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超実践的Facebook Messenger BOT開発その前に

まとめ

・Facebook Pagesというかたちでビジネス向けメッセンジャーは既に(長らく)開放されているよ。

・というか、Facebook向けBOTの作成にはFacebook Pagesの作成が必須だよ。

・今回発表の最大のインパクトは自動でのインタラクションの追加であって、Facebook Pagesの連続的な機能強化だよ。

・検索とリコメンデーションが初期の想定アプリケーションで、自然言語処理はそれをサポートするかたちなので、高度である必要もないけど、あるに越したことはないという話だよ。

・(自動車文化もあり)電話利用が未だ盛んな米国では単純な自然言語処理でもインパクトがあると思うよ。

・日本国内ではLINE BOTほどのインパクトはないと思うよ。

まえがき

本シリーズでは基本的に技術的な事柄について書いていく予定でしたが、本稿は若干異なります。理由は以下のとおりです。

LINE BOTにつづいて、Facebook用のBOTの開発方法をソースとともに公開する予定だったのですが、LINE BOTとくらべて必要項目が多岐にわたり、承認プロセスも経なければならないということで、Facebook Messenger向けBOTのサービス構造と成立経緯そして意義をまず理解する必要があると判断しました。

まず、下記のノートがバズっていますが、根本的な認識に間違いがあるように見受けられます。

「「#1: ビジネスアカウントにもメッセンジャーを開放」のインパクトが最も大きい理由」とありますが、Facebook Pagesが公開された初期の頃からビジネス向けMessengerは開放されています。下記の記事に書かれている「ビジネスアカウント」はFacebookと直接密なパートナーシップを結んだ主体のことを指しており、Messenger APIの開放とは直接関係がないようです。

フェイスブック「ビジネスアカウント」開放へ 本日F8で発表

日本国内にいると実感が湧きませんが、Facebook PagesのMessenger機能は海外では既にビジネス上のサポートを中心とするコミュニケーションに広く利用されている印象です。

というか、FacebookのMessenger Platform Getting Startedを見ると一目瞭然ですが、FacebookのBOTはFacebook Pagesの存在を前提としています。つまり、既に「開放」されているFacebook Pagesというビジネス用のMessenger向けに自動応答機能を追加するということとまず理解することが重要です。

インタラクションの追加とは?

シンプルにFacebookがDeveloperページに掲示している画像を見てみましょう。

要は「ユーザの入力に対して対応するコンテンツ(画像、動画、音声)やボタンなどを表示する」ことが出来るようになったということです。

何を以って対応させるかという点ですが、基本は広義の検索(Pull)とリコメンデーション(Push)となります。

検索に関しては(ご存知の通り)既に出来上がった技術です。特に店舗の取扱商品の検索ということであれば、文脈も限定されますので、実際のサービスの活用に問題はありません。

リコメンデーションも同様に既に出来上がった技術です。(Facebookからの承認とユーザからの許可が必要ですが)Facebookの場合、様々なプロファイル情報を用いて、かなり高度なことが出来ることを想像できるかと思います。

ユーザからの回答の解釈に自然言語処理が必要だが

個人的な意見ですが、ユーザからの単純な回答部分が厄介です。例えば、肯定を選択させるのに自由な入力を許した場合、「はい」「Yes」「おう」「大丈夫です」というような曖昧な入力が行われる可能性があります。このあたりは自然言語処理が必要そうです。

Facebookの場合、上図のように、メッセージにボタンを付けることで、この問題を回避しています。この点は意外に大きいかと思われます。

LINEの場合も、Rich Messagesを用いて、無理やり実装することは可能のようですが、ボタン一つ設定するにも相当に苦労しそうです。(サポートするツールやライブラリがすぐに出てくるとは思いますし、LINE自体が仕様拡張してくると思いますが)

通話での利用の場合、上記のような解決策を取りづらいため、自然言語処理が必須となるかと思われます。米国では自動車内での消費時間が多いですので、意外と通話での完全自動コマースの市場は(既に一定規模はあるかと思いますが)大きいかと思われます。

日本市場へのインパクト

Facebook PagesのMessengerの存在がほとんど知られていないことに象徴されるように、日本でのFacebook Messenger Platformの初期のインパクトは小さいものにとどまるでしょう。

逆に言えば、これを機にFacebook Pagesの日本での普及が一気に進む可能性はありえますので、動向には目を配りましょう。

実装上の必要要素

・Facebook Page - 初期設定自体は容易ですが、まともに運営するとなるとかなりの負荷となります。

・Facebook Application - メッセージの送受信にはFacebookの審査が必要です。

・メッセージ送受信サーバ - 別途ご紹介しているLINE BOTと共通化可能です。

以上のようにLINE BOTと比べますと若干手間と時間がかかりますので、もしご興味があれば、事前にFacebook Pageは作成しておくことをお薦めします。

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