見出し画像

【つの版】度量衡比較・長さ編03:近接武器

ドーモ、三宅つのです。今回から武器の長さ・間合・射程距離についてやります。しかしあまりにも範囲が広く、全部いっぺんにやると長くなるため、近接武器と投擲武器、射撃武器に分けることにしました。そういうわけで、今回は刀剣や槍などの近接武器だけです。ご了承下さい。

長さ編:01(身体尺) 02(身長比較)

つのの度記事はこの記事に影響を受けて始めたものです。つのは武術に疎くカラテを習ったこともないため、かなり適当なことを改めてご了承下さい。電子の神Googleや知恵の神Wikipediaに働きかけて託宣を求め、つのなりに情報をかき集めてアウトプットしてます。パルプの参考程度にお考え頂き、詳しくは専門家にお尋ね下さい

なお現代日本の銃刀法では、刃渡り6㎝以上(折畳式なら8㎝以上)の刃物を正当な理由なく携帯していると逮捕されますし、それ以下でも軽犯罪法でしょっぴかれます。バッグにナイフやハサミ、スリケンを入れて持ち歩かないようにしましょう。鉄棒とか棍棒もだめです。喧嘩をせずにいるのが最上ですし、逃げるのが一番です。誰かを守りたいのならカラテを鍛えて下さい。状況次第で手元の傘とかを即席の武器にすることもあるかも知れませんが。

▼間合概説

ヒトは他の動物に比べると大型ですが、筋力は低く、爪も牙も野生動物を殺して食らうようには出来ていません。そこでヒトは手に石や枝を掴み、武器として振るうことを覚えました。チンパンジーなども多少は武器を使いますが、恒常的に使うことはしませんし、複雑なものは作りません。武器はテコの原理や遠心力で痛打を与え、尖った部分で突き刺し、思い切り叩きつけても自分にダメージがなく、相手から距離(間合)をとって攻撃出来ます。

イクサにおいて、互いの間合を測ることは不可欠です。片足を一歩踏み込めば相手に拳や武器が届き、一歩下がれば相手の攻撃が届かない距離を「一足一刀の間合」と言います。これより遠くを遠間、近くを近間といい、触刃交刃を加えることもあります。こちらが素手であちらが武器を持っていれば向こうの攻撃の方が先に届き、一方的に攻撃されます。逆も然りです。両者が同じ長さの武器を持っていれば互角に戦えますが、片方がスリケンや銃で武装していれば?スナイパーによって超遠距離から狙われれば?これが間合の強さです。間合を制することは武術の極意です。

これによれば、剣道の間合(踏込距離)は1mから1.45mと幅があります。あまり近すぎると剣は振るいにくく、カラテの距離に持ち込まれます。相手を自分の間合に持ち込み、近寄らせず制する……そうしたことなのでしょう。

▼短剣

日本刀では、刀身(刃長、刃渡り)が長さ一尺(30cm)未満の刀を短刀といい、一尺以上二尺(60cm)未満のものを脇差や小太刀といいます。ダガーや鉈、山刀、マチェーテ、ククリ、クナイとかドス・ダガーもこのぐらいです(長ドスは一尺八寸=54.5cm以上)。手斧や棍棒、警棒やジュッテも便宜的にここに含めます。柄は拳の横幅(7.5cm)よりは長く、両手でも使えるものはその倍以上はあるでしょう。下の記事を参照して下さい。

最も初期の刃物は、石を打ち欠いて尖らせた石斧です。やがて加工技術の進展により刃の長さは伸びていき、ナイフや鉈を生み出しました。これは生活用品であり、食材加工や草木の伐採に用いるものですが、護身用や魔除けとしても普及しました。携帯が容易なので暗殺や喧嘩にも使われます。二刀流や投擲もできます。戦場でも敵にトドメを刺す時は短剣を用いましたし、鎧武者同士が組み討ちになると刃長七寸(21cm)ほどの鎧通しを使いました。

現代日本で最も身近なナイフは包丁でしょう。武器ではありませんが、尺・寸・分で刃渡りの長さを表します。小出刃包丁は三寸五分(10.5cm)から四寸五分(13.5cm)、本出刃包丁は五寸(15cm)から九寸(27cm)、菜切り包丁は五寸五分(16.5cm)から六寸(18cm)、刺身包丁は七寸(21cm)から九寸…などと決まっており、一尺や一尺一寸、一尺二寸のもあります。

間合はどうでしょうか。片手で短剣類を握って突き出した場合、片腕の長さに刃渡りの長さがプラスされ、素手よりは長くなります。踏み込みの速度など使い手のワザマエにもよるでしょう。投擲すれば間合いは一気に伸びますが、当然手元からなくなります。投擲に関しては別記事に回します。

なお、近距離ではナイフ使いを拳銃で制圧するのは難しいとされます。

▼長剣

日本刀では、刀身が二尺(60㎝)以上で三尺(90㎝)未満のものを太刀・打刀といい、三尺以上なら大太刀・野太刀とします。平安期から室町前期はやや長かったそうですが、戦国時代から江戸時代にはおよそ二尺三寸(70㎝)が普通です。柄の長さは人によりますが、八寸(25cm)ほどがよいとされます。拳の横幅が7.5cmですので3つ分と少しです。全長は鍔などを足しても1mというところでしょうか。片手でも両手でも扱えますが、大太刀や野太刀となると片手で振り回すのは豪傑でないと難しいでしょう。

竹刀は真剣より軽いため長くしやすく、幕末には全長三尺八寸(117cm)、現代では三尺九寸(120㎝)と決まっています。木刀はそれより重く短く、全長三尺三寸五分(102㎝)、刀身二尺五寸(75.5㎝)、柄八寸が規格とされています。使う人によって違っては来るでしょう。刃がなくとも打撃力はあり、木刀や鉄パイプで殴れば骨は折れます。気をつけましょう。

一足一刀の間合は、上述の通りです。素手や短剣より当然リーチが長く、その有利は明らかです。懐に踏み込めばとかいいますが、遠心力で速度や威力もあり、ましてや刃物です。ウカツに間合に入ればやられるでしょう。

西洋では片手剣(ショートソード)が全長80㎝ほど、ロングソードは全長1m前後です。中世後期には片手半剣(ハンドアンドハーフソード、バスタードソード)が現れましたが、片手剣より扱いにくいので廃れていきました。

クレイモアという巨大な剣も存在しました。これなどは全長が168cm、重さが2.7kgほどもあり、振るった戦士も身長2mの巨漢だったといいます。

当たれば相当な破壊力があったでしょうが、大型武器には短所もあります。両手が塞がるので盾が持てず、大きく重いので扱いづらく狭いところでは振り回せません。懐に飛び込まれれば手放さざるを得ません。これは長柄武器にも言えます。片手剣や手斧や短剣は、そうした時のサブウェポンとしても必需品なのです。あなたがイクサに赴く時は気をつけて下さい。

▼長柄武器

長兵器、ポールウェポンとも呼ばれます。槍や薙刀など、長い棒(長柄)の先に刺突や斬撃、打撃部分をつけた武器の総称です。長柄自体も打撃武器となりますし、相手から距離をとって一方的に攻撃できます。人類が古くから用いてきた武器であり、狩猟道具です。下の記事が詳しいので見て下さい。

長柄武器の長さはいろいろです。片手で扱えるよう全長1mぐらいにしたものもありますが、おおむね使用者の身長と同程度からその倍ぐらいです。仮に六尺(1.8m)程度のボーを装備したとして、真ん中あたりを握れば90㎝ものリーチがあり、いきなり野太刀ほどの間合を取れます。

騎兵用の槍(ランス)は2mから3mほどで、騎兵の重さに馬の重さと速度を加味して突撃するものです。その破壊力は侮れません。

歩兵用の槍は4mから6.4m(三間半)もあり、これが密集して針鼠のようになるのが密集方陣(ファランクス)です。

なお『三国演義』での張飛は一丈八尺(漢尺で4.4m、明尺で6m)の蛇矛を振るいますが、曲がりくねる形になったのは新しいようです。

薙刀は、刃長一尺~二尺、柄が三尺~六尺というのが通常で、合わせて四尺(120㎝)から八尺(240㎝)ほど。刃長六尺(1.8m)で柄が一丈(3m)などという大薙刀も一時出現しており、サイズはまちまちです。現代日本の競技用なぎなたは「全長210cm以上225cm以下」と規定されており、打突部は70㎝(うち柄との結合部17㎝)あります。

警備・捕縛用具としてはサスマタが知られており、一人を数人がかりで囲んで抑えつけます。飛び道具への対処は出来ないため気をつけましょう。

俗に剣道三倍段と言いますが、これは薙刀使いや槍使いに剣道家が挑むには相手の段位の三倍で互角だとされたことからで、のち空手家が剣道家に挑むには相手の段位の三倍で互角というカラテ算数を生み出しました。すなわち素手で長柄武器に挑むには、理論上は九倍の段位があって互角となります。まあ狭い場所での取り回しには向きませんし、頑張れば柄を掴んだり切り落としたりも出来るかも知れませんが、数を揃えて囲んで棒で殴れば熟練の剣術使いでもたぶんやられるでしょう。戦いは間合と数です

今回は以上です。次回は投擲武器をやります。

【続く】

▼参考

武器図書館:http://arms.cybrary.jp/db/index.html

装備品事典:http://tinyangel.jog.client.jp/Arm/Menu.html

この記事が参加している募集

つのにサポートすると、あなたには非常な幸福が舞い込みます。数種類のリアクションコメントも表示されます。