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#ババババンビ 4th衣装 前編

7/11に公開になった
株式会社ゼロイチファミリア HASHTAG RECORDS
#ババババンビの4th衣装です。

*前編では、衣装の詳細な部分はほとんど記載しません。デザインの前提や、大枠の部分を書いて行きます。後編は衣装の詳細をメインに前提と大枠の追記を書く予定です。後編の掲載時期は未定で、別記事ではなく前編に後編分を追加編集して一記事にする可能性があります。何卒ご了承ください。

スタートは2月末まで遡ります。
オーダーは、○ィズニーの○思議の国のアリスモチーフで宮﨑の考えるアリスと仲間たちを作って欲しい。というものです。
他にこれまでの衣装を引き継ぐ印象も欲しいという部分もありこれも重要な要素になっています。

前回も書きましたが、デザインの過程は一方向ではなく六角形のパロメーターそれぞれの値が最も高い形を探すような、複数箇所から完成の一点に向かうプロセスであることがほとんどです。今回はその傾向が顕著で順序立てて書くことが困難です。時間軸や順序が行ったり来たりすると思います。
また今回要素の採用理由に前回あれほど明文化していたのに関わらず明文化不可な部分が多々あります。これは要素選択の理由が明文化不可の普段ならあまり優先しない宮﨑本人の感覚を優先しているためです。今回本当に曖昧な書き方の部分が多いです

以降本題に入っていきます。今回も長文乱文ですがご了承ください。


今回かなり多くの要素を組み込んでいます。しかし、一見で何とわかる状態で残っているものは少ないです。これは多くの要素を引きで見た時の全体観を崩さない形で組み込むためにそれぞれの印象を(かなり)薄くしたり、他と混ぜ合わせたり、似た形の別のものに置き換えて印象を変質、逆転させたりしているためです。これらを「希釈」と例えていました。
希釈を繰り返して目指した物は既存の物、形に由来や機能を持つ物のみで組み上げられたニュートラルな衣装です。これはこの後覆ります。

自分が他に制作している一見で何の衣服を参考にしているか分かる衣装と対を成すのがニュートラルという考えですが、スタートからニュートラルで作る方こそがニュートラルな衣装であると思っています。今回のような方向で目指すニュートラルは結局のところニュートラルではなく、どこかの特定の方向をむいていたはずです。ですが、希釈していこうと考えた時点でこの方向は定かではなく、モチーフであるアリスや、(そもそもアリスは物語であるので)物語、「物語性」をキーワードに据え、バンビとして唯一無二であるバンビと、衣装を通してその像を作りたい、これくらいの方向で進めています。キーワードとしての「物語性」は後に否定されます。

また、全員異なったデザインもオーダーでした。とはいえ、バンビのパフォーマンス的に全く異なったバラバラな印象よりも統一感があった方が引きで見た時に良いと判断しているので、統一性を持った全員異なったデザイン、で進めました。上がり衣装を見てこの部分をどう感じるかは人によって異なる部分かと思います。ここでは最終的に統一性を持たせられた(そう思っています)、という前提で書きます。



モチーフであるアリスと仲間たち、これらをモチーフが何か一見で分かる、分かりやすい形に落とそうとは最初から思っていませんでした。これはプレゼンで伝えています。
また、これまでの衣装の流れを組んだ(印象を引き継いだ)上でバンビの衣装として成させるためにも要素を分解してイメージを練りました。アリスに係る部分は過去衣装と整合性がありません。分解してイメージを練る、は、これから(と後編に)書くアリスに係る要素、過去衣装の要素を一旦全て同じ土俵で見るイメージ。極端な話、アリスから引用した物はアリスの要素であることを、過去衣装から引用した物は、過去衣装にあったことを意識してはいけないという事です。

要素を分解してイメージを練ろうとなる前、登場キャラクターの衣装やそれらに近い背景の印象から要素をピックアップしてアウトラインを組み始めています。そしてこれは早々に頓挫します。
アリスたちの衣装はあの作画だからこそ成立する物で、現実に落とすには要素不足、追加要素が必要です。この時点では追加要素の選択にルールがなく無秩序(追加要素なんでもOK状態)、全員分書かなくとも全体として完全にバラバラな印象になるのは明白です。
ちなみに実写映画の衣装もありますが、あれらもあの背景あってこそ成立します。ここは現実なのであの雰囲気をこちらに持ち込むことは違います。これに関しては、ここではそうゆう事なのだとご理解ください。
宮﨑はコスプレ感(主観)のある衣装を作らない方向に舵を切ります。上記もこれから先もここに関しては一貫しています。これはクライアントの皆様にも伝えています。決してコスプレを否定している訳ではありません。

完成された物語はそもそも、人の手により世界から既存の要素を選び作りあげられた物です。そのまま形に落とすことは、すでに取捨選択された中から選び直す行為で、抵抗があります。よって、アリスの世界をモチーフとしてこれの逆を行く方向でアウトライン制作を進めています。
登場キャラクターの衣装やそれらに近い背景から要素をピックアップして、それに近しい印象の衣服、ジャンル、今の衣服に生かされているアーカイヴアイテム、ジャンルや過去のファッションムーブメントを選択し、それらを元のキャラクターも考慮してメンバーそれぞれに当てました。

この時点でも選択要素それぞれはバラバラで全体観は崩れています。アリスの世界に近しい印象とはいえ、皆さんの共感を得られるとは思えない主観的な理由で選択しているものもあります。モチーフと要素の客観的な整合性など後回し、とにかく選択し、進めました。(メンバーそれぞれのデザイン詳細になるので後編に記載します)

上の方で、「物語性」をキーワードに据えたと書きました。
物語性って何なのでしょう。物語や映画は鑑賞可能な一定の時間を利用して表現する事ができる、時間を含む「動」的な物です(動画はそれ自体が時間を含み、読み物は見る者の時間を利用している認識です。)。画像よりも動画の方が情報をより多く伝えられます。物語や映画の「動」はそれより前の情報を引き継ぎながら、多くの情報が一つに含まれた状態で時間が進みます。しかもその時間は現実の時間にも縛られていません。メディアの種類に関わらず一つの別の世界がそこにあります。
一方衣装は、パフォーマンスを通して動く、照明で表情が変わる、のような部分では「動」に思えそうな気もしますが(どうでしょう)、それは現象であり、物語の「動」のほんの一部の物になる程度のものです。物語は多量の現象の塊、世界は膨大な現象の塊です。
何か物語的な物の一部としての衣装ならまだしも、鑑賞可能な時間の中で衣装単体で物語を紡ぐことは不可能です。よって物語性をキーワードに据えることも望ましくないです。
衣装は現実の時間に縛られ、完成後に衣装そのもの、物質の形状やテクスチャーそれ自体が鑑賞可能な時間の中で変化することはありません。劣化や破損は望ましく無いので除きます。
(そんなことはない!というのが本音ですが、現在そのような物を作る事がまだ出来ないので、衣装(衣服)が動的な表現に単体で勝る事が出来ない事実を大切にしています。)
「物語性」をキーワードに据え、それを否定したところで、物語を鑑賞する上で、あって面白い物、仕込む物、「伏線」をキーワードにすり替えました。単純な考えです。物語性以前に衣装はツール、サブツールなのでメインにはならない。という考えもあり伏線です。
衣装単体は物語を紡ぐことは出来ない、出来ないというよりは、むしろそのような物では無いです。物語を紡ぐのはバンビとメンバーそれぞれで、衣装はその一部です。これを伏線と掛けてみました。衣装が複線になったら面白い。整合性はおろかバンビの物語の伏線の形を衣装の形に反映させることは不可能です。普段なら余談として書くような部分ですが、今回はこれがデザインフローに含まれています。ちなみにプレゼン資料にも記載しています。

先に書いた、メンバーそれぞれに当てたアーカイヴアイテム、ジャンルや過去のファッションムーブメントを衣装の伏線として扱っています。
現代衣服の伏線としてのアーカイヴ達を今回の衣装作る伏線として転用するイメージです。
伏線を回収した先にあるのが衣装ですが、衣装が一部である以上、衣装そのものも伏線です。
衣装の伏線、伏線としての衣装を回収した先にあるのが、最初の方に書いた、「バンビとして唯一無二であるバンビと、衣装を通してその像を作りたい」の、その像。今回の像です。そして今後伏線というワードはほぼ出て来ません。伏線という言葉自体が、メンバーそれぞれに要素を当てる、という方向、希釈に向かう要因で、デザインの仕方の前提です。

次に生地や装飾(テクスチャー)の前提について書いていきます。

まず完成した衣装のことを一旦忘れてください。
○ィズニーの○思議の国のアリスをモチーフに衣装。全員異なったデザインの。と言われて皆さんどのような衣装を思い浮かべますか?
キャラクターチックでファンタジーな可愛い衣装が思い浮かびますよね。僕も同じです。最初そのイメージしか出て来ませんでした。
つまりバンビの像としての衣装イメージが何も浮かんできませんでした。
そして宮﨑の考えるアリスと仲間たちを作って欲しい。この部分に絶大なプレッシャーを感じてもいました(楽しい)。では宮﨑の考えるアリスと仲間たちを作りましょう。

全ての前にまずリサーチをします。参考資料探し、ジャンル関係無しです。
最初何となくある衣装イメージをベースにリサーチをしますが今回何もなかったので、まずオリジナルの小説アリスの挿絵から、○ィズニーアリス、実写アリス、アリスモチーフのキャラクター、演劇、あらゆるアリスのキャラクターに係るヴィジュアルリサーチをしました。○ィズニーアリスのヴィジュアルイメージ強いですね。あと、実写のジョニーデップ演じるマッドハッターの衣装作り込みはやはりすごい。大まかにアリスとキャプションつけて伝わる範囲のイメージは掴めました。
先に書いた伏線や希釈、要素分解の部分を込みとして、アリスを前提として像を作るという部分は絶対に外すことは出来ません。(上でアリスモチーフであることを意識しないと書いたのでややこしいですが、組み上げる、編集段階では意識する、最終的な印象はキャプションが付いて伝わる印象は必要である。ということです。)またこれは、深堀して印象を変質させるようなことは避けた方が良いだろうな、と思っていました。モチーフが何か一見で分かる、分かりやすい形に落とそうとは最初から思っていなかったとはいえ、キャプションがついてもヴィジュアルの関連性が無い状態は宜しくない、身勝手です。よって単純な思考で生地や装飾に係る印象を○ィズニーアリスから拾っていきました。

結果から、まず生地は花柄をメインに、キャラクターアリスから水色を引用しています。水色は当初キャラクターアリスのみでしたが、後に書くバンビの過去衣装の印象を引き継ぐの部分もあり全体のベースカラーの一つになっています。
花柄は、全体を包括する柄のイメージとして、アリスのファンタジー世界や、様々な背景での印象強さから、もう花柄使うしかないな(前向きな意味で)、と思ったので採用しています。
花柄は全部で6種類、メーカーから数十種類の花柄生地のサンプルをピックして、絵型制作と同時進行で生地選考をしました。
少し前に時間を戻して、メインを花柄に決める前にメンバーごとの配色を検討している段階がありました。↓

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この段階では柄は全員異なった物で、花柄だけではなくグレンチェック(採用になりましたが詳細は後編で)、ストライプも案に入っていました。この後花柄がメインになります。この後生地サンプルをピックし、絵型を進行しながら、Twitterにも掲載した初期カラー(柄)パレット↓

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を作成し、絵型作成後に確定生地で最終のカラー(柄)パレットを作成しています。初期パレットとこれは実際の生地をスキャンして使っているので、上がりと同じ柄です。↓

スクリーンショット 2021-08-10 1.23.37

ちなみに↑は正面から見た印象です。

生地の種類がだんだん減っているのは統一感を作るためです。初期パレットでも形が全員同じなら統一感出ると思います。

ここで一旦、色割をメインに、過去衣装の印象を引き継ぐ部分から、統一感、衣装の役割に掛かる部分について書いて行きます。その後装飾、テクスチャー部分を書きます。
時間軸と順序がバラバラですね、、大丈夫でしょうか、、まだまだ続くので、これまでのことを忘れない程度に休憩して下さい。


では続き行きましょう。
デビュー衣装である1stから前回の3rd衣装までの印象で一番強いのはグレーカラー、それと2nd、3rdで入った濃色とのコントラストです。また自分が制作した2ndはスポーティさを組み込んでいます。他の方が担当した3rdにも何となく引き継がれているような印象でした。また3rdではグレーはブルーグレー〜水色くらいの色合いに変わっています。思えば1,2,3と全て違う人間が担当していますね。ここまでで、色合いについては何となく伝わるかと思います。

今回のブルートーンベースは3rdに継ぐ要素、ネイビーは2nd、3rdからです。グレーは入れなくても、という感じでしたが、引きで見た時に全体の印象ブルーグレーに見える、透明生地部分は白ですが、ネイビー重ねにしてグレーっぽく見えるように組んでいます。グレーを入れずにグレートーンを作る方向です。
ネイビー(濃色)とグレートーンのコントラストがバンビ衣装っぽさであり、引見、パフォーマンスにおいても効果的な色割りです。
また今回ネイビーの分量が過去一番多いですが、これはライブ会場を前提とした配分です。
zepp yokohamaでのワンマンが発表された段階でバンビがより大きな会場でライブをする機会が増えていくだろうと思い、これまでより距離のある引きで見た時に、衣装の細かい部分、今回メインの花柄や装飾が全て潰れても衣装が見えるようにするべきでした。パフォーマンス衣装として果たすべき役割があります。何度も書いていますが、色割や形、装飾でパフォーマンスをより大きく、良く(美しく)見せる補助になること、照明による衣装、生地の表情変化を効果的に扱いパフォーマンスをより美しく見える補助になることです。ツールとしての衣装、パフォーマンス衣装としての役割、衣装のわずかに残された「動」的な部分です。
最近よく思うのですが、この部分は本当に今あるアイドル衣装という文脈から外れた部分なのだなと思います。パフォーマンス衣装や、パフォーマンスを前提とした衣服表現、みたいな感じですかね。
少し話それました、これまで以上の引きの距離で見てもはっきりわかる色割にするべきなので、ネイビーの分量を多く(広く)しています。
全身写った写真やライブを見ると分かりやすいですが、メインのネイビーの位置は全員同じです。トップス後ろ&ぺプラム、袖カフス下(と下袖)、インナースカートの3箇所です。3箇所全てが統一感を保持させるための色割です。

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袖カフスは、過去衣装に継ぐ、自分が制作した2nd衣装とほとんど同じ、別生地、分量差ありの二重カフスです。3rdでも似たようなカフスが採用されていたので今回全員採用で復帰です。
言葉にしづらいのですが、スカートの二段構造と色割を全員異なったものにしてしまうと寄りはともかく、引きの統一感は確実に崩れます。

トップス後ろ&ぺプラムのネイビーはパフォーマンス用の仕様でもあります。
これまで自分が制作した過去衣装ではアシンメトリー、360°からデザインして回ったときに衣装に動的な印象が出るように組んでいました。これは動作時のみではなく直立時からスタートするような、直立から動作に向けて接続良く衣装の印象が移り変わるようなイメージです。自分が制作した#2i2 2nd衣装のスカートを見て頂けると分かりやすいですが、正面で白黒切り替えがはっきりしているので、左右が白のみ、黒のみになることは直立時の一見でも伝わりますし、背面が白黒切り替えでも違和感ないと思います。

衣装をデザインする中で、特にタイト目、短い丈の時に入れたいデザインに対して面積、丈が足りない、、ということが時々あります。今回のトップスがまさにそれで、ネイビーを見え易く前面に入れてしまうと残った面積は今回の情報量を入れるには狭すぎました。例え組み込むことができても色的なコントラストは情報として強いので他に入れ込んだ要素も相まって互いがノイズになる、ごちゃついてしまう可能性もあります。
トップスが全員異なるのでアシンメトリーも統一感の観点から見てノイズでした(アシンメトリー書いてボツになりました)。
結果、トップス後ろはほぼ全てネイビーにする、正面との接続部分は切替線があっても分断して接続する、緩急の強い、ある意味強行的な切り替えになっています。
#2i2の時も切り替えの緩急強いですが、元からあるダーツ(切替線)利用だったり、接続パーツであるファスナー利用だったりするので別物です。

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左右差、アシンメトリーの場合後ろは前に準じた、視覚的に接続がスムーズな切替線、色割になりますが今回の前後差は前にほとんど準じない形であり、直立時に機能しない色割です。また遅い動作では先に書いたように接続が粗いのでノイズになる可能性がありました(後に生地利用で挽回)。対してバンビのパフォーマンスは激しく、動作速度が速い物がフリが多いので前後差の視認が時間的に一見に近づく、アシンメトリーの色割とほぼ同じになるのでは?という考えのもと今回の色前後差の色割を作っています。
ちなみにですが、上がり衣装とライブを見て、もしトップス後ろのネイビー無しで、前に準じた明るい色割だったらと考えたら血の気が引きました(そのくらい重要)。

次に装飾、テクスチャーの部分です。まだ、上の方に書いた単純な思考で生地や装飾に係る印象を○ィズニーアリスから拾っていきました。の続きです。

2nd、3rdと花柄レース、1stから3rdまでオーガンジー(透明生地)が採用されているのに、今回はそこを引き継いでいません。

レース不採用の主な理由は、アリスが古いファンタジー、原作はもはや古書です。当時の挿絵や古書の装丁、さらに古く印象派以前の絵画の額縁彫刻のようなイメージが合うと考え、レースよりも印刷や刺繍(原案では残ってた)などの上に乗せる表現の方がヴィジュアル的に近いと考えたためです。
花柄は生地の柄、プリント、金属装飾で取り入れています。彫刻表現のイメージは金属備品につながっています。
この古いファンタジーを優先した部分が、形にアーカイヴを当てた理由の一部でもあります。

古さはある程度の共通認識であると考えています。古臭いではなく、例えば伝統的な物、長く続いている物。衣服ではトライバル的な感覚が近いので国や地域に囚われずヴィジュアルの装飾にリサーチをかけアリスの古いファンタジーさ合う物を探しました。
最終的に現在の東南アジア圏、17世紀植民地時代のインディアン発祥の装飾、中世初期(東ローマ帝国)のダマスク織の柄をイメージソースにしています。これらは現代でも多用されている物でありながら古臭くない古さへの程度の共通認識があると考えています。明らかに古いと感じるような表現をする方向ではありません。新品ですしね。

今回の主な装飾は、先に書いた金属パーツ、シルクスクリーンプリント、あとはアウトスカート裾についているあれです。

金属パーツとはいえほぼボタンとコンチョです。
17世紀の大航海時代、いわゆる植民地時代にスペインが新大陸アメリカに入植して大量の銀を持ち込み、そこの原住民であるインディアン(ネイティブアメリカン)が作り始めたインディアンジュエリーの一つがコンチョです。打ち付けのものがメインですが、コンチョボタンと呼ばれるものも採用しています。ベルトは時代変わりますがウェスタンベルトを採用しています。ウェスタンベルト特有の彫刻入りの曲線のバックルの発祥はスポッツ装飾ベルトと同時期なのか、あるいは名称的に分かれたのか、調べてもイマイチ掴めませんでした。知ってる方いたら教えてください。(8/15 1:27追記 レンジャーベルト(レンジャーバックル)と言うみたいです。アメリカはテキサスのレンジャーのガンベルトがモチーフのベルトだそうです。やっと見つかった。)
ベルトのコンチョは後打ちしています。
このベルト、太めです。メンズ用のものです。これは完全に引き用のサイズ感で、離れて見てもベルトだ、とわかるサイズ物を採用しています。単純にコーディネートとしてみるともう少し細くて良いのでは、という気分になりますが、衣装の場合少し誇張した方が見栄え良かったりします。
現実ベースの映画ので同じようなことがありますね、今思いつくのだとクローズ(ヤンキーの映画)、あの中に出てくる不良とその衣装と学校すごいですよね。現実の誇張表現です。
今回に限らずベルトは必ずフィッティングしてから短くしたり新しく穴を開けています。ベルトは作ったものであれ既製品であれ全く伸びませんからね。穴の感覚が狭いと不格好ですし、ちょうど良いところが中間だったら困ります。

袖部分をはじめとするメンバーカラーのシルクスクリーンプリントはダマスク柄(織)サンプリングのデザインです。版です↓

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中心にロゴのハッシュタグが入った柄です。

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コンチョボタン以外のボタンも花形や彫刻入りのメタルボタンを採用しています。

この部分はシンプルですね。

単純な思考で生地や装飾に係る印象を○ィズニーアリスから拾っていきました。の部分は終わりです。


次に透明表現について。

オーガンジーの透明表現は、リップストップという生地に代用させています。主にアウトスカート、袖に使用しています。ナイロン100%の超軽量ながら張りがあり耐久性の強い生地です。今回はコーデュラ社の物を採用しています。過去衣装にあるスポーティさを引き継ぐ部分です。スポーティというより、もろスポーツ衣料に使われそうな生地感(生地の特性的に実際はアウトドアメインです)。

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本来今回のような使い方をする生地ではありませんね。本来の使用用途ガン無視で生地のテクスチャーを利用させていただいています。
この生地はオーガンジーのようにシースルー、透明生地として作られているものではなく、白だから透けてしまうタイプの生地です。オーガンジーの黒は反射が少ないため白より透けますが、リップストップの黒は完全不透明です。
コーデュラ社のリップストップの透け感や光に対する表情変化は生地よりも半透明のビニール袋に近いです。近い距離の物はよく透け、離れると途端にぼやける。自然光のような乱反射の光、柔らかい光に対してはマットな質感、フラッシュや強い光は反射して光沢があるように見えます。
チェキとアー写で生地の質感が違うのはこのためです。屋外で撮影しているインタビュー記事掲載の写真はアー写と同じ質感が出ています。

ライブ照明ではこの両方が起こるので面白いです。
また暗い中で強い白色照明が当たると生地が光を含んだようのボヤッとした印象になります。(アーカイヴ1:41:20からの数秒が分かりやすいです。)
オーガンジーのように強い照明でドレープの凹凸が潰れることなく、しっかり陰が出て立体感が残るのも白だから透けてしまう生地だからこそです。

zepp yokohamaのライブは都合つかず見に行くことができなかったのですが、アーカイヴを見て照明演出の凄さに驚きました。規模が大きくなるとこうゆうことが起きるのか、、と。衣装は納品してから成果回収と考察の第二ラウンドが始まるのですが、今回の照明に係る部分は想定外が多く何度も見ていますが回収しきれないですね。まだ期間あるのでなるべく回収します。

最後に、そういえば的な透明?表現です。
下袖、トップス後ろ&ペプラム部分のネイビーは格子柄のレースを採用しています。

朱音

元々この部分はスポーツ衣料に使われるようなメッシュ生地を予定していました。メッシュは過去衣装のスポーツを引き継ぐ(少し誇張)要素ですが、
それ以上にトップス部分に関しては、今回ワンピースとトップスのレイヤーなので暑さ軽減のため、先に書いた狙いのために入れたとは言えネイビーがべったり入るのは強すぎるのでワンピースの水色を透過させて印象爽やかめにするため、
袖はトップスと同じく暑さ軽減と、動作の際に空気が入ってパフスリーブが潰れないようにするためであり、これらの方がスポーツ要素より優先事項でした。さらにメッシュの乾いた生地感よりもレースの方が今回の像的に合うと判断して、生地の中では一番最後に変更をかけています。

また下袖がネイビーなのは2nd衣装と同じく、引き見の際腕の動きを強く(大きく)見せるための仕組みで、今回はカフスにもネイビー 仕込んでより強くしています。

前編はここまでになります。最後まで読んでくださった皆さん、ありがとうございます。
後編はこれらを踏まえての詳細、メンバーそれぞれ衣装説明的のような文章になる予定です。

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