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コラム

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徒然なるままに
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2019年4月の記事一覧

脂肪遊戯

高校時代も、ゴリゴリに鍛えているという訳ではなかった。それでも、運動の習慣が無くなるというのは恐ろしい。ベルトを締めた時に弛んだ腹の丸みは、如実に日頃の怠惰さを映し出している。

大学生の太り方は、身体測定では測れない。脂肪が、勝手に筋肉とトレードされているのだ。毎日、気づいたら筋肉は他球団に移籍しているし、脂肪は自球団のファームに回されている。しかもコイツら、タチの悪いことに一軍で戦力になる気が

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祖父母についてのエトセトラ

父方も母方も、祖父母の家が都心にあった。実際は世田谷区と大田区なので都心とまでは言えないかもしれない。それでも、行きに中央自動車道を上る時は、区部のビル群に東京の大きさを感じ、心を躍らせていた。僕にとってビル群は「都心」の象徴だった。

車で一時間程度で行き来できるので、小さな頃は定期的に父方の祖父母の家を訪れていた。父親の仕事柄、比較的休みを取りやすい家庭だったので、その機会は頻繁にあった。

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沈黙した美容師よ

髪を切った。ここ最近はホットペッパービューティーで適当に選んだ美容院に通っている。学生街ということもあり、選択肢の豊富さはお墨付きである。

世田谷に引っ越した後も、僕は八王子の床屋へ通っていた。15年以上通っているだけあって、八王子の方の店員さんとは阿吽の呼吸である。近況報告、野球談義、軽口等、話題には事欠かない。行く前には電車内でエピソードトークを数本用意し、一時間半程度の施術中に談笑に交えて

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社会人予備軍

四月で大学四年生になる。否、なった。世間では改元改元と騒いでいるようだが、僕にとってより重要なのは「大学四年生」という冠の重さである。大学生活の締めくくり、そして社会という大海原の波音が徐々に大きくなってくる時期だ。

小さい頃、誕生日がやってくるのが毎年楽しみだった。「誕生日おめでとう」と声をかけてもらい、プレゼントを貰う。夜になれば、部屋が暗くなってケーキが運ばれてくる。恥ずかしがりながらもロ

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