでいるだろう。警備ボンズを無慈悲に殺せば万札が手に入るかも知れない。そこらのサンシタならば目先の欲にかられ、そうした非道行為に走るだろう。だがポイズンバタフライにとって、万札より大事なのはラオモト=サンの命令だ。

◆本堂な◆

ポイズンバタフライはしめやかに本堂へエントリーした。本堂内には何百本ものローソクが灯り、奥には大きなブッダ像がある。ブッダの視線は、自分の邪悪な行いを咎めているようにも見える。「ブッダがなによ。ラオモト=サンはほとんどブッダよ」殺生してはいない。そしてこれは盗みでもない。

ブッダ像の前には棚があり、大量のマキモノが安置されている。ポクポクポクポク……「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ……」住職がモクギョを叩きながら念仏を唱え、横ではミコー・プリエステスが祈りを捧げている。眠気を誘うような敬虔さだ。ブッダは彼らをニンジャから守りなどしない。

「さて、どれが目的のマキモノかしらね。住職にインタビューしましょう」ポイズンバタフライはローソクの光が作り出す深い闇に身を潜め、するすると住職の傍へ近づく。神秘的なニンジャ野伏力により、彼の接近に気づく者はいない。ブッダでさえも気づかぬだろう。ブッダは寝ている。

無慈悲なるニンジャが、ブッダの背後の闇の中からしめやかに姿を現す。「ドーモ、ポイズンバタフライです」住職とミコー・プリエステスは、目を見開き、本能的な恐怖におののく!「アイエエエ!?」「ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」日本人の遺伝子にはニンジャへの畏怖が刻まれている!

どれほど敬虔なブディストであろうとそれは同じ!だが、あまり騒がれても面倒だ。近くに非常警報スイッチがある。あれが鳴らされれば増援が来る。「アタシの目を見なさい」ポイズンバタフライは己の目を光らせ、「カナシバリ・ジツ」を用いた。モータルを脅すには充分な程度に。

「アア……」住職はジツの効果で朦朧となった。ミコー・プリエステスは目の前でニンジャのジツを目撃し、NRS(ニンジャ・リアリティ・ショック)を発症。しめやかに失禁、気絶した。「アラアラ」ポイズンバタフライはゲイなので、眉根を顰めただけで見逃した。目的はマキモノだ。

住職はフラフラと立ち上がり、マキモノの山を探り、目的のものを見つけて、ポイズンバタフライに差し出した。これが「カナシバリ・ジツ」だ。「ちょっとブッダの前をこの娘が汚したけど、ま、いいでしょ。本来の持ち主に返すだけよ」 そう、これはラオモト=サンが持つべきものだ。

ふとブッダの足元に目をやると、デジタル賽銭箱がある。「アイエエエ……それだけは……」住職が虚ろな表情のまま呻く。大した守銭奴だ。小遣い稼ぎに貰ってもいいが…いまのところカネに不自由はしていない。それにラオモト=サンは「タイム・イズ・マネー」と言われた。時間がなによりだ。

「ンン……どうしようかしら」テンプルは大きく、賽銭箱にはかなりの万札があるはずだ。PBは少し心を動かされたが……悪い予感がする。ブッダの罰など信じていないが、ニンジャ第六感……そのようなものだ。悪いカルマは災いを呼ぶ。ブッダの説いた教えにある。カルマの法則だ。そして。

それは、ニンジャソウルが見せた記憶か。赤黒い太陽がブッダの背後に見えた。ポイズンバタフライは首筋に寒気を覚え、賽銭箱から目を逸らした。そうだ、美学に反する。必要ではないことだ。彼は誰も殺さず、ただ目的の物を奪って、立ち去った。住職はジツが切れ、ブッダの前に倒れ伏した。

実際、ニンジャ殺しの死神……ニンジャスレイヤーはすぐ近くまで迫っていた。ニンジャソウルを嗅ぎつけて。だが、まさにサイオー・ホース。ポイズンバタフライの行いは己の命を救った。ネオサイタマで生きていくのは、ニンジャであっても楽ではない。死んだら終わりなのだ。

ブッダは彼らを救ったと言えるだろうか。重要なマキモノを盗まれたことで、どのみち住職やミコー、警備ボンズはケジメかセプクするだろう。特にブッダの前で失禁したミコーは、恥辱に耐えかねているかも知れない。ブッダに救われたのはニンジャの方かも知れないのだ。だが、それでも。

「サヨナラ!」今宵もどこかでニンジャが爆発四散した。赤黒の死神の手によって。ポイズンバタフライはそれを知らない。ブッダは知っているのか、起きているのか。ドクロめいた月はマッポーの都ネオサイタマを見下ろし、「インガオホー」と呟いた。

◆トコロザワ・ピラーな◆

見事にマキモノを持ち帰ったポイズンバタフライは、広大なタタミ敷の大広間でドゲザしている。ソウカイ・シンジケートの偉大なる首領、ラオモト・カンへの謁見だ。ポイズンバタフライは彼に心酔している。恋愛などではない、もっと大きな……人がブッダに対するようなソンケイを捧げている。

ラオモト・カンはマキモノを広げる。そこにはミヤモト・マサシの筆で、こうコトワザが記されていた。「逃げる戦士は追う戦士より遠ざかるので致命傷は受けにくい」そして、こう続いていた。「追って来て疲れた敵を倒せばいい」……これは兵法の極意である。ラオモトは大いに満足した。

「ムハハハハハハ!よいぞ!見事な働きであった!ポイズンバタフライ=サン!」「ハーッ!」タタミに額を擦りつける。なんとカリスマを感じる声であろうか。この人こそ世界の王。自分はその手駒となるために生まれてきたのだ。ボーナスとして賜った万札よりも、この言葉を賜ったことが幸せだ。

テンプルにあった賽銭箱を思い出す。あれは罠だ。あれに手を出していれば万札が稼げただろうが、不必要なカルマを積んだはずだ。それによって一時は羽振りがよくなっても、いずれ過去は収穫に来る。ラオモト=サンはそのようなカルマからも脱却したブッダだ。自分は彼に万札を捧げよう。

もちろん突き返すわけではない。万札と余暇を活用して、自分を高める。それがラオモト=サンへの報恩となる。ポイズンバタフライはすっきりした顔でトコロザワ・ピラーを後にした。見送りの中に、ダイス型のサイバネアイを光らせる不気味なニンジャの姿がある。

「……ニンジャスレイヤー=サンとは遭遇しなかったか……」ダイスマンは、ポイズンバタフライから返却されたD6を掌中で弄ぶ。彼にはほんの少しだけ未来が、並行世界が見える。テンプルで悪しきカルマを適度に積み、ニンジャスレイヤーから逃げおおせれば、最も多くの万札が稼げたはずだ。

それが出来ないニンジャは、所詮そこまで。シックスゲイツになるようなタマではない。ましてやゲコクジョ、独立など……。「データはそれなりにたまって来た。フューネラル=サンに報告せねば……」ダイスマンは闇に溶け込むように姿を消した。その声を聞く者は誰もいない。

【レッスン・オブ・カルマ】終わり

◆リザルトな◆

※精神力を1消費しましたが、次のミッションでは回復しているでしょう。

◆忍◆
つの版ニンジャ名鑑#008
【ポイズンバタフライ】
ソウカイヤのニンジャ。カナシバリ・ジツの使い手で、ワザマエも知能も高い。無慈悲だが無益な殺生はせず、スマートに事を進めるのを美学とする。男性の同性愛者であり、女言葉で喋る。ラオモトに心酔している。
◆殺◆

つのはニンジャスレイヤーTRPGのルールブックをまだあまり把握できておらず、他人とセッションするのもめんどくさがってしないため、こうしたソロシナリオミッションが公式で行われるのはとても有り難いです。TRPGの宣伝にも繋がりますし、インストラクションにもなります。嗚呼、いったい何忍のサンシタが生まれては儚く死んでいくことでしょうか。

ヘッズの中にはDKKを積んでニンジャスレイヤーに殺されたい!という方も多いようですが、つのは善良なのでDKKを積むタイプの行動がなかなかとれません。ロールプレイしにくいのです。せっかく作ったニンジャを死なせるのももったいないですし。それにあまり邪悪なことを呟くとTwitter社からBANされるような気もします。この世界はAIの監視下にあり、ウカツな発言は社会的死に繋がるのです。次は邪悪なロールもしてみようかと思います。

以上です。つの産のこうしたニンジャたちを、あなたは自由に活用して下さい。つのはとても喜び、あなたの記事にスキをつけたりするでしょう。

【以上です】

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