2/35 < 33/35

叔父が亡くなったと聞いた。

最後に会ったのは祖母の一周忌、ちょうど3ヶ月ほど前だった。

叔父は祖母が亡くなったとき、通夜にも葬儀にも来なかった。
ステージ4のガンで治療中だと聞いていた。

祖母が亡くなってから、叔父とは遺産相続を巡って揉めた。叔父は叔母の代理人で、僕は母の代理人だった。祖母の一周忌には遺産相続の件は解決していたが、久しぶりに会った叔父は他の甥っ子とは楽しそうに談笑していたが、僕とは目を合わそうともしなかった。

叔父は僕の大学の先輩だった。学部も学科も同じ、正真正銘の先輩だった。僕が大学生のときは「大学はいまどうなってるの?」と嬉しそうに聞いてきた。僕が答えると、自分が大学生だったときの思い出話をしてくれた。すごい懐かしそうで、嬉しそうだった。

小学生のころ、叔父の家に遊びに行くと、叔父が「キャッチボールしよう!」と誘ってきた。僕が一球投げるたびに、叔父は嬉しそうに褒めてくれた。僕は普通に投げてるだけなのに…、と照れ臭くも、嬉しかった。「子どもが女の子だけだから、男の子と遊べるのが楽しいのかな?」くらいに考えてた。

叔父夫婦に早逝した男の子がいたと知ったのは、すぐ後だった。

叔父は幸せな最期を迎えられたのだろうか。最期にどんなことを思ってたんだろうか。僕ら親子を恨んでるいただろうか。考えても仕方がないことを、ついつい考えてしまう。

叔父と僕の人生が重なった35年間のうち、最後の2年間の叔父は、間違いなくイヤな人だった。もちろん、ガンのせいもあったんだろうけど。けど、残りの33年間は、間違いなく、優しく、いい人だった。

2 < 33

僕は亡き叔父を、いい人として記憶することにする。

#思い出 #悲しい出来事 #思考

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