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黄金の茶

イタリア、ナポリ。

「なあ、そのケーキ残すの? 食うの?」
「……」

男たちが四人、レストランのテーブルを囲んでだべっている。
そのうちの二人は、くだらないことから殴り合いを始め、残る二人は傍観の構え。特にヘッドホンをつけた長身の男は……我関せず、といったふうをはじめからとっている。

時刻は昼下がり、午睡の頃。テーブルの上にはショートケーキに紅茶のセット。エスプレッソの聖地で、コーヒー派が圧倒的に多いこの街でも、紅茶はそれなりに飲まれている。

傍観派の男の一人は、ヘッドホンの男からケーキを少し分けてもらい、自分でカップに紅茶を注いだ。
「ちょっと遅えな……あいつ、時間にはきっちりしてんのによ。なあ」
「……」

ヘッドホンの男は……無言で紅茶のおかわりを頼んだ。確かに、少し遅い。
殴り合ってた二人は、片方がフォークを相手の頬にぶっ刺し、もう一方はナイフを取り出して突きつけた。

「なあ、なんか時計がおかしくねえか?」

一同がふと、時計を見る。……ぐるり、ぐるり。時計の針が、通常の数倍の速度で動いている。
「壊れちまったのか?」「標準電波を受信してんだろ」

新しい紅茶が来た。……だが、冷めている。

「なんかよォー、外が暗くなって来たぜ」「雲が出て来たんだろ」

なにか……おかしい。長身の男はヘッドホンを外し、立ち上がる。

「どした?」

おかしい。まさか。……その足元、テーブルの下から、ガチャン、パリン、と音がした。

【To Be Continued…?】

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