アイドルなのかアーティストなのか問題

「7ORDERって結局アイドルなの?アーティストなの?」

パブサなどで割とよく呟かれてる。個人的にはその肩書を知ったところで例えば質問者の応援の度合いなどが変わるのだろうか?と疑問に思うけれど、中には第三者にどう説明したらいいのかわからないという意見もあるらしい。
見渡してみれば所謂非ジャニーズのボーイズグループでもそういう議論が交わされていることがわかる。線引きがしづらく、これといった定義がないからこそ、これに関しては本人たちがこうですと言わない限りは議論は平行線を辿る一方なのではないかと思う。
ただここ最近は本人たちの主張より自分たちの意見を優先する人も多くあるので、一概にそれで終結するとも言い難い部分もある。

今では数多ある非ジャニボーイズグループと、私の推しである「7ORDER」には決定的な違いがひとつある。それは全員がジャニーズ事務所出身であるということ。
恐らくほとんどの人が男性アイドル事務所といえばジャニーズ事務所を浮かべることだろう。別にジャニーズがアイドルという言葉を商標登録してるわけではないけれど、なんとなくアイドル=ジャニーズという構図が成り立っている。
ジャンルとしての男性アイドルを確立させたのはジャニーズ事務所の功績ともいえるだろう。
この経歴がある以上、他所ボーイズグループよりも最初に述べた疑問は多くの人が持つものかもしれない。もう退所の報告があってから丸三年が経つものの、どうしても切っても切れないものであるのは、ファンのひとりとして理解している。

そもそもアイドルってなんだろう

アイドルという単語を調べてみると、以下の文言が出てきた。

アイドル【idol】
偶像。
崇拝される人や物。
あこがれの的。熱狂的なファンをもつ人。「アイドル歌手」

デジタル大辞泉

これだけ見るとわかるのは、人前に立って活動する人、つまりタレントや芸能人全てひっくるめてアイドルともいえるのかもしれない。でもアーティストはさておき例えば俳優や芸人はアイドルではないのでは?そう思うのは理解できる。
私自身あまり他国のことは知らないので恐縮だけれど、日本国内ではアイドルといえば歌って踊ることがメイン。でも時々バラエティ出たりもするし、舞台やドラマ映画にも出たりする。そういったところだろう。
でもそれと同時にグラビアアイドルなんて言葉を使うこともあり(彼女たちの中には歌手デビューしたりする人もいる)更には学校のアイドルなんて言葉もある。学校のアイドルはほとんどの場合歌ったり踊ったりすることはないはずだろう。
勿論その学校のアイドルという意味のアイドルと芸能界におけるアイドルは同じ言葉のようで違う意味合いだというのは頷ける。
結局のところ、アイドルって要するに何をするのか?アイドルっぽいってよく言うけどそれってどういうこと?その質問に答えられる人なんていないのではないかと思う。
また、ファンダム(熱心なファン)の動きもアイドルの定義と少なからず直結する部分はあると考えている。更に販促方法も似たような動きがあるが、深堀するととんでもない量になってしまうため今回は割愛する。
あくまでも第三者が見られる範囲のみでの印象に留める。

推しから語られるアイドル論

なんと7ORDERは本人たちが直々にアイドルについて語った文献がある。恐らくそれこそ異様な経歴が成してインタビューに抜擢されたものだと思うが、7ORDERのファンで肩書とは?と悩む人がいたら是非読んでみてほしい。

冒頭から肩書について語られたうえで、アイドルとは何たるものかということが対談形式で記されている。なかなか本人たちからこういうことを聞く機会はないと思うからこそ読みごたえがある。
そして板の上に立つ所謂アイドルサイドのものの考えと、いちファンが思う考えの違いもはっきりわかる。きっと彼らだけじゃなく芸能の世界で生きる誰しもがもっと広い視野でものを見ているのだと感じる。
ネット社会が広がって職業の選択肢も増えてることを肌で感じているからこそそれはそうなのだが、確かにそうだったと思わせられることがたくさんあった。
そしてどう思われてもいい、受け手の考えが全てだとそう言える強さ、自信が垣間見られるところがとてもいい。発刊当時はまだ音楽活動を本格的に始めていなかった分、当時はとても心強かった。

アイドルに見えていたらアイドルとして見ていただいてもいいですし、これから俳優としての一面で出会っていく人もいれば、アーティストの一面に出会っていく人もいるかもしれない。出会うたびに、肩書は任せたいなあという気持ちですね。(安井謙太郎)

ユリイカ2019年11月臨時増刊号

アイドルの位置づけ

ここは私個人としての考えを述べておきたいと思う。結局のところ、何かとアイドルとアーティストの線引きを求めたり比較したりしたい人はアイドルを下に見ていることが多いのではないか。
推しをアーティストであると頑なな人はアイドルよりも実力があるのだと、暗にアイドルという肩書を軽んじてる印象がある。
大手アイドル事務所であるジャニーズのオタクでもある私が言ったところで何も説得力はないのだが、今の肩書アイドルの実力はシンガー、ダンサー、アーティストなどと呼ばれる人と引けを取らない人たちも多い。それを知っていただきたい。
推したちをアイドルと呼ばれ憤慨するよりも、それだけ華やかで存在感がある人たちなのだと誇りに思ってほしい。選ばれた人しかアイドルにはなれないからこそ。
とはいえ、未だ顔だけが取り柄=アイドルだと思ってる人もきっと数多くいる。でもその定義を塗り替えることができるのは、私たちファンの取り組み次第なのかもしれない。
近年いろんなものの考え方がアップデートされてるのと同じく、アイドルという意味も変えていける未来があればと願う。
振り返ってみれば昔はプライベートが覆われてこそアイドルという印象もあったがSNS時代になり、必ずしも謎めているからこそアイドルではなくなった。変わるのは与える側も受け入れる側も同じなのかもしれない。

「アイドルでもアーティストでもある」

結論という結論は何もないけれど、そもそもその答えはひとつに絞られるものではないと思う。もしかしたらそのボーイズグループとして目指す方向性があって明確に示されることもあるかもしれないけど、それがない限りいちファンが決めつけることではない。
もしもそのどちらかを提示したとして、言われた側は「アイドルなのになんで○○するの?」とか「アーティストはこんなことしない」などと混乱することもあるだろう。
肩書の決めつけは視野を狭くしてしまうと考えている。
アーティストだからアイドルテイストな歌を歌ってはいけないわけでもないし、その逆でもない。
誰かにとってはアイドルで、他の誰かにとってはアーティスト。また他の現場で嵌った誰かは俳優、その他いろいろ。大事なのは肩書よりもその人そのもの、その人自身の魅力。
多様化された職業の中で人前に立つ仕事を選んでくれた推しに最高の敬意をこめたいなと個人的には思っている。

最後に私なりの考えとしては、7ORDERは7ORDERというジャンル(肩書)である。ここまで散々論じてたことを全てぶった切るような身も蓋もないことにはなってしまうけれど。