見出し画像

【聖杯戦争候補作】God Save The Queen

夜。自分の部屋で頭を抱え、その少年は悩んでいた。甚だ悩んでいた。

金髪をオールバックにし、眉毛はなく、カミソリのように鋭い目つき。長ランにボンタン。明らかに不良だ。ケンカをすれば、相手が大人数でない限り負け知らずの彼であったが、今回の事態はそういう次元の話ではない。

聖杯戦争。英霊を使役して殺し合い、何でも願いを叶えてくれる聖杯を獲得するための魔術的闘争である。魔術師でもない彼に降り掛かった突然の理不尽。絶望し、悩み苦しむのも当然だ。その上、彼の悩みはそれだけではなかった。

なんてこった・・・・オレみてーなただの不良が、こんな妙なことに巻き込まれちまうなんて・・・・魔術だの英霊だの聖杯だの、漫画やゲームじゃねーんだぞ・・・・ふざけやがって・・・・! なんで教室でダチとトランプしてただけで、こんな目に合わなきゃならねえんだ――――

クソ、頭痛と腹痛がしてきた・・・・つうか、さっき晩メシ食ったばっかりなのに、もう腹が減ってきた・・・・あいつが勝手に魔力を吸い上げやがるせいだ・・・・あれ以来完全に引きこもっちまって、何度呼んでも出てきやがらねえ――――

まさか、あんな横暴な奴に振り回される羽目になろうとは・・・・だが逆らうわけにもいかねえ・・・・助けも呼べねえし・・・・令呪ってのを使えば、あいつを無理やり従わせられるらしいが、回数制限もあるし、そうめったに使うわけにもいかねえか・・・・

ああチクショー、やっぱりあいつを呼び続けるしかねえのか――――まさか着信拒否してんじゃねえだろうな・・・・!?

彼、『前田彰(まえだ・あきら)』は、我が身の不幸を激しく呪った。
聖杯戦争の主催者を、あのサーヴァントを呼び出してしまった自分を、それを一瞬でも喜んだ自分を、ぶん殴りたいほどに。

あの時・・・・つい数時間前、サーヴァントが眼前に出現した時。前田は酷く困惑し、驚いた。その英霊は、目の覚めるような美少女だったからだ。

黒髪で小柄、東洋系の顔立ち。額や目元や唇には紅。神々しい雰囲気を纏い、巫女風の衣装に身を包んでいる。外見年齢はローティーンか。母や姉はともかく、周囲に女っ気のろくに無い環境で生きてきた硬派な彼にとっては、貴重な出会いだ。絵柄、もとい世界が完全に別物だ。

とは言え、彼は別段ロリコンというわけではない。英霊というのは昔の英雄の霊だそうだし、見た目はこんなのでも実年齢や精神年齢は自分より上だろう。そもそもこいつは、こんななりで他の奴らと戦えるのか。不安を表情ににじませ、多少の期待をしつつ、前田は彼女の前に身構えた。

「問おう。汝がわらわのマスターか」

静かで穏やかな、鈴を鳴らすような、少女らしい声音だが、口調は随分と古風だ。やはり、見かけ通りの存在ではなさそうだ。

「お、おう! オレの名は前田彰! アダ名は『カミソリ・・・・』」
「いや、それはよい」

意気込んでアダ名を名乗ろうとした途端に機先を制せられ、前田は少しつんのめった。早速イニシアチブを取られてしまっている。そして、彼女は厳かに名乗った。

「わらわのクラスは、キャスター(魔術師)。真名は『卑弥呼』なり」

前田は目を見開く。その名は、不良でバカな自分でも知っている。少なくとも、テレビとかで聞いたことはある。
「ひ・・・・ひみこ!? ちょっと待てよ、オレは詳しくは知らねえが、確か、昔の日本の女王様だろ!?」

彼の言葉に、彼女は莞爾と微笑んだ。
「左様。見かけによらず、よう知っておったな。いかにも、わらわは千八百年の昔、倭の女王であった」

とんでもない有名人、しかもやんごとない人物を呼んでしまった。心臓の鼓動が早まり、呼吸が増え、前田は思わず掌で口を押さえる。自分のような人間には、なんとも釣り合わない存在だ。どう接すれば良いのか、見当もつかない。

「で、汝は聖杯を得て、なんとする」

そう問われ、前田は眉をひそめる。答えはとうに決まっているが、どう話すか。一応、自分は彼女のマスターだ。姿かたちはガキであるし、こいつにナメられるわけにはいかない。やむなく敬語ではなくタメ口でいくことにした。

「そりゃ・・・・元の世界に帰りてえよ。ケンカはお手のモンだが、ガチで殺し合えってのは流石に・・・・殴り合いならともかく、魔法だか魔術だかなんて専門外だしよ・・・・他人をブッ殺してまで叶えたいほどの強烈な望みなんてねえぞ」

常識的な答えだ。彼は魔術師でもなんでもなく、純粋に巻き込まれただけの一般人なのだから。

「ふふ、欲のないことよの。わらわとて、今さら現世に未練もなし。様相を変えつつも、ヤマトを中心とする国の形が今も残っておるとは嬉しい限りじゃ」
「じゃあ、どうすんだ。オレは死にたくねえし、殺したくもねえし・・・・」

それならば、このキャスターが護ってやらねばなるまい。護りの力こそ彼女の領分だ。

「簡単なことよ。戦わねばよい。他の奴らが殺し合っておるのを、我らは引きこもって傍観しておればよいのだ」
「・・・・え?」
さらっと妙なことを言われ、前田の思考回路が一瞬止まる。

「最後に誰かが生き残れば、そやつをなんとかして倒す。それで優勝であろう?」
「え・・・・でもそれって、一番強い奴が生き残ってる、ってことじゃ・・・・」
「そやつも無傷ではあるまいよ。魔力と体力を蓄積し、温存させておいたわらわが全力でかかれば、倒せぬ相手ではない。ここは仮にもわらわの国じゃぞ。大概の神々は知り合いじゃし、地脈からは充分な魔力を引き出せるのじゃ。生還だけを望む善良な連中がおれば、そやつらと手を組むのもやぶさかではないがのう・・・・」

前田は腕を組み、首をかしげる。確かに考えてみれば、理には叶っている。別にこれは、互いのメンツを賭けた不良同士のケンカではないのだ。魔術師というなら、こいつは自分が知っているぐらい有名な、すげえ奴なのだろうし。とは言え、感情的にどうにも納得はしにくい。

「り、理屈では分かるがよ・・・・引きこもるって・・・・なんか情けねえなあ・・・・オレはもうちょっとこう、弱いやつを助けてハデに戦うとか、そういうのを想定してたんだが・・・・」
「命あっての物種じゃぞ。それに、わらわが無事であれば、汝も無事であるという能力を持っておる。大船に乗ったつもりで任せておけい。わらわは引きこもることにかけてはうるさいのじゃ。人前にみだりに姿を見せては、諸国を纏める神秘性が薄れるではないか」

キャスターは腰に手を当ててふんぞり返る。それは誇っていいのか。前田はツッコミを入れるべきか迷った。

沈黙を肯定と受け取り、キャスターはさくさくと話を進めていく。

「この家を拠点としてもよいが、ちとむさ苦しいのう。このあたりに神社はないか」
「はあ・・・・そういえば近くの裏山に、小さいお稲荷様があったような」
「よし、案内せい。早う」

外は休日の穏やかな昼下がり。今のところ誰かが戦っている様子はない。前田は霊体化したキャスターを連れて裏山へ向かった。

神社につくと、キャスターは表の看板を一瞥し、ズカズカと境内へ、本殿へと乗り込んでいく。前田は後を追う。神主はいないようだ。

「おう、邪魔するぞ。ちと軒先と母屋を貸せい」
『な、なんですかあなた、急に押しかけて来て・・・・!?』

本殿の中では、痩せて目の細い中年女性が寝転んで雑誌を読んでいた。巫女っぽい服装だが、体は半透明。どうやら彼女がここの祭神、つまり「お稲荷様」らしい。キャスターは彼女との交渉に入る。

「知らぬ仲でもあるまい。わらわは卑弥呼じゃ。わらわの姿は後世に投影されて、天照大神の原型となっておるのではないか。祭神を記した看板を見れば、汝の名はトヨウケビメ。天照大神の食事の世話をする神じゃぞ。おとなしゅうわらわをもてなすがよい」
『いや・・・・分霊っていうか暖簾分けっていうか、私ここの地主神のキツネの霊でして、そんな大それたものでは・・・・』
「堅いことを申すな。地主神なら、ここの地脈の管理権もよこせ。里に降りて弁当と酒と桃を買ってこい。代金は立て替えておけ」
『そんな横暴な・・・・!?』

ズケズケと図々しい要求を言い立てられ、お稲荷様は困惑する一方だ。前田はキャスターを止めたものかどうしたものか迷っている。

そうこうするうち、キャスターが懐からなにかを取り出し、お稲荷様の頭頂部にポンと押した。

『ううッ・・・・!?』

途端にお稲荷様の目つきがおかしくなり、現代風の服装に着替えて、ふらふらと出て行った。

「すげえ・・・・神様をパシらせてる・・・・!?」
「これが『鬼道』じゃ!」
「き・・・・『キドー』!?」

霊的存在(鬼神)に「依頼」して様々な奇跡を起こさせる、キャスターのスキルだ。宝具である金印の魔力も加わっている。鬼道を以って倭の諸国を纏め上げた彼女にとって、地主神に言うことを聞かせるぐらいのことは朝飯前である。

十数分後。境内を細い注連縄で囲んでいた二人のもとに、お稲荷様がスーパーの袋を提げて戻ってきた。

『卑弥呼様、お命じの物を調達して参りました・・・・』
「おう、ご苦労。注連縄もよし、と。では、わらわが地脈を操作して結界を張り、ここを誰にも見つからぬようにしてやる。前田よ、汝はこの鏡を持って帰り、神棚に祀っておけ。わらわとの通信用じゃ。戦わずに普段の生活を送り、何かあれば知らせよ」
「あ、ああ・・・・」

言われるまま、前田は山を降り、自宅に帰った。そして手渡された銅鏡を神棚に安置したのだが――――

現在。念話が通じないどころか、鏡にいくら呼びかけても応答がない。直接神社に行こうとしたが、辿り着けない。地図からも消えている。このままでは、魔力を吸い尽くされて死ぬかもしれない。前田は必死に、鏡に呼びかけ続けた。

「オイ、聞いてんのか!? オレ一応お前のマスターだぞ!? オレが死んだらお前も・・・・!?」
『五月蝿いのう、聞こえておるわ。みだりに話しかけてくるでない。いま遣いをやったゆえ待っておれ』

ようやく鏡にキャスターが映った。彼女の返事と同時に、部屋のフスマが開かれ、どやどやと何人もの男たちが入ってきた。

「お待たせいたしました、前田様――――魔力補給のためのお食事をお持ちしました」

『すまんすまん、地脈と接続するのに、ちと時間と魔力が要ってな。以後は地脈から魔力を吸えるゆえ、汝の負担は軽うなろう。こやつらは地脈に眠る記憶から呼び出した地霊じゃ。汝の世話と護衛はこやつらに任せる。従者(サーヴァント)として使うがよい』

彼らの手には、土器の皿に載せられた桃。とりあえず食べてみると、ひとまず空腹はおさまったようだ。だが、前田には気になってしょうがないことがある。この地霊たちに関してだ。

「どうかなさいましたか?」
「な・・・・なあ、ちょっとあんたらの名前を聞きたいんだが・・・・」

「僕は神山毘古」
「林田毘古」
「北斗毘古」
「メカ沢毘古」
「マスクド竹之内毘古」
「・・・・」
「んゴ」
「で、オレの名前は・・・・」

「――――――――いつものメンバーじゃねえか・・・・」

勝手にしやがれ!!

【クラス】
キャスター

【真名】
卑弥呼@史実(魏志倭人伝)

【パラメーター】
筋力E 耐久E 敏捷E 魔力A+ 幸運A 宝具EX

【属性】
秩序・善

【クラス別スキル】
陣地作成:A
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。「工房」を上回る「神殿」を形成する事が可能。

道具作成:C
魔力を帯びた器具を作成できる。糸繰りや機織り程度ならやるが、本人にやる気がないので手下を使う。己の神殿に付属して工房を設置し、工人の霊を使役して銅鏡などを作らせることができる。

【保有スキル】
皇祖皇宗:B+
長く続いた王朝の神祖か、それに準ずる存在たる「現人神」としての威光。カリスマと神性の複合スキル。天照大神のモデルであるとする説がある他、三輪山の大物主神を祀った倭迹迹日百襲媛命のことではないかともいう。舞台が(仮にも)日本である場合は効果が強まり、日本人や日本の英霊・鬼神に対する交渉にボーナスがつく。

鬼道:A+
周囲に存在する霊的存在に対し、依頼という形で働きかけることにより、様々な奇跡を行使できる。行使される奇跡の規模に関わらず、消費する魔力は霊的存在への干渉に要するもののみである。高い「神性」を持つキャスターは、依頼という形式でありながら、霊的存在への働きかけは極めて高い成功率を誇る。

護国の巫王:A+
あらかじめ地脈を確保しておくことにより、特定の範囲を“自らの領土”とする。この領土内の戦闘において、領主である卑弥呼は高い戦闘力のボーナスを獲得できる。ただし彼女が戦うことはめったにない。『虚空見津邪馬臺國』は、このスキルで形成した領土内においてのみ、行使可能な宝具である。

専守防衛:A
自己保存の逆。自身にまるで戦闘力がない代わりに、キャスターが無事な限り、マスターは殆どの危機から逃れることができる。自陣防御のスキルも混合されており、味方の陣営(マスター)を守護する際に、防御限界値以上のダメージを軽減する。キャスターは基本的に戦えないが、マスターが自分で戦う場合や、味方につけた霊、同盟者などを使って攻撃するぶんには問題ない。

【宝具】
三角縁神獣鏡(ますみのかがみ)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1-99 最大捕捉:540

魏から賜った大量の銅鏡。数百枚あり、複製も可能。キャスターの意のままに浮遊・飛行し、鏡面を介して情報を瞬時に伝達する。幻影や破魔の光を放つことも可能で、大量に集まって放てば結構な威力。フリスビーのように物理的にぶつけることも出来る。

『■■倭王金印(やまとのおほきみのこがねのみしるし)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:30

魏の明帝曹叡から賜った「親魏倭王」の金印。蛇紐で紫綬。ただし魏が滅んだため「親魏」の文字が削り取られている。この印を押した対象に魔力を送り込んでキャスターの所有物とし、意のままに操ることができる。朱肉がなくても押せる。実物は所在不明だが、多分晋が魏に代わった時に回収され、「親晋倭王」の金印紫綬と交換されたのであろう。投げてぶつければ結構痛い。なお、鬼道から発展した道教では、鏡・剣・印・符が主な法具として用いられる。

虚空見津邪馬臺國(そらみつやまとのくに)』
ランク:EX 種別:結界宝具 レンジ:? 最大捕捉:?

いわゆる「邪馬台国論争」の逸話に基づく宝具。地脈を利用した結界を張り、居場所を誰にも感づかれなくする。何者かがいることを察知して突き止めようとしても、距離・時間・方向などの概念を歪め、とんでもない場所へ向かわせる。術中に深くハマると、絶対そこにいるのだと心の底から信じ込んでしまい、誰が説得しても聞き従おうとしない。認識のみならず「到達までの概念」を必ず歪めるので、意志なき存在だろうが次元や時空間を移動する手段を持っていようが、辿り着くことは不可能。無差別な範囲攻撃に晒されて、外から見れば焦土と化そうが、結界内は無傷である。ただし、マスターをこの中に入れることはできない。スキル「護国の巫王」で形成した領土内においてのみ行使可能。実際は司馬懿が功績を誇り孫呉を牽制するためにフカシこいただけであろう。

【Weapon】
なし。銅鏡を念力で投げつけたり光らせたり、パシらせている霊的存在たちをけしかけたりはできる。遼東公孫氏から贈与されたと思しき「中平銘紀年鉄刀」(のコピー)を持ち込んでいるが、完全に錆び朽ちており役に立たない。

【人物背景】
陳寿『三国志』魏志の烏丸鮮卑東夷伝の倭人条、いわゆる「魏志倭人伝」に見える倭の女王。奈良盆地東南部、三輪山の麓の邪馬臺(やまと)に都を置き、北部九州から山陰・山陽・四国・近畿一円に及ぶ倭人の約三十カ国十五万余戸に君臨した。「鬼道につかえて衆をよく惑わした」といい、宗教的な権威によって倭人諸国の盟主として仰がれていたようである。

当初は楽浪郡を掌握し帯方郡を設置した遼東公孫氏と友好関係にあったが、238年司馬懿が公孫氏を滅ぼす直前に魏へ鞍替えし、「親魏倭王」の金印を賜った。247年頃、半世紀以上の在位ののち逝去し、巨大墳墓に埋葬された。男王が立ったが諸国は従わず、卑弥呼の一族の娘を女王に立てると収まったという。記紀に彼女の名はないが、『日本書紀』では神功皇后の記事に魏志倭人伝が断片的に引用されている。また天照大神や倭迹迹日百襲媛命と同一視する説がある。

純粋な魔術師というより、祭祀によって国を治めた「王」としての側面が強い。シールダー、ルーラーとしての適性も持つ。前者の場合、当然銅鏡が盾になる。

【サーヴァントとしての願い】
帰って寝たい。

【方針】
ガチガチに防御結界を張って引きこもり、外界にはなるべく手出ししない。マスターが助けを乞うなら、ある程度の助力は与える。生還だけを目的とする善良な主従がいれば、銅鏡を授けるなど手助けをしてやるにやぶさかではないが、結界の中には断じて入れない。特に男は。

【カードの星座】
乙女座。


【マスター】
前田彰@魁!!クロマティ高校

【Weapon・能力・技能】
喧嘩はそれなりに強く、中学生の時は5人の不良相手にも1人で戦って勝ったことがある。不良多数やヤクザ数人、ゴリラが相手だと流石に負ける。足も早い。自動二輪免許取得。得意科目は図工。キャスターのスキル「専守防衛」のおかげで、キャスターが無事な限り、死んだり大怪我を負ったりしなくて済む。護衛につけられた地霊たちは、あの連中とは無関係のはずだがほぼ完全にあの連中で、メカ沢毘古に至ってはミサイルやビームが撃てるかもしれない。

【人物背景】
野中英次の漫画『魁!!クロマティ高校』の登場人物。都立クロマティ高校に通う高校生。アニメでのCVは稲田徹。誕生日は8月8日、座右の銘は「四面楚歌」。尊敬する人物は両親。好きな音楽はエリック・クラプトン、ビートルズ。口癖は「ちょっと待て」。金髪オールバックで眉毛がない強面の不良。中学時代から相当な不良であり、日々喧嘩に明け暮れ、口より先に手が出る正真正銘のワル。ワルの巣窟であるクロ高の頂点に立つと意気込んで入学したはいいが、規格外のバカやフレディや人外が闊歩する異常な状況についていけず、影の薄い常識人のツッコミ役というポジションを与えられてしまう。あだ名は特に無く、のち「カミソリドラゴン」というあだ名をもらうが、誰も使っていない。友人たちから色々と迷惑をかけられる損な役割だが、なんやかんやで仲は良く、自分の都合より友情を大事にする義理堅い面もある。両親と同居しており、姉はすでに結婚して別居。家族は彼と同じ顔で、時々登場する母親は現れただけで不良たちが土下座するほど恐ろしい。「前田」というキャラとしては前作『課長バカ一代』からの継続出演であり、作者曰くドムとリックドムほどの違いしかないらしい。

【マスターとしての願い】
帰りたい。

【方針】
もはやツッコむ気力もないので、気にせず日常生活を送る。目の前で誰かが死にそうだというなら助けなくもない。なおキャスター最大の弱点「マスターが令呪で傍らに呼び戻す」を防ぐため、密かに認識プロテクトがかけられている。それ以外は普通に使用可能。

【参戦時期】
マスクド竹之内がレギュラー化した2巻以後かと思われる。

◆◆◆

逆プラ作品のひとつ「邪馬台国世界大戦」の元ネタだ。それについてはライナーノーツで語るが、邪馬台国についてはこのように考えている。おれは鯖と鱒を様々な作品から選んで候補とし、適当に組み合わせて投下している。前田はその過程でなんか出てきた。おれはクロ高がすきだ。圭&ナックラヴィーと同じく籠城戦術だが、こちらではマスターが守られつつも戦場に立っている。そこそこ屁理屈をつければ卑弥呼を戦場へ引きずり出せるだろう。

【続く】

つのにサポートすると、あなたには非常な幸福が舞い込みます。数種類のリアクションコメントも表示されます。