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ニンジャスレイヤーTRPGシナリオ【バーニング・アップ・ザ・タウン】

邦題:燃え上がる街(Burning up the town)

ドーモ、三宅つのです。これは、『ニンジャスレイヤーTRPG™』第2版基本ルールブック環境対応シナリオ案です。公式のシナリオコン『ゴールデン・ヌンチャク賞』への応募作品になります。

作成直後のキャラ3-5人程での挑戦を想定していますが、頑張ればソロプレイも可能です。バランスなどは各自で調整してみて下さい。そして、あなたも気軽にシナリオを作ってみて下さい。1人何本でも応募できます。

元にするのは、トリロジー第三部の殺伐な短編「ニンジャズ・デン」です。デン(英語:den)とは「(動物の)巣、巣窟、ねぐら、棲家」などを意味します。無法なニンジャがネオサイタマ郊外にねぐらを作って無法者たちを支配しており、そこへPCたちがカチコミして、奪われたヒロインとかを持ち帰るわけですね。ボスを重サイバネのギャングなどに変えれば、モータルのアウトローたちでも可能そうなビズです。

なお、このシナリオでは簡略化のためグリッドマップは使いません。欲しいのであれば「ヤクザの事務所」などのマップを適当に流用して下さい。

0.シナリオサマリー

ネオサイタマ郊外に根城を構える野良ニンジャにさらわれたモータル女性(あるいは高性能オイランドロイド)を奪還せよ。
対象:作成直後から壁超え前のニンジャ3〜5人。
難易度:イージー〜ノーマル程度
キャラロスト:あり
余暇:標準(4スロット)
所要時間:1~3時間
その他:サツバツボーナス、カルマロンダリング機会あり。

1.ダンゴウ

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君たちはニュービーニンジャのチームだ。ある時、上司である有力なニンジャ(ソウカイヤならソニックブーム、ダイダロス、ゲイトキーパーなど)から、「ネオサイタマ郊外に根城を構える野良ニンジャにさらわれたモータル女性(あるいはオイランドロイド)を奪還せよ」という命令が下される。または(ソウカイヤ以外なら)さらわれた対象の関係者から直接依頼が来る。

モータル女性の場合、どこかのヤクザクランのオヤブンや暗黒メガコーポの重役の囲い者、あるいは娘とかだろう。調べた末に居場所はわかったが、ニンジャ相手では手が出せないため、やむなくソウカイヤやフリーランスニンジャのチームに依頼したというわけだ。殺されていたら遺体だけでも回収して、可能であれば復讐を遂げて欲しい、とも言われるかも知れない。高性能オイランドロイドの場合でも、現物とデータを回収するのは当然だ。

依頼人や上司が事前に調べた情報によれば、そこは「ブラッドバス・シアター(血まみれ劇場)」と呼ばれており、正面から入るには会員制の入場券(IDカード)が必要だ。様々なアウトローが集まっていて、地元のヨタモノからも畏怖されているという。放置すれば周辺への支配権が広がり、治安が悪化して良くない。ニンジャを倒して根を絶つ方が良いだろう。君たちが善良な人間性を持ち合わせているならなおさら。そうでなくとも上司の命令は絶対だ。ソウカイヤならスカウト対象にもなりうるが、どうだろう。

後ろ暗いアウトローたちのねぐらゆえ、対象の奪還に成功さえすれば、殺そうが奪おうが破壊しようが焼き払おうが爆破しようが問題ない。むしろ推奨されよう。君たちの根城にすることも可能かも知れないが、ネオサイタマ中心市街地から遠いのであまり推奨されない。

2.事前調査

上司や依頼人から得られる情報は以上であるが、君たちが驚くべき知性と慎重さを発揮して「事前調査を行おう」というのなら、試みることもできる。

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代表1-2名がハッキングかワザマエ判定(難易度NORMAL)を行い、成功すればIDカードを人数分偽造して正面から入場できる(既に上司や依頼人が用意していたとして省いてもよい)。用意できない場合、周辺のガードマンをやり過ごすか排除するかして潜入することになる。

3.駅前

 この町は、外側の闇の侵攻に……等間隔ショッピングモールの安寧に対して、抗っているかのようでもある。だがその抵抗は弱々しく、自信がなさげだ。酔漢や失業者が埃っぽい路地をうろつき、偽造電子喫茶カードを配るプッシャーの声も小さく、犬は痩せている。日が落ちれば、闇と短絡犯罪の時間だ。

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夜のガミオダ駅周辺に着くと、タクシー待ちをしていたカレッジ学生と思しき若い女性が、屈強な男たちにより前後ワゴンに引きずり込まれるところを目撃する。無視して通り過ぎるとDKK5を獲得。女性を助けようとするならカラテかワザマエで判定、難易度EASY。前後ワゴンのドアか窓かがこじ開けられ、ヨタモノ3人との戦闘になる。失敗してもDKKは増えない。

「テメ、何してンの?」

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◆前後ワゴン・ヨタモノ(種別:モータル)×3
カラテ       2    体力        1
ニューロン     1    精神力       1
ワザマエ      3    脚力        2
ジツ        -    万札        1

◇装備や特記事項
◆ナイフ:近接武器、ダメージ1
◆チャカガン:射撃武器、ダメージ1

君たちがニンジャやタフなアウトローであれば、難なく蹴散らせる相手だ。2人ほどやっつければ怖気づいて降参する。ニンジャのカラテやジツを見せびらかしてビビらせてもよいし、人数を数人増やしてもよい(最大6人)。女性を立ち去らせた後、残ったヨタモノに道案内させよう。前後ワゴン案件をスルーしていても、場所は既に分かっている。

4.潜入

 やがて、黒々とした山のシルエットが遠くに見えてくる。その麓付近、やや高台、曇り夜空にライトを投げかける巨大な建物らしきものを、ニンジャスレイヤーは確認した。ノイシュヴァンシュタイン城じみた、妙な建築物を。「あれです。行きたくないよ」運転者は泣いた。「行きたくない」

落ち葉が積もった竹林斜面を登ると、くだんの「ブラッドバス・シアター」の入口付近に至る。退廃ホテルの廃墟を不法占拠しているようだ。君たちがニンジャ聴力の持ち主であれば、悲鳴や嬌声、下卑た歓声、アンタイブディズム・ブラックメタルめいた騒がしい音楽が聴こえてくるだろう。

バンブーの陰にはバラクラバを被った黒服の男たちがサブマシンガンを持って見張っており、クチャクチャとガムを噛んでいる。近づけば誰何され、会員制の入場券(IDカード)の提示を求められる。持っていれば通してくれるが、持っていなければ通れない。無理に通ろうとすれば戦いになる。

「お客さん?」「パス?」

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◆マシンガン・バラクラバ・ギャングスタ(種別:モータル)×3
カラテ       3    体力        2
ニューロン     2    精神力       2
ワザマエ      3    脚力        2
ジツ        -    万札        2

◇装備や特記事項
◆マシンガン:連射3、ダメージ1
 ●射撃スタイル:掃射3 難易度HARD、標的が互いに隣接していればマルチターゲット

君たちがニンジャであれば難なく蹴散らせるだろうが、次々に仲間を呼んで来るだろうし、入口は封鎖されるだろうし厄介だ。素直にIDカードを見せて通ろう。IDカードを持っていれば「ブラッドバス・シアター」のどこを歩いていてもさほど問題なく行動できるが、ない場合は発見され次第バラクラバやアウトローたちが襲ってくる。ハードモードになるだろう。

IDカードを持たず、バラクラバたちをやり過ごして潜入するとなると、ニューロンかワザマエ判定(難易度HARD)に成功すれば、隠し通路を見つけるなどして潜入成功としよう。失敗したらバラクラバたちがやってくる。

5.ブラッドバス・シアター

 道なりに屋台が並び、ヨタモノ達に酒や薬物や肉を供する。みな、目の焦点がおぼつかず、男女とも上半身はだいたい裸で、短絡的文言の刺青が誇らしげだ。途中、ゴミ食物ガラクタが無秩序に堆積する大穴の横を通過した。ゴミの中に頭蓋骨がある。確かにある。

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バラクラバたちをやり過ごして中に入ると、ヨタモノたちの低俗で猥雑な遊戯場が広がっている。酒と薬物、火と裸。命は安く、たやすく奪われる。悲鳴や嬌声、下卑た歓声、アンタイブディズム・ブラックメタルめいた騒がしい音楽。君たちの中には楽しい気分になる者も、眉を顰める者もいよう。

オプシュン:この屋台ではトロ粉末(万札3)、シャカリキ、メン・タイなどのドラッグを買うことができる。手持ちに余裕があれば買っておこう。スシやZBRアドレナリン注射器は売っていないが、売っているとしてもよい。ぶん殴って奪ったりすればバラクラバたちが襲ってくる。

館に入る大門の前には、やはりバラクラバたちがいる。そこを過ぎれば、大きなホールがある。似合わないスーツやドレスをまとい、サイズの合わない指輪を全ての指にはめた中年・壮年の男女たちが下卑た会話をかわし、酒や肉に舌鼓をうち、あるいはステージ上で行われる殺人ショーに興じている。

オプシュン:殺人ショーを見過ごしてもペナルティはないが、スリケンなどを投擲して妨害することはできる。義憤に駆られてカラテしたりすれば、観客やスタッフが襲いかかってくるだろう。殺人ショーに参加して殺人するとDKKが5稼げる(1回のみ)。Wasshoiされたければどうぞ。

ここで騒ぎを起こすか、バーテンダーにオーナーの居場所を聞くかすると、バラクラバたちが出てきて「スタッフルーム」へ案内してくれる。当然ボコボコにして追い出すつもりだ。バラクラバを捕まえてインタビューすれば、きっとオーナーの居場所を教えてくれるだろう。楽しい拷問タイムだ。

客たちは全員酒と薬物をキメた危険な連中で、NRSを起こさず殺人も躊躇しない。スモトリやアンタイブディズム・ブラックメタリストもいる。鎌バットやフランベルジュ、グレートソードなどは無料配布中だ。スタッフの煽動があればPCたちに襲いかかって来る。カトンでもかまして蹴散らそう。

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◆アンタイブディズム・ブラックメタリスト(種別:モータル)×適量
カラテ       2    体力        2
ニューロン     2    精神力       2
ワザマエ      2    脚力        2
ジツ        -    万札        1

◇装備や特記事項
◆鎌バット、フランベルジュ、グレートソードなど:近接武器、2ダメージ、攻撃難易度HARD
◉血の狂乱:体力が1になると「突撃」してくる(痛打+1)
◉儀式的自傷:自分自身に1ダメージ(自動成功)

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◆スモトリヤクザ(種別:モータル)×適量
カラテ       3    体力        4
ニューロン     1    精神力       2
ワザマエ      2    脚力        2
ジツ        -    万札        3

◇装備や特記事項
◆鎌バットなど:近接武器、2ダメージ、攻撃難易度HARD
◉突撃:痛打+1

一応皆殺しにする必要はないが、倒すと万札を落とすのでボーナス・ステージだ。しかし次々湧いてきりがないため、バラクラバを捕まえてインタビューに成功したらボスのいる部屋へ急ごう。タイムイズマネー。

6.VIPルーム

 程なくして、このブラッドバス・シアターは、郊外の鬱屈した不良青年の溜まり場から、より大規模な、血なまぐさい無法の砦へと生まれ変わった。地域の人々の堕落は驚くほどに早かった。さながら悪魔に魅入られたかのように。

VIPルームには4人ほどのバラクラバ、多数のオイランやオイランドロイド、そしてニンジャが1人いる。「ニンジャズ・デン」ではヒートシーカーという無軌道な野良ニンジャだったが、同じような野良ニンジャは大勢いるため適当にすげ替えてもよい。強さもPCに合わせて適当に調整してよい。

「妄執にとらわれた愚か者め!支配と簒奪!それは人の業だ。我々ニンジャの行いは同じだ!人のカルマの範疇だぞ!」

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◆ヒートシーカー(種別:ニンジャ)
カラテ       6    体力        7
ニューロン     4    精神力       4
ワザマエ      6    脚力        4
ジツ        2    万札       20

◇装備や特記事項
◉ニンジャソウルの闇:体力+1、攻撃・射撃・ジツ発動判定ダイス+1
◉邪悪なサディスト:カルマ善の敵に対し攻撃ダイス+2
 ボス級の敵モータルないしニンジャを1人殺すか、
 殺伐出目2以上の効果を与えるたびに精神力1回復(カルマ善なら2回復)
☆カナシバリ・ジツLV2:3×3の範囲内に精神力ダメージ1(回避NORMAL)
 中心の1人にカナシバリ付与(ニューロン抵抗難易度NORMAL)
◆トロ粉末:精神力2回復(使い捨て)

能力値合計:20 回避ダイス:6 イニシアチブ:4
ステータス表は原作の描写などから適当に設定しました。エピソードのボスとして、ニンジャスレイヤーとそこそこやりあえる程度のカラテはあるようですが、ミニオンが多いですし駆け出し相手なので多少ナーフしましょう。スリケンを投げます。やってることからして「ニンジャソウルの闇」持ちでしょうし、邪悪なサディストでもありそうです。ニンジャネームが「赤外線探知装置」ないし「熱を探すもの」なので、モータルを誑かすためにカナシバリ・ジツを持っていそうです。カトンなどのジツがあれば使っていたでしょう。偉そうに屁理屈を述べますが聞き流して下さい。憑依ソウルは不明ですが、サバト・ニンジャクランとかだったのかも知れませんね。

ヒートシーカーは邪悪かつ無軌道なニンジャで、自分の根城で好き勝手に振る舞うことを非常に気に入っているため、ソウカイヤなどに加わるよう説得されても聞く耳を持たない。交渉で女性やオイランドロイドを買い取ろうとすれば法外な値段をふっかけてくる。さっさとイクサに入ろう。囲んで叩けばなんとかなる。バラクラバたちは蹴散らしても外から駆けつけてくるし、興奮したスモトリやABBMも駆けつけてくる。(調整可)

オプシュン:状況次第だが、バラクラバたちに味方になるよう交渉してもよい。クローンヤクザや薬物中毒ではないので、ボスが不利で自分たちの得になるのなら、彼らは裏切ることができる。自我があるのだ。

オイランやオイランドロイドたちは部屋の奥でぐったりしており、カトン・ジツや銃撃などに巻き込まない限りは生きている。駆け寄ってニューロンかワザマエ判定(難易度NORMAL)に成功すれば、目的の女性/オイランドロイドはすぐに見つかる。戦闘中に担いで逃げようとすれば脚力-1され、あらゆる行動判定に-1のペナルティがかかる。後回しにしよう。

ヒートシーカーを倒すか、乱戦の中で目的の女性/オイランドロイドを探し出して脱出すればミッションクリアだ。しめやかに拠点へ帰還しよう。DKKを積んでいて時間が余っていればWasshoi判定してもよい(ヒートシーカーをニンジャスレイヤーがスレイに来たりはしない)。

オプシュン:オイランやオイランドロイドのうち1人/1体を選んで持ち帰ることができるとしてもよい。略奪は許可されているので報酬のうちだ。

ヒートシーカーが気絶するか爆発四散した場合、残ったバラクラバやスモトリ、ABBMやヨタモノ、オイランたちは逃げ去るか、PCたちが脱出した後「ブラッドバス・シアター」の爆発と崩壊に巻き込まれて全滅する。

7.評価と報酬

A:女性/オイランドロイドを奪還し、ヒートシーカーも爆発四散させた。
:万札40を山分け。全員が名声+2。カルマロンダリング可能。余暇4日。
B:女性/オイランドロイドを奪還したが、ヒートシーカーは爆発四散させられず撤退した。
:万札20を山分け。全員が名声+1。余暇4日。
C:女性/オイランドロイドを奪還できず、ブザマに逃げ出した。
:全員が名声-1。
D:「ブラッドバス・シアター」にたどり着けなかった。
:あまりのブザマさにケジメを強いられ、全員が名声-1。

テストプレイ

利用規約

NMはこの記事に含まれるデータを、セッション中に利用したり、自作のシナリオへ流用することができる。ただし当シナリオのデータを流用して作成したものを公開する場合、この記事を引用元として明記すること。

【以上です】

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