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忍殺TRPGリプレイ小説【フィスト・オブ・レジェンド】前編

邦題:伝説の拳(Fist of Legend)

ドーモ、三宅つのです。これは、古矢沢=サンのシナリオ「スパイス・オブ・インフェルノ」、および原作小説「フィスト・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・オハギ」を元にしたリプレイ小説です。やや改変していますが、ネタバレにご注意下さい。

挑むのは、つのニンジャでは一番古株の彼ら「チーム・ヒップ」です。ステータスや各種ルールも第2版にコンバートして行きましょう。数々の冒険を乗り越えて、彼らもついに名声10に到達しました。

【名声】10〜14:ソウカイヤの叩き上げ。ザイバツなど他ニンジャ組織にも名を知られる程度。ザイバツのアデプト位階からマスター位階。アマクダリのアクシス級や精鋭エージェント。名声10初到達時に、PCは『成長の壁(1)』を1個取り除ける。あるいは昇格報酬として万札20を得てもよい。

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◆ハウスバーナー(種別:ニンジャ)
カラテ       8>10 体力       11>13
ニューロン     5    精神力       5
ワザマエ      6    脚力        4>5
ジツ        3>4  万札       65>43
DKK       0    名声       10

◇装備や特記事項
●連続攻撃2、二刀流装備時のみ近接攻撃ダイス&回避ダイス+2
☆カトン・ジツLV1
●サソリ・ファイティング・スタイル:連続攻撃2、近接攻撃ダメージ+1、
 射撃不可、連続側転難易度+2 その他は「タツジン(イアイドー)」と同じ
●ヒサツ・ワザ:サソリ・キック サマーソルトキック読み替えのカウンター技
 二刀流装備時のみ使用可能 ワザマエ10未満は回避難易度-1
●頑強なる肉体:体力+2

◆ナイフ2本(二刀流):強・防時のダイス-1、精密・フェイント時のダイス+1
◆サイバーサングラス:ワザマエ判定ダイス+2
◆TNスーツ:体力+1
◆ZBRアドレナリン注射器(使い切り):気絶者を蘇生、自分に使えば脚力+1
○生い立ち:錠前破り 物理錠前や物理罠の解除判定ダイス+1

能力値合計:25>29 回避ダイス:9>12 近接攻撃ダイス:9>12
前回の冒険で余暇3日を獲得。名声10に到達したので成長の壁を1つ取り除く。カラテは突破したしワザマエかジツだ。ジツにしよう。余暇1日と万札10を費やして2D3を振り、出目合計が現在値(3)以上なら成功。2D6で[35]、割って2+3=5で成功。ジツ値が4となる。旧版サソリニンジャ・クランのサマリーどおり「サソリ・キック」を取得するが、ワザマエが低いので未熟扱いだ。残り2日はカラテを鍛える。万札6を支払い、2D6で現在値(8)以上なら成功。[36]=成功。2回めは目標値10以上で[5][5]=成功。カラテが10、ジツが4に成長し、能力値上は相当に油断ならなくなった。消費した万札は10+6+6=22。

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◆インパーミアブル(種別:ニンジャ)
カラテ       6>7  体力        7>8
ニューロン     9>10 精神力       8>11
ワザマエ      5>6  脚力        3>4
ジツ        0    万札       53>32
DKK       0    名声       11

◇装備や特記事項
●時間差、マルチターゲット、連続攻撃2
●IRCコトダマ空間認識
◆家族の写真:精神力+1、消費すると精神力4回復しDKK獲得やWasshoi判定を回避できる
○生い立ち:ブラインドタッチ 物理タイピングでのハッキング判定ダイス+1

▶▶サイバネアイLV2:ワザマエ判定ダイス+4
▶テッコLV1:カラテ判定ダイスと回避ダイス+1
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定ダイス+2、イニシアチブ+1
◆過剰サイバネ(4個):精神力-1

◆TNスーツ(体力+1)
◆LAN直結型ハンドガン:連射2、時間差・マルチターゲット可
 ●射撃スタイル・論理トリガ(集中時):ニューロンで射撃判定
  時間差・マルチターゲット使用可能
◆*LAN直結型デッカーガン"イヌイ- MK2"*(セキュリティ未解除)
 装備前提:生体LAN端子、サイバネアイLV2、テッコLV2
 遠隔武器、拳銃、連射2、時間差、マルチターゲット、ダメージ2、対ニンジャ仕様

能力値合計:20>23 回避ダイス:10>11
余暇3日。名声10を超えたのでカラテの成長の壁を突破する。一応ニューロンも鍛え直しておくということで、万札9を支払い3D6で[533]=11、成功。ワザマエを万札6で鍛え、2D6で[44]=8、成功。カラテも万札6で[55]=10、成功。相当に油断ならなくなった。デッカーガンの解除パスはまだ見つからないが、装備前提でテッコをもう一段階強化すると重サイバネ一歩手前だ。生体LAN端子も強化したいところだし悩ましい。消費万札は9+6+6=21。

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◆ポイズンバタフライ(種別:ニンジャ)
カラテ       6>7  体力        7>8
ニューロン     6    精神力       6>7
ワザマエ      8>10 脚力        5
ジツ        3    万札       86>59
DKK       0    名声       10

◇装備や特記事項
●連射2、連続攻撃2
◉◉タツジン(イアイドー):カタナ攻撃の出目6成功時に痛打+1、ペナルティなし
 ●戦闘スタイル:
  強化精密攻撃:ワザマエで攻撃判定 殺伐(66)、ナムアミダブツ(665)発生可
  強化強攻撃:攻撃判定難易度+1、基本ダメージ2 連続攻撃上限3
 ●移動スタイル:
  カスミ:回避ダイス1を獲得しつつ移動可能(脚力+2まで)
 ●イアイ反撃:回避判定出目に6を含んだ迎撃のダメージが2となる
☆カナシバリ・ジツ:LV3

◆TNスーツ(体力+1)、Pメンポ(精神力+1)、ブラッドカタナ
◆ウィルス入りフロッピー:ハッキング判定ダイス+3(使い捨て)
○生い立ち:言いくるめ 説得・脅迫判定に失敗しても1回だけ振り直せる
 モータルハンティング時に万札+1

能力値合計:23>26 回避ダイス:8>10
余暇3日。名声10に到達したので成長の壁を1つ突破。カラテにしよう。万札9を支払い3D6で[611]=8、カラテが7に上昇し「連続攻撃2」を自動取得。残り2日はワザマエ鍛錬。[246]=12>8で成功、[136]=10>9で成功。カラテが7、ワザマエが10に上昇し、相当油断ならなくなった。消費万札9×3=27。

気がつけば準シックスゲイツぐらいに強くなっていましたね。後はスキルを増やしましょう。彼らの前回の冒険については下の記事をご覧下さい。

なお、今回は交渉も必要なので、彼らが持っているだろうと思われる知識・交渉系のスキルを持たせてみます。

ハウスバーナーは「ストリートの流儀」「ドラッグの知識」「交渉:煽り」「交渉:共感」を、インパーミアブルは「ハッカーの流儀」「IRCネットワーク知識」を、ポイズンバタフライは「ヤクザの流儀」「高級嗜好品の知識」「交渉:威圧」「交渉:欺き」を持つとします。インパーミアブル=サンは元サラリマンですが、ハッカーだった時間の方が長く、口下手で交渉には向いていません。ポイズンバタフライ=サンは美少年好きですが、職業的男娼はあまり好みでないため、ニチョームに通ったりするかは微妙です。

ユウジョウ判定も一応考えてみましょうか。3人ともソニックブーム=サンとは親密度2か3ぐらいにはなっていそうですが、インパーミアブル=サンはダイダロス=サンとの親密度が高そうですね。今回の知識・交渉スキルはそうしたことで報酬として獲得したのかも知れません。kill-9とかもらってても良さそうな気がしますが、まあいいでしょう。

ではリプレイを通じて、彼らの生き様を見届けてやりましょう。

◇🎲◇

「テメエらには別々のシマを任せる。配置換えだ」

ソニックブームからの通達で、チーム・ヒップは慣れ親しんだツチノコ・ストリートを離れ、一時解散することになった。各々が相当強力になり、名声も増えれば、いつまでも経済的旨味の乏しい場末に固めておくわけにはいかないとのことだ。指令があればまた集まることもあるだろう。

ハウスバーナーはプロミネンスに替わってネオサイタマ第三埠頭、ポイズンバタフライは第九埠頭に配置換えとなる。それぞれは新横浜御縄談合を配下に置き、上納金を吸い上げる。さらにインパーミアブルはスカウト部門を離れ、ダイダロスの統括する電算機室配属となった。

ヘルカーネージ・ヤクザクランのオヤブンにアイサツし、後任者となるブラックマンバに引き継ぎを行う。カバノキとはシャテイ関係を継続することで同意し、ヘルカーネージとの連絡役としても働いてもらうことになる。

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スズリは身寄りがないため、トコロザワ・ピラー内のインパーミアブルの部屋に同居して家政婦を続ける。ツチノコ・ストリートのアジトに一人で住まわせるより遥かに安心だ。他人のネンゴロに手を出すヤクザはいない。

そして、10月。

「ア……ンダッコラー……?」

出張中のソニックブームは、ゲイトキーパーからの極秘IRC通知を受けて、眉間のシワを深くした。またしても信じがたいニュースだ。

ソウカイヤの電子の要たるダイダロスが突然ニューロンを焼き切られ、ほぼ廃人化。ダークニンジャは潜んでいたドラゴン・ゲンドーソーを発見して殺したが、ニンジャスレイヤーに襲われて瀕死の重傷を負った。ダイダロスを倒したのも、おそらくはニンジャスレイヤーか、彼の協力者だ。

シックスゲイツは替えがきくとはいえ、ダイダロスを失ったのは相当な痛手だ。後釜にはウォーロックが昇任したものの、前任者ほどの能力はない。残るシックスゲイツは自分、ヘルカイト、インフェクション。サボターあたりが昇進するか、冬にドサンコのフロストバイトが戻ってくるか。後は……。

インターラプター=サンがいりゃあな……」

元ソウカイ・シックスゲイツ最強格のニンジャ。ザイバツ・グランドマスターと引き分けるほどの凄まじいカラテを持ちながら、突如行方をくらました男。彼がいれば、忌々しいニンジャスレイヤーも、あるいは。

「インターラプター=サンを探せ」

ラオモト・カンの命令下、ウォーロックらソウカイ・シックスゲイツは、元シックスゲイツたるインターラプターを捜索に向かう。ソウカイ・シンジケートに所属する中堅ニンジャや下級ニンジャたちも、それぞれのコネクションを活用して捜索を行うが、なかなか行方は掴めない。……しかし。

「……マジか」

ネオサイタマ第三埠頭。この地を仕切るニンジャ、ハウスバーナーの情報網に、インターラプターらしき人物の情報が引っかかった。モータルとしての名は「サカキ・ワタナベ」。偽名だろうが、盗撮された写真と画像データを突き合わせるに、本人らしき可能性は高そうだ。カラテも伝わってくる。

自分がソウカイヤに入ったのとほぼ入れ違いで姿を消したため、直接会ったことはない。ソウカイヤのヌケニンゆえ、変装や整形も充分に考えられる。だが、あれほどの大柄な体格を縮めることは難しい。そのカラテを隠し通すことも。本人ならキンボシ。野良ニンジャならスカウトすればいい。

「トミモト・ストリートか。ちょいと離れてるが、行くしかねえだろ」もし本人なら、自分だけでは手に余る。ソニックブームに報告したいところだがあいにくドサンコへ出張中だし、他の連中に手柄を譲るのも癪だ。チーム・ヒップの仲間を呼び集め、どうにか彼を説得するとしよう。「善は急げ!」

トミモト・ストリート

22時。重金属酸性雨が降りしきる夜の安宿街を、黄緑色のネオンに照らされながら歩く男の姿。くたびれきった防塵トレンチコートはところどころ擦り切れ、目深にかぶった毛糸帽も虫食いだらけ。浮浪者だ。男は片足を引きずりながら、おぼつかない足取りで、水溜りをハネ散らかして歩いていく。

彼がゆがんだ電信柱の陰まで歩みを進めた時、いきなり乾いた銃声が空気を震わせた。「ヒッ!」男は驚いて身をすくめ、しゃがみこんだ。こんな時間帯にひとりで外を出歩くなど、絶対に避けねばならない危険な行いだ。なぜなら!「ヒャハァー!」男の背後から2人の異様な人影が飛び出した!

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ナムサン……ヒョットコだ。奇怪なマスクをかぶり、拳銃や鉄パイプ、電動ドリルなどで武装した、危険なストリート・ギャングだ。そのクランは巨大であり、センタ試験に失敗し家を追われた十代の浪人生で構成されている。夜の浮浪者狩りは彼らの間で最もホットな競技であった。

彼らは笑いながら浮浪者を取り囲み、背中を蹴りつけた。「アイエエエ!」男は情けない悲鳴をあげ、ぬかるみに突っ伏す。「ドリルやれよ!ドリルをよ!」「ガッテン!」電動ドリルのスイッチが入れられ、危険なモーター音と共に、回転する刃先が男の目玉に突きつけられる!「アイエーエエ!」

ナムアミダブツ!だがこの地獄絵図は、ネオサイタマのストリートにおいてはありふれすぎたチャメシ・インシデントなのだ!「それぐらいにしとけ、ガキども」道の反対側の電柱の影から、ゆらりと別の人影が現れた。それも3人。「ヒャハァー!増えたァー!」「いち、に、たくさん!」

◆ヒョットコ(種別:モータル/犯罪者)×2
カラテ       1    体力        2
ニューロン     1    精神力       1
ワザマエ      3    脚力        2
ジツ        0    万札        1

◇装備や特記事項
●トリガーハッピー:基本射撃難易度HARD
◆鉄パイプ:近接武器、攻撃専念時ダメージ2
◆ノーカスタム・チャカガン:遠隔武器
◆ヒョットコ・オメーン:体力+1

戦闘開始

イニシアチブ:インパーミアブル(11)→ポイズンバタフライ(6)→ハウスバーナー(5)→ヒョットコ&浮浪者(1)

フードの男がふらり、と身を揺らした。

連続攻撃2。4D6を2つで[1513][1143]=成功。ヒョットコ1人を倒す。

パパァン!「アバーッ!」鳩尾と胸。瞬時に2発のパンチがヒョットコの1人に打ち込まれ、彼はもんどり打って倒れた。続いて、背の高いモヒカン男。

連続攻撃2。3D6と4D6で[334][3446]=成功。ヒョットコ1人を倒す。

パパァン!「アバーッ!」顔面と喉。瞬時に2発のパンチがヒョットコの1人に打ち込まれ、彼はもんどり打って倒れた。「おっさん、怪我はねえか」

3人目の人影は、浮浪者に近寄ってしゃがんだ。中肉中背、灰白色の短髪、剣呑な目つき、金属製のマスク。サイバーサングラス。見るからに、3人ともカタギではあるまい。「ハイ」「ここらは危ねえぞ。ヒョットコが出るからな。よそから来たのか?」「ハイ。タッコウ・ストリートからです」

「そりゃ遠いな。なんでここまで?」「毎日炊き出しがあるって、聞いて」「ははは!そんなうまい話、ネオサイタマのどこにもねえよ!」彼は肩を揺すって笑った。悪い男でもないようだ。「そ、そうですよね」「よそ者なら知らねえか。俺ら、ここら住まいの浮浪者たちに用があるんだがな……」

「時間帯が遅すぎじゃない?そこのヒョットコに聞いたが早かったかしら」「下水道でも探すか」2人は肩をすくめた。「まあいいや、あんたの護衛ついでに探してやるよ。どこかで見つかるさ」「あ、アリガトゴザイマス!」男は深々とオジギした。ヤクザだろうとなんだろうと、心強い味方だ。

「わたしはノリタ・イガキです。ヨロシクオネガイシマス」「俺はヤケミ・ノツだ」「ドーモ、アメザキです」「カワヒラよ。よろしくね」

【続く】

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