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回想

午前5:20、白くなった空と液晶の青い光が網膜を刺す。
途端、後頭部から背骨の途中までぱっくりと切れ目が入る。夕闇の橙色と湿度でふやけた皮膚が漏れ出し、幾何学模様、曼荼羅の極彩色に混ざる。

芳香性の有機溶剤、トルエンで鼻腔が溶ける。工場、窓のない閉鎖的労働空間、昼夜問わず響く機械音、朝方に入る災害速報、訃報、祖母の通夜の空気。
誰かが亡霊を見たと話している、きっとそれは私か、誰かそのものだろうなと思う。

取捨選択の出来ない五感、真昼の明るみ、ショッピングセンター、色彩に殴られる思考、音に蹴られる細胞、皮膚感覚で刺されるのは心臓。
斜めに走る横断歩道の白線で平衡感覚がひしゃげていく、駅のタイル、直線であるが故曲線的である。

電線に鴉の群れが整列している、1匹の鳩が紛れ込む、紫陽花の群れ、毒性のグラデーション、紫、薄紅、青から白へ。
鳴くのが不得手なウグイスの声、繁殖、種の保存、生き物としての本能、果たせないのはそれ。

民主主義の概念、普通、平凡、何無いという自覚、自由に生きてるフリをする。手前が手前であるという概念にまた縛られる。

真昼の夢と真夜中の夢の違い、毒と薬の境界線、連続性、選択することの責任、直射日光、幼少期の玩具、物事の価値の変容。
不確定な立ち位置、需要、供給、与えられるものが枯渇する、骨組み、土台、腐った木材をコンクリートで無理矢理固める。

鋭利でない痛みに見出せない価値、与えられた鈍痛に返せるのは暴力。
後に残るのは、また群青、自称インテリジェンスからの叱責、言葉は五寸釘の形状。

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