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忍殺TRPGリプレイ【インナー・ユニヴァース】02

 前回のあらすじ:オムラ・メディテック社の特注オイランドロイド「ソノコ」が、ハック&スラッシュに遭って盗まれた。これは同名の少女の脳チップを組み込んで蘇生させるための素体であり、このままではプロジェクトは頓挫してしまう。オムラは奪還のためソウカイ・ニンジャチームを召集!

ダンゴウ

『とにかくやることはシンプルです。ヤミ・区画に潜入し、ソノコを盗んだハクスラ・パーティーを皆殺しにして、ソノコに初期化処理を行い、無傷で持ち帰ること。もし任務中に敵対組織のエージェントに遭遇した場合でも、むやみに攻撃したりしないでください。以上です』

 ユンコはエミリーに代わってオジギした。「ヨロシクオネガイシマス。このプロジェクトが成功すれば、クワヤマ=サンは蘇生した娘さんと再会できるし、オムラ・メディテックの株価も上昇して、株主であるクワヤマ=サンも経済的に持ち直すことができるのよ。未来がかかっているの』「了解!」

 レッドハッグはウインクしてサムアップした。「荒事なら任せておきな。必ずソノコ=サンのボディを持って帰ってやるよ!」「ハッキングは俺に任せろ」「だいたいわかった。殺す」『感謝します』三人はエミリーとユンコから必要な情報提供を受けた後、しめやかに行動を開始した。

ヤミ・区画

イメジは元シナリオから。

 ネオサイタマ、ヤミ・区画。そこかしこに「カエレ」「ユリ」「女子高生が好き」などの乱雑なグラフィティが描かれており、旧時代の移住民が建てたような外国語の店の看板は、重金属酸性雨に半分腐食したまま放置されている。治安は最悪で、もはやマッポもデッカーも近寄らない無法地帯だ。

 この地は局所的な磁気嵐に包まれており、サイバネは動くがIRCが通じない特殊な区域である。電脳都市ネオサイタマでIRCが通じないところは当然価値が下がるので、自然にスラム化した。一方で闇取引には向いているため裏社会においては政治的中立の場でもあり、ソウカイヤも承認している。

事前調査判定、ニューロンで難易度H。7D6[2635352]成功、15D6[143242665164265]成功、7D6[3332614]成功。だいたいわかった。PC全員に即応ダイス+2、ヤミ・区画の住民との交渉ダイス+2。

 エミリーからの情報や事前調査によれば、問題のハクスラ・パーティーは三人組のニンジャだ。ハッカー、スラッシャー、オイランで構成され、オイランの女ニンジャ・スウィートスリップがリーダーをつとめている。三人は外からやってきて、カラテでヤミ・区画を支配し、カネをもたらしている。

「ここの有名人なら、居場所は住民にインタビューすればわかるだろ」レッドハッグは鼻を鳴らした。「反感を持ってるやつもいるだろうしさ」「そうだな。ただ、ここはソウカイヤからも認められた中立地帯だ。あんまり派手なことをするとヤバいぜ」ボーンピッカーは裏社会にはそれなりに詳しい。

「どうせ治安最悪地帯だろう。向こうから襲ってくれば正当防衛だ」デモンハンドはニンジャ存在感を隠し、ストリートを歩んでいく。二人も頷き、彼の後に続く。……やがて「ここからヤバイ」「マッポ出動できなく」「出て維持」と書かれた、壊れた警告標識が見えてきた。常人なら失禁は必至だ。

???

 さらに暗い路地へ足を踏み入れたところで、三人は足を止める。前方に怪しい影。「ヘヒッ……ヘヒヒ……」背後にも気配。「ヘヒヒィ……」どちらも背格好は似ており、ニンジャだ。メンポの呼吸孔から涎を垂らし、舌なめずりしている。「ダメだよ……こんなところに、よそ者が、女連れなんかで」

「そうだよ……俺達みたいな変態双生異常切裂殺人ニンジャの餌食に……なっちゃうんだからネ?」三人は肩をすくめ、名乗った。「ドーモ、デモンハンドです」「レッドハッグです」「ボーンピッカーです。名乗りな」三人のカラテが暗い路地に溢れた。二人の野良ニンジャは怯えてアイサツを返す。

「ドーモ、マサクリストです」「マサクレンドです」

Picrew「サンシタニンジャメーカー」より(使いまわし)

 元シナリオではモータルのヨタモノ数人ですが、彼らが出そうなアトモスフィアだったので無からPOPしました。大した強さでもないでしょう。

「ニンジャが……三人」「どうする?」二人は流石に怖気づいた。彼らにも数の不利はわかる。「ブッ殺すか?」「まあ待て。騒ぎは起こしたくねェ。見逃してやるから情報を寄越せ」ボーンピッカーがデモンハンドを制して進み出る。レッドハッグはカタナの柄に手をかけ、イアイの構えをとる。

「「アッハイ」」二人のニンジャはハンズアップした。この程度の状況判断もできないなら治安最悪のストリートでは生き残れない。「よし。ここを仕切ってる三人組のニンジャがいるはずだ。そいつらの居場所を教えろ」「ヨロコンデー!」「えーと、でも、俺達は直接は知らなくて……間接的には」

 彼らによれば、問題の三人組の居場所は、このヤミ・区画にシマを持つ数人のグレーターヤクザだけが知っている。彼らは三人組のカラテを後ろ盾として権力を持ち、各領域を支配しているのだ。「そのグレーターヤクザたちの居場所なら知ってる。俺達は自由でいたいから、よそ者には従わない」

 変態異常殺人ニンジャではあるが、彼らなりの矜持はあるようだ。「なるほど、わかった。テメエらについては黙っておく」「「ドーモ」」二人のニンジャは近くのグレーターヤクザの事務所まで一行を案内した後、オジギして立ち去った。「……とにかく、そいつにインタビューするしかねェか」

???

 三人はヤクザ事務所を訪れ、名刺を出して自己紹介する。礼儀作法は大事だ。『……ソウカイ・シンジケートか。いいだろう、話を聞く』応接室に通された三人は、重サイバネのヤクザと対面した。「ドーモ、クヨシです」

イメジは元シナリオから。キヨシではありません。

「「「ドーモ」」」三人は改めてアイサツする。モータルとニンジャといえど、礼儀正しく接すればよい反応が返ってくるはずだ。「スウィートスリップ=サンたちと面会したいと。……具体的に、用件を伺いたいな。スカウトかね」「それなんだが……彼女たちが盗んだ品物に問題があるってわけで」

 ボーンピッカーは左右にカラテ担当の二人を座らせ、クヨシと交渉する。「ほう」「オムラの特注オイランドロイドだ。相当カネがかかった代物で、オムラから奪還の依頼が俺らに来た。取引交渉がしたい」「むむ……」クヨシは唸り声をあげ、タバコを吸った。「それは……ちと、まずいなァ」

「というと」「このヤミ・区画は御存知の通り中立地帯だが、一種の不文律ってもんがある。区画内に不注意に踏み込んだアホをどうしようが問題はないが、区画内のモンが区画外で目立つ犯罪をするのは御法度なんだ。暗黒メガコーポやソウカイヤ、ハイデッカーを敵に回せば、ここはオシマイさ」

「なるほど」「俺はあんたらを敵に回したくねェ。けど、スウィートスリップ=サンたちはニンジャだ。俺らじゃ敵わねェし、盗品を返還してくださいなんてお願いをおいそれとは聞かねェだろう。……あいつらの居場所を教えてやる。直接交渉してくれ」「わかった」両者はオジギする。交渉成立だ。

???

 三人はクヨシの案内により、ヤミ・区画の中心部付近にあるスウィートスリップたちの隠し事務所にやってきた。区画内のどこへも行きやすい立地というわけだ。クヨシは門衛ヤクザと話をし、彼とともに黙ってその場から立ち去る。これで即座にアンブッシュも可能だが、聞き耳を立ててもいい。

「どうする」「慎重にいこう」「了解」三人はニンジャ野伏力を発揮し、ニンジャ聴力で内部の様子を伺う。すると、話し声が聞こえてきた。『あの子と直結したかったなァ……』『お前が直結したら壊れちまって、カネにならないだろ。ガワも中身もイノセントな状態が一番カネになるんだよ!』

『羞恥心組み込んだ違法AI使ってたし、マジでウケたッスね。マジで人間の女の子みてェな反応だった!』『あっちで研修受ければ、十分稼いでくれるだろうさ。厄介なブツは他人に押し付けるに限る……』ナムサン。三人の会話によるなら、オイランドロイド「ソノコ」はすでにどこかへ売却済みか。

『……ボス』急に話し声が止まり、静かになった。気づかれたか。アンブッシュはできなくなったが、情報は獲得できた。「行くぞ」「おう」「殺す」KRASH!三人はドアを蹴破り事務所に突入!「「「オジャマシマス!」」」

???

 三人のハクスラ・ニンジャたちは、侵入者に対して各々アイサツした。「ドーモ、スウィートスリップです」

イメジは元シナリオから。以下同じ。
◆スウィートスリップ(種別:ニンジャ)
カラテ       5    体力        7
ニューロン     8    精神力       9
ワザマエ      6    脚力        3/N
ジツ        4    万札       15

攻撃/射撃/機先/電脳  6/ 7/ 8/ 8
回避/精密/側転/発動  8/ 6/ 6/13
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:4

◇装備や所持品
◆ニンジャ存在感のオーラ(全身、魔術的な)
 緊急回避+4、脚力ダメージ軽減1、体力・精神力・回避+1
◆オノミチ・カスタムハンドガン:ダムダム弾無制限!
 射撃N、1ダメージ+痛打1、連射2、マルチ・時間差可
 倒したPCは1D6を振り、出目5以上なら獲得できる(ダムダム弾はなし)

◇ジツやスキル
☆カナシバリ系クラン、ジツLV4
 ☆カナシバリ・ジツLV3
 ☆◉ニンジャ存在感のオーラ(魔術的な)
 ★コブラ・ゲン・ジツ:手番終了時に精神力1消費し瞬時発動(H)
  戦闘終了か術者に体力ダメージが入った時まで、術者と同じ部屋におり、
  かつ術者よりイニシアチブの低い敵全員に攻撃・射撃難易度+1
  他の環境効果とは累積しない(より強い方のみ用いる)

◉魅了
◉ニンジャソウルの闇(1):体力および攻撃・射撃・発動+1
●時間差、マルチターゲット
◉交渉:誘惑、欺き、威圧
◉知識:犯罪、高級嗜好品

能力値合計:27

 元シナリオのデータを整理し、ニューロンを1増やし、闇を載せました。カラテは低めですがジツや銃撃が厄介です。

「ヒャハ!スラッシュハッピーです!」

◆スラッシュハッピー(種別:ニンジャ)
カラテ       8    体力       10
ニューロン     2    精神力       2
ワザマエ      4    脚力        5/H
ジツ        0    万札       15

攻撃/射撃/機先/電脳 10/ 6/ 2/ 2
回避/精密/側転/発動  8/ 6/ 4/ 4
即応ダイス:3 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
◆カタナ二刀流:装備時側転難易度+2
 ダメージ1、連続攻撃+1、攻撃難易度H
 ●戦闘スタイル:防御構え、回転斬撃
 初めはカタナで戦うが、体力にダメージを受けると二刀流に
 倒したPCは1D6を振り、出目4以上でカタナ、6でカタナ×2を入手

◇ジツやスキル
◉ニンジャソウルの闇(2):体力および攻撃・射撃・発動+2
◉邪悪なサディスト
◉◉狂気:暗黒カラテ衝動
◉黒い復讐心(狂戦士化2):体力ダメージを受けると戦闘終了まで攻撃+2、回避-2
●連続攻撃2

能力値合計:14

 元シナリオのデータを整理しました。カラテ担当のスラッシャーです。あほですが連続攻撃が危険なのでうまく処理しましょう。

「ドーモ、ダイレクトコネクションです。直結したい……」

◆ダイレクトコネクション(種別:ニンジャ/重サイバネ)
カラテ       4    体力        6
ニューロン     6    精神力       4
ワザマエ      7    脚力        4/N
ジツ        0    万札       15

攻撃/射撃/機先/電脳  4/ 9/ 8/14
回避/精密/側転/発動  7/ 8/ 8/ 0
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
▶▶生体LAN端子LV2:ニューロン判定+4、イニシアチブ+2
 ▷電脳戦用デッキ×2:ハッキング判定ダイス+4
 ▷ファイアウォール:ハッキングによるダメージを無効化(使い切り)
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定+1、射撃時さらに+1
●過剰サイバネ(6個):精神力-2
◉重サイバネ化:体力+2、●脆弱性:電磁(1)
◆トロ粉末:精神力2回復(使い捨て) 倒すとドロップ

◇ジツやスキル
◉タツジン:ハッカー
 ハッキング系の◉スキルを記憶スロットから一時的に使用可(体力か精神力1消費)
 ●戦闘スタイル:kill-all その他の行動としてハッキング判定H
  最大で判定成功数に等しい人数の敵(ハッキング標的)全員にkill-9(回避N)
  自分により近い者から優先して選び、同じ敵は選べない
 ●戦闘スタイル:LANケーブル直結攻撃
  隣接敵1体(ハッキング標的)にワザマエHで攻撃(回避N)
  攻撃回数は本人の連射値による 命中すると軽減不可の1ダメージと殺伐を与える
  殺伐出目1なら弾き飛ばしの代わりにターン終了まで崩れ状態とする
  1発命中して殺伐効果を与えた時点で連続攻撃は終了
 ●ワザ:カウンターハック 敵からのハッキング攻撃に対して回避に成功し、
  かつ出目6を出した場合、敵に対して2ダメージ(回避N)の電子迎撃を与える
◉kill-9:攻撃時に標的1体へハッキング判定H
 成功するとダメージ軽減不可の2ダメージ(回避N)
 素のニューロン6なので連射なし
●連射2

◉トラップ処理技術
◉知識:セキュリティ、ハッカーの流儀
◉狂気:LAN直結衝動

能力値合計:17

 元シナリオのデータからかなり強化しました。サイバネは6個以上で重サイバネなのでファイアウォールとサイバネアイを足し、タツジンスキルはワザマエ7以上必要なので7にしています。ハッキング攻撃が厄介ですが、こちらには生体LAN端子持ちがボーンピッカーしかいません。

「ドーモ、ソウカイ・シンジケートのボーンピッカーです」「レッドハッグです」「デモンハンドです」各々アイサツを返す。「オムラのオイランドロイドを盗んだろ。返してもらうぜ」「ヒャッハ!聞いてただろ!もうここにはねェよ!」「どこへ売った?」「教えられないねェ。交渉しようよ」

 スウィートスリップは豊満な胸を揺らし、蠱惑的にこちらを見た。普通なら交渉するところだが、今回の任務は口封じも兼ねた「皆殺し」だ。殺らねばならない!「悪いが、オムラのご意向だ。あんたらにはインタビューした後、全員死んでもらわなきゃならん」ボーンピッカーは酷薄な声で告げた。

 レッドハッグはカタナを、デモンハンドはコッポ・カラテを構えた。相手はスラッシャーが一人、こちらのほうが手練れだ。スウィートスリップは舌打ちした。「やれやれ、ヤキが回ったね。けどそう簡単には殺られないよ!お前たち、ヤッチマイナー!」「「ハイヨロコンデー!」」一触即発!

戦闘開始

【続く】

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