邦題：真の生存者（True Survivor）

これは、ニンジャスレイヤーTRPGのオリジナルシナリオ、三笠屋＝サン作「ニンジャの夜逃げ」と「ニンジャの身柄確保」を元にしたリプレイ小説です。つのが一人でやりました。文章は割と元シナリオからそのまま持って来ていますので、ネタバレにご注意下さい。

◇🎲◇

◆ニンジャ創造◆

では久しぶりにPCニンジャを創造します。まずプラグイン「生い立ち表」を2回振ってみましょう。

出目は[13]＝指名手配犯と[51]＝元ヒキャク・パルクールです。いきなりそれらしくなりましたね。これは追いかける方がヒキャクの方がいいでしょう。

１３『○指名手配犯』：「ここに来るまでに二人殺して来た」そう語るニンジャの服は赤い返り血に染まっていた。ニンジャソウルの闇に飲まれて組織から粛清される日も、そう遠くはないだろう。このPCはゲームスタート時点から【万札】５と【DKK】２を持つ。またシナリオ開始時に【DKK】が０だった場合、自動的に２まで上昇する。

５１『○元ヒキャク・パルクール』：ヒキャクとはパルクール訓練を積んだメッセンジャーの事で、複雑に入り組んだ都市の物流を支えている。このPCは『◉常人の三倍の脚力』を持った状態でゲームを開始する（他に初期装備アイテムがあれば捨てること）。

互いの能力値を4D6で決めます。指名手配犯は[5642]＝カラテ5、ニューロン6、ワザマエ4、ジツ0。元ヒキャクは[3562]＝カラテ3、ニューロン5、ワザマエ6、ジツ0。そこそこ強いですが共にサンシタです。でもなんか強すぎる気がしますので、5を4に、6を5に下げます。そして二人ともサイバネを入れています。元ヒキャクは当然ヒキャクを入れるとして、指名手配犯はワザマエを強化するためサイバネアイを入れていることにしましょう。

ローンを返済できないニンジャが消耗品や武器を持ってるのもアレですし、アイテムの類はなしとします。指名手配犯の万札5も没収です。追跡する側は精神力を消費しての自動成功が禁止となっています。城を攻めるには十倍の兵力がいるというコトワザに基づけば、追跡側が断然不利です。

ニンジャネームは……指名手配犯は翻訳してウォンテッド、元ヒキャクは飛脚を翻訳してフライングレッグスとします。略称はWTとFLです。

◆ウォンテッド（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　４　　　　体力　　　　　　　　４
ニューロン　　　　　５　　　　精神力　　　　　　　５
ワザマエ　　　　　　４　　　　脚力　　　　　　　　３
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　２　　　　名声　　　　　　　　０

◇装備や特記事項
▶サイバネアイ：ワザマエ判定ダイス＋２
○指名手配犯：シナリオ開始時にＤＫＫが０の場合２まで上昇

能力値合計：１３　サイバネ数：１　回避ダイス：５　ワザマエ判定ダイス：６

◆フライングレッグス（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　３　　　　体力　　　　　　　　３
ニューロン　　　　　４　　　　精神力　　　　　　　４
ワザマエ　　　　　　５　　　　脚力　　　　　　　　５
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　　　０
ＤＫＫ　　　　　　　０　　　　名声　　　　　　　　０

◇装備や特記事項
▶ヒキャク：脚力と回避ダイス＋１
○元ヒキャク・パルクール：◎常人の三倍の脚力：脚力＋１、連続側転難易度EASY

能力値合計：１２　サイバネ数：１　回避ダイス：６

イメジは共にPicrewの「サンシタニンジャメーカー」で作りました。

ではリプレイを通じて、彼らの生き様を見届けてやりましょう。

◇🎲◇

◆これまでのあらすじ◆

ソウカイヤに所属するサンシタニンジャ・ウォンテッドは、地道なカラテ鍛錬で強くなる道を嫌い、サイバネによる安易でインスタントなパワーアップを選んだ。彼は悪名高いふわふわローンでカネを借り、ミッションの成功報酬で返済しようという無鉄砲な計画を立てた。

だが彼は付け焼刃のサイバネを使いこなせず、あるいはサイバネによるパワーアップ込みですらなおどうしようもないサンシタであったためか、ミッションに失敗してしまう。ふわふわローンを返済できなかったニンジャの末路は、爆発四散が慈悲に思えるほどおぞましいものだという。

ウォンテッドは近づいてくるふわふわローン取り立てニンジャの気配に飛び上がり、部屋を飛び出して夜の街を必死で逃げた。夜逃げだ。息を切らして逃げ回っていたウォンテッドは、やがてとあるビルの前へと辿り着いた。このビルは、ネオサイタマに点在するソウカイヤのニンジャ要塞の一つ。

反ソウカイヤ存在をここに誘い込み、トリイ・ギロチンやタケヤリ、ネギトログラインダーなどの殺人トラップで抹殺するための施設なのだ！ウォンテッドは、このニンジャ要塞に逃げ込んだ。ソウカイヤ紋の認証により管理者権限を得、秘密の直通エレベーターで最上階の司令室へ。

彼は殺人トラップスイッチがずらりと並ぶ戦略チャブへと座った。壁一面に張られたモニタに映るのは、今まさにこの要塞へとエントリーする取り立てニンジャの姿。ウォンテッドはごくりと唾を飲み込み、スイッチへと指を這わせる。脂汗と共に、サディスティックな笑みが顔に浮かんだ。

彼はこれから要塞内に配置された殺人トラップを駆使して取り立てニンジャにダメージを与えて爆発四散、さもなくば追跡困難な状態へと追い込み、夜逃げを成功させなければならない。さもなくば取り立てニンジャに捕まり、ニンジャになったことを後悔しながら死んでいくことになるだろう……！

◆

そして、取り立てニンジャのフライングレッグスもまた、ウォンテッドと同じくふわふわローンの借金を返済できず、取り立て人を待つばかりのニンジャであった。ひとつ違ったのは、彼の上司ヘルカイトから、ウォンテッドを捕まえて来れば借金をチャラにしてやる、とけしかけられたことだ。

挑むのは殺人トラップ満載のニンジャ要塞。城攻めには兵力が十倍必要だとミヤモト・マサシの兵法書にもあるが、そこへひとりで殴り込めば、高い確率で死が待つ。だが挑まねば確実な死。成功すれば生。ならば行くしかないだろう。フライングレッグスは覚悟を決め、要塞へ潜入する……！

◆本編開始◆

ニンジャ要塞にエントリーしたFLは、ニンジャ感覚と第六感の全てを動員して周囲に最大限の警戒を払う。ビル内部は侵入者抹殺の決断的殺意に溢れた殺人トラップの巣。油断すれば即座に無惨な死を遂げるのは間違いない。FLは最上階の司令室を目指してしめやかに進み始めた。

ワザマエ判定×3、難易度NORMAL。[23455][44456][61444]＝成功。

タケヤリや電流ナリコなどの基礎的殺人トラップを避けつつ、定期的にPOPしてくるクローンヤクザを殺しながらビルを進み、天井に無数のボンボリが吊り下げられた大ホールに辿り着いた。目指す階段はこの先だ。注意を払いつつボンボリホールにエントリーする。正面にはブッダ像が立ち並ぶ。

するとその途端、天井からボンボリが頭上へ落下してきた！

ワザマエ判定、難易度NORMAL。[65124]＝成功。

「イヤーッ！」素早く回避するFL！KABOOM！KABOOM！ボンボリが次々と落下し爆発！恐るべき殺人バクチクボンボリトラップだ！立ち止まるのは危険！この危険地帯を一気に突破するべく走り出る！彼の脚力は常人の三倍であり、さらにサイバネで強化されているのだ！

連続側転、難易度EASY。[13466]＝成功。

KABOOM！KABOOM！KABOOM！KABOOOOM！「イヤーッ！」スライディングを繰り出し、出口真上の特大ボンデリア（ボンボリ・シャンデリア）の落下を間一髪で潜り抜け、FLは殺人ボンボリ地帯を見事突破した！

◆

一方、司令室のWTはモニタでそれを見ながら歯を食いしばる。本命はボンボリ地帯が終わる位置に仕掛けたコケシ爆弾だ。スイッチに手をかけ、回避不可能なタイミングで起爆させるのだ。……今だ！

ニューロン+ワザマエの合計値の半分の数だけダイスを振る。サイバネアイでワザマエを+2し、5+6＝11。切り上げて6。6D6を振って5以上の値が2つ以上あれば成功だ。[135566]＝成功！

◆

「フゥーッ……」額の汗を拭うFLの視界の端に、廊下に置かれたコケシが映った。瞬間、FLのニンジャ第六感が警告を発する！

ニューロン判定、難易度HARD。[4556]＝成功！

FLはコケシの放つ不穏なアトモスフィアをいち早く察知し、咄嗟に連続側転を繰り出して距離を取る！「イヤーッ！」

連続側転、難易度EASY。[23346]＝成功。

KABOOOM！直後爆発するコケシ！ボンボリ地帯を抜けて油断した相手を狙ったブービー・コケシ爆弾トラップだったのだ！FLは改めてニンジャ要塞の恐ろしさを知り、戦慄しながらも階段へと進んだ。

ワザマエ判定×3、難易度NORMAL。[11145][34556][12246]＝成功。

「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」FLは飛び出してくるタケヤリを避け、トリイギロチンを潜り抜け、ガス・マネキネコを蹴り飛ばし、要塞をどんどん攻略していく。その姿は借金も返せぬ情けないサンシタとはとても思えない。死と隣り合わせの緊張感がカラテを研ぎ澄ませているのだ！

FLは細く長い廊下へと差し掛かった。廊下の先には上への階段が見えるが、警戒しながら廊下を進む。その時……ガゴンプシュー！突如としてFLの前方に防火隔壁が下りる。振り向くと後方にも隔壁！閉じ込められた！そして隔壁内からマシンガンが突き出す！アブナイ！

◆

「かかったなアホが！」WTは戦略チャブの操作レバーを用いてマシンガンをマニュアル操作！ニンジャが回避できぬよう弾幕を張るのだ！

ワザマエ判定、難易度HARD。[34445]＝ギリギリ成功。

◆

BRATATATATATA！FLに銃弾の雨が浴びせられた！身を隠す場所のない閉所での濃密な弾幕！複数のマシンガンが絶妙な時間差で回避困難な射撃をしかけてくる。被弾は覚悟せねばならない。だがここで死ぬわけにはいかない！「イイイイヤァーッ！」FLは全力で回避を試みる！

連射3、時間差。回避難易度HARD。FLの回避ダイスは6あり、2D6を3つで全力回避！[34][61][36]＝1発命中！FLの残り体力2！

「グワーッ！」被弾！だがFLは歯を食いしばり、マシンガンごと隔壁を破壊すべくキックを繰り出す！「イヤーッ！」

3D6で難易度HARD、[136]＝成功。

KRAAASH！FLは隔壁にキックを叩き込み、マシンガンごと破壊！死の密室から脱出を果たした！油断することなくカラテ警戒し階段へと進んでいく。傷の痛みはむしろ、彼の怒りを煽り立て、前へ前へと突き進ませるだけだった。「どこにいる、WT＝サン……！」その凄まじい姿に、WTは恐怖した！

◆

その後もWTはありったけの殺人トラップを動員してニンジャを抹殺しようとした。毒矢、ネギトロ・グラインダー、毒スモトリ、クローンヤクザ満載部屋、バイオズワイガニ、毒スシ、隠しZAP銃、マグロ頭爆弾。しかしあらゆるトラップが切り抜けられてしまう！「ダムンシット！」WTは焦る！

WTは虎の子のメキシコライオンをも放った。だがそのような小細工は、追跡ニンジャの怒りの炎に油を注ぐだけだった。なんと他のトラップに誘導することで突破したのだ。ついにニンジャは最上階まで到達した！ニンジャの足音が迫る。すでに司令室のすぐ前だ。そして彼は、最後の賭けに出た。

「あの部屋があったか……！」

◆

FLは逸る気持ちを抑え、慎重に司令室の扉を開ける。中には無数のスイッチが並んだ戦略チャブ、要塞各所の映像を映す大型モニタ。だが、肝心のWTの姿が無い。「姿を現せ、WT＝サン。オヌシがどれほど小細工を続けようと、私の怒りの炎に油を注ぐだけだ！」FLの声がこだました。

WTの高笑いだけが帰ってきた。注意深く部屋の中を見回したFLは、奥にフスマを発見した。あの中か。FLは意を決し、フスマに手をかける！ターン！

「バカな……行き止まりとは……！」FLが足を踏み入れたのは、タタミ敷きの四角い小部屋であった。それはシュギ・ジキと呼ばれるパターンで、十二枚のタタミから構成されている。四方は壁であり、それぞれにはライオン、バタフライ、ゲイシャ、イカの見事な墨絵が描かれていた。

もはや先へ進むためのフスマは見当たらない。では、WTはどこへ消えたのか。「姿を現すがいい、WT＝サン……！」この謎を解くべく、FLは右手にスリケンを握り、物音ひとつ立てぬ精緻な足運びで部屋の中心部へと進んでいった。額の汗を右手の甲で拭った。……FLが部屋の中央に達した、その時！

WTはカラテ判定、難易度NORMAL。[4456]＝成功。FLはニューロン判定、難易度U-HARD。[1246]＝成功！反撃！WTの残り体力3！

WTが後方のライオンの壁中央を音もなく回転させ、姿を現した！「イヤーッ！」だがFLは事前にニンジャソウルを察知して迎撃！「イヤーッ！」「グワーッ！」ゴウランガ！FLのキックはWTを吹き飛ばし、壁をぶち破って叩き出した！「ドーモ、ウォンテッド＝サン！フライングレッグスです！」

FLはアイサツを繰り出した。アイサツをされれば返さねばならない！「ヌウーッ！ドーモ、ウォンテッドです！オタッシャデー！」WTはそのまま踵を返し逃走を開始！幾多のトラップを掻い潜り、必殺のシュギ・ジキ部屋すら破ったこの恐るべきニンジャに勝てはしない！

連続側転。[122245][13346]＝両者成功。

「「イヤーッ！」」WTが逃げ、FLが追う！激痛と恐怖を必死でこらえ、WTは活路を求めて屋上へ走る！FLは心なしか動きが鈍っており追いつけない。先程の銃撃やトラップ群を躱してきた疲労がボディブローめいて効いてきたのだ。まだ逃げ切れる！屋上に備え付けられたアレさえあれば！

「ハァーッ！ハァーッ！ハァーッ！イヤーッ！」SMAAAASH！WTは非常階段のドアを蹴り開けた。屋上は鋼鉄色の世界。土砂降りの重金属酸性雨だった。イカスミめいた空を走る雷光が彼を出迎え、冷たい雨が血を洗い流す。このビルは相当に高く、近隣ビルに飛び移ろうにも逃げ場がない。

「ハァーッ……ハァーッ……ヤッタ！」WTは急いで周囲に視線を巡らせ、そこに置かれた非常ボックスを見て小さく快哉を上げる。「イヤーッ！」これを蹴り開けると、そこから折りたたみ式の強化カーボンフレームと黒い布が飛び出した。WTは一瞬のうちにこれを背負った。そして紐を引く！

バサム！折り畳み傘が開くにも似て、それはたちまち大型の背負い式凧（カイト）となった！黒布地にはシックな黄金色で「キリステ」と書かれたクロスカタナ紋。緊急事態に備えてビル屋上に設置してあった、ソウカイヤの非常脱出用カイトだ！WTは暗黒の海を睨んだ。「イヤーッ！」

WTがカイトを広げたのとほぼ同時に、FLが駆けつける！「どこへ逃げようと無駄だ！イヤーッ！」SMAAAAASH！FLは屋上ドアを蹴り開けると、隙のない四連続側転で屋上の中心部へと達した。もはや一刻の猶予も無い！WTは眼下に広がる暗黒の海へとダイブしようとする！

空は墨絵を思わせるモノクロームの海。上空で光ったイナズマに照らされ、一瞬、WTのメンポが光った。

WTのカラテ・ニューロン・ワザマエ（素）の合計値は13。これまでFLに与えたダメージは1。合計14だ。続いて3D6を振り、合計値に5を足す。これが前者と同じ値か上回れば脱出失敗、下回れば成功だ。出目は[136]＝10。5を足して15。ギリギリ失敗！インガオホー！

だが……なんたることか、非常脱出用カイトの骨の一部が引っかかり、完全には広がらない！不良品か、整備不良か……それともブッダの思し召しか！このまま飛び降りれば死ぬ！「ば……バカな！クソーッ！」激しく動揺するWT！その背後にFLが迫る！「ネングの納め時だ、WT＝サン！」無慈悲！

FLの攻撃。基本難易度はKIDS（必要出目2）だが、ダメージを1食らったため難易度は+1されEASY（必要出目3）となる。スリケンか、カラテか。ここはカラテだ！3D6で[156]＝成功！

「イイイイヤァァァーーーーッ！」FLが全身全霊を振り絞り、サイバネで強化されたニンジャ脚力で蹴りかかる！その脚力は常人の三倍に三倍をかけて九倍、すなわち128倍だ！「グワーッ！」KRAAASH！WTは痛烈なキックを受けて倒れ伏し、頼みのカイトは滅茶苦茶に破壊されてしまった！

「アイエエエ！」情けなく泣き叫ぶWT！その背中をFLが踏みつける！「ゲームオーバーだ、WT＝サン。ハイクを詠め！イヤーッ！」ハイクを詠ませる時間など与えぬ！貸与されたアンタイ・ニンジャウイルス「タケウチ」の注射器を手早く打ち込む！「アバーッ！」WTは痙攣し、動かなくなった。

「やった……！」FLは達成感に満ち溢れた。だがゆっくりしてはいられない。身動き取れなくなったWTを米俵めいて担ぎ上げ、IRCでヘルカイトに身柄確保を告げると、数分もしないうちにソウカイヤのヘリコプターが屋上に飛んできた。「よくやった、FL＝サン。乗るがいい」ヘルカイトが声をかける。

「ヨロコンデー」FLは一礼するとヘリに乗り込み、用意された拘束衣をWTに着せ、ヘルカイトと共にトコロザワ・ピラーへと向かった。WTには死よりも酷い運命が待っているだろう。だがFLは一片の同情心も憐憫も抱かず、意気揚々と凱旋する。自分が勝ち、相手が負けた。ただそれだけだ。

ニンジャの戦いなど知らぬように、マグロツェッペリン群や高層ビル街の巨大プラズマモニタでは、サイバーサングラスをかけた色白のオイランが優しく電子的に微笑んでいた。地平の彼方の雲間には髑髏めいた満月が浮かび、「インガオホー」と呟いたようであった。

◆エンディング◆

ヘルカイトとFLは、そのまま帝王ラオモト・カンのヘッドオフィスへと通された。「ムッハハハハハ！」ラオモトはサケを片手に上機嫌。視線の先にはグンバイ型モニタがある。そこに流れる映像は、殺人トラップを必死で回避している先ほどまでのFLの姿だ。WTが司令室でスイッチを操作する姿も。

ヘルカイトが淡々と事態を解説する。「今回のミッションの目的はな、暗黒メガコーポ群が開発したオフィス用殺人トラップのデータ収集だ。WT＝サンがあのビルに逃げ込むよううまく誘導し、まんまと司令室に立て籠もったところで、お前に声をかけた。よくやったぞ、フライングレッグス＝サン」

「ムッハハハハハ！中々の余興であったぞ！」ラオモトは、司令室で必死にスイッチを操作するWTと、死に物狂いでトラップを回避するFLの映像を見てご満悦だ。彼はサディストの暴君であり、弱者がブザマに争い、虫ケラのように踏み躙られ、のたうち回って苦しむ姿を見るのが何よりも好きなのだ！

そしてこの実働トラップデータは、各暗黒メガコーポに高値で売れる。その値段は、FLとWTの借金を合わせた額などとはケタが違う金額であることは間違いない。なにしろニンジャを使った貴重なデータなのだから！「……と、いうわけだ。怒ったか？」「……いえ。感謝こそすれ、恨みなど」

FLは事情を知っても腹を立てはしない。自分は生き残り、ラオモトを喜ばせた。それで充分だ。「そうか。それでいい」ヘルカイトはふっと微笑む。「おかげでうまいサケが飲めた。借金は帳消しだ。褒美をくれてやろう！」ラオモトは鷹揚に笑い、万札の束を投げた。「アリガタキシアワセーッ！」

「WTの確保に成功」「失った体力が1以下」以上の要素により、借金が帳消しされた上に万札10と名声1、余暇2日を得、カラテが永続的に1上昇する。

死線をくぐり抜けたFLは、無慈悲で油断ならぬオーラを漂わせていた。ラオモトはそれを見抜き、さらに喜ぶ。「貴様がみせたカジバヂカラを、ものにして見せるがいい。ムッハハハハハハハハ！より励めよ！」「ハハーッ！」FLはヘルカイトと共に深々とドゲザした。

2人のニンジャが戦い、1人のニンジャが生き残った。フライングレッグスはこれから先、欲望とニンジャが渦巻く暗黒の電脳メガロシティで、どのように生きていくのであろうか……。

【トゥルー・サヴァイヴァー】終わり

リザルトな

◆フライングレッグス（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　３＞４　　体力　　　　　　　　３＞４
ニューロン　　　　　４　　　　精神力　　　　　　　４
ワザマエ　　　　　　５　　　　脚力　　　　　　　　５
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　　　０＞１０
ＤＫＫ　　　　　　　０　　　　名声　　　　　　　　０＞１

◇装備や特記事項
▶ヒキャク：脚力と回避ダイス＋１
○元ヒキャク・パルクール：◎常人の三倍の脚力：脚力＋１、連続側転難易度EASY

能力値合計：１２＞１３　サイバネ数：１　回避ダイス：６

◆忍◆
つの版ニンジャ名鑑
【フライングレッグス】
常人の三倍の脚力をさらにサイバネで強化した、油断ならぬソウカイニンジャ。並のニンジャが彼の追撃から逃れることは難しい。
◆殺◆

◆忍◆
つの版ニンジャ名鑑
【ウォンテッド】
ソウカイヤのサンシタニンジャ。ふわふわローンの借金を返せず、ニンジャ要塞に立て籠もって追跡ニンジャを殺そうとしたが失敗した。
◆殺◆

ウォンテッド＝サンがインガオホーを受け、フライングレッグス＝サンがカジバヂカラを見せて生き残りました。FL＝サンは経歴的にシャープウォーカー＝サンと被るので、こっちは無慈悲でワルい感じにします。見かけの割に口調が渋いのはシークエンス・ブレイクビーツ技法のせいでしょう。カンオケ・ドージョー暮らしを続けつつ、ヘルカイト＝サンの下で斥候ニンジャとして立ち回ったり、借金取り業務をこなしたりしていくと思います。公式のソロアドがまたあれば、彼を出してもいいですね。

◇🎲◇

以上です。つの産のこうしたニンジャたちを、あなたは自由に活用して下さい。つのはとても喜び、あなたの記事にスキをつけたりするでしょう。

【以上です】