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Pimax 5k Plus Review

実際にPimax 5k Plusを購入して数週間使用してみた結果、結構他のレビューや意見との齟齬と認識の違い(主に個人差と思われる)があったので手持ちの無印VIVEと比較しつつ書いていきます。
(サムネはいつまでも日本で発売されないindexの皮肉)

ハードウェアについて

大まかな外見についてはすでに多くの方が語っているので割愛しますが気になったポイントをいくつか。

質感についていうと第一印象は「思ったより悪くないじゃん」です。さんざん掲示板やレビューで「ちゃっちい」、「安っぽい」と言われてますが、全然そんなことないと思います。ただし、詳しいことは下記参照ですが遠目で見た場合の感想です。近くで凝視した場合粗が見え始めます。
また、軽量化のためでしょうが筐体が薄いです。HMD正面部の平面を親指でそれなりに力を入れて押すとたわみます。ただし「若干へこんだかな?」というレベルです。

遠目ではわかりませんが筐体の接合部の加工が甘いです。バリや若干のズレが見られます。こういった点を見れば「値段の割に安っぽい」と思いますが、使用中は外装なんて見えませんしHMD本体を近くで凝視することもないので許容範囲内です。

サイズ感ですがただ一言に「お…おっきい…//」です。ただ無印VIVEよりも高さがないので、ぱっと見ではPimaxの方がスマートに見えます。

フェイスクッションについてです。これは賛否両論別れますが無印VIVEよりもきめが細かく弾力があるので私は断然Pimaxの方が好きです。上の写真はマクロレンズを使用し撮影したフェイスクッションの接写写真です。無印VIVEのフェイスクッションは荒く食器用スポンジのようで少し柔らかすぎだと思います。
※無印VIVEについては1年間使い込んだものなので新品の場合と違う可能性があります。

すでに比較画像が出回っているのでわかりきっていることですがレンズがとんでもなくでかいです。この大きさを目の当たりにすると無印VIVEをかぶろうとレンズを見るだけで無印VIVEを使用する気が起きなくなります。
それほどにこの巨大なレンズからなる壮大な視野角は大きなアドバンテージになるということです。

メガネの使用についてです。みて分かる通り幅、高さは細長いレンズや大きめのレンズの眼鏡であっても問題ないです。ただし上半分の眼鏡のようにつるの部分が外側に湾曲しているタイプはフェイスクッションと接触しHMDを外すときにメガネが持ってかれるのでおすすめしません。
幅、高さともに問題はないですが一番の問題は奥行きだと思われます。これは目とレンズとの距離が近いためほぼ確実にメガネのレンズとHMDのレンズが接触するということです。確実に傷がつきます。無印VIVEの話ですが1年程度メガネを付けてHMDを使っていると傷だらけになっていました。私は百均のタブレット用保護フィルムをPimaxのレンズに合わせ切断し自作保護フィルムを作成しレンズを保護しています。

メガネを使用した際の見え方(主に視野角)についてですが上に写真から分かる通り大きめのレンズの眼鏡であってもPimaxの視野角を完全にカバーすることはできません。専用のレンズを発注するかコンタクトを使わないとPimaxの持つ視野角を最大限に引き出すことはできないと思います。(目が良い人羨ましい)

ソフトウェアについて

Vive Trackerのペアリング方法

PiToolの謎仕様でコントローラー、Tracker含めデバイス2個までしかペアリングできないのでSteamVRからデバイスのペアリングをしようとすると下の写真のように「HMDが無いからペアリングできねぇ!」と言われます。

海外の情報によるとVRSettingsのrequiredHmdをfalseにすればHMDなしでデバイスを使用できる(ペアリングできるとは言ってない)そうですが私の環境だとペアリングのウインドウすら出ないようなので諦めました。

ではどうやって3つ以上のTrackerをペアリングするのかというと少々筋肉技ですが別のHMDを接続しTrackerをペアリング後にPimaxを接続しコントローラーのみペアリングを行うことで結果として2つ以上のデバイスのペアリングを行うことができます。

ちなみにpi_server.exeが仮想HMDとして振る舞ってSteamVRにPimaxを認識させているのでこれらのバックエンドプロセスを停止させないと別のHMDを使用することはできません。

常にオーバーレイされる円の消し方

この円はSteamVRでルームスケールが正しく行われていない場合に表示されるもののようです。SteamVR側のルームスケールを実行することで非表示にできます。


しかし、私の環境ではルームスケールを行うとHMDやコントローラーの位置がおかしくなるのでSteamVR設定の開発者タブ内のクイックキャリブレーションを行うことで正しくルームスケールを行うことができました。

視界の端の歪みについて

これはよく議論されていますが、私の環境ではPiToolから視野角を初期設定の通常から大きいに変更することで改善しました。これは視野角を下げた際にに物理的な表示範囲とのギャップを埋めるために画面端のピクセルを引き伸ばしてギャップを埋めるためだと思われます。初期のロット等のレビューで視野角を最大にすると負荷が急上昇するといった事があったようですが私の環境と最新のPiToolでは通常Fov時と比べ負荷は大して変わりませんでした。しかし、私の比較的大きめのメガネの視野角外に歪みが存在していて気づかないだけで裸眼で見れば歪みが多少なりとも存在しているのかもしれません。まぁそこまで来ると相当目を動かさないと(首を動かさず真横に居る人をチラ見する感じ)見えないので許容範囲内かと思われます。少なくともメガネ民には関係ないと思います。

負荷について

よく「RTX2080Tiでもたりねぇ!」とか「RTX必須!」「メモリも32Gほしい!」とか言われていますが意外にマシンパワーはいらないようです。多分こういう人達が言うマシンパワーが足りないというのはSkyrimVRなどの高負荷なゲームで常時90fpsを実現するために必要になるのだと思います。自分の現在使用しているマシンはi7-6700k OC、GTX980Ti OC、RAM24Gと組んでから3年以上が経過して現在で言うミドル程度の性能しかありませんが問題なくPimax 5k Plusを使用できています。もちろん無印VIVEより負荷は高いのでFPSは低下しますが軽量な場面では90fps普通にでますし、高負荷時で30~45fpsほど出ます。流石にVRCで一つのワールド内の人数が50人を超えた場合はカックカクで10fps程度しか出ませんでした。
ぶっちゃけVRCにおいては最適化もクソもないアバターやワールドだらけで90fps張り付いていることのほうが珍しいので大して体感は変わりませんでした。

ちなみにPiToolがメモリをバカ食いして16Gじゃ足りないなんて意見もみますが単純にメモリリークしてるだけで最新のPiToolでは修正されていると思われます。

あと、PiToolのクオリティ設定(SSだと思われ)が1.0の状態でSteamVR側のスーパーサンプリングを100%にすると解像度が4268x2632という搭載する液晶のネイティブ解像度を遥かに超えるレンダリング解像度になってしまいGPUにとんでもない負荷がかかるだけなので自分はPiToolを1.0、SteamVR側SSを30%にしています。こうするとほぼネイティブ解像度でレンダリングしてくれます。

また、Pimax 5k PlusはペンタイルではなくRGB配列なのでSSを上げたところで表示時の解像度のダウンコンバートでエッジがシャープになるだけで大してきれいにならないと思います。(たぶん)

画面強制スリープの無効化方法

HMDを長時間移動させないと画面がグレーアウトします。なんで有機ELじゃなくて液晶なのにスクリーンセーバーみたいなの付いてるんだよとは思いますがこれはVR睡眠勢にとって大問題です。寝付く前に画面がチッカチッカされたら迷惑極まりないです!(早くPiToolで設定できるようにしろ!)
↓ 以下修正方法 ↓

C:\Users\「ユーザー名」\AppData\Local\Pimax\runtime

このフォルダ内にあるprofile.jsonに以下の項目を追加します。
※前の行の終わりにカンマ(,)を追記してください。

"enable_screen_saver" : 0,
"standby_timeout_min" : 14400

参照までに以下の画像のようになります。

ここで落とし穴がありましてこの設定はPimaxのバックエンドサービスが停止した時(PCシャットダウンしたときとか)に強制的にリセットされるのでprofile.jsonを右クリックしプロパティから「読み取り専用」という項目にチェックを付けます。こうすることで値の新たな書き込みと消去をブロックします。

映像のブレ、ひどい残像の直し方

頭を振ったときに残像と言うか映像がブレる場合はPiToolのゲームタブのスマートフレームという機能を切ると治ります。これはSteamVRで言うMotion Smoothingの機能のようですが最適化されていないのか私の環境だとブレブレで使えませんでした。

Pimaxのステータスアイコンの変更

ロゴつけただけのやっつけ仕事で端が切れているのが気に入らないので変更方法を

C:\Program Files\Pimax\SteamVRSupport\drivers\aapvr\resources\icons

上記のフォルダ内の画像を差し替えることでアイコンを変更できます。

適当に書いたやつ配布しときます
headset_status_ready.png
headset_status_standby.png

まとめ

自己解決能力がそれなりにあって無印VIVEからの乗り換え先としてはありかなぁと言った感じです。安定性(トラブりにくさ)に関してはVIVEシリーズやINDEX、Oculus等に劣ります。(私の場合はトラブルっぽいトラブルなかったですが)まぁ一長一短って割り切れる人向けです。
ただ、殆どがソフトウエア依存の不具合なので今後のソフトが煮詰まってきた時、評価が変わってくるでしょうね。


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