私達は騎咲レイのエピソードにどう向き合えばよかったのか

この記事は、アイカツ!Advent Calender2017の18日目の記事です。

目次

アイカツ!の根底思想は現代のスポ根であり、池井戸潤原作ドラマのようなもの
根底の思想は同じでありながら、無印からはアレンジされた方向性のアイカツスターズ!
騎咲レイの魅力
騎咲レイの成長ストーリー
真昼からの指摘がキラリと光った64話
80話 それがあなたのアイカツ!かい!騎咲レイ!
王道をそもそも歩めない出自
そもそも「ヴィーナスアーク」そのものが「異質なもの」として描かれている
強い意思、目標を持ったサポートキャラという立ち位置を確立した騎咲レイ

アイカツ!の根底思想は現代のスポ根であり、池井戸潤原作ドラマのようなもの

前段としていきなり極端な持論を出すが、多分大きくは間違っていないはず。
アイカツ!無印シリーズの特徴は、「誠実な努力が尊い」「見てて元気になる」といった方向性。
上を目指す、自らを成長させるという行為はキラキラしていて良いものだと思わせてくれたり、プロフェッショナルとして仕事に対する心構えはどうあるべきかを教えてくれたりなど、子供だけではなく大人がみても襟を正したくなる、素晴らしい内容となっている。(ちなみに余談となるが、筆者は以前Numberのアドラー心理学の号を読んだのだが、トップアスリート達が語る言葉はどれも、いかにもアイカツ!のキャラクターが言いそうなことばかりで驚いた。アイカツ!は現代のスポ根を目指して生み出されたということは有名なエピソードだが、こういうことだったのかと膝を打ったものである。)

これは池井戸潤原作ドラマの「下町ロケット」や「陸王」によく似てるなーと思っていて、池井戸原作ドラマも「銀行員(=サラリーマン)」「会社経営者」といった、おじさんたちにはありふれた日常を支える努力がいかに素晴らしいかというところをリアリティラインぎりぎりのところで攻めてくる。

推測だが、池井戸潤原作ドラマは「ガイアの夜明け」や「プロフェッショナル」「情熱大陸」といった、「過剰演出ドキュメンタリー」(これも勝手な自分定義・・ つまり、ドキュメンタリーでありながら、フィクション的な演出手法を使って盛り上げる系のやつ)の演出を逆輸入しているのではないかと思われる。
そうすることにより、「ドキュメンタリーのような臨場感で感動できるフィクション」が成り立っている。

根底の思想は同じでありながら、無印からはアレンジされた方向性のアイカツスターズ!

アイカツスターズも、「いかに成長するか」「自分は仕事にどう向き合っていくべきなのか」という基本路線は変わらない。
ただ、無印に比べて大きく違うのは「キャラクターの持つネガティブ面がより等身大で私的である」ということ。
どうしても勝てなくて悔しい、体調が悪くなるスランプがずっと続く、親の愛に飢えている・・
などなど、無印時代であれば(ほとんどの)キャラクターが鋼メンタルで「それは、こうすれば解決する!」とばかりに基本的には早期解決に至っていたものが、アイカツスターズでは全然解決しない。したとしても、かなり引きずることが多いように思う。

とは言え、悩み、あがきながらも「成長することは素晴らしい」というところにフォーカスしているところはアイカツスターズも同じである。

騎咲レイの魅力

アイカツスターズ2期で、鮮烈に登場したヴィーナスアークの面々。
騎咲レイについては、TVアニメに先行してデータカードダスの情報が出回っていた。
なんだこのキャラクターは・・

一見すると、中性的な、男装の麗人系のキャラクター。しかしよくよく見ると髪の毛にゆるふわのパーマがかかっており、服も男装ではなく普通の女の子の服装だ。
今まで見たことのないバランス感。謎の色気がある。
そういった感じで、その魅力にハマっていった。
(ぶっちゃけ完全に見た目から入っている)

騎咲レイの成長ストーリー

騎咲レイの成長課題は、かなりわかりやすい。幼い頃から特に悩むこともなくモデル回のトッププレイヤーとして活躍していた騎咲レイ。しかし、その空虚さをエルザに指摘された上に、見たこともないすごいパフォーマンスを見せつけられ、初めて自分もそうありたいというモチベーションが生まれ、エルザについていくことにした。
しかし、エルザと一緒に過ごしていても、自分がどうするべきか、どうあるべきかの答えがなかなか見つからない。エルザからも、早く見つけろとプレッシャーが来る、焦る・・
といった感じ。

真昼からの指摘がキラリと光った64話

この問題に焦点が当たったのが64話。同じモデルであり、姉の背中をずっと見ながらアイドルを志していた真昼が、エルザの輝きを見て、自分自身が輝くのを諦めたと言っている騎咲に檄を飛ばす。

「そんなのもったいない!誰かを輝かすために自分を犠牲にする必要なんてない。強い光を放つ星があるなら、その星に負けないくらい輝けばいい!」

アイカツスターズは、「他人のために本気で怒る/泣く」というシチュエーションがしばしば出てきて、そこが非常に感動できるポイントである。

同回で、真昼は七夕の願い事に「打倒真昼」と書く。一年前には「打倒!お姉ちゃん!」と書いていたのだが、これが「打倒真昼」になったのは、すでに実力として姉を超えたから、という意味だけではないと思う。
自分のありたい自分への成長を邪魔するのは自分自身。他の人を倒したって仕方がないということに気づいたのだ。

これは、何の苦労もなくトップモデルになった後で初めて挫折に会っている騎咲としては、一番足りていない考え方であろう。
自分で自分を潰さないでください、あなたならできる!私にだってできた!
とばかりに星のツバサのパフォーマンスを見せる真昼。

それを真昼の姉・夜空と共に見ていた騎咲レイは、「私も、輝くことができるかな・・?」
と夜空に問いかけた。諦めかけていた気持ちが上を向きはじめたということがよくわかる、これも感動的なシーン。

さあ騎咲レイ、君だけのアイカツ!は見つけられるのか!?ツバサ取れるのか!?と
わくわくしながら先の展開を待つことになった。

80話 それがあなたのアイカツ!かい!騎咲レイ!

そして、問題の80話である。
タイトル「騎咲レイの誓い」。結果から言えば、騎咲レイは自分のアイカツ!を見つけ、星のツバサを手に入れる。


騎咲レイ初のCGライブは、他に類を見ない美しい、かっこいい、独特なものに仕上がった。
もう何回再生したかわからないくらいに観た。それは良かったし、ようやく自分の目標を手に入れられてよかった、もっと応援していこう、とはなった。

しかし、騎咲レイが手に入れた、彼女自身のアイカツ!は少なくとも所見でスッと飲み込めるものではなかった。

「私の一番の目的はエルザのため。」
「エルザの剣となり盾となる。」
「Royal Swordはそのための、エルザのためのブランドなんだ。」

というか、視聴者の私どころか作中のファンも戸惑いを隠せない。
当のエルザ様でさえ、「こんなブランド発表会、前代未聞だわ。言いたい放題言って・・ あなた、世界を敵に回すつもり?」と言い放つくらいである。

話全体の仕上がりとしては、「お前が何を言ってるかはよくわからないけど、ドレスもライブも素晴らしいものだった。認めるぜ」みたいな感じになっている。

(えー・・ その扱いでいいわけ・・?ただの変人では・・
もっと普通に王道アプローチで見つかる個性はなかったんかい・・)

とは正直思いました。

64話では非常にわかりやすく共感させてくれたのに、80話で一気によくわからなくなってしまった・・

王道をそもそも歩めない出自

王道という話で言うと、アイカツ!シリーズは
誰かへの憧れからスタートし、ファン達に認められ、プロフェッショナルの自覚が生まれ、成長への階段を上がっていく
みたいな流れがほぼどのキャラも基本ルールとなっている。もっと言えば思想みたいな感じでエピソードに盛り込まれているが、騎咲レイに関して言えばこの流れとは全く違う。

まず、特に憧れも目標もなくモデルになりそのまま頂点に立ってしまっている。そして、最近やっと本当の憧れを見つけ出し、再スタートを切ったというかたちである。

なので、王道な答えに行き着かないのはある意味当然なのかもしれない。

そもそも「ヴィーナスアーク」そのものが「異質なもの」として描かれている

そして、騎咲レイが所属するヴィーナスアーク。この学園艦は、主人公の属する「四つ星学園」とは「考え方が全く異なる集団」として描かれている。

王道アプローチをとる四つ星、異質な(斬新な?)アプローチを取るのがヴィーナスアークであり、お互いに影響を与えて成長する、というのが今回のアイカツスターズ2期のテーマである。

そう考えると、なんとなくしっくり来るかも・・

強い意思、目標を持ったサポートキャラという立ち位置を確立した騎咲レイ

また、主人公を応援するサポーター的な役割に徹するキャラは、「自分自身のメインの目標」というところではどうしても曇りがちになってしまう、というかサポートすることと自分の目標が乖離してしまいがちなのだ。

その解決ができたキャラクターなのではないか、というのが私の仮説だ。
ヴィーナスアークという組織である以上、エルザを支える幹部は必要になってくる。ヴィーナスアークを支えられる、強い意思と目標を持った「幹部」はどのような存在か・・ それを考えると、騎咲レイのマインドも共感まではいかないまでも、理解はできるような気がする。

「幹部」に徹するでよしと割り切り(というかそれが自分の目標であると自認し)、ブランドすらもその目的に巻き込んでしまうことで
それを最大の個性としたキャラクター

現状はこういうことなのではないか・・ ということを自分の中での一旦の結論とした。

まだアイカツスターズ2期は終わっていないので、もしかしたら今後騎咲レイが変わる、または今回の決断の見方が変わってくるようなエピソードがあるかもしれない。
引き続き見守っていく所存である。

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原 真人

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