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デビュー2年目、新たなフェーズへ 〜SixTONES『僕が僕じゃないみたいだ』より〜

どーも。毎度おなじみの
#Shiba的音楽レコメンド でございます。

今回は、前々からまとめてみたかったアーティストの最新曲について、書いてみることにしました。先ほど、全てを書き終えて全体を推敲していたところなのですが、今回も私なりに考察したような... 曲について深く聴いてみたい方も、初めて聴く方にもわかりやすく、両者とも楽しめる内容になったのではないかと思っています。

初めましての方に向けて、このレコメンドの簡単な説明をしますと、本編だけで約1万字記述してあります。軽く読んでいけば、数分くらいかなぁと思うのですが。よかったら、最後まで覗いてみてください!!

遅くなりましたが、このnoteを開いてくださり、ありがとうございます! これから始まる音楽のtravelingに、少しだけお付き合い願えたらと思います。

前説

2020年、このグループのデビューは音楽シーンに中で、大きな話題のひとつになったのではないか、と思っている。それ以前に、2020年は世の中のゴタゴタ感や未曾有さで、何かとマイナス感が漂う1年だった気がするが、「それだけじゃないよな?」と思うことも、多いような1年だった気がしている。その理由のひとつが、彼らの音楽にはあった。

音楽シーンに関していうと、ライブが今まで通りにできなくなったとか、行きたいフェスやツアーが中止になったとか、そういう話ばかりが目に入るのだけど、実を言うと面白い音楽がたくさん流れていたのが2020年だったんじゃないかなと思っていて。

今回のnoteで取り上げるのも、
そんな音楽のひとつ。

彼らの属する事務所って、日本のエンタメ業界における最大大手と言えるくらいのグループだけど、その年にデビューした2組って、今までにないような匂いだとか斬新さに包まれていたようなイメージを覚えていて。既存にない感覚、それは今までの当たり前がそうでないと気付かされた年だからこそ、その姿や音が斬新に聴こえたんだと思う。

だから、この2組の音楽を思うと、まさに2020年だなと言えるような景色を感じる訳だ。今日は、そのうちの1組についてレコメンドしてみたい。

SixTONES、6人組のアイドルグループ。
彼らの2021年は、とんでもない気がする。

2020年・鮮烈なデビュー

2015年、当時ジャニーズJr.だった髙地優吾、京本大我、田中樹、松村北斗、ジェシー、森本慎太郎の6人により結成されたSixTONES(ストーンズ)。
舞台の出演や所属アーティストのバックダンサーとして活躍したのち、2020年1月にSME Recordsよりメジャーデビューを果たした。Snow Manとの同時デビューは、ジャニーズ史上初の形態として話題を集めた。

そんな2組は、"SixTONES vs. Snow Man"名義で2020年1月22日にシングルCD『Imitation Rain / D.D.』をリリースした。ミリオンヒットを記録した1枚は、2020年で最も売れたシングルCDとして記録に残った。

そんなデビュー曲の「Imitation Rain」は、ロックバンド・X JAPANのリーダー・YOSHIKIによるプロデュースでも話題となったのだが、この曲を聴いたときに、「ジャニーズがこの曲を歌いこなすのか!」という衝撃を覚えた。

そう思ったのには、ある理由がある。それは、ジャニーズ系のデビュー曲って、彼らの名刺がわりになる作品が多いということだ。

ジャニーズ系のデビュー曲って、彼らの代表曲になることが多い。典型的な例を言えば、嵐の「A•RA•SHI」、KAT-TUNの「Real Face」、Kis-My-Ft2の「Everybody Go」、Sexy Zone「Sexy Zone」とか。有名なところを少し挙げてみたけど、どれも彼らの名刺がわりと言ってもいいような曲が多い気がする。そして、どれもがライブでは盛り上がり必須のアッパーチューンだ。

しかし、「Imitation Rain」は括りを考えると、ロックバラードというジャンルに値する。ここ20年のJ系のデビュー曲で、そういう曲をデビュー曲に持ってくるグループはいなかったように思う。というか、そういうことが今までになかったということは、なんとなく理解できる気がする。

それは、"名刺がわりになってしまう"故に、曲自体にグループのパーソナリティやキャラクターを落とし込むことが多かったから、必然とグループの色に合う曲がデビュー曲の雰囲気を作り上げてしまうことがあったからだ。例えば、KAT-TUN「Real Face」は、グループの持つ”ワイルド系”というイメージに沿った空気感によって歌詞や曲調がオーダーされたと思うのだ。それによって、グループに合うようなデビュー曲が生まれたというわけだ。

この曲を聴いて、私は驚いたと同時に、「このグループだからこそ、この曲を当てはめたのかもな」と感じる瞬間があった。というのも、この曲って相当音域の幅が広い。「Imitation Rain」をデビュー曲にしたSixTONESは、J系の中でも相当な歌唱力を持ったグループなんじゃないかなと思う。というか、そうでないとこの曲簡単に歌いこなせないと思うし。

全体の音域のバランスや声質の良さっていうのが、彼らには備わってるからこそ、この曲が成立するんだろうなと思う。最後のサビの転調を京本大我が歌いこなすところとか、松村北斗や森本慎太郎のコーラスワークが巧みなところとか。そして、元々あるダンスの素質の良さがあるから、この曲の全体的なアート性が成り立つ。

つまり、この曲ってJ系の歴史の中でも、相当な実力派の登場といってもいいのだ。SixTONESは既存のアイドル枠を超えた「新・実力派」と言えるような属性を持ちながら、デビューを果たしたわけだった。

2021年・新たな飛躍へ

デビュー2年目となった2021年。
彼らは、初のフルアルバムをリリースした。

『1ST』と名付けられたこの1枚は、一言では括れないほどの複雑さとキャッチ―さが収まった作品となっている。

((ジャニーズ系のアルバムを買うのが初なわけではないのだが、アイドル特有の複数形態のリリースというのには頭を悩ませる。全曲聴きたいなら全形態買えというやつ。普通に音楽聴いてる人間からしたら、このやり方が一番困る話。SixTONESって何故、配信やらないんだろな?世界展開目指すのなら、サブスクとかやることは必須じゃねぇの??))

・・・なんて思いながら、私は「原石盤」を買うことにしました。というか、同日TSUTAYAで通常盤レンタルしてきて、そこでしか入ってない曲を埋め合わせてきました。ちなみに、「原石盤」買った理由は単純で、曲数が多い方がなんかいい…というだけです。(小声)

、、、話を軌道に戻そう。
このアルバム、何も予備知識なしで聴くと、日本のアイドルの1枚とは思えないんじゃないか、と感じる。それは、ポップスという言葉には許容できないほどの多様性、そして既存の価値観に捉われない自由さに満ちた1枚であったからだ。

歌っているジャンルは幅広い。
EDM、ロック、ラウドミュージック、バラード、ファンク、ラウンジミュージック、ヒップホップ... 数え切れない。というか、細かいことを言ってしまえば、EDMとロックのミクチャ―やバラードとラウドの掛け合わせとか、1曲単位で見ても、その音楽を一言にまとめることは難しい。

今までのJ系のアルバム、特にファーストアルバムからここまで振り切った作品というのは、今までになかったと思える。というか、ここまで幅広いサウンドに振り切れなかったと思う。

それは、前述のグループのパーソナリティーの問題もあるが、それ以前の問題として、幅が広いが故に統一性がなくなってしまうという側面が生じる可能性があるということが要因として考えられる。統一性がなくなると、グループの個性が存分に発揮されず、単なる楽曲の寄せ集めに過ぎない1枚になってしまう危険性がそこにはあるからだ。

ただ、SixTONESがここまで振り切ったというのは、そのすべてのジャンルを”SixTONESの楽曲”という色に染め上げることのできる底力があるからこそ、成り立つ所業なのだ。

ライドロック色の強い「ST」や「NEW ERA」、エキゾティックなサウンドにEDMが混じる「Special Order」、ラウンジミュージックにメロディのグルーヴ感を感じることのできる「Coffee & Cream」など、全形態に共通している1~10曲目をフォーカスしても、音楽性の幅広さを感じることができる。しかし、どんな音になろうとも、曲の軸にはメンバー6人の声という楽器が適材適所で唸り、曲に呑まれることなく凛と存在している。これが、どの曲も"SixTONESの楽曲"として成り立つ理由なのだ。

この「どの曲も”SixTONES”となる」ということが、このグループの凄さであると思うのだ。どんな曲でもその"TONE"がハマるというか、違和感を覚えないということに、彼らの面白さを覚える。そういうことを言ってしまえば、このアルバムって恐ろしいほどにぶっ飛んだ1枚であり、もはや「アイドルのアルバムだ」なんて言葉がチープに思えてしまうほどの革新性を持っているわけだ。音に染まらずに、自らが音になるから、どんな曲でもハマってしまう。それが、このアルバムの持つ複雑さであり、尚且つ面白くて深みを覚える要因なのである。

もう1つ、『1ST』に関して特筆すべきと思うことは、歌詞における英語率の高さがまず目に行くことだ。J系のアルバムの中で、英詩の多用は近年においては増えてきた印象を覚えるが、ここまで全体的に振り切ったのは、昨年リリースの嵐『This is 嵐』以上の濃度だろう。

そうなった背景に、グループ時代が、世界戦略をもくろんでいるということがあるだろう。そこからも、この作風となったことには合点行く。2018年にはデビュー前ではあるものの、日本のアーティストで初めて「YouTubeアーティストプロモ」キャンペーンに起用された。この時期、ジャニーズではデジタル戦略をやっと手に付け始めた頃で、YouTubeに「JAPONICA STYLE」のMVを公開したことも話題となった。この時期から、グループや全体を世界に打ち出すことを考えていたのだと思えるが、このアルバムで曲調にその意識が行っていることを考えると、SixTONESの"本当の"スタートは、むしろこのアルバムからなのではないのかと思うのである。

SixTONES初のアルバム『1ST』は、SixTONESというグループというものの深みが詰まった1枚と言うだけでなく、音楽シーンの新たな歴史に刻まれるであろう革新性に満ちた1枚。2021年の始まりとなる時期にこのアルバムが出たということが、本当の意味での起動を感じて震えるのであった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

なんか、ここまでアルバムの話らなんやら書いたところで切り出すの、なんか悪いんだけど、本編はここからです。

というか、今までの全てオマケというか前置きなんです。ここから、私が今回書きたかったことです。もう少し、旅をしてみましょう!!!!!!

初の映画主題歌

そんな『1ST』から1ヶ月後となる、
2021年2月17日。

SixTONESは、2021年1発目の
シングルCDをリリースした。

通算4枚目となるシングル『僕が僕じゃないみたいだ』は、メンバーの松村北斗が出演する映画「ライアー×ライアー」の主題歌に起用されている。

((このくだり、さっきもやった覚えがあるんだけど、俺J系のシングル買うの初めてなんだよね。まぁ、買うのはいいのよ。でも、形態によって楽曲違うってのどういうこと?!まとめろよ、全部聴きたいんだからさぁ???どこぞのN木坂やらH向坂とかって配信だったら全曲まとめてるよ?つーか、熱心なファンなら映像特典だけでも全形態買うんじゃないの?そういうファン、そちらの事務所さん相当抱えてるよね?なら、配信やっても損得勘定がマイナスに傾かないと思うんですけども... やっぱり、配信やらサブスクとかするべきなんじゃないんですかねぇ?世界戦略ってのは、YouTubeだけじゃないんですけどねぇ?Jャニーズ事務所さんよぉ...))

・・・なんていうn回目の本音がこぼれてしまいましたが、私にとってジャニーズ系のシングルCDを買うの、これが初なんです。アルバムなら何度かあったんですけども、遂にシングルに手を出す日が来たとは...と、我ながら驚く昨今でございます。というか、「しっかり書くのなら、しっかり聴きたいね=作品にちゃんと対価を払うべきだ=CD買おう!」という方程式によって、この結果に至るのですが。(ってことで、さっきの本音横目でスルーしてもらえませんかね?)

まぁ、慣れない複数形態に悩んだ挙句、初回盤Aを買うことにしました。悩んだ末にこれにした理由は、めっちゃ単純なんだけど、ジャケットが他の2枚と比べて好みだったからです。つーか、俺数年ぶりのジャケ買いしてる。令和の時代にこんなことできるんだ、と再び驚く昨今なのですけども。

このシングルも、先ほどの『1ST』同様に、通常盤はレンタルで済まして、追加で初回Aにしか入っていない楽曲「Strawberry Breakfast」を聴くことに。シングル曲とは打って変わって、ファルセットが響く「Call Me」やファンク感が印象的な「Strawberry Breakfast」など、どの曲も今までにない6人の音が鳴らされている1枚となってる。

ジャニーズアイドル出演・
恋愛系映画/ドラマの主題歌論

今日は、この『僕が僕じゃないみたいだ』をじっくりとまとめようと思うのだが、この楽曲って最初聴いたときには「SixTONESこういうのやっちゃうんだ...」という気分に襲われた。というのも、今までのシングルとは打って変わって、王道のアイドルソング寄りというか、J-pop寄りのサウンドメイクが施されている故に、グループの個性というか、音域的なスイートスポットを突いていないような気がして、ちょっと残念な気持ちになってしまった。軽く聴いていたこともあることから、TV初披露だった2021年1月29日の「MUSIC STATION」を観ていたときは、なんかパッとしない印象を覚えてしまった。

しかし、聴いていくとこの曲の何が面白くてすごいのか、見えてくるようになった。それは、個々人の歌声やサウンドメイクの話でもあるんだけど、それ以前の曲の背景のバランスに感じたものがあって。

というのは、この曲ってちゃんと聴くだけでは理解できない要素が多く含まれていると思ったからだ。そのキーワードとなるのが、「僕が僕じゃないみたいだ」が映画の主題歌であるということだ。

この曲は、SixTONES・松村北斗と森七菜のW主演の映画「ライアー×ライアー」(2021年2月19日公開)の主題歌に起用されている。

映画の概要をざっくりと説明すれば、この作品はラブコメである。森七菜演じる地味な女子大生・湊がある日ギャルJKに扮して外に居たら、松下北斗演じる義理の弟の透に遭遇してしまう。湊は、私が義理の姉だとバレないように、女子高生の"みな"だと嘘をつくのだが、透は"みな"に恋をしてしまう。そんなひとつの嘘から始まったストーリーを描いたのが、この映画だ。作品は、累計発行部数が190万部を突破した同名の人気漫画が原作となっている。

こういう恋愛ドラマ・映画の主題歌をジャニーズが手掛けることは数多い。典型的な例といえば、2005年と2007年に放送されたドラマ「花より男子」だろう。松本潤主演・主題歌は嵐が歌う「WISH」と「Love so sweet」。特に、2007年放送の「花より男子2(リターンズ)」は国内外でヒットし、嵐の名前はより全国区となった。

映画を例にすれば、近年だったら「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」(2019年公開)がわかりやすいはずだ。King & Princeの平野紫耀が主演し、その主題歌は彼らの楽曲「koi-wazurai」となっていた。キンプリこそ、こういう手がうまいグループの印象がある。主演・主題歌を務め、プレイヤーとしての側面と音楽的な側面でグループが話題になることは、近年のジャニーズだったら王道をいってるグループといえるだろう。

今回は、「花より男子2(リターンズ)」の主題歌となった嵐「Love so sweet」とKing & Prince「koi-wazurai」をサンプルとしてこのレコメンドを進めていこうと思うのだが、この2曲とも、ポップスとしても王道を行く楽曲だし、ライブでも定番曲のひとつになっているそうだ。知名度も高い方の楽曲なんじゃないかなとも思う。

そして、この2曲ともベーシックな部分に共通していることが、映画の内容と少なからずリンクさせた表現が多用されているということだ。王道ラブコメを描いた"花男"なら、恋する思いに関したストレートな表現の多い歌詞が「Love so sweet」には描かれているし、恋愛の駆け引きを描いた"かぐや様"なら、「koi-wazurai」はそんな恋愛の駆け引きを丁寧かつキャッチーに仕立てられている。つまり、こういう映画主題歌となった曲って、少なからずともタイアップ論的にも作風にリンクさせた表現が多くなるのは必然と言えるわけだ。

さて… 今回の「僕が僕じゃないみたいだ」はどうなのだろう?

映画の概要だけ読んでも、作風とリンクしているのだろうと言うのはわかるのだが、流石にそのことを楽曲を聴いただけの状態で書くのは、ちょっと無理がある。的外れな内容を伝えかねない事態となってしまう。

ただ… こういうラブコメ的な映画を観に行くってのはどうなんだろう?ターゲット層から考えても、男1人で行くのは無理があるんじゃないか??

というか、映画館土日だと混んでそうだし…

状況的に俺が浮くことは必須だよね?!?!




どうしようか...




悩んだ末に、、、




観ることにしました…

木曜12時過ぎのロードショー。

平日の真ん中、男1人で 笑

流石に女子集団が多いだろうと言う読みから、黒マスクにキャップと色付きメガネと… 一見怪しい風貌で行ったのはスルーして、ど平日だったからか、そこまで人が埋まってるわけではなく、ざっと見て500人入るシアターに30人ほどと少ない人数がいました。客席を覗くと、夫婦で観に来てる人もいたし、男性客が少しは居たことに安心。約2時間ほど、ゆっくり観ることができました 笑

で、今それを観終えて、帰路に着くところなんだけど、少し作品を振り返ってみて… 簡単に感想をまとめるんだけども。

いい作品だった!
単に恋愛的なキュンキュンが多いのかなと思ってたけど、それだけじゃなくてコメディなシーンも多かったし、それぞれの心理的な変化を如実に描いていたから、展開的に面白い作品だったなと言うのがまずひとつ。

そして、映画を観てから曲を聴くと、曲の真意がより見えてきた気がして。それがもうひとつのこと。

タイトルにもあるように、「僕が僕じゃないみたいだ」というフレーズは、映画の中で見てみると、森七菜演じる湊/みなという同一人物でありながら、別のキャラクターというシチュエーションでの錯誤や差に戸惑うことだとか、松村北斗演じる透の持つ"ツンツンした自分"と"デレデレな自分"という2つの間にある変化や背景とか、そういうキャラクターひとりひとりのことを示す聴き方ができる。

加えて、自分自身だと思えないことから、本当の思いに気付くという点で、「僕が僕じゃないみたいだ」というキーワードが光るシーンが多かったようにも思えた。これ以上書くと、多分映画のネタバレや本質を突いた文章を書いてしまいそうなので、ストーリーに関した話はこの辺に留めておく。

こういうことを見ていると、作風にしっかり寄り添った点がある点が、映画主題歌という点においては重要だということが分かって来る。特に、主演俳優が自ら歌うとなると、そういう方向性にしっかりと舵を切れるから、曲自体をその色に染め上げることも簡単にできるというわけだ。

ちゃっかりとパンフも買っちゃいました 笑
ちなみに、映画の半券で、今日のランチはモスバーガーのセットとなりました。美味しかった。。。

愛に咲いた花の名前はLiar

話を曲のことに戻さねば。

パンフレットを買って、帰りの電車の中でパラパラと読んでいたのだが、これの最後の方に主題歌の歌詞が掲載されている。それを読んでて気付いたのだが、歌詞全文が映画の要約となっている。

そのすべてが端的にあらわされている歌詞が、冒頭のフレーズだ。

愛に咲いた花の名前は Liar
(SixTONES「僕が僕じゃないみたいだ」より)

さっきのチャプターで書いたように、映画自体が「嘘から始まったラブストーリー」ってあることから、必然と"嘘=Liar"という言葉がキーワードとなるのは確かなこと。だが、これに行き着くものに"愛"と言う言葉があることを忘れてはならない。”嘘”と”愛”という2つが大きなテーマとなっている。

なるべく映画のネタバレにならないように書いていくと、少し制限が出てしまうので、なるべくギリギリを攻めた言い方をするのなら、嘘から始まった出来事によって、2人の間に愛というものを知ることが、ストーリーの中にはある。この愛ってものは、嘘がなかったら必然と気付けないものだったはず。でも、嘘というのは当然しちゃいけないようなものだから、それぞれの間には嘘を持っているからこそ感じる後ろめたさというものを抱えている。だから、嘘を明かしたときにあった本当の真実が愛だった。故に、そこにあった"愛"は真逆に存在する"嘘"に帰着するし、"嘘"というものが時間を追うごとに"愛"へと変化していく。真逆だったものが、イコールになっていく。

そのような感情に至るからこそ、1番と2番のサビでこのフレーズの前に、"形のない"思い出"に 仕舞いたくないんだ"や"今までの自分じゃ 君といられないって"、"君以外はもう見えない"だとか"悔しいくらい本気だ"という言葉がやって来る。これって、見方を変えれば、透の言葉にもなるし、湊の言葉にもなる。ストーリー性に忠実だからこそ、映画のラストでこの曲が流れたときに、曲が全体のダイジェストとなるし、全ての総括になる=主題歌としての機能を果たすわけだ。

映画を超えて、ポップスの域へ

しかし、この曲を聴くすべての人が、映画を観て聴いているわけではない。というか、そういう人の方が大多数だと思う。

ただ、この曲の持つ凄味というのは、映画を観ればわかる表現とそのままポップスとして聴いて感じられる面白さが両方とも兼ね備えてあるということ。具体的にはどういうものなのか?

さっき、歌詞についての表現をじっくりとまとめたつもりなのだが、その歌詞に関しても、単純に読んでみても恋に惑わされている感覚だとか、自分じゃない自分に翻弄されながらもその瞬間を愛おしく思う感覚とか、そんなものを思うことができる。もし、恋をしたことがあるのなら、そんな感覚には一度は陥るのではないだろうか?

個人的な考えなのだが、タイアップの曲って、作品を聴いて感じる良さに加えて、そのまま聴いたときに感じる一般性だとか市民性のような側面がないと、曲自体が浮いてしまい、ポップスではなく劇中歌としての機能しか持たなくなることがある。故に、無菌状態で聴いたときに、この曲が面白いか?と思えることが、ポップスにおいては大切なことだと私は思っている。

初めて曲を聴いた1月のMステでは、曲が単なる映画主題歌だとかJ系によくある恋愛系ね、としか思えなかったのだが、のちにしっかりと聴いていく中で、ポップスとしての普遍性や強みを感じる瞬間があって。それは、『1ST』にもあったように、個々人の歌唱力の高さが曲にレベルを押し上げていると感じたからだ。

今までのシングル曲やアルバムの曲って、サウンドが独特だったから、メンバーの歌声がその音に合わせたサウンドメイクに施されているように思えた。実際に、2nd Single「NAVIGATER」はEDM色や重低音が強い分、バックとは相反的に全体的に突き抜ける声になっていたし、3rd Single「NEW ERA」は疾走感のある1曲だったから、勢いがあるような伸びが声には表れていたように思う。アルバム『1ST』も、サウンドメイクに合わせた声質というものが(はたまた逆なのか?)、全体に見えていたように思える。

しかし、今回のシングル曲って、サウンド性の強さよりも、ボーカル性の強さにフォーカスを当てた曲になっている印象を覚える。

リード曲でここまで"歌"にフォーカスした曲は、SixTONESのシングルでは初だったんじゃないかな?デビュー曲の「Imitation Rain」もそういう色が強かったけど、文字数とか総合的なことをみたらこの曲ほど、6人の歌唱にしっかりと軸を合わせたシングルはこれが初じゃないかなと思うわけだ。

これを聴いてると、メンバー個々人の声質と曲の物語性や全体的なバランスがうまくマッチしていることが見えてくる。全体的に聴いて、映画に出ている松村がメインを歌う率が高いが、最初のワンフレーズは行った時の無からスイッチが入ったような切り替えに驚くし、サビでの高地優吾や森本慎太郎のファルセットの鳴りの良さが、曲に感情を吹き込んでいて、聴き心地がいい。ハモるパートもある田中樹やジェシー、京本大我の声質と全体の声の質感が、今までのシングルにない表情を覗かせていることも面白い。

こういうボーカリストとしての高度なレベルが、この曲には備わっているから、ポップスとしての煌びやかさや強度を持っているのだと推測する。

普遍的なポップス性に、個々人のボーカルが映える1曲。

この曲には、『1ST』以降の新たな1歩であり、ポップスとしてのSixTONESの強さをより広い面で打ち出した様子が見えてくる。アルバムが、ジャンル問わずどの曲もSixTONESになることを証明したのなら、この曲ではSixTONESの深みというものに、私たちを誘っているような感覚を思う。

2021年のSixTONESは、ここから始まる。
むしろ、ここからのSixTONESがとんでもないんじゃないかと思わせるような、そんな1曲がこの「僕が僕じゃないみたいだ」なのである。

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noteを最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!

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