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◇逆噴射小説大賞最終選考作品まとめ02

ドーモ、三宅つのです。前回の続きです。

「PU記事は来年になると思います」と言ってましたが、そう言ってるうちにコタツでズルズルし…正月ボケで忘れ…与太話やエピ投票やニンジャソンにかまけ…気がつけばまた年末…年老いて…みたいなことになってもあれですのでとっととやります。つのはザザを畏れます。あと、アロハ天狗=サンが速やかに大賞&最終選考作品の感想を投下されたので触発されました。

逆噴射先生に加えてのこれですから、いまさらつのが付け加えることもないかと思うのですが、つのはつのなりの自我を持ちますので、つのなりになんかします。なんかの参考にはなるでしょう。皆さんも極度感想して下さい。パルプスリンガーのおっさんが感想行為してもいいのですが、前のお二方と口調が被るので、前回と同じく敬語のつのがやります。

大賞作品と、つのが前にPUした3作品は前回やりましたので、最終選考の残り13作品と、最終選考一歩手前の残り7作品…合計20作品を感想します。ただし数が多いため、最終選考作品とその手前の2回に分け、コメントはなるべくシンプルにします。ご了承下さい。単なるつのの手間の問題ですので、格別意図はありません。連載化した作品もあるようですが、ここではエントリー作品だけを読んでします。

一発目。

タヌキです。つのは推理小説に全然詳しくありませんが、これはもうなんか作者さんのアイコンも相まって絵柄がいしいひさいち先生です。忍殺のタヌキは大真面目なエニグマでしたが、ここでは完全に子供騙し扱いで、それをいかにスゴイ暗号にするか、編集者が頭を悩ませるメタ的な話です。まさか忍殺のタヌキはこんな感じで生まれた翻訳翻訳翻訳翻訳ボンモーはいます。よろしくおねがいします。

二発目。

歩く食材をハンティングする恐ろしい話です。チャイナでは古来人肉を嗜好食としており、投網で通行人を捕まえて食っていたそうですが、作中ではヨロシサンめいた暗黒メガコーポのせいで人と食材が生まれつきコンタミしており、そのまま捌いて食えるということになっています。倫理道徳はない上に殺人罪も適用されません。なんたる弱肉強食の世界。腹が空いてきます。

三発目。

今度は動物同士のコンタミ、キメラ化です。主人公は人と獣のキメラ、獣人です。鬼太郎6期のねこ娘みたいなイメージが浮かびます。そういうキャラが近未来世界で害獣駆除というのは漫画雑誌の読切作品とかにありそうですが、キメラは害獣とは言え殺してはならないそうです。変なところで倫理道徳が足を引っ張って来ます。気軽に人が死んだりしないのでしょうか。

四発目。

つよいババアです。つよいババアはパルプそのものです。死んでるのもババアで、ブロンドの美女とかではありませんが、冒頭の句といい、涼しく軽快でアトモスフィアのある語り口調といい、不気味な異能といい手斧といい、大変にパルプです。ハントするのはデビル。ババア対デビルです。危険!

五発目。

キメラはともかく、スヌスとはなんなのでしょう。どうやら人名や神名ではなく場所、国…都市国家のようです。それが階段の上にある。テバスとはギリシアの都市国家テーバイを思い起こさせます。統治される対象へ、二日間だけ支配階級の若者たちが送り込まれる。スヌスの民の振る舞いは現世に似ていますが、こちら側(テバス?)では違うようです。謎ばかりです。つのは神話や歴史をこのむため興味を惹かれます。

六発目。

なっち語版忍殺とかを発表しておられる人ですが、そのパルプカラテは非常に確かで、芯が通っています。男たちが掘り起こした棺の中は空っぽ。掘り起こさせた男は、墓石に名の刻まれた、棺の中にいるはずだった男。つまり死人です。本人がそこにいるからには棺は空っぽに決まっていますが、ではなぜ掘り起こしたのでしょう。財宝や情報を求めて?はてさて。

七発目。

はじめに言葉が在り、万物は言葉によって出来たのならば、言葉はそれ自体が自我を持つ存在、なのかも知れません。唯一絶対や全知全能ではなく、認識されなければ死んでしまう、死にかけの神ですが。概念が人格を持ち、己を語る地の文となる。神の視点から描かれる殺人事件。こんな小説は初めて読みました。そして、何が起きるのでしょうか。

八発目。

女子高生で人を殺しています。バトロワとか強制ではなく、賞金稼ぎとして。相手はヤクザめいた女子高生。なるほど、組です。主人公は袖に仕掛けた拳銃を出し、撃った相手をピンクの煙に変えてしまいます。ファンシーですが人は死にます。つのは女子高生ではないので彼女らを別種の生物のように考えており、デストロ246とかでも殺し合っていたため、そういう恐ろしさを感じます。学校は遮蔽物や利用できる物品、肉の盾も多く、戦闘の舞台としては定番ですが面白そうですね。

九発目。

歴史伝奇ものです。つのは世界史はすきですが日本史はあまり詳しくなく、戦国ものはドリフターズやセンゴク、真田丸程度の知識しかありませんが、大坂の陣の時に秀吉が生きているはずはありません。秀頼もいますし、家康どころか天下万民知っているはずです。それが生きているならば、蘇生したということになるでしょう。おそらく妖魔の力で。不気味!

十発目。

ビジネスバトル。どうしてもオフィスハックや企業戦士YAMAZAKIがちらつきますが、ここでは銃弾や小型ミサイルは飛び交いません。言葉での戦い、煽りあいです。慇懃無礼な謝罪メールには同じ土俵で戦うしかありません。社会では何事も暴力で解決するわけにはいかないのです。パルプスリンガーもラッパーも、噺家も講談師も、サラリマンもまたコトダマで戦う戦士です。そういえばフジキドもバトウ・ジツの名手ですね。これもカラテです。

十一発目。

幻想ホラーです。古本屋、喫茶店、不気味な絵。絵という情報が媒体に乗って拡散され、それを見た者に影響を与える。SNSなどではよく見る光景ですが、それを「見た者が死ぬ絵」というSCPめいた存在にすれば、このような情報災害になるわけです。否、主人公である語り手はまだ死んでいません。ならばこの絵は、主人公と何か関わりがあるのでしょうか。

十二発目。

SFです。近未来か遠未来か、ダンジョンを探索するスカベンジャーの女が自動人形を見つけ、回収すると…。やや百合の香りがします。しかし星の獣とは何でしょうか。タイトルにもありますが、けものたちになっています。けもの。サンドスター。フレンズ。ぼくのフレンド。考え過ぎでしょうか。

十三発目。

怪奇幻想小説です。舞台は魔都上海、狙うは「灰色の百合」。その実態は…噫! この方は該博なクトゥルフ神話知識を持つことで知られるヘッズで、投稿された他の逆プラ作品もそういう海産物系パルプのにおいがします。つのもいくつかPUしています。

以上です。続いて、最終選考一歩手前作品を感想行為します。年内にやりますのでちょっとお待ち下さい。

【続く】

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