【インターン記録.9】インターン、何してるの?インビジブルでのインターン、こんなことしてました②

インターン記録、今回は私たちの考えてきた企画について。企画の決定にいたるまでをまとめてみました。☀️

インターンの期間中、インターン先の企業で止まっていた「記憶の森」というプロジェクトについて自由に考えて、チームで企画や編集を行うことに取り組んだ。

このプロジェクトは、東日本大震災により更地となった場所や再建された新たな建物・メガソーラーなどで見えづらくなってしまった人々の記憶の可視化を目的とするもので、はじめは地図上に思い出の場所をマッピングするような、そんなイメージの企画を受け入れ先企業よりもらっていた。


①リサーチ•インタビュー

地図にマッピングをするべく、
「思い出の場所」にまつわるリサーチを行うことに。

知らない土地にやってきて、インタビューの内容の前に、まずは「誰と」「どうやって」つながろう?というところからのスタート。幸い、滞在初日にまちの方とごはんを食べたり、何人かの方々と連絡先を交換させていただいていたこともあり、

「こんな企画がしたくて…」という連絡をすると

「◯日は××さんで、◯日は△△さんね!」
とすぐに連絡をくれる方がいて、

私たちもあまり企画の着地のイメージがわかないままインタビューがスタート。

インタビューをする中で何度か壁にぶつかる。

「思い出」や「記憶」というテーマの広さ
幼少期から現在にいたるまで、喜怒哀楽…
思い出はとりとめのないもので何をお聞きすれば良いのか

「場所」について
「思い入れのある場所など」と濁して質問をしていると、「そんなこと言われてもなぁ、地元だから日常になりすぎててねぇ」と話される方もしばしば

震災の記憶
大学生がインタビューに来る、というとどこかそうなってしまうのか、震災の話を…という流れになることがかなり多かった
もちろん、その人にとって衝撃的で大きな記憶であることは間違いないのだけれど、この震災という事実と、それ以前の歴史や日常、現在続いている日々の暮らしというところをどう見れば良いのかと深く悩んだ

インタビューのため伺ったお宅にて
粕汁をいただく。
あたたかい。

そのような壁にぶつかりながらも、いろいろな世代の方からたくさんのおもしろいお話をお聞きすることができた。そして、インタビューのためにたくさんのお家などにお伺いさせていただき、そこでおもてなしを受けたり、時には他愛もない話をしたり、

「まぁこんなとこよく来たねぇ」
「1ヶ月もいるの?嬉しいねぇ」
「じゃあ今度はこの活動においで」

あまり知らない土地でひとのあたたかさにふれる。
インタビューの前はとにかく不安でいっぱいだったけれど、徐々に知ってる顔や声をかけてくれる人が増えてくる。これがこんなにも嬉しいことなのかと知り、驚く。
そして、楽しい思い出を語る町の人たちは本当に楽しそうでいきいきとしていて、「誰かに話す」「語る」そうした行為がもたらす効果みたいなものもなんとなく感じた。


②方向性の検討

リサーチ、インタビューするなかで、壁にぶつかりつつも、おもしろい発見をする。

世代ごとにまちの見方が全く異なること
年配の方がみるまちと若い方からみたまちもかなり違うし、その人の仕事によってまちの見え方もかなり違っていた

ここでよく遊んだなあ。
たまごっちとかしてたよと語ってくれた町の方がいた。
今はあまり人がいなくて、がらんとしていた。
今はなくなってしまった温泉跡地を散策したり。
テレビのない時代にみんなで温泉へ行きよくアニメを見た
と楽しそうに町の方が語ってくれた。



富岡町の多様性(自然とエリア)
はじめは全くよくわからなかったまちの地形や自然もお話をお聞きしていくと、ここに海があってここは自然豊かなエリアで、こっちは町的な中心エリアで、というのがみえてきて
「富岡町」という町の中にいろんな顔をしたエリアがあることがわかってきた

あの有名な桜並木が通学路だったんだよね。
夜の森はニュータウンでカラオケもあって誇らしかったなあ。
夜の森の人と富岡の駅の方の人と派閥みたいなのがあるよね。
そんな話がよく出てきた。


人の話や記憶から町を知っていく私たち。はじめはこのまちのことがよくわからなかったけれど、どんどん情報が肉付けされていく感覚、それがすごくおもしろくて、これを形にできるといいね!というような話し合いをかさねた。

方向性を決めるのは個人的にはかなり苦しかった。
言葉にして切り取ること、まとめて編集していくこと。その危うさや暴力性に対して向き合うことが怖くなる。
抽象的なことを考える段階では、ある程度まで話しあうとその果てみたいなものがきて、
インターン生同士でも「結局はなにがしたかったんだっけ」となってしまうことも度々あった。立ち返れる言葉をつくっておくことが今思うともう少し必要だったかもしれない。


③アウトプットのアイデア出し

インターン先の方から、
「実際に小さなサイズで考えて、実践を。」というアドバイスを受け、
とにかくアイデア出しとして手を動かすことに。

4人インターン生がいるため、単純に考えて最低4案はできる。方向性も定まりきらないまま、ターゲットもそれぞれの設定したターゲットで、不安は残るけれど、それぞれの動きがスタートした。
みんな終わりの見えない話し合いに疲れてきた頃だったのか、少し個別の動きになり、のびのびと動いているような感じがした。

そんな息抜き的な良さも感じつつ、
ある程度共有しておかなくて大丈夫かな…という不安も感じつつ、月日は待ってくれないのでどんどん進んで、アイデアを共有する日をむかえた。

4人それぞれそのターゲットへ向けたアイデアが出揃った。

・震災を知らない世代、若者へむけたカレンダー
・写真集など、写真による視覚からのアプローチ
・展示(避難先からここに戻れない人へ向けて)
・居場所的なもの などなど

それぞれの視点からのアプローチ、アイデアが出揃った。

※※※
はじめはマップにする予定だったけれど、思い出というとりとめのないものをマッピングでうまく伝えられるのかな(その人の大切な場所をどう落とし込むのか個人情報的な問題も出てきた)、そのマップを見てワクワクできるかなという話し合いのもと、マップから少し離れることに。
※※※

さあ、ここからどうするか…
みんなでやるには、ひとつに絞ろう。
実施可能性を考えてできるものにしよう。
と徐々に小さく小さく、
そして、まちでの関わりも増えてきて、
町の人にも来てもらえたり喜んでもらえるものにしたいねという気持ちも含まれてきて、
イベントをできるといいねという話もでた。

そうして決まったのが「展示」だった。

正直はじめは、どこか「ほんとに展示にするの!?」と思っていたところがあった。インターン生には誰も美大など芸術に携わっているような学生はおらず、展示のいろはも右も左もわからないのだ。でもこの後の記事にて記すつもりだが、この「わからなさ」は今回の企画では悪いものとは言い切れなくて、とても良い方向に働いていたと思う。
なんと言えば良いのか適切な表現が見つからないけれど、難しさみたいなものがなくて、いろんな人の入り込める余白になってくれたようなそんな感覚があった。


企画決定までをふりかえり見えたことと
グループで動く、ということ。

☑️企画決定までをふりかえる
個人的に今回のインターンでは、「編集」といった部分に注力したいという思いがあったため、もう少し計画やメンバーとの話し合いの場の作り方やその日の予定の共有方法を考えるなど、改善の余地の残る部分は多かった。
いっぽうで、小サイズで実験することの大切さを身をもって感じることができた。今までは、そうはいってもどうすればいいのだろうか、失敗したら無駄になるんじゃないかとどこかでそう思っていた。
しかし、そうではなくて、
はじめから完璧なものはできないし、
誰か1人にでもこれが届くといいな。
こんな景色を見てみたいな。
そう思いながら見える顔や思い浮かぶ人に対して、
見てみたいというイメージからスタートして、
できるものを実験的に作ってみる。
そこから広がるものがあると学ぶことができた。

☑️グループで動くなかで
これはインターン中や生活の中でずっと感じていたことだけれど、
自分は思っているよりも寛容になれていないということ、それに気がついてとても驚いた。人よりも寛容になれるタイプで柔軟に思考を変えられる。そう思い込んでいた。
実際はそうではなく、これはこうあるべきだと自分で縛りをつけてしまうタイプのようで、
それに気がついた時やふとした時にそうした自分に気づいて、またやってしまったと嫌悪感を抱く。しかしそれと同時に見えていない一面を見られたような面白さも感じていた。

グループで動くという中で、気がつけたことがあった。私は気を抜くのが下手で、他のメンバーの自由さや気の利いた明るい振る舞いのおかげで気を抜ける。そして、私は気を抜くのが下手だけれど、それを活かして決められたルールに従い動くような役割を果たす。グループをじっくり観察して、それぞれが活きるように、とにかく考え続ける。
メンバー同士で足りない部分を補い合う。

雪だるまを一生懸命つくるひとたち
インターン生の1人は雪を見るのが人生初とのこと。

今まで、こんなふうにグループで動く中でひとりひとりをちゃんと見てきたのかな。
その人が言った言葉とか、アイデアだけで、その人を見ていたかもしれない。気がつかないうちにみんなを気遣って気を抜いてくれたり、うまく空気を作ってくれていたりするメンバーにわたしはどれだけ感謝を伝えられていたのかな。

ふと、そんな考えがよぎる。
グループで動くということをこれからも考え続けたい。


グループで動く。
チームで動く。
集団の中で、
地域の中で、
生きる。

平成生まれインターン生たちによる
平成あるあるで盛り上がる夜

知らず知らずのうちに、誰かに支えられている。
それに気がついた時、一人ひとりの顔がくっきりはっきり見えくる。見ていきたいと感じる。
おもしろいなあ。

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