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【GPD WIN Max 実機レビュー】 AAAタイトルが動くUMPC

中国GPD社のGPD WIN Maxが届いたのでレビューします。

GPD Win MaxはIndiegogoによるクラウドファウンディングでリリースされたゲーム向けウルトラモバイルPCで、価格は779USドル(約84,000円)。Indiegogoのキャンペーン後の予定価格は885USドル(約95,000円)になるようです。

GPD WIN MaxはどんなPCか

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GPD社のGPD WIN2に続くWindows搭載のゲーミングUMPCです。
8インチのモニタ、Intel Core i5のCPU、16GBのメモリ、高速な512GBのSSDと、小さいながらも性能に十分に配慮したPCです。
フルサイズキーボードが搭載されているため、このサイズでオフィス等の実用用途としても使えるPCですが、ゲームパッドを搭載していることからもわかるとおりゲーム向けのUMPCです。

スペック

・Intel Core i5 1035G7 1.2GHz(最大3.7GHz) 4コア
・メモリ 16GB LPDDR4
・SSD 512GB PCIe
・8インチ 1280x800
・Wifi 801.11ax(最大2402Mbps), Bluetooth 5.0
・Thunderbolt3 1ポート
・USB3.1 Type-A 2ポート 
・USB-C 1ポート
・HDMI 2.0b

GPD WIN Maxの競合

GPD WIN Maxの競合としてはSMACH ZDell Concept UFOONE-NETBOOK OneGx1があげられます。

とはいえ、SMACH Zは2016年にクラウドファウンディングが成立していますが、2020年7月現在で未だ市場にはリリースされていません。Dell Concept UFOはCES 2020向けのデモであり、2020年8月現在発売の予定はありません。
よって競合はNETBOOK OneGx1くらいしかが見当たりませんが、こちらは7インチモニタであることや、CPU性能がGPD WIN Maxの1/3程度(マルチスレッド時)であることを考えると、GDP WIN Maxとは別物とみるべきでしょう。

UMPCの歴史

90年代後半から00年代にかけて「東芝 Libretto」や「ソニー VAIO U/P」、「工人舎 SAシリーズ」といった日本メーカーによるのUMPCが販売されていましたが、2009年のVAIO Pを最後に日本メーカーからはUMPCが発売されなくなり、長い間UMPC市場は空白の期間が続いていました。
そんな中2016年に中国GPD社がGPD WINを発売しUMPCが市場に復活したのですが、それに続き中国ONE-NETBOOK社などの中国メーカーがUMPCを販売しています。

現在の中国製UMPCのはしりであるGPD社の最新のゲーミングUMPCがGPD WIN Maxです。

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(上記はSony VAIO Pの写真)

GPD WIN Maxに近い性能のPC

GPD WIN Maxに近い性能のPCとして、13インチMacbook Pro 2020のCore i5モデルがあげられます。(Macbook ProのCPUはi5-1038G7で、GPD Win MAXはi5-1035G7なので、Macbook Proの方が高速です。)

GPD WIN Maxは4Kの動画編集をするような負荷の極端に高い用途でなければ、十分に使える性能といえます。

GPD WIN Maxのゲーム性能

GPD WIN Maxは画質が普通設定(ミドル設定)であれば30〜60FPS程度は出るようです。

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ケース

GPD P2 Maxのケースがそのまま使えました。サイズもぴったりです。

ハードウェア

外観

本体寸法 207×145×26mm にギリギリまでのスペックを詰め込んだ、という感じです。天板はマグネシウム系の合金、背面はプラスチックです。

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GPD WIN Maxの本体寸法 207×145×26mm に対し、Nintendo Switchの本体寸法が 239×102×13.9mm なので、閉じた状態でもNintendo Switchに比べると二回りくらい大きいです。

CPU

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SSD

SSDはBIWIN NS200という512GBのM.2 NVMe SSDが載っていました。
BIWINは聞き慣れないメーカーですが、中国の深圳にあるSSDなどを製造するフラッシュストレージのメーカーのようです。

SSDへのアクセス

SSDへのアクセスは本体裏側のネジを外した上でCPUファンを外す必要があるなど、手間がかかるようです。
また交換できるSSDはM.2 NVMe(Type2280)で、裏面にチップが実装されていないタイプのもののみが使用可能です。裏面にチップが実装されているSSDは使用できません。

キーボード

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キーボードの英字部は15mmのキーピッチとフルサイズのキーボード並のサイズとなっていますが、そのほかのキーのサイズは小さかったり位置が変則的だったりします。

短いメールを打ったり、ちょっとチャットをするくらいであればなんとかなりますが、これで1日仕事をするのは厳しいと思わせるキーボードです。

ゲームパッド

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十字キー、2つのジョイスティック、4つのボタン(A, B, X, Y)、4つのサイドボタン(L1, L2, R1, R2)、SLECT/MENU/STARTの3ボタンと、PCのゲームパッドの標準的なボタンは備えています。SELECT/MENU/STARTのボタンが小さく触りにくい位置にあるため、これらのボタンを多用するゲームはちょっとやりづらそうです。

Wifi

Wifi/BluetoothのチップはIntel AX200でした。
Wi-Fi 6/Bluetooth 5.0に対応する最新のWi-Fiモジュールです。

電源アダプター

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USB-C 65W、100V-240V対応のUSB PDアダプタが付属します。コネクタの形状は日本で使われるAタイプなので、コンセント変換器を用意する必要はありません。
65Wのアダプタとしては小さい方なのですが、電極部が折りたためないためにそこまでコンパクトには感じません。

端子類

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Thunderbolt 3, USB-C, USB-A×2, Ethernet (1Gbps)、HDMI2.0b, microSDXCを搭載しています。
充電はThunderbolt 3とUSB-Cのどちら側にアダプタをつないでも可能なようでした。

ヒンジ

180度まで開き、任意の角度で固定できます。
180度まで開くので、手で持ってプレイするのに適しています。

ソフトウェア

OS

Windows 10 Homeが搭載されています。

無題

ベンチマーク

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク 1.3

1280x720 Standard Quality Windowed

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1280x720 Low Quality Windowed

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それなりに動きますが、FF15クラスのタイトルを快適に遊ぶのは難しそうです。

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

1280×720 高品質(デスクトップPC)

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1280×720 高品質(ノートPC)

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FF14クラスのゲームだと快適に動きます。
GPD WIN2ではFF14は快適とは言えませんでしたが、人類はGPD WIN Maxによってとうとう手持ちのFF14プレイ環境を手に入れました。

ドラゴンクエストX ベンチマーク 1.5.1

1280×720 標準品質 フルスクリーン

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STREET FIGHTER V ベンチマーク

1280×800 グラフィック設定:初期設定(スケーリング100、その他:中)

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1280×800 グラフィック設定:低(スケーリング50、その他:低)

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CINEBENCH R20

マルチコア 1634
シングルコア 384

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CrystalDiskMark 7.0.0h

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日本語でのGPD WIN Maxの情報

日本語でのGPD WIN Maxの情報は、現在のところ5ちゃんねるのノートPC板のGPD WIN/WIN2/WIN MAXスレッドが一番豊富であるようです。
そのうちWikiなどが整備されていくと思われます。

まとめ

これ以上のスペックは今の本体には入らないだろうし、これ以上の大きさだと手持ちでのゲームのプレイができなくなるので、「手持ちでゲームがプレイできるサイズと重さ」と「WindowsでAAAタイトルのゲームするのに必要な最低限よりもちょっと上のスペック」の間をギリギリ攻めたんだろうなと感じられるPCです。
この辺は開発者たちがWindowsゲームが好きだからこそできる見極めなのかなと思います。

GPD WIN MaxはハイスペックなUMPCを求める層にも需要がありそうですが、UMPCとしては大きい方であるということや、キーボードが変則的で日常使いするには慣れが必要そうなことから、店頭で実機を確認できるようになってから購入を考えた方がよいかもしれません。

GPD WIN MaxはデスクトップのゲーミングPCはもちろんのこと、ライトゲーマー向けのゲーミングノートPCにもスペックでは及びませんが、旅先の移動中でも自宅のベットに横になりながらでもAAAタイトルのゲームがプレイできるという今までにない新しいジャンルのPCです。
「どこでもAAAタイトルのゲームがしたいけど、他のことなら何でも割り切れる」みたいなタイプにはオススメのPCです。