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忍殺TRPGリプレイ【キング・オブ・ザ・ワイルド】

邦題:野生の王(King of the Wild)

 ドーモ、三宅つのです。これは、沓石耕哉/ざるそば=サンのニンジャスレイヤーRPG二次創作電子ゲーム「ヤイミ=サンに遊んでもらおう」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意下さい。

 その名の通り、『ニンジャスレイヤーTRPG™』の創作ソロアドベンチャーを電子ゲーム化したものです。フリーゲームなのでWindowsOSのPCがあればダウンロードして今すぐプレイできます。つのもやりましたので、それを紹介がてらにリプレイ小説化しました。皆さんもしてみてください。

 プレイヤーはヨロシサンのバイオニンジャとなり、ヤイミ・コナギバことキュア=サンをゲームマスターとして、ニンジャスレイヤーTRPGのソロアドベンチャーをプレイするという流れです。つまりゲームの中でゲームをプレイするわけですね。ゲーム内でサイコロを振って能力値を決めたり、行動の成否を決めたりできます。失敗してもお咎めはありません。

 ただメタ的でややこしくなりますし、つの次元のキュア=サンがそうしたことをする気もあまりしませんので、今回は実際にそのバイオニンジャがミッションを行ったということにします。ともあれ、やっていきましょう。セリフや展開は適宜改変します。

◇◇◇

ニンジャ創造

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 ネオサイタマ北東部、トネ・レイクのほとりにある、ヨロシサン製薬本社要塞。清潔なブリーフィング・ルームに備え付けられたモニタ画面に、小柄な美少女の姿が現れる。乳白色の髪、尖った耳、喪服めいたドレス。その美貌はどこか不自然で、バイオテクノロジーの影響をうかがわせる。

『ドーモ、ヨロシ・バイオサイバネティカCEO、ヤイミ・コナギバです』

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 まず、プレイヤーの名前をランダムに決定します。吹き出しのアイサツの部分に出た名前が気に入らなければ右下の「REROLL」ボタンをタップしましょう。何度でも変更可能です。決定すれば吹き出しをタップしましょう。色や性質などと動物の組み合わせなので、時々パープルタコやレッドゴリラもできてしまいますが。プレイヤーの名前と創造したニンジャの名前を別にすることもできますが、今回は同じとしましょう。
 次いでダイスロールで能力値を決定します。「ふつうに振る」「カラテを込めて振る」(2回目以後なら)「スゴイ急いで振る」の選択肢が出ます。ニンジャなのでカラテを込めて振れば思い通りのサイコロの目を出すことも可能です(失敗する可能性もわずかにありますが)。スゴイ急いで振ると、カラテ・ニューロン・ワザマエの能力値をいっぺんに決めることができます(これは思い通りにはできません)。今回はジツ値は振れません。
 能力値の出目は[536]=カラテ5、ニューロン3、ワザマエ6。生まれたてにしては強力です。ジツの代わりにバイオサイバネギアを1D6で入れ、「4:ビーストレッグ(ワザマエと体力+1)」が出ます。体力6、ワザマエ7となり、脚力は4に上昇します。バイオのパワーは素晴らしいですね。さらに第2版ルールで扱えるよう調整すると、下記のようになります。

 ブリーフィング・ルームに控えていた男が立ち上がり、恭しく深々とオジギして、アイサツを返した。「ドーモ、ストームタイガーです」

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◆ストームタイガー(種別:バイオニンジャ)
カラテ       5    体力        8
ニューロン     3    精神力       3
ワザマエ      7    脚力        4/N
ジツ        0    万札        0
DKK       0    名声        1

攻撃/射撃/機先/電脳  5/ 7/ 3/ 3
回避/精密/側転/発動  7/ 7/ 7/ 0
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
△ビーストレッグ:ワザマエと体力+1
◉バイオニンジャ:体力+2、交渉判定難易度+1、アイテムによる回復量-1
●脆弱性:火炎(精神力1)

◇ジツやスキル
●連射2
○生い立ち:純正バイオニンジャ

能力値合計:15

『問題なさそうね。教育プログラムは修了しているはず。これより実地での初ミッションを授けます』「ヨロコンデー」『大変ヨロシイ』ヤイミはアルカイック・スマイルを浮かべ、ストームタイガーを讃える。

タマチャン・ジャングル

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 数十分後。ネオサイタマの北、中国地方のタマチャン・ジャングルに、輸送車で連れて来られたストームタイガーが投入された。腕には位置情報を知らせハッキングも可能なハンドヘルドUNIXが装着されている。目指すは、このジャングルの奥にある秘匿ヨロシ研究施設だ。そこで重大事故が起きた。

 現地のスタッフとは音信不通。生存者の存在は絶望的。ミッションの目的は機密情報の回収か、それが不可能なら情報の完全な隠蔽だ。要は、研究所の奥にあるUNIXからデータを抜き出すか、物理的に破壊すればいい。ストームタイガーはハッキングが得意ではないが、どうにかすればいい。

 研究施設の座標は既知の情報だが、道中には様々な危険が潜んでいる。たとえば、バンブー林の奥では野生化した凶暴なバイオパンダが闊歩しているだろう。ミッションと直接関係ないところでの消耗は避けたいところだ。野生バイオ生物との遭遇を避けるためには、どのような手段を取るべきか?

1:ニンジャ第六感を駆使して隠密移動 ニューロン判定、難易度NORMAL
2:ニンジャ脚力で一気に駆け抜ける ワザマエ判定、難易度NORMAL
 ニューロン3、ワザマエ7なので、当然後者を選ぶ。7D6[4262165]成功。

 ストームタイガーは身を低くし、色付きの風と化して、雪深いバンブー林を素早く駆け抜けた。まさに嵐の虎だ。

研究所

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 ストームタイガーは道中の障害をものともせず、問題の研究所まで到着した。密林に飲まれた工場の廃墟を再利用し、その地下に築かれた秘密の施設だ。しかし、内部は厳重なロックや危険なトラップが作動しているため、最深部に到着するには時間がかかりそうだ。ならば、どうするか。

1:カラテで押し通る(カラテHARD)
2:ハッキングで突破(ニューロンNORMAL)
3:抜け道を探す(ワザマエHARD)
カラテ5、ニューロン3、ワザマエ7。当然ワザマエだ。7D6[2613116]成功!

 ストームタイガーは状況判断し、ネコ科の動物めいたニンジャ敏捷性と柔軟性で道ならぬ道を辿って罠を回避した。研究所の最深部を目指し、彼はしめやかに進む。……その時だ!「オルルル……!」ストームタイガーの前に、大きな影が立ちふさがった。ナムサン……凶暴なバイオパンダだ!

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◆バイオパンダ(種別:危険生物)
カラテ       7    体力        9
ニューロン     1    精神力       2
ワザマエ      3    脚力        4
ジツ        -    万札        3

攻撃/射撃/機先/電脳  7/ -/ 1/ -
	
◇装備や特記事項
●連続攻撃2、ダメージ2、拘束攻撃(脱出HARD)
◉ベアハッグ:拘束した敵に対し、手番開始フェイズに回避不能の2ダメージ

能力値合計:11

 クマの仲間であるジャイアントパンダは、かつては絶滅寸前の観光資源動物であったが、とある暗黒メガコーポにバイオ改変を加えられて逃走・繁殖し、タマチャン・ジャングルでしばしば遭遇する猛獣と化した。バイオバンブーや人間を主食とし、爪や牙、太い腕による拘束は極めて恐ろしい。

 ニンジャであっても単独では危険な相手。先程のように迂回してやり過ごすのが一番だが、通路は狭く、相手は血肉に飢えている。これを退かせるには、もはやカラテあるのみだ!ストームタイガーはカラテを構えた。一触即発アトモスフィア!

戦闘開始:1ターン目

イニシアチブ(一騎打ち):ストームタイガー/ST(3・2)→バイオパンダ/BP(1・1)
STは連続側転&カラテ、[6131534][16361]殺伐!出目[3]急所破壊!痛打+1、ニューロンダメージ1、精神力ダメージ2。BPは体力に2ダメージを受けて残り7、精神力0。STは続けて連続側転&カラテ、[5635322][35463]2成功。BPの残り体力6。

「イヤーッ!」ストームタイガーは強靭な脚力で狭い通路を駆け抜け、バイオパンダの急所に痛烈な一撃!「AAARGGGHH!」命中!さらに追撃!「イヤーッ!」「AAARGGGHH!」命中!目にも留まらぬハヤワザだ!

BPは連続攻撃2を2回、各ダメージ2。[664][6111][125][1542]3成功&殺伐、1成功2発、2成功。殺伐出目[3]急所破壊。STはアドレナリン・ブーストして(残り精神力2)回避ダイス7+4=11で全力回避![34664][44][66][62]全て回避し迎撃3発!BPは残り体力3!ゴウランガ!

「GROWL!」怒り狂ったバイオパンダは、凄まじい勢いで連続攻撃を繰り出す!食らえばニンジャといえど死は不可避!ドクン!ストームタイガーはバイオニンジャアドレナリンを過剰分泌し、恐るべき死の抱擁を回避!さらに連続でカウンターを繰り出す!「イーヤヤヤ!」「AARGHHH!」スゴイ!

2ターン目

STは連続側転&カラテ、[6224631][36265]3成功&殺伐!出目[2]頭部痛打!痛打+1、ニューロンダメージ1、ワザマエダメージ2。BPは2ダメージ受け残り体力1、ワザマエが1となる。STは集中カラテ、[42421]成功。

「イヤーッ!」ストームタイガーは嵐のように飛びかかり、バイオパンダの眼球に貫手!「AAAARGHHH!」バイオ血液が飛び散り、巨体がよろめく!もはや瀕死だ!「イヤーッ!」「アバーッ!」ズズゥン……トドメの一撃を食らい、バイオパンダは倒れ伏し、動かなくなった。「シューッ……!」

戦闘終了

 瞬時に決着はついた。ニンジャのカラテが、バイオパンダに打ち勝ったのだ。なぜ、ここにバイオパンダがいたのか……すでに血に濡れていた爪牙や毛皮、通路に貼られたパンダの写真や「パンダの可能性」といった文言……それらを注意深く観察すれば、おのずと結論は出るだろう。実験動物だ。

 しかし、なぜバイオパンダが脱走したのか? この施設の戦力であれば、バイオパンダ程度は難なく無力化できたはず。あるいは、別の何かが……。ストームタイガーは様々な可能性を考慮しつつ先へ進む。自分のすべきことは、そうした問題の解決ではない。機密データの回収か破壊による隠蔽だ。

最深部

 バイオパンダに食い散らかされたと思しき研究員の死体。破壊された扉やトラップ。それらをハンドヘルドUNIXで記録しながら、ストームタイガーは奥へ進んだ。機密情報が納められたUNIXデッキは、最深部の電算室にある。「オジャマシマス」ひんやりした空気。中に気配はなさそうだ。

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 ストームタイガーは、目的のUNIXデッキの前に立つ。まだ稼働している。このデッキの中身を完全破壊するか、危険を冒して情報の持ち出しに挑戦するか。それは現場判断に委ねられている。どうする?

1:UNIXごとデータを物理破壊(カラテNORMAL)
2:ハッキングで抽出に挑戦(ニューロンHARD)
ニューロンは3しかないが、カラテを込めて振れば5以上が出せるかも知れない。3D6[256]成功!

 ハッキングは得意ではないが、データを破壊するより持ち帰ったほうが、ヨロシサンにとって将来的に利益となるだろう。「フーッ……」ストームタイガーはタイピングに全神経を集中させた!スココココ……キャバァーン!『ヨロシ認証ヨロシサン。データをダウンロードな』「ヨロシ」成功だ。

 ……しばらくして、機密データはハンドヘルドUNIX内部にダウンロードされた。これは実際褒め称えられるべき偉業であり、評価のアップは間違いない。彼はそのように教育されている。ストームタイガーは施設自爆コマンドを入力し、しめやかに電算室を出ると、もと来た道を辿って帰還した。

  KABOOOOOM……くぐもった爆発音が響き、すべての証拠は湮滅された。

エピローグ

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『おつかれさまでした。まずはミッション達成おめでとう。初めてなのに頑張ったわね』ヤイミ・コナギバがモニタの向こうから労をねぎらう。『機密データと、施設内の映像、報告書も受け取ったわ。バイオパンダを一頭、カラテで屠ったとか。大変ヨロシイ』「アリガトゴザイマス」深々とオジギ。

 ヤイミはアルカイック・スマイルを浮かべ、ストームタイガーを讃える。『意思疎通、状況判断、問題なし……貴方が優秀なバイオニンジャであることは、もはや疑いない事実です。貴方の今後の活躍に期待を寄せましょう。頑張ってね、ストームタイガー=サン』「ハイヨロコンデー!」

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 こうして、新たなバイオニンジャ・ストームタイガーが誕生した。彼はヨロシサンに仕える者として、どのように生き抜いていくのだろうか……。

【キング・オブ・ザ・ワイルド】終わり

評価:A 機密データを無事回収し、無傷で生還した。万札15、余暇2日を獲得。バイオパンダから万札3をゲットし、合計獲得万札は18

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