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デザインの単純な横展開をしてはいけない

思考停止の真似には意味がない

今回は自戒の意味も込めた内容です。

私はインハウスのデザイナーです。
ですから、普段の業務の中で「競合がこんなことやって成功したから真似したい」「他の部署がこれこれで改善したからウチでもやれない?」といった相談をよく受けます。

実際に作られたものを、色や雰囲気だけちょいと調整して真似をするのは何も難しくありません。
しかしそうやって出来たものには何の意図も作戦もないので、後になって自分達が苦しめられるだろうと確信しています。


苦しめられるとはどういうことか

苦しくなるまでを箇条書きにするとこんな感じです。

・全体に対して「異質な」デザインを放り込むと、思ったより反応される
・反応されるので短期的なテストで見ると良い結果に見える
・一度良い結果が出たように見えると、それを覆すのが大変
・繰り返しているうちに「あちらを立てればこちらが立たず」になる

よりイメージしやすいように、かなり極端な例で説明します。

あなたが携わっているのは、全体がパステルカラーで構成されていて「カワイイ」を追求したようなwebサイトです。
そこに「コンバージョンボタンは赤くて大きいとCVRが120%伸びるらしい!やってくれ!」と依頼が来ました。
ABテストを実施したところ、106%の勝ちで思ったよりは改善されなかったものの赤くて大きいボタンに統合となりました。

しばらく経ってあなたが「やっぱりさすがにトンマナと合っていなさ過ぎるから変更したい」と言いましたが
「テストをやって勝った施策だから、変更して数字が落ちるのが怖い」というのがチームメンバーの総意として落ち着きました。

さすがにこんな極端な話は無いでしょと思いたいところですが、事の方向性としてはこんなところです。


では、どうしたら良いのか

世間で騒がれるような良いデザインがあったとして、「良い」要素を分解して抽象化してから展開しないといけません。
それができないと、上記の例で言えば流行りのボタンの色を延々と真似るだけになってしまいます。

「赤くて大きい=良い」ではなく、「赤くて大きい=背景色の白とのコントラストが高く目に留まり、押された」
などと一旦思考のフィルタを通すことができれば、「自分のサイトで他コンテンツよりもコントラストを高くしたい場合はどんな見せ方があるだろう?」と全体感を損ねずに良いところだけを取り入れることができます。


まとめ

自分の携わっているものが「誰に」「どんな価値を」「どのように」提供しているかを常に意識できれば、単純な横展開はなくなることでしょう。

世間の優れたアイデアを取り入れることが悪いのではありません。
それが思考停止のただの真似になってしまうと、後々自分達が苦しい思いをしてしまいかねない。というお話でした。

最後まで読んでいただいてありがとうございます!