nai nai HIV ~HIV陽性者同士のマウンティングと分断~

『抗ウイルス薬が全く効かないHIV陽性者がいるから、気を付けましょう』というツイートを見て戦慄。

これが事実なら、その地域の医療はどうなってるのか知りたいと思ったら、どうやら完全な伝聞で、それが誰か解らない、どこで聞いたかも教えられない、そのあと本人を見たことない…という、ナイナイ尽くしのデマだった。

デマ
1.事実に反する扇動的で謀略的な宣伝。

2.いいかげんな噂話(うわさばなし)。流言。

シブがき隊か(´∀`)

ツイート者が陽性者で、医療関係者とのことなので信用したら、ナイナイ尽くしとは…ビビりました(´∀`)
アウティング問題に発展しかねないので、リンクは貼りません。

さんざんエビデンス探し回った時間を返してもらいたいものだけど、色々と資料手にはいったからよしとしよう。

エビデンスのない話は流さない方がいいし、啓蒙に熱い思いがないなら、『ダメ、ゼッタイ』論や『自業自得』論を安易に垂れ流すのはやめて頂きたい。

そういうデマが、生は悪→生がやめられない→罪悪感→主治医が把握できない→罪悪感→ストレス→またセックスに走る…というようなループが起きる。方法論として、さんざんやってきて失敗してるんだから、そろそろ違うアプローチしなきゃいけない。

『生でやるやつは、悪人』図式は、『生は悪』(感情論)+『生でやるやつはHIVなりやすい』(事実)=『HIVになるやつは悪で自業自得』(不思議な結論)になるんです。

HIVなりやすい理由は、生でやるやらないより、検査受ける人が少なくて感染してる自覚がないからなんですよ。

どんどんウイルス増えてるのに、治療しないままで、生でやるから増えていくんです。
ウイルス量こそが一番感染率に影響するんです。
U=U(ウイルス検出量限界以下はうつらない)という結果を考えると、ウイルス量が感染率に関係あるのは明白ですからね。

ウイルス量が多いなら、オーラルでも格率上がりますから。コンドーム着けない行為でも、リスク上がります。挿入はコンドーム、オーラルも粘膜に触れないようにラップしたり、バニラだという人は、いいけど。んなやついませんし、現実的じゃない。

つまり、検査率を上げることが何よりの予防になります。
生でやることを悪いことにすると、これが妨げられます。検査を受けやすくする、陽性者のライフスタイル上のリスクを減らすためにどういうアプローチをするかを考える。これは人によって違います。安易なレッテル張りでは解決しないし、実際してません。

この手のかたは、レッテル張りをしてマウンティングしたいだけで、解決したがってるわけではないのが見え見えです。 それがいい結果生むならいいんですけど、分断を生んでるから、話にならない。啓発でもなんでもない。ご本人は啓蒙したいとはっきり言ってたんですけど。

実際、色んな信じられない発言が飛び出してた(後述します)んで、感染拡大を防ぎたいのではなく、マウンティングしたいだけだったようです。

最近よく解ったんだけど、陽性者の間でもマウンティングしたがる人がいるということ。
自分はもう安易なSEXしないのに、あいつらはしている。バカだと。

まぁ、気持ちは解るんだけど、マウンティングに利用するのは、分断を生むだけだからやめてくれないかなと思うわけです。
高みに上りたいのは解るんですけど、ちょっと困る。

『それでもやめられないのは何故か』と捉えないと問題は解決しませんからね。悪意を持って『ばらまいてやる』と思ってるなら、なおさらどうにかして止めないといけない。

この方が出会ったらしい『無敵ウイルス保持者』さんは、『新薬が欲しい』と言ってたらしい。これが事実なら、ばらまきたいわけではないわけです。治療したいわけですから。
ということは、服薬できない理由があった、もしくは考えを改めて前向きに治療したくなったわけです。
ここにフォーカスする方が、よっぽどエピソードとして啓発になります。

『ポジでも耐性ウイルスが増える場合があるから、生でもリスクはありますよ』程度でいいし、本人に言うのが一番いい。そして、それは医療関係者の口から言った方がいいし、度がすぎるなら、チームで考えなきゃいけない。これが一番難しい。ただでさえ難しいのに、悪者にしてしまったら、さらに地下に潜るだけなので、ますます複雑化する。

服薬できない人がいる←この時点で公衆衛生上の失敗なわけです。医療関係者は『どうすればなくせるか』を考えなければならない。『90-90-90』の観点から言っても、こういう個別問題にフォーカスして、どうすればいいかを考えないと、結果的に高度耐性ウイルスが出回るわけですから。

何より、医療関係者を名乗る人物から『自業自得』や『服薬云々は自分には関係ない』という言葉が飛び出したこと。
医療の仕組みが解っていらっしゃらないようだなと。
(そういえば、啓発といわずに啓蒙って言ってたな。啓蒙って…医療であんまり聞いたことない気が…どうなんだろ。多剤耐性菌とも言ってたな。医療関係者って、どのポジションなんだろ。)

陽性者の話を聞いてると、やはりフリーセックスを毛嫌いする医療関係者がいるようです。まぁ、個人的にどう思うかは勝手なんですけど、仕事なので、しっかりしていただきたいなと。

九州のある病院に通う陽性者の人から、
『うちの先生は陽性者はフリーセックスしてはいけない、しないのが前提と思ってるみたいで、信頼関係もくそもない』
と言う人がいました(これ、どこの病院かは聞いてます)。

フリーセックスに善悪の概念持ってくるのはやめましょう。それこそが悪です。どの観点から見ても、悪影響しかない。個人のライフスタイルですから。少なくとも、本人はそう思っているんです。

そのライフスタイルが、どういう影響を及ぼしうるか、そして問題はスタイルそのものなのか、スタイルが依存的なのか、その依存的なものが治療を要するのか。

こういう、建設的かつ計画的で根拠のある方法で対処していかないと、根本的な解決はみないのではないでしょうか。

自分の啓蒙が、どんなゴールを生むかは関係ない。
自分の性生活が、どんなゴールを生むかは関係ない。
同じ構図ではないかと思うんです。

僕が望むのは、安易な糾弾をされない社会です。素直に自分のことを話し、相手と情報を共有して、双方の納得のいく形で、関係性を紡げる社会。

叩きたい放題大国、日本。

ちょっと怖いなー。怖いな怖いなー。

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