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デートをすっぽかして彼女にフラれたデザイナーの話。

エイチームライフスタイルアドベントカレンダー2018の19日目は、株式会社エイチームライフスタイルMが担当します。

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突然ですが、私が今までこの業界で仕事をしてきて、デザイナーやエンジニアというものづくりに携わる職種にはいくつかの共通点というか傾向がある事に気づきました。
その中でも特に感じるのは「タスクに追われてしまう」人って結構多いんじゃないかな、ということ。

ありがちな例でいくと、

・手付かずのタスクがTODOリストに溜まっている
・目の前のタスクを処理することで精一杯
・スケジュールを立ててもなぜかその通りに進められない
・差し込みのタスクで手一杯
・頼まれるとなかなか断れない
・明日までにやります!って言ったはいいけど結局徹夜で仕上げた
・常に何かに追われていて新しい事にチャレンジする余裕がない

などなど…。
これを読んでくれている皆さんの中にも
同じような経験がある方もいるのではないでしょうか。
なぜこういう状況に陥ってしまうのでしょうか?

それはきっと皆さんのクライアントやステークホルダーの
「期待に応えたい!!」
という気持ちが強いが故にやりたいことが増え過ぎた結果、
キャパオーバーになってしまっているんだと思います。
そんな純粋な想いがあってがむしゃらにやってるのに、
気付けばメンタルや体力が蝕まれていく…
こんな辛いことはないですよね。

そんな皆さんを救うべく、
今からできる「タスク&スケジュール管理術」をご紹介します。
これをマスターすれば貴方だけでなく周りもきっとハッピーになるはずですよ。

…あれ?彼女にフラれたデザイナーの話はどこにいったの?
おっと、失礼致しました!
これより新人デザイナーS君の登場です。
彼はなぜデートをすっぽかしてしまったのか、彼の何がいけなかったのか、
時系列でストーリーを追っていきましょう。

それでは、スタート!

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09:30

某IT企業に勤めるデザイナーS君。
今日は仕事終わりに、付き合ったばかりの彼女とデートの約束をしているらしく、朝からテンション高めです。
この日の為に、1ヶ月前から人気のレストランも予約済。
S君の会社の定時は19:00なので、待ち合わせ場所への移動時間も含めて余裕を持って20:00に予約をしておきました。
朝から今夜のデートが楽しみで落ち着かないS君。
会社に着いてPCを開くなり今日のタスクを確認。

S君「え〜っと今日やることは…」

[今日やること]
・MTGの参加(1.0h)
・デザイン修正(見積り時間 2.0h)
・コーディング(見積り時間 3.0h)
・検証&リリース(見積り時間 1.0h)

それぞれのタスクを見積もってみたところ、今日は合計6.0hの作業になりそうです。
これを今日のタイムスケジュールに当てはめてみることにしました。


先程のタスクを当て込んでも1時間余裕ができました。これなら19:00に会社を出ることができそうです。
デートの予定にハートマークまで付いていて相当浮かれていますね。

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10:00

さあ始業です。S君は余裕の表情で朝一番のMTGに参加。

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10:30

上司「S君、何ニヤニヤしてるんだ?」
S君「いえ、なんでもないです。」
上司「ほう?そういえばこのISSUEだけど、今日リリースいけそう?クライアントからなるべく早めに上げて欲しいって言われてるんだよね。無理そうだったら明日に調整するけど。」
S君「いや、今日いけますよ!」
上司「本当?早いね。ちなみに今日だと何時にリリースいけそうなの?」
S君「今日はスケジュールに余裕があるので18時には!」
上司「おっ、いいね。じゃ、クライアントには余裕を持って20時と伝えておくよ。」
S君「はい!お願いします!」

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11:00

MTGから自席に戻るS君。
おっと?スケジュールをリロードすると新たに14時からMTGが入ってきたようです。
S君のアサインされているプロジェクトではないけれど、昨日から出て欲しいと頼まれていたものでした。

それでも1.0h分余裕があったので丁度ぴったりになりました。

S君「まあ、いざとなったらランチの時間を使えばオッケー☆」

デザイン作業に着手すると間もなく、さっきMTGで決まった件についてメンバーから相談のチャットが飛んで来ています。
その対応をしたり、MTGの決定事項に対する次のアクションを整理しているうちに…

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11:30

いつの間にか30分が経過しました。

MTGのまとめなどに時間を要してしまったので
S君はランチの時間を30分削ってデザイン作業に充てることにしました。

S君「早食いには自信あるから30分もあればオッケー☆」

余裕の表情でデザイン制作を着々と進めて行きます。

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13:30

ランチの時間になりましたが、S君は手を止める気配はありあせん。

S君「んーここをもうちょっと直したいんだよね…。
まっ、夜は豪華ディナーだし、ランチくらい食べなくてもオッケー☆」

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14:00

気付けばランチの時間は過ぎ、MTGの時間に。
でもまだ制作が終わりそうにありません。

S君「んー2時間で終わらせるはずだったんだけどな…。」

結局終わったのは14:30。
14時からのMTGは後半だけ出席させてもらう事にしました。
慌てて途中から参加するも周りの目が気になります…。

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15:00

MTGが終わり、早速コーディング作業に取り掛かろうとするS君。
すると、事前に仕様の確認とすり合わせがエンジニアとできていなかったことに気づきます。
急遽メンバーに声をかけて打合せを行いました。
しかしこのままでいくと、リリースが30分遅れてしまいそうです。
S君はなんとかメンバーに頼み込んで、18:00リリースのところを18:30に延ばしてもらいました。

S君「デートの待ち合わせ場所には走って行けば30分で行けるからオッケー☆」

S君は19:30に会社を出て走ってお店に行けば間に合う計算だったので、彼女に連絡することなく急いで仕事を進めます。

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15:30

打合せが終わって作業に取り掛かり始めるも、何やら険しい表情をしているS君。

S君「まずいぞ…これ結構入り組んだ構造してるから調べながらやらなきゃ。ちゃんと事前に確認しておけばよかった。見積り時間を間違ったな…」

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18:30

さて、18:30になりましたがどうやらS君はまだ開発に苦戦しているようです。
そこへ上司が現れました。

上司「今日18時リリース予定だったよな?どうなってる?」
S君「はぁ…。実は思ったより手こずっていまして…。」
上司「困るよ!20時までにリリースするってクライアントに伝えてしまってるんだ。頼むよ!」
S君「はい…。」

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19:30

リリースまで残り30分。
本来であれば検証に入っていなければならない時間ですが
S君はまだ作業を終えられていません。
現場も殺伐とした雰囲気になってきました。
とてもじゃないけど彼女に連絡できるような余裕はありません。

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20:00

ついに20時になってしまいました。
クライアントと約束したリリースの時間には間に合いませんでした。

上司「おいS!20時過ぎてるぞ!何やってんだ!?」
S君「すみません…。」

上司はクライアントへの謝罪へ急いで向かいました。

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21:00

今日中にはなんとかさせようとS君は彼女の事もすっかり忘れて必死に作業を進めた結果
やっとリリースできそうです。

しかし!不幸にも検証中に不具合が発生しました。
どうやら焦って作業をしていたことによる凡ミスが原因のようでした。
S君や周りのメンバーはその対応に追われます。

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22:00

無事リリース完了…。
S君は急いで彼女にLINEをするも、その後既読になることはありませんでした。
こうしてS君は彼女にあっさり振られてしまったのです。

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なんとも悲しいお話ですね。
あんなに楽しみにしていたデートにも行けず、大好きな彼女にもフラレてしまい彼女だけでなく上司や周りのメンバーからも信用を失ってしまったのですから。

なぜこんな事になってしまったのでしょうか。
ここでS君の当初の予定と実際の予定を並べて比較してみましょう。

どうでしょうか?
朝は余裕のあるように見えたスケジュールでも、実際はとんでもないことになっていますね。
事業やクライアント、現場の状況は目まぐるしく変わりますから、理想のスケジュール通りに上手くいかない事のほうが多いのです。

では、どうすればなるべくスケジュール通りに進めることができるのか。
それはちょっとした工夫とコツで驚くほど改善します。
次のセクションで詳しくご紹介します。

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目次

1. タスクの見積り精度を上げる方法
2. 遅延しないスケジュールの組み方
3. タスクを溜め込まない方法

1. タスクの見積り精度を上げる方法

ところで皆さんは自分が見積った時間内に各タスクを完了できていますでしょうか?
S君の話を思い出して下さい。
彼は当初2.0hで見積もったデザイン修正に実際は3.0h。
コーディングは3.0hだったところが5.0hに膨れ上がってしまいました。
更に不具合の対応も加算して単純に手を動かす時間で考えると、

[Before]5.0h  → [After]9.0h

と、実に倍近くの時間がかかってしまっていました。
もう一度言います。
倍です!
S君の場合は見積りが相当甘かったようです。
甘い見積りのことを私はこう呼んでいます。

「気合い見積り」

・気合い見積り 4.0h(このくらいでできたらイイナ〜☆)
・実際かかった時間 6.0h(なんかわからないけど結構かかったわ…)

タスクに追われている人の多くは、この気合い見積りでやってしまっている傾向にあります。
これも、寝ずにやればなんとかなる!という考えや、どうしても期待に応えたいという想い、無理やりねじ込まれたなど様々な理由によります。
いずれもパワープレイで乗り切ろうという気合いで出した見積りですから、あまり計画的ではありません。
ではどうしたら良いのでしょうか。

それは、各タスク毎に実際にかかった時間を計測し続けることです。
そして必ず見積り時間と照らし合わせて実績とどのくらい差分があったのかを分単位などの数値として出します。
差分が出れば次同じようなボリュームのタスクが発生した際、その差分を上乗せすれば良いのです。

また、完了したタスクに対しては必ず振り返りを行いましょう。
振り返りを行うことで、どういうところに詰まったのか、どうすればもっと効率良くできたかを考えることができ、次への改善へ繋げることができます。このようにしてタスクの見積りの精度を上げていくのです。
更に継続していくうちに、各タスクに対して自分の作業スピードだとどのくらいで完了できそうなのか、感覚として身についていきます。

またチーム内で同じプロジェクトに関わる際はプランニングポーカーなどを行い、チーム内で各タスクのボリューム(重さ)の共通認識を持っておくことで、スケジュールが立てやすくなりますね。


2. 遅延しないスケジュールの組み方

次に遅延しないスケジュールの組み方です。
S君の場合はタスクの見積りが甘かったことの他にも、リリースが遅延した要因になったものがいくつかあったのにお気づきでしょうか?

・予定の差し込みがあった
・不具合が発生した
・事前に仕様の確認ができていなかった

この3つの事象を思い出してみて下さい。
これらは大きく2つに分類することができます。

上の2つは予知能力でもない限り予測することはできませんが、
下の1つは事前に確認することができたはずですよね。
スケジュールを立てる際は、「予測できないこと」と「そうでないもの」
この2つの視点で事前に対策を取らなければなりません。

まず予測できないことについて。
会社で働いていれば当然突然の差し込み案件は常に発生し得る事です。
そのためにどうすれば良いか、それはスケジュールに必ず「バッファ」を持たせることです。

S君は当初1日に対して1時間のバッファを持っていましたが、差し込みのMTGが1件発生しただけで既に埋まってしまいました。これではあまり意味がありません。
大切なのは各タスクにバッファを持たせることなのです。
例えば1.0hかかるものに対しては1.5h。3.0hかかりそうなものに対しては、4.5h。というような具合です。

またS君の場合、朝一番のMTGの後にそのMTGに関連することへの対応で30分時間を使っていました。
MTGでは何かしら次のアクションが決まることも多いでしょう。できればその後忘れないうちに何かにまとめたり、メンバーと打合せをしておきたいですよね。
MTGの後はそのような時間が発生することも多い為、まとめの時間としてバッファを取っておくのをオススメします。

次に予測できることについて。
S君の場合は1つのタスクに対して見積った時間とは大幅な乖離が発生してしまいましたよね。
その原因は、着手するまでタスクの概要くらいしか把握できていなかったこと。
いざ箱を開けてみると仕様の確認が必要だったり、想定以上の工数が必要でした。

そうならないためにもISSUEやタスクが発生したら、まず一番初めに中身を開けてみましょう。
自分一人で完了できるものなのか、それとも他の誰かの手が必要なのか、事前に確認や調査すべきことはあるか、関係者は誰なのか…など必要に応じてその分の時間も加味して算出しておけば、より精度の高い見積りを出すことができます。
この事前準備をしっかりしておけば、きっとスムーズに進めることができるはずです。

これをやっていくとタスクが細分化できることに気づきます。
例えばたった1つのISSUEに対しても複数の工程が含まれている場合があります。

ISSUE
└デザイン(UI設計)…タスク1
└デザイン(グラフィック制作)…タスク2
└デザイン(素材の書き出し)…タスク3
└コーディング(html+CSS)…タスク4
└コーディング(JS)…タスク5
└システム実装…タスク6

これだけでも6つのタスクに細分化することができました。
次のように複数人で分業して行っている際は更に注意が必要です。
タスクの受け渡しの際に施策の内容や仕様を伝えるといったコミュニケーションが発生するためです。

ISSUE
└[Aさん担当]デザイン(UI設計)…タスク1
└[Aさん担当]デザイン(グラフィック制作)…タスク2
└[Aさん担当]デザイン(素材の書き出し)…タスク3
└Aさん→Bさんへ受け渡し…タスク4
└[Bさん担当]コーディング(html+CSS)…タスク5
└Bさん→Cさんへ受け渡し…タスク6
└[Cさん担当]コーディング(JS)…タスク7
└[Cさん担当]システム実装…タスク8

このようにタスクを細分化しそれぞれにバッファを設けることと、必要なコミュニケーションの時間を加味することで、たとえ一1つのタスクが想定より遅れてしまったとしても巻き返すことが可能になるのです。
特に長期的なスケジュールの場合は各タスクをなるべく細分化し、それぞれに対しバッファを設けるべきです。


3. タスクを溜め込まない方法

- ひとりで抱え込まない

まだ手付かずのタスクに溢れていて困っていませんか?
ずっとTODOリストにあるけど、なかなか手がつけられないタスク。箱の中身を開けるのも億劫になってしまいますよね。
それらを洗い出して、もう一度自分(または関係者)に問いかけてみましょう。

①本当にやる必要があることなのか
②本当に自分じゃないとできないことなのか

①本当にやる必要があることならば、上記でお話したようにまず箱を開けて中身を確認して下さい。
大きな箱を外から眺めてただ気が重くなっていませんか?
箱を開けて小さなタスクから取り出していけば、確実に前に進むはずです。

②他の人に巻き取ってもらったり、逆に他人を巻き込んで進めるという選択肢があることも忘れないで下さい。
誰がやるのが一番効果的か?誰とやるのがいいのか?一人だけで抱え込まずに周りを頼ってみましょう。

- 小さなタスクは今すぐやる

誰かに何かを確認するとか、チャットやメールに返信するとか、サーベイに回答するとか、上司に報告するとか
2〜3分で終わるような細かいタスクもいつの間にか溜まっていってボディーブローのように効いてきます。
後でやろうと思ってTODOリストに入れていしまう前にその場でやってしまうのをオススメします。
なぜならば、人の記憶というのは時間とともに薄れていくからです。
時間が経過してから続きをやろうとすると、「これって何の件だっけ?どこにいったっけ?」と思い出すのに時間がかかってしまいます。
今やったほうが良いと思ったものは、今すぐにやることを是非試してみて下さい。

- 自分のキャパを知る

業務が溢れてしまっている状態でも、逆に余裕がある状態でも、1日にこなせる量は変わらないはずです。

①時間に追われた状態で焦って行う
②時間に余裕を持った状態で効率よく行う

どちらのほうが良い成果が出ると言えるでしょうか?

自分のキャパを知ることで①の状態になるのを防ぐことができます。
そして是非、自分のタスクやスケジュールを可視化してみて下さい。
ガントチャートやカレンダーでも構いません。

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追われる仕事、追いかける仕事。

最後に、タスク・スケジュール管理がなぜ大切なのかをお話させて下さい。
私は仕事というものは大きく以下の2つに分けられると思っています。

①やらなきゃいけないこと
②やりたいこと

「①やらなきゃいけないこと」は、日々私達が追われていると感じている仕事です。
一方で「②やりたいこと」は、それを行うことで何かしら気持ちの良い事に繋がります。

例えば業務の効率が上がるような改善であったり、会社の利益に貢献できることだったり、未来にに向けての投資であったり、とにかくワクワクするようなことです。
クリエイティブな発想やイノベーションはまさに②の「やりたいこと」から生まれるものではないでしょうか。

しかし日々の業務に追われてしまうと目の前の仕事に集中することで視野が狭くなり、本来追いかけるべき目標やビジョンを見失ってしまいます。
だからこそ、追いかける仕事をするためにはタスクやスケジュール管理が必要であり大切なことなのです。

タスク管理は「セルフマネジメント」に含まれる、一つのスキルです。
意識してコツさえ掴めば誰でも出来るようになることだと思っています。
メンバー1人ひとりがセルフマネジメントスキルを身につけることで、チームや組織のパフォーマンスが最大化され、追われる仕事から追いかける仕事にシフトできれば、必ずブレイクスルーを起こすことができるのではないかと思っています。

まとめ

・タスクの中身をきちんと確認しよう
・見積りの精度を上げる為に計測をしよう
・タスクにバッファを持たせよう
・ひとりで抱え込まずに周りを頼ろう
・小さなタスクは今すぐやろう
・追われる仕事ではなく追いかける仕事をしよう


エイチームライフスタイルアドベントカレンダー2018、明日はimananに書いてもらう予定です。お楽しみに!

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