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なづけること、友人とあだ名のはなし


わたしには苗字をもじったちょっとしたニックネームみたいなものがある。

呼ばれたい名前はある?」と聞かれるたびに
ある1人の友人の顔が思い浮かぶ。

思えば、昔から少し変わった友だちが多かった。あまり他の子たちとなじまないような、振り返ると、そんな友人ばかりだった。

私はあまりに普通で目立つ特技もなくて、おもしろみがないから、そんな子に憧れていたのかもしれない。

「 私がつけたあだ名やのに、気づいたらみんな呼び出してるよな、まあいいけど、私がつけたからな 」

小学5年生ころから仲良くなった彼女は誇らしげに、いつもそう語っていた。

良くも悪くも、思ったことを正直にまっすぐはっきりと言うところがあって、学校の女子たちと対立してしまうことも少なくなかった。

破天荒にいろいろやってしまうところも含めて、彼女をおもしろい存在だと思っていたため、気がつくと仲良くなっていた。

ウサインボルトと走ることを愛し、
女子のいざこざが苦手とはっきり言い、
好奇の目を向けられるとその状況を楽しみ、
男子と付き合うのはとても楽だとよく語っていた。

そんな彼女は今までの他の友だちとはどこか違っていておもしろくて、でもどこか寂しそうにも見えて、
偉そうに、ほうっておけないなとか、自分がいてあげなければ、みたいな気持ちも感じていたように思う。

彼女だけの、私。
そんな気がして、このあだ名で呼ばれるのがとても嬉しかった。

このあだ名は覚えてもらいやすくて
今ではいろんなところで使っているけれど、

いまだにあだ名を聞かれた際に
「うーん、あるのはあるけれど」と
少し躊躇してしまうのは、
きっと彼女のこの言葉のせいだろう。

「 私がつけたあだ名やで 」

今度会った時は、
今いろんな人にこのあだ名で
呼んでもらってるよと伝えてみよう。

今では普通に大学に通い、
恋愛の話を微笑ましく嬉しそうに語り、
同性の友だちともなじむようになった彼女。

もう気にしていないかな。

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